【活動報告】浜田市まちづくりセンター職員研修の講師をしました。

 2024年7月18日、浜田市三隅町の黒沢まちづくりセンターで、浜田市のまちづくりセンター職員様向けに安全管理研修の講師をさせていただきました。
 コロナ禍が治まり、ものすごい数の遊びや学びのイベントがあちこちの地域で開催されていますが、コロナ禍の間に失われたさまざまなノウハウのうち、安全管理はかなり大きなものなのではないかと思っています。
 イベントを設計するときにどのような部分に気をつけなければいけないのかや、リスクをどう考えるのかについて、事例研究や実地を交えて体験をしてもらいました。
 見えるリスクは人によってかなり異なりますし、事前に検討してチェックしておくだけで、リスクは確実に下がっていきます。
 各まちづくりセンターで開催されるさまざまな地域のイベントが、事故がないように楽しく開催し、終わることができるように、センターの職員さん達にとっての想定外が起きないように、しっかりとイベントを作り込んでもらえればと思っています。
 今回お声がけいただきました黒沢まちづくりセンターの斎藤センター長様、そしてご参加いただきました皆様に、こころからお礼申し上げます。

【活動報告】高校生に能登半島地震炊き出し支援のことをお話しました。

 2024年7月3日に島根県立益田翔陽高校で、防災に関心のある生徒さん向けに、能登半島地震の炊き出し支援報告をしました。
 前回防災カフェとしていろいろとお話しした子達でしたが、この後、逃げ地図の話やローリングストックの話を地域の方にするのだそうです。
 若い方が動いてくれると、それ以外の人も動き出してくれます。
 今後の活躍を期待するのと同時に、引き続きできる支援をしていきたいと思っています。
翔陽高校の皆さんに厚くお礼申し上げます。

【活動報告】能登半島地震被災地で炊き出し支援を行いました

2024年4月9日から11日の3日間、石川県志賀町にある富来活性化センターで能登半島地震で被災された方への昼食炊き出し支援を行いました。

4月9日は雨天の中でしたが、益田市匹見町や津和野町などで食べられている郷土食の「うずめ飯」と「大根のはりはり漬け」を105食提供。


4月10日は「ひじきご飯」と「塩ちゃんこ鍋」を102食提供。


最終日の4月11日はばら寿司と石川県七尾市産のもずくを使ったもずくの澄まし汁を111食提供しました。


遠路参加してくれたスタッフの皆さん、さまざまな形で支援してくれた皆様に、厚く感謝します。ありがとうございました。
3か月経って、現地報道はかなりされなくなってきていますが、まだ復旧にすら手が付けられていない状態の被災地と、何もなかったかのように観光客でごった返していた金沢のギャップ。
いろいろな意味で驚き、そして何かできないかを考えさせられる支援となりました。
今の状況が長引けば、第2陣以降の災害復旧支援を実施する必要があると考えていますので、引き続きご支援をよろしくお願いします。

なお、本事業を行うに当たっては多くの方にご寄付を頂戴し、また、日本財団様、中国ろうきんNPO寄付システム様の災害枠の助成を受けて実施することができました。重ねてお礼申し上げます。

【お知らせ】ペット防災講習会を開催します。

能登半島で起きた大きな地震に被災された方にお見舞い申し上げます。

まだ全容がわかっていない状態ではありますが、現地の一刻も早い復旧と災害関連死がでないことを願っています。

ところで、災害のたびに問題にされるのがペットのことです。

もしあなたのおうちにペットがいたとしたら、災害発生時にそのペットをどうするかを考えたことがありますか?

また、避難してくるペットを受け入れる避難所や自主防災の方は、そのとき自分たちがどのようにすればいいのか、しっかりとわかっていますか?

今回はNPO法人人と動物の共生センター、NPO法人全国動物避難所協会の理事長である奥田順之先生とオンラインでつないでペット防災について一緒に考えてみたいと思います。

後半では、「ペットの防災・あなたの防災」として、いざというときを想定したワークショップを行います。

申込不要で参加費は無料となっていますので、この機会に災害時のペットについて考えてみませんか?

あなたのお越しをお待ちしております。

日時:2024年1月27日13時30分~15:30

会場:島根県芸術文化センターグラントワ多目的ホール

参加費:無料

※詳細はチラシをご確認ください。

【活動報告】大田市に災害ボランティア派遣を行いました


 令和5年7月の大雨による災害で、島根県大田市では家の裏や床下浸水などしたおうちがあったようで、発災当時はわからなかった被害が徐々にわかってきているようです。
 それに伴って、大田市社会福祉協議会では災害ボランティアセンターを立ち上げ、被災家屋の災害支援を行っています。
 石西防災研究所では災害復旧支援ということで、8月2日に開催された災害復旧ボランティアに2名派遣し、微力ながら災害復旧のお手伝いしました。
 15分活動しては15分以上休憩という過酷な暑さの中大勢の参加者に混じって、崩れた崖の土砂を運びだしたり、土砂の入った土のうをダンプの上で解体したりといった作業をさせてもらいました。
 今後も活動は続くようですので、お近くの方、ご都合のつく方はご参加いただければと思います。
 また、大田市社会福祉協議会ではAmazonのほしいものリストによる飲料の寄付も受け付けています。
 数時間で驚くくらい飲み物が消費される状況下ですので、現地に行けない方はこちらでお手伝いいただければと思います。


 当研究所でも、会員の都合が合うときに開催があれば、また対応していきたいと思っています。
 開催日や開催場所など、詳しくは大田市災害ボランティアセンターのウェブサイトをご確認ください。

ボランティア募集情報(8月2日現在)(大田市社会福祉協議会のウェブサイトへ移動します)

大田市ボランティアセンター飲料水ご寄付のお願い(アマゾンのウェブサイトへ移動します)

被災地に出向くボランティアに必要なこと

 災害が起きると、被災地内だけでは手が足りないので、周辺地域などに災害救援ボランティアを要請することになります。
 コロナ禍でかなり制限されていましたが、被災地にはいろいろなところからボランティアが入って、災害復旧を支援してくれます。
 もしもあなたが被災地へ応援に行くのであれば、単独であれば、まずはボランティアセンターができているかどうかを確認してからにしましょう。
 被災地では、さまざまな輩が復旧支援に見せかけて高額請求や詐欺を働いていることがあり、せっかくボランティアに出かけても、そういった連中と間違われてはいらないトラブルのもととなります。
 ボランティアセンターからの派遣は、センターがあなたの身分を保証していることになりますので、トラブルも起きにくいです。
 災害支援に長けている専門ボランティアでない限りは、勝手に被災地の復旧支援に押しかけることはお勧めしません。
 また、被災地では基本的に自給自足です。
 食事や飲み物だけでなく、場合によってはトイレも自分で用意しておく必要があります。被災地に負担をかけないためにも、全て自給自足で、当然ごみも全部持って帰るということを理解しておいてください。
 他にもいろいろとやっておいたほうがいいことがたくさんありますので、興味のある方は「全社協被災地支援・災害ボランティア情報」をご確認ください。
 余談になりますが、筆者はこれらに加えて破傷風の予防接種は絶対にしておくべきだと考えています。
 被災地での片づけで怪我をしたとき、破傷風菌に感染すると自分の命が危険にさらされます。予防接種で防げる事故ですし、一度注射すれば10年は効果が持ちますから、やっておいて損はないです。
 ともあれ、被災地に災害復旧ボランティアに出かけるときには、身体一つ行けばいいということにはなりませんので、しっかりと準備したうえでお出かけください。

全社協被災地支援・災害ボランティア情報」全社協のウェブサイトへ移動します。

災害に対応する職員の衣食住

 災害が発生すると、あらゆる機関が非常態勢に入って非常時の活動を開始します。
 周囲は被災しているため、基本的にあるもので何とかしなければいけない状態になるのですが、現時点に至るまで、被災者の中の一般人の食料や水は確保されていますが、災害対応をする職員のものは確保されているという話はほとんど聞きません。
 企業はともかく、施設や行政機関ではほとんど日常の延長戦で非常時への対応を行っているのではないでしょうか。
 目まぐるしく変わる状況の中では、しっかりと食べ、しっかりと飲み、そしてしっかりと睡眠をとることが事故を防ぐのにとても重要なことなのですが、自分の手持ちにあるもので何とかしろというのが今の日本の現状です。
 では、職員に対して支援物資が来るのかというと、支援物資は被災した一般住民が最優先。災害対応する職員にはまず届きません。
 自衛隊やよそから派遣されてくる応援部隊も、自分たちのものは当然持ってきていますが、最初から対応に当たっている職員の分までは当然考えられてはいません。
災害対応している職員が披露し衰弱すると、最終的にその地域の復旧や復興が遅れる上にいらない事故が発生します。
 非常時に待ったなしで対応しなければいけない施設、例えば行政、警察、消防、施設、学校といったところは、一般被災者よりも災害対応にあたる人に対する備蓄をしっかりと整えておくことが、その後の対応に大きな差が出るということを知っておいてください。
 「頑張れ!」という精神論ではお腹は膨れませんし、疲労も取れません。災害対応は長期戦です。食事、給水、睡眠、衛生といったものは、本来は最優先で対応されるべきものです。
 防災計画は、被災後に起きる長期的な生活部分のことをしっかりと決め、食べ、飲み、出し、寝ることがきちんと計画的に運用されるためにこそ作成すべきものです。
 残念ながら、そういった点に目が向いている組織のトップはまだまだ少ないので、できる人に仕事が集中して潰してしまうという状況は変わらないのかもしれませんが、災害対応する職員ができる限り生活レベルを落とさなくてもすむように、被災後の対応計画についてしっかりと設計しておいてほしいと思います。

被災者と支援者

 行政の職員や地域の民生委員、消防団、自治会役員、電力会社やガス会社など、普段から地域に住んでいてさまざまな役をしている人たちがいます。
 災害が起きると、そういった人たちは被災者や被災地域の復旧・復興に東奔西走することになりますが、多くの人が忘れている事実があります。
 それは、そういった人たちも地域の被災者であるということ。
 他の人たちが家族の安否確認や家の片づけをしている間、役についている人たちは自分のことは置いておいて、まずは他の被災者や地域のために奔走しています。
 でも、それは当たり前のことではありません。
 誰だって家族のことが気になりますし、家の片づけだってしたいはずで、それを仕事だからということで後回しにして他の人のために仕事をしてくれているのです。
 本来は、できるだけ早く他地区から仕事が代われる人を送り込んで、被災した人は家に戻してやることが必要です。
 ここのところ災害が続いていて、だいぶ動きは早くなってきました。それでも、まだまだ遅いなという印象です。
 行政や地域で活動している人全てが一斉に自分のことをするのは難しいと思いますが、他地区からの応援が入れば、順番に自分のことをやれる時間を作ることができます。自分のめどが立てられれば、精神的には落ち着きますので、かなりよいコンディションで仕事を行うことができるようになるでしょう。
 それを行うためには、各応援部隊は数日で入れ替わるのではなく、1週間や10日くらいは被災地に腰を落ち着けて、地元の人がいなくてもしっかりと支援を行うくらいの気持ちが必要です。
 これからまだまだ災害は増えてくると思いますので、今のうちに自治体同士の相互支援協定や民生委員、消防団、自治会などの受援体制をしっかりと固めておきましょう。
電力会社やガス会社はその辺はかなりしっかりとやられていますが、今後は現在のような維持管理体制を継続することも難しいのではないかと思います。
 しっかりとした支援体制が組めるように、他地区の同業者と調整をしておく必要があるでしょう。
 そして、支援者は短期、中長期でそれぞれ支援ができるような体制づくりをしていく必要があります。軌道に乗れば被災地に業務をお返しできると思いますが、支援者もある程度腹を決めて被災地に入ってほしいと思います。
 被災地では、その地域でさまざまな仕事をしている人がすべて被災者になります。そのことを忘れずに、災害復旧をしていきたいですね。

「話す」というボランティア

 被災地での復旧支援ボランティアというと、ごみなどの片づけや炊き出し、避難所運営などがよく話に出てきますが、同じくらい貴重な活動の一つに「お話をする」というのがあります。
 何も難しい技術は必要がなく、ただ話をするというだけのボランティアなのですが、このお話をするボランティアのおかげで、実はたくさんの被災者が救われています。
 被災地では、みんなが被災者のためになかなか自分のことについて話をすることが難しいという状況があります。口を開くと不安や愚痴などが出てしまうことが分かっている場合には、なおさら話をすることが億劫になってしまいます。
 話を聞く傾聴ボランティアもありますが、そちらをするためにはちょっとしたスキルやコツが必要です。でも、話し相手をするだけなら、恐らくほとんどの人に可能なボランティアなのではないでしょうか。
 聞くだけでなく、話すことで会話が生まれます。傾聴は相手の心の中の思いを吐き出してもらうことが大切ですが、会話ならそう難しいことは考えなくても大丈夫です。
 何でもない話ができると、災害とその後のあれこれの不安や疑念、諦めなどで凝り固まったこころがほぐれてきます。顔見知りになってくれば、その人の災害に関する思いも出てくるでしょう。
 そうすることで、どんどんこころがほぐれてきます。
 こころがほぐれてくると、いろいろと前向きになってきますし、生きる気力も湧いてきます。
 もちろん話し相手には敬意は絶対に必要ですし、自分の思いだけを話しっぱなしというのもNGですが、これは重要かつ老若男女問わずにできる大切なボランティアです。
 あまり重要視はされていませんが、被災地で、落ち着き始めたころから求められるとても重要なボランティア。
 こういったボランティアがあるということも知っておいてほしいと思います。

やさしい日本語

 阪神淡路大震災から、大災害が起きるたびに注目されているのが「やさしい日本語」というものです。
 日本にはさまざまな国のさまざまな言語を使う人たちが来ているため、必ずしも英語が通じるというわけではありません。
 地域によっては、同じ国同士の人でさえ言葉が通じないことがあるので、伝える外国語はいくつあっても完ぺきにはならないのです。
 ただ、彼らに共通しているのが、コミュニティーの中には「日本語がなんとか理解できる人がいる」ということです。
 つまり、伝える言語を多国籍化するよりも、わかりやすい日本語を使うことで全ての人に情報を伝えられないかというのが、このやさしい日本語ができた経緯なのです。
 このやさしい日本語、実際に普段使っている日本語をより簡単な日本語に置き換え、状況や内容を理解してもらうことが目的で、やってみるとかなり難しいものです。
 特に災害時や災害後に出される行政からの文章は、より正確性を求められるためにかなり難しい言い回しをしています。
 そこから必要な情報を取り出し、言い換えを行って相手に伝わるようにしなければなりません。
 また、一つの用紙には一つの情報を書くようにした方がわかりやすいのですが、往々にして複数の情報が一文の中に収められたりしているので、これを分ける作業が大変だったりします。
 さらにややこしいことに、それにプラスして日本の習慣も伝えておかないとトラブルのもとになりますから、100%の正確な遅い情報よりも60%の正確性でいいので早く表示できるようにしておかないとまずいことが起こります。
 情報は生き物ですので、可能な限り短時間でタイムラグなく状況を伝えることが重要です。
 できれば情報の発信時にそれが作れることが理想ですが、現時点ではそこまで考えている行政はないと思いますので、なるべく被災者の近くでやさしい日本語に翻訳できるようにできることが求められると思います。そのためには、より多くの人がやさしい日本語に言葉を変えられるように語彙を増やすことと、言い換え言葉を普段から意識することが大切になります。
 また、やさしい日本語は伝えなければならない必要最低限の情報をできるだけシンプルにして作られるため、長文や小さな文字を読むのが難しい高齢者や小さな子供でも内容がわかりやすいというメリットもあります。
 普段から言い換えの訓練をしておくことで、いざというときにすぐ作業ができると思いますので、興味のある方は時間を作って、例えば新聞記事や行政の広報誌などをやさしい日本語に組み替える練習をしてみると面白いと思います。