アレルギー対策を整えておく

 災害が発生して避難所に長期滞在する必要が出てくると、さまざまな問題が出てきます。
 見た目や動きなどで分かる問題なら良いのですが、内臓疾患やアレルギーのある人は、ぱっと見何が問題なのかわからないために健常者とトラブルになりがちなので気をつけなければいけません。
 特に食事制限や食べものからのアレルゲンの摂取を控えるという行動は、行政などからの配給食のとき、お残しや食事をしないという選択肢になることもあって、見る人によっては「何の不満がある」と文句を言われてしまうこともあります。
 そして、避難所で配られる食料品ではアレルギーや食事制限に配慮されたものが出る可能性はまずありませんので、そういう人は自分であらかじめ食事を準備しておく必要があります。
 現在は3日から1週間程度は自分の備蓄を用意するように言われていますが、アレルギー体質の人は、それ以上に準備しておくようにしてください。
また、最悪に備えて何が食べられて何が食べられないのか、どれ位摂取してもいいのかは、あらかじめ平時に試しておいたほうが安全です。
 それから、万が一に備えて抗アレルギー薬は常に携帯しておくようにしてください。
 非常用持ち出し袋に入れておいてもいいのですが、いざというときにそれを常に持ち出せる環境にいるとも限りません。
 普段必ず持ち歩くカバンや財布などに、最低1回分は入れて持ち歩くようにして下さい。
 アレルギーは未だにたいしたことが無いと考える方がいますので、アレルギー持ちの人は、自衛手段をしっかりと確立しておいた方が無難です。
 せっかく災害から助かったのに、食べ物のアレルギーで倒れてしまっては何にもなりません。
 悲しいことですが、自分の身は自分で守るを基本にして備えるようにして下さい。

災害訓練とゴミ

 災害対応訓練を一般の方向けに実施すると、結構な割合で炊き出し訓練がくっついています。
 その時には、基本的に使い捨て容器が使われるわけですが、この処分の方法が可燃物も不燃物も容器包装プラスチックもごっちゃになっていることが非常に多くて、ちょっと首を傾げてしまいます。
 確かにゴミの処理というのは大変ですし手間もかかり、燃やせるものは燃やしてしまえという考え方もわかります。
 ですが被災後のゴミは、そうでなくても膨大で多岐に渡るものが出ますから、分別できるものはできるだけ分別しておく必要があるのではないでしょうか。
 水を大量に使うことができないからといって発泡プラ容器で食事を提供し、そのまま燃えるゴミというのはよくある例ですが、そこまでリアルさを追求するのであれば、食器にビニール袋やラップなどを掛け、それらを使うことで食事後のゴミを減らすところまでしてもよいのではないかと思っています。
 訓練以上のことをできる人は殆ど居ませんから、訓練の時にこそ、ゴミをなるべく出さない、ゴミを減らすような練習もしておくといいと思います。
昨今は新型コロナウイルス感染症関係であまり炊き出し訓練はされていないようですが、もしされることがあるのであれば、ゴミの省力化まで考えて訓練することをお勧めします。

ウォーターサーバー

 防災教室などで備蓄の話をしていると、割とよくウォーターサーバーの話が出てきます。
 宅配されたお水入りのタンクを給水器に取り付けて水やお湯を出せるようになっているそうで、これがあれば非常用水の備蓄が不要だと言われることもあります。
 確かに安全な飲料水が一定のペースで確実に届けられ、常に備蓄のある状態でローリングストックされていることは望ましいと思います。
 ただ、そのときに一つ気をつけていただきたいのが水の取り出し方です。ウォーターサーバーに取り付けてコックをひねれば出るようになっているはずですが、サーバーが何らかの事情で壊れてしまったとき、水を取り出せるかどうかを確認して下さい。
 ものによってはサーバーに取り付けないと水が出せなくなっているものがあるようですので、その場合にサーバが壊れてしまうとせっかくの水が役に立ちません。
 それから、水タンクが上部に乗る構造上、ウォーターサーバーは非常に揺れに弱いですから、災害時に役立てようと思うと、サーバーが転ばないようにしっかりと固定しておく必要があります。
 また、サーバーの構造が停電でも使えるかどうかを確認しておく必要があります。
 大きな災害になると、電気は間違いなく止まります.電気が止まったら供給がとまるタイプのウォーターサーバーだと、やっぱり宝の持ち腐れになってしまいます。
 誤解しないでいただきたいのは、ウォーターサーバーが駄目だといっているわけではありません。
 災害時に確実に安全な水が何リットルも確保されているのは、それだけで一つの安心材料ですから、その水をどのように取り出すことができるのかを知っておいて欲しいと言うことだけです。
 せっかくある資源なのですから、お使いのウォーターサーバーの特徴をしっかりと確認していただき、災害時にも水には困らなくて済む状態にしておきたいですね。

備蓄はわけてしまっておく

レトルト食品やインスタント食品も立派な備蓄食です。

 災害に備えてさまざまなものを備蓄しろと言われていますが、あなたのおうちではどれくらいの分量が備えられていますか。
 人によって1食分から2週間分まで、さまざまな量が準備されていると思いますが、それらの備蓄はどこにしまっていますか。
 忘れないように一カ所にしまっている方が多いのでは無いかと思いますが、一カ所にまとめておくと、管理は楽なのですがいざというときにそこが駄目になってしまうと、備蓄が全部使えなくなってしまいます。
 できれば備蓄は数カ所に分けてしまっておくようにしてください。
 そうすれば、一カ所が駄目になっても他の場所が大丈夫なことが多いです。
 例えば、2階建てのおうちなら1階と2階にそれぞれ同じ量をしまっておく。別に車庫や倉庫をお持ちであれば、そちらにも備蓄をしておく。
そうすることで、いざ何かあっても備蓄が全滅という事態だけは避けることができます。
 政府の推奨している備蓄量は1週間分(7日分)なので、そんな量を非常用持ち出し袋に入れて避難することはまず無理です。
 災害の状況が落ち着いたら家に取りに帰ることを前提にして、数カ所に分散してしまうこと。
 非常用持ち出し袋は1日程度の備蓄。そしてできれば防災ポーチを作ってもらい、そちらに1食分の備えをしておくといいと思います。
 余談ですが、非常食は長持ちしますが箱などのままの保管だとネズミなどに囓られてしまうことがあります。面倒でも、コンテナなどに詰めて保管することをお勧めします。

地区防災計画ってなんだ?

 最近防災界隈で騒がれているのが、いかにして地区の防災計画を作ってもらうかということです。
 国の防災計画と、都道府県や市町村が作る地域防災計画はあるのですが、これだけでは日本に住む全ての人が安全に避難をすることができるわけではありません。
 そこで、地区防災計画を当事者である住民に作ってもらおうというのがこの話のスタートなのですが、どうもここで規定されている地区を誤解している人がいるようなのでちょっと確認しておきたいと思います。
 ここに出てくる地区とは、例えば自主防災組織や自治会といったものではありません。もっと小さな単位、例えば集合住宅や、場合によっては各個人ごとに作る防災計画もこの「地区」に該当します。
 避難する判断や生き延びるための判断、避難先や受援方法などは、あまりに大きな単位だと条件が違いすぎて全く機能しません。
 より現実的に動かすためには、もっともっと小さい単位で同じような条件の人達を集めてその場所の防災計画を作ることが必要だと考えられているので、ここで出てくる「地区」というのは「地域よりも小さい単位」といったイメージで思ってもらえればいいと思います。
 そして、自分や近所の人がどのように行動するのかを定義することが、この地区防災計画の肝となるのです。
 その場所の災害事情はその場所に住んでいる人にしかわからないということがあります。そのため、その地域に住んでいる人達に自分が助かるための計画を作ってもらい、それを地域防災会議を経て地域防災計画に織り込んでいく。
 そのようなイメージで作るのが本筋です。
 行政機関によっては、自主防災組織や自治会などの単位で作らせようとしている動きもありますが、それでは結局地域防災計画の焼き直しになってしまい、行政が決めたルールの責任を地域に押しつけることにしかなっていません。
 基本はあくまでも小さな集団です。当研究所のある地域では自治会の組、つまり同じような地域条件で生活している5~10世帯を基本単位として作るくらい。
 お隣同士でも条件が異なるのであれば一緒にせず、それぞれに防災計画を作ることになります。
 正直なところ、個人の防災計画とどう違うんだという疑問はありますが、隣近所で話をしてみんなで行動することで逃げ残りや危険な目に遭う人を無くすことができるようにという意図もあるようです。
 お正月、ご家族や親戚が集まるこの機会に、あなたの防災計画についても見てもらって、助言をもらってみてはいかがでしょうか。
 そして、お正月が終わったら、ご近所の方と防災計画について話し合って、より安全に災害を乗り切れるようにしておくといいと思います。

みんなでつくる地区防災計画(内閣府のウェブサイトへ移動します)

みんなでつくる地区防災計画(日本防災士会のウェブサイトへ移動します)

避難時にはお湯も持って行く

 災害で避難をしなくてはいけなくなったときに、避難グッズとしてあったほうがいいなと思っているものの一つに「お湯」があります。
 一時的に避難を行う避難場所は、単なる場所の提供なので自分に必要なものは自分で持って行く必要があるのですが、避難場所で暖かいものを食べたり飲んだりするのはかなり困難です。
 場所の提供なので、居所だけで火気厳禁という場所が非常に多く、火を使うことが許されているとしても、大勢の避難者の前で火を使っているとなんらかのトラブルに巻き込まれる可能性が高くなります。
 そこで、避難するときにもし余裕があるのなら、保温できるタイプの水筒にお湯を入れて持って行くようにしてください。
 不安や緊張は暖かいものを摂取することでかなり緩和されます。お茶やコーヒーを作ったり、インスタントラーメンを食べるときにも役に立ちます。
 また、寒いときにはペットボトルに注ぐことで簡易な湯たんぽを作ることもできますし、使わなくても水に戻るだけなので使い勝手がよいです。
 避難時の飲料としてお水を持って行くことは多いと思いますが、もし余裕があればそれに追加してお湯を持って行くと、いろいろと役に立ちますよ。

【活動報告】防災おやつ作りを開催しました

 2021年12月18日、当研究所の敷地で防災おやつ作りとして「ポップコーンを作ろう!」を開催しました。

 ポップコーンを作るためのとうもろこしは乾燥していて長期保存が利くことから、管理しやすい非常食として使えないかということと、ポップコーンを作るのが面白そうだということでの開催でしたが、総勢6名のご参加をいただきました。
 当日は小雪の舞う中で焚き火を囲み、空き缶を使ってポップコーンを作ったり、焼き芋を作ったりしました。空き缶でポップコーンを作るのは筆者も含めて初めてでしたので試行錯誤しながらとなりましたが、出来上がったポップコーンは塩やバターで味付けしてなかなかおいしかったです。


 焼き芋も、普通のサツマイモでしたが甘くてとても好評でした。また、あまりに寒かったのでぜんざいも作ってみましたが、参加してくれた皆さんには好評だったようです。寒い時期には温かくて甘いものはものすごいごちそうになりますが、これも寒さを体験してみないとわからないことではないかと思っています。
 これから寒くなってくると、外遊びにはスキーウェアなどのしっかりとした防寒着が必要になってきます。
 寒くて家の中に閉じこもっていると、寒い時期の面白さや楽しさを見つけることはできません。
 今年の冬は去年よりも少し多めに外遊びや炊き出し、おやつ作りなどのイベントをやってみたいと考えています。
 開催時にはこちらで案内いたしますので、興味のある方のご参加をお待ちしております。

食べられる山野草を知っておく

少し土の肥えた場所に生えることが多いハタケシメジ。食用可だが、知らなければたぶん食べない。

 大きな災害が起きてから復旧を始めると、困るのが野菜の補給です。
 炊き出しや配給される弁当などは、思ったよりも野菜が少ないことが多く、特に冬場になると被災地では野菜は手に入りにくい状態になってしまうので、避難が長期化すると肌荒れや便秘、逆むけや唇のひび割れなど、野菜不足による身体の不調が発生してきます。
 ただ、野菜はなくても食べられる山野草はどんな季節にも存在していますから、その辺に生えている山野草の判別が出来れば、野菜不足をある程度補うことができます。
 ポイントは、食べられる山野草ではなく、食べると危険な山野草を知っておくこと。
 タイトルと矛盾していますが、食べられる山野草によく似た、食べると場合によっては命に関わるような山野草がいろいろと存在しています。
 食べると危険な山野草を知っておけば、それ以外は食べられる山野草になりますので、あまり難しく考えなくてもいいことになります。
 よく見てみると山野草はあちこちに生えていますから、ポケット図鑑などを持って、お散歩のついでにおうちのまわりを調べて食べると危険な山野草を知っておくと、いざというときに非常に心強いと思います。

【終了しました】防災おやつ作りを開催します

 たまに発作的に活動をしています防災おやつ作りですが、今回はポップコーン用のとうもろこしが手に入ったので、空き缶を使ってポップコーン作りをやってみたいと思います。
 以下の日程で開催しますので、興味のある方のご連絡をお待ちしております。
 なお、新型コロナウイルス感染症対策として、参加できるのは予約されている方に限らせていただきますことをご了承下さい。
 また、新年1月以降は月に一度防災ご飯づくりを開催する予定にしております。
 日程や場所が決まりましたらまたご案内いたしますので、興味のある方はご確認下さい。

イベント名:防災おやつ作り「ポップコーンを作ろう!」
開催日時:2021年12月18日 13:30~15:00頃
開催場所:石西防災研究所敷地内
参加費:無料
持ってくるもの:中をきれいに洗った350mlサイズの空き缶1個
活動内容:ポップコーン用のとうもろこしの実をむしり、空き缶を火にくべてポップコーンを作ります。
募集人員:10名(先着順)
※応募や詳細については、メールにて事務局までお問い合わせ下さい。

非常食は必ず試そう

五目ご飯の食べ比べ。やってみると結構楽しい。

 あなたの非常用持ち出し袋やご家庭に準備している非常食にはどのようなものがありますか。
 恐らくは人の数だけさまざまな準備があると思います。
 では、あなたはその準備している非常食を食べたことがありますか。
 非常食というのは、文字通り非常事態に陥ったときに命を繋ぐための食料として準備されているもので、味は二の次という考えの方も多いと思います。
 でも、非常食を食べないといけない事態というのは、気分的に不安になっていたり、落ち着かない状態になっていることが殆どですから、味の問題というのは実は結構重要なことだったりします。
 非常食を食べて、自分の好みの味でなかったり、場合によっては自分が食べられないものだったりしたときには、相当がっくりしてしまうと思います。
 非常時だからこそ、自分の大好きな味を食べて気力や体力を維持することが必要なのですが、非常事態からは縁遠い生活を送っていると、あまりそこらへんは意識されていないのではないかと思います。
 例えば、アルファ化米で考えてみましょう。
 以前五目ご飯の食べ比べをしたことがありますが、メーカーによってかなり味が異なっていて、それが自分の好みの味かどうかは食べた人によって意見が異なることがありました。
 つまり、事前に食べてみないと口に合うかどうかがわからないということなのです。
非常食だからといって、期限切れまで食べずに保管しておくと、いざというときに自分の思った味では無くてがっかりすることがあると思います。
 調達するときに、家族全員でちょっとずつ食べ比べてみて、あなたやあなたのご家族にあう味を探してみて下さい。
 非常食はただ食べるだけでは無く、気力や体力を維持するためにとても大切な働きをしているものです。
 だからこど、少しお値段は張りますが、さまざまなものを食べ比べてみて、自分にあった製品を見つけておくと安心ではないでしょうか。

アルファ米を試して見るその1(当サイトの該当ページへ移動します)