キキクルを上手に使う

 気象庁が提供しているキキクルというサイトをご存じですか。
 「キキクル」は気象庁がウェブ上で公開している危険度分布を表すサイトのことで、雨による土砂災害や浸水害、洪水の災害の危険度を地図上で確認できるようになっています。
 残念ながらスマートフォン用アプリは作られていませんので、検索エンジンで「キキクル 気象庁」と入力してもらって確認するしかありません。
 できれば、平時にこのサイトを確認してもらい、スマートフォンのホーム画面にショートカットを作っておくといざというときに慌てなくて済むと思います。
 このキキクル、提供されている情報は行政機関のものと同じなので、確認しておけば、行政機関よりも早く危険を読み取ることが可能になります。
 また、その地域のハザードマップも表示できるようになっているので、組み合わせればどこが危険になっていて最悪どうなるのかが一目でわかります。
 この情報が一つの判断基準として使えると思いますので、雨雲レーダーと併せて、上手に活用して下さい。

キキクル(気象庁のウェブサイトへ移動します)

避難は自分で決めるもの

 防災の研修会では、市町村の発表する大雨の避難レベルのうち、レベル3の高齢者等避難が出たら避難を始めて下さいという説明をすることが多いのですが、本当はそれぞれが自分で判断すべき鍵を持っておく必要があると思っています。
 そもそも、市町村の避難レベルはその地域全体を見て発表されるものなので、発表される前に崖崩れが起きたり、家の前が川になってしまっている場合もあり得るわけです。そのため、土砂災害が起こり得る場所に住んでいたり、内水氾濫が想定される場所に住んでいる場合には、自分が避難すべき判断基準を自分で持っておく必要があります。
 まずは避難すべきなのか、避難しなくてもよいのかに始まり、何が危険なのか、どんな災害時には避難をしなくてはいけないのか、そして、安全に逃げるためにはどうすればいいのか、最後に安全な避難先はどこに確保するのかを全て決めておきましょう。
避難すべき判断基準は人の数だけあると思います。
 隣近所が避難しなくても、あなたが避難すべきと判断した基準が来たら、淡々と避難すればいいのです。
 マスメディアでは大雨の災害が起きるたびに市町村の避難指示の判断についての論評がされますが、それは実はどうでもいい話で、自分が安全だと判断するかどうかが鍵なのです。
 自分の命は自分が守ること。
 それが基本です。避難レベルは行動判断の一つの基準でしかありませんから、お住まいの場所や普段いる場所の危険度を確認して、いざというときには何も考えずに避難開始できるようにしておいてくださいね。

地震と土砂崩れ

梅雨時期に入ると大雨と、それに伴う土砂崩れや洪水への警戒が呼びかけられます。
それはそれで正しいことなのですが、もう一つ、地震に対しても気をつけておく必要があることを知っておいてください。
大雨や長雨では、地中に水がしみこんでいますので、斜面は割と不安定な状態になっています。
そこにちょっとした地震による揺れが与えられると、不安定だった斜面の土砂が一気に崩れてしまう危険性があるのです。
これが怖いのは、いくら天気が晴れていても、土砂が水を含んで不安定になっている限り、土砂崩れが起こりうるということです。
そしてこの土砂崩れは土砂災害警戒区域や特別警戒区域といった指定地域以外でも発生する危険性が十分にあり得ます。
雨と揺れ、これが重なるときには、いつも以上に周辺環境の変化に敏感になっておいたほうがいいと思います。

水害時には床下の換気口も土のうを積んでおく

 水害対策として土のうや水のうを積むということは聞いたことがある方も多いと思います。
 あまり水の勢いが強くなく、水量も多くない場合には、正しく積むと家屋の床下浸水をある程度防ぐことができるので、出水期の前などに作り方や積み方を確認しておくといいと思います。
 その中で、忘れがちなのが床下の換気口。
 玄関や勝手口などは土のうを積んで水を防いでも、換気口が開けられたままだと、そこから水が入って床下が浸水してしまいます。
 そのため、こういった部分もきちんと土のうを積んで水が入らないようにしておく必要があります。
 床下の水分で床板などが腐ってしまうので普段からふさいでおくわけにはいきませんが、換気口から水が入ると汚泥が床下に溜まってしまうので、床下の掃除と乾燥が必要となります。
 これは結構な手間になりますので、できるなら換気口も忘れずに土のうで守るようにしてくださいね。

土砂災害に気をつける

これから梅雨を迎え、雨に対する対策を準備しておくことをお勧めします。
雨への対策は大きく分けると二つ。
一つは水で、もう一つは土砂になります。
水は直接的に河川氾濫や内水氾濫が起きて水害となりますが、雨が降ることで地盤が緩み、山や崖が崩れてきたり、動いたりする土砂災害も起きることがありますから、対策をしておかなければいけません。
とはいえ、土砂災害は水害以上にどのタイミングで発生するのかが読みにくいものです。
ハザードマップを見てもらい、土砂災害が起きそうな場所に入っている場合には、普段から対策をしっかりと考えておく必要があります。
土砂災害の前兆となるような出来事をまとめたものを少し手を加えてみましたので、それをみてご自身の土砂災害への備えを万全にしておいてほしいと思います。

ラジオの話

携帯ラジオ各種

 非常用持ち出し袋の記事を見ると、多くの場合「携帯ラジオ」が品物の項目に入っていますが、あなたの非常用持ち出し袋には入っていますか。
 携帯ラジオは情報を取るには非常に便利なアイテムではあるのですが、筆者は、地域によって必要性の優先度が異なるアイテムなのではないかと思っています。
 というのも、ラジオ本体の感度や電波の条件によって、まったく受信できなくなる場所があるからです。
 そのため、ラジオよりも携帯電話のアプリを使う方が感度の良い受信ができる場合があります。
 ラジオを有効活用しようとするなら、できればお住まいの場所や避難先の電波状況がどうなっているのかをあらかじめ確認しておくとよいと思います。
 ちなみに、手回し発電装置のついたものもありますが、この発電効率は機材によってかなり差があるので、購入前にはよく調べておくことをお勧めします。
 よく「携帯電話も充電できる」といったうたい文句のものもありますが、現在主力となっているスマートフォンは充電に必要とされるアンペア数が高いため、ラジオの手回し発電機で充電できる量はあまり期待しない方がいいと思います。
 また、多機能型のラジオもありますが、多機能だからといって、懐中電灯などの機能をラジオに肩代わりさせると、電池の消耗がかなり激しくなるので注意して下さい。
 ラジオは普段から馴染みがあるなら、災害時にも非常に頼りになる存在です。
 ただ、使い慣れていないとそもそも設定ができませんから、平時にしっかりと使い方をマスターし、いざというときに慌てなくても済むようにしたいですね。

夜間の予報を気にしておこう

雨雲レーダーのエコーを見てみると、あちこちで線上降水帯ができていて、結構な雨が降っているようです。
大きな被害が出ないことを祈りますが、とりあえず人的被害が出る前に避難行動をとるようにしてください。
ところで、避難するときに一番怖いのは何だと思いますか。
さまざまなご意見があると思いますが、筆者自身は闇だと思っています。
日没から日の出前の間、いわゆる夜の間、大雨が降るときには暗闇と雨で非常に視界が悪くて周囲の様子がわかりません。
車を運転する人であれば、大雨の中での運転では、ライトをつけていても危険を感じたことがあるのではないでしょうか。
そんな状態でいざ避難といっても、避難指示が出てから逃げ出したのでは事故に遭いかねません。
避難所が遠かったり、自分の目や足に不安のある人は、気象庁などの予報で危険な期間が夜にかかっているのであれば、明るいうちに安全な避難所へ避難してしまいましょう。
そうすれば、いざというときにも慌てずに過ごすことができます。
そして、夜が明けてから家に帰れば、周囲もはっきりと見えて安全です。
さまざまな事情はあると思いますが、早めの行動で損をすることはありません。避難所を設置する方は大変かもしれませんが、自主避難先をきちんと決めてそこへ来てもらうようすれば、手間もさほどかかりません。
災害が起きてから救助に向かうよりもよほど建設的だと考えています。
ともあれ、大雨や台風など、避難が必要になるかもしれない時間を確認して、夜間に慌てないようにしておきたいですね。

気象庁レーダーナウキャスト(気象庁のウェブサイトへ移動します)

側溝に気をつける

 大雨が降るかもしれないという予報が出ていますが、あなたの家の周りの側溝はきれいになっていますか。
 側溝は排水路ですので、水をせき止めるものが中にない限りは降った雨を川などに運んでくれるありがたいものです。
 ただ、注意が二つ。
 一つは側溝の中が汚泥やゴミなどで底が埋まっていたり、水がうまく流れなくなっていないかを雨が降る前に確認しておくこと。
 二つ目は、あなたの家の周りの側溝が、周囲と比べて低地になっていないかどうかということです。
 水がうまく流れるためには側溝にゴミがあったり、汚泥などで浅くなっていたら困るのはわかると思います。
 低地の問題は、側溝の排水能力を超える雨が降ると、低地部分から水があふれ出してしまうからです。
 もしも家の周囲がその低地に当たるのであれば、周囲に土のうを積んでおいたり、あるいは雨の様子を見て早めに安全な場所への移動を開始したりといった方策を考えておく必要があります。
 当たり前のことですが、水は高いところから低いところへ流れていきます。
 周囲から低い場所にあなたの家や避難経路があるのであれば、他の人よりも行動を早くしたほうが安心です。

逃げるべきか逃げないべきか

災害の原因はいろいろとありますが、その原因によって避難すべき場合と、自宅でやり過ごした方が安全な場合とがあります。
あなたはお住まいの場所やお仕事の場所がどのような災害の危険性があって、避難した方が良いか、するとすればどこに避難するのか、またはその場で待機している方が安全が確保できるのかを検討していますか。
いきなりやってくる地震の場合は、建物補強と落下物防止くらいしか事前対策はできませんが、他の災害は事前にどの災害で避難しないといけないのか、避難先はどこで、どうやって避難するのか、そして避難開始のタイミングはどうするのかを決めることができます。
また、逆に避難した方が危険な場合には、家にじっとしている場合も出てきます。あるいは、逃げ遅れた場合には自宅のどこが一番安全なのか、それも確認しておかないといけません。
行政機関が出す避難の呼びかけは地区・地域という面で発表されますが、実際に避難すべきかどうかは、あなたのいる場所の環境や条件によって異なってきますので、事前に地域の特徴を確認して、どのようにすべきかを決めておいた方が安心です。
逃げるかどうかがわからなければ、その先の準備がうまくできずに、実態とあわない状態になってしまいます。
まずはあなたのいる場所がどの災害に弱いのか、そしてどんな条件になったら避難しないといけないのか、そのことをしっかりと確認しておいて下さいね。

施設の避難計画はできていますか?

平成29年6月19日の『水防法』等の改正により、浸水想定区域などに所在する要配慮者利用施設の所有者または管理者に対し、避難確保計画の作成及び避難訓練の実施が義務となりました。
要配慮者と聞くと老人や障害者が思いつきますが、乳幼児もここに含まれるため、老人ホームや障害者福祉施設だけではなく、幼稚園や保育園、こども園も避難確保計画の策定と避難訓練の実施が義務化されています。
4月18日付けの読売新聞1面には、浸水想定区域にある幼稚園や保育園、こども園の2割が避難確保計画未策定となっているという記事がありました。
その理由は「施設側の人員不足や義務化されているという意識が薄い」と記事には書いてありましたが、行政側も人員不足やコロナ禍で立ち入り検査ができず指導が難しいようです。
正直なところ、未策定の数字が思ったよりも少ないなと感じました。
実際のところ、避難確保計画では避難の発動条件が施設管理者の判断に一任されているものも多く、誰が見ても避難と判断できる避難条件が決定されていないものは策定しているとはいえないと思っています。
また、避難開始から避難完了までは定めていても、避難先でどのように過ごすのかや、どのようになったら避難を解除するのかについても、明確に決めているところは少ないと思っています。
避難確保計画はピンからキリまでありますが、災害対策に関心のある人が作っているかどうか、そして管理者や所有者がどれくらい真剣に災害対策を考えているのかによって出来上がりの質が相当違っています。
現在は計画があればいいということで、かなり適当に作っているところも多いと思いますが、大規模災害が起きるたびに要配慮者利用施設で死者やけが人がでる現状を考えると、もっと真剣に取り組むことと、防災に通じた人と一緒に考えるなどして、生きた避難確保計画を策定し、生きた避難訓練をし、本番ではだれも死なないようにしてほしいなと思います。