衛生管理は手洗いが基本

 マスクとアルコール消毒液がないということで狂騒曲状態になっている世の中ですが、災害対策という目を通してみると衛生管理をどのようにするのかということになります。
 災害後の衛生管理では、まずは手洗いが基本になります。しっかりと石けんなどで手洗いをした上で、アルコール消毒やマスクの着用をすることになります。
 水が出ない場合にやむをえずアルコール消毒液やマスクを使用することになりますが、水が得られない場合の衛生管理というのは、水がある場合に比較すると格段に状況が悪くなります。
 現在の状況は、「被災してはいるが水はある」状態なので、アルコール消毒液やマスクがないとしても、比較的衛生管理はしやすいと考えます。
 ただ、一口に手洗いと言っても適当にやっていたのでは意味がありません。石けんを使い、手全体を30秒以上しっかりと洗浄し、流水でしっかりと流す。これだけで最近やウイルスに起因する病気にかかる確率は格段に減ります。30秒といってもぴんと来ない方は「もしもしかめよ~♪」の歌を1番歌うとそれくらいの時間になると思ってください。
 実は細菌やウイルスに感染する感染経路で一番多いのは「手から」です。普段はどんな人であれ、5分程度で何かしら顔を触っているものです。そこから体内に侵入してくることになりますので、手をしっかりと洗浄することで感染症になる確率を下げることができるということなのです。
 マスクやアルコール消毒液がないという事態から、手洗いをしっかりとする人が増えています。細菌やウイルスによる感染症の発症はずいぶんと押さえられているのではないかと思います。
 上手な手洗いについては、下のリンク先を参考にしてくださいね。

しゃぼん玉石けん「シャボンちゃんの手あらいうた(前半は手の洗い方、後半は一緒にやってみようになっています)(リンク先:youtube)

花王ビオレu ビオレu泡ハンドソープ「あわあわ手あらいのうた」練習編CM(リンク先:youtube)

続・新型コロナウイルスとBCP

 遅ればせながら政府がいろいろと新型コロナウイルス対策を打ち出し始めました。「お願い」や「依頼」「配慮」など、どうみても責任は取りませんといった文字が目白押しですが、政府はともかく、一住民としては生き残るための自衛策を考えなければなりません。
 ここのところの騒動で過去に「新型コロナウイルスとBCP」や「BCPを作ろう」といった記事を書いてはいますが、個別のBCPについて質問されることが増えてきているので、何を考えたらいいのかをもう一度整理してみたいと思います。
 BCPの究極は「いかに自分のところを構成している人・もの・金にダメージを受けずにやり過ごすか」です。このため、自分あるいは自社にとって守るべきものは何なのかを決めておく必要があります。
 ポイントは二つ。事業をどのタイミングで中断するかという判断と、事業をどのように再開するかという判断を決めておくことです。自分や自社にとって事業の中断による社会的ダメージと事業の継続による社会的ダメージのどちらが大きいかを判断することになるでしょう。
 また、経済的・人的・資材的にどのタイミングで止めたら一番再開が安定して行えるのかということも検討しておきます。どの段階でどこから何をどれくらい持ってくればどんなものが再開できるのか、自分や自社の都合だけでなく「社会的に必要とされるものの優先度はどうか」を考えながら対応策を組んでいくことです。
 準備も必要です。新型コロナウイルスは潜伏期が14日程度と言われていますから、怪しいと思ったら14日は隔離される覚悟をしておかなければいけません。そのために必要な食料品や資材は準備できていますか。自分や家族、従業員に何かあったとき、きちんと休みが取れる体制になっていますか。また、休業状態になってどのくらいの間経済的に持ちこたえることが可能ですか。
 BCPは根性論ではどうにもなりません。必要とされるものを洗い出し、対策を考え、準備することで初めて稼働できるものなのです。
 現時点ではマスクも消毒用アルコールも市中には無い状態でいつになったら安定供給されるのかについても目処が立っていません。自分たちでできる自衛策は限定的ではありますが、それでも手がないわけではありませんから、根拠のある対策を調べて実行してください。ネット情報ではファクトチェックしているサイトもありますので、そういったところで内容の真偽を確認し、少しでも安全な対策をとるようにしてください。
 長々と書きましたが「どうなったら休業するのか」「どうなったら再開するのか」、取り急ぎその二点だけ決めておけば今後の対応は格段に楽になると思いますよ。

車いすの避難について考える

よくある避難訓練の一コマ

  施設などの避難訓練では健常者の訓練の中に「車いすを非常階段で抱えて下ろす」というような項目が追加されていることが増えてきました。
 エレベーターなどで上層階に簡単に移動できるようになりましたが、火災や災害でエレベーターが動かなくなってしまうと、車いすの方の避難は階段を使わざるを得なくなりますが、 そういうときにどうやって車いすの方を安全なところへ避難させるのかを確認して訓練しておくことは、実は結構大切なのではないかと思っています。
 実際にやってみると、棚などから落下したものが通路をふさいでみたり、非常扉が通り抜けできない構造だったり、非常階段がそのままでは降りられなかったりと、健常者では問題にならないさまざまなことが問題になります。
 これに気づいて対応策を考えておくことは非常に重要なことで、一度対策を身につけると、いざというときに車いすの方を安全に避難させることが可能になります。
原則は車いすごと抱えて避難ということになるのですが、このときによく問題になるのは車いすの人を階段で下ろすとき、前向きで下ろすのがいいのか、背中から下ろすのがいいのかについて毎回悩みます。一般的には抱えている車いすからの転落が怖いため、背中側を階段の下に向けて移動させるそうなのですが、移動する方向が見えないと怖いという方もおられます。車いすの人が職場の人間であれば、あらかじめ試してみてどちらがより楽かを決めておけばいいのですが、お客様で来られた場合にはどちらがより安全かについて迷うこともあると思いますが、迷っていても仕方の無いことですし、問題になるのは車いすの方を安全に避難させることなので、その場の状況やいる人数によって運び方を変えるしか手はないです。
 あと、施設などに置かれている貸し出し用の車いすは非常に重たいですので、そのことも踏まえて一度訓練しておいた方が安心だと思います。
 車いすに限らず、障害を持っている方が安全に避難できる環境というのは健常者にとっても当然安全な環境です。より安全に避難できるように、避難訓練にもいろいろな要素を加えていって欲しいなと思っています。

避難所と防疫

 災害時に怖いのは、人がたくさん集まって生活する空間となっている避難所で発生する感染症。インフルエンザやノロウイルスなどは、避難が長期化した避難所では必ずと言っていいくらい発生して蔓延してしまいますが、その対策としては、徹底的な防疫を行うことくらいしかありません。
 今回は、避難所で起こりうるであろう感染症発生時にどのような対策をすればいいのかについて考えてみます。

1.防疫って何だろう?

  国語辞典などを見てみると、防疫とは「伝染病を予防し、またその侵入を防ぐこと」とされています。つまり、防疫という言葉は「予防措置」と「防御措置」の二つの性格をもっていると言うことになります。

2.予防措置

 大規模避難所では、何よりも衛生環境の維持が必要です。感染症を起こさないようにするためには、徹底した手洗いとうがいが推奨されていますが、被災地では必ずしも水が潤沢にあるわけではありません。
 それでも消毒を行ったり、ウエットティッシュなどで拭く、手が洗浄できなければ使い捨て手袋を使うなど、可能な限り衛生管理を行ってください。
 また、生活空間は絶対に土足禁止です。そして、寝る場所は床から少しでも高さのある状態にしてください。この二つを守ることで衛生環境はかなり維持することができます。
 あとは歯磨きなどで歯や口の中の雑菌を繁殖させないようにすること。特に避難所での生活では気力も体力も消耗していきますから、いつも以上に口腔内の衛生には気をつけるようにします。

3.防御措置

 それでも人が多く集まれば何らかの感染症が発生することは避けられません。感染症発生に備えて、患者を隔離できる部屋を一つ準備してあらかじめ空けておく必要があります。
 また、基礎体温のチェックや体調の確認は毎朝毎晩行うようにし、少しでもおかしな兆候があればマスクを着用した上で隔離部屋へ移動してもらって様子を見ます。
 隔離部屋は部屋だけでなく、その周辺を含めて立ち入り制限区域とし、制限すべきエリアは目で見てわかるようにしておきます。また、立ち入り制限区画の出入口には消毒、マスク、手袋などを用意し、できるだけ感染者に直接接触しないようにします。感染者に接触した後は、生活空間に菌を持ち込まないようにマスクや手袋などは制限区域内に処分場所を用意してそこで外すようにします。間違ってもそのまま生活空間に入らないようにしてください。
 隔離部屋については、室内が乾燥しないようにし、感染者が寝るための場所を準備しておきます。これは生活空間と同じように直接床ではなく、少しでも床から高い位置に場所を作るようにします。そして汚物入れや汚染されたものを生活空間に持ち込まないように窓などから外部へ搬出できるルートは作っておいてください。
 また感染者には優先的に食べやすいものや飲料を供給し、病気の回復を支援するようにします。

4.感染症は起きるものと考える

 感染者と一般者が普通に接触していると、感染は一気に拡大します。早めの封じ込めにより感染拡大を防ぐことと、汚染されているかもしれない空間と汚染されていない空間とがはっきりわかるようにしておくことは、感染症対策としては絶対条件となります。そのため、例えば巡回する医師や看護師などの医療関係者も感染者に接触した後は生活空間に入らないようにしてもらいましょう。
 防疫については大げさすぎるくらいでちょうどいいと思います。ここでは病院に搬送できないという想定で隔離部屋を作っていますが、発症したら病院に送り込むくらい極端でも構わないと思います。
 そしてもし避難所内で隔離するのであれば、感染者が体力を維持し、回復できるように飲料食や薬を優先的に回せるように考えておきましょう。
 いずれにしても、ある程度の規模の避難所では、避難が長期化してくると感染症は必ず発生します。発生したとき、いかに素早く対応できるかで被害の状況が変わりますので、感染させないこと、感染を広めないことを念頭において日々の管理を行うようにしましょう。

自分ができる地震時の安全な姿勢を決めておく

 地震が起きたとき、まず最初に周囲の安全を確認してからダンゴムシのポーズを取る、というのが最近の耐震姿勢のはやりのようです。
 ただ、何らかの事情でダンゴムシのポーズがとれなかったり、周囲の安全確認に時間がかかったりする人がいることも事実ですので、自分がすぐにとれるできるだけ安全な姿勢というのを確認しておきましょう。例えば高齢者の方などは素早い行動を取るのが困難な人も多いですから、安全確認しているうちに揺れで転んで怪我をしてしまうかもしれません。それを防ぐためには、普段歩くコースに危険なものがないかを意識しておくことです。
 それから、転倒しないためには重心を下げる必要があります。人間の身体は構造上異常に頭が重たくなっていますので、なるべく低い姿勢を取ることが大切です。しゃがんだり、座ったりすると揺れに対して転んでしまうリスクはかなり下がります。階段では、必ずてすりをつかんで移動し、揺れを感じたら手すりをつかんだまましゃがむこと。そうすれば何もせずに立ったままよりもかなり安全になります。
身体が揺れを感じたらすぐに低い姿勢をとること。もし地震でなかったとしても、転倒する危険は防げます。
 地震そのもので死ぬことは殆どありません。揺れによる転倒や倒壊、崩落などに巻き込まれて死ぬのですから、その原因をなくせばいいのです。
 普段からの生活スペースの片付けや移動経路にものを置かないことなどしなければいけないことはたくさんありますが、ちょっとした意識の変化で生存確率を変えることはできます。あなたにあった地震時の安全な姿勢を見つけ、その姿勢が無意識にでも取ることができるように、見つけて練習しておいてください。

防寒着は身体に近いところに着る

 ここ数日、ちょっと寒くなっています。某量販店の見た目ダウン、中身は綿のなんちゃってダウンベストを家庭では着込んでいますが、着込む場所によって感じる体感温度がずいぶん違うということを感じています。
 去年までは服の上に着込んでいたのですが、今年買い換えたので、試しにと古いくたびれたベストを下着の上に直接着込んでみたら、体感温度が数度以上違ってびっくりしました。身体の発熱をベストの中綿が作る空気の層がしっかりと保持してくれるので、少々寒くてもご機嫌で活動ができます。
 熱が逃げる面積としては、胴は非常に大きな部分を占めていますので、ここが暖かいと身体全体の暖かさが違います。

下着と上着の間に着込む。動きは少し鈍くなるが、暖かさは段違い。


 難点と言えば、熱が逃げないので激しい運動をしたり暖房が効いている部屋にいたりすると暑くなりすぎて困ること。文字通り汗までかいてしまいます。
 ただ、防寒対策としてこの手のベストを着るのであれば、アウターとしてではなくインナーとして使うべきなんだろうなと感じています。

【活動報告】こどもメディカルラリーに参加しました

 あなたはこどもメディカルラリーというのをご存じですか。元々は大人に対して応急手当、胸部圧迫(心臓マッサージ)、119番通報、AEDの使用方法について学ぼうという目的で作られたそうですが、こどもでもしっかり学べるということで、子ども用に作った企画だそうで、島根県内でも去年から開催されるようになっています。
 今回、去る2月8日に島根県職員会館で開催されると言うことで、当研究所の誇る研究員達4名がチャレンジしに行きました。本来は3名一組でチームを組んでシナリオに従った実戦的な演習もあるようなのですが、この日は子どもがなかなか集まらず、基礎的な内容をみっちりと教えていただきました。

講師やDVDの説明を聞く。真剣そのもの。

 まずは「push」と呼ばれる胸部圧迫とAEDの使用法についてDVDを見ながら説明を聞き、実際にやってみました。訓練で使うのは心臓を模したハート型のクッション。うまく圧迫ができるとクッションから音がします。

なかなかクッションから音が出ない。自棄になって叩いても音はでない。

 さすがに小学校低学年では立て続けに音を出すことは難しかったですが、それでもしっかりと胸部圧迫について教わり、次いでAEDの装着について教わっていました。

わかりやすいイラストと丁寧な説明で真剣に学ぶ

 続いて応急手当。鼻血のときの処置、切り傷など出血時の処置、そして骨折時に折れた部分を仮固定する方法などを教えてもらいました。

スタッフの人を練習台に、新聞紙と紐を使って脚の骨折部の固定をする訓練をする

腕を骨折した場合の仮固定の方法についても教わって、どのようにするのかも理解していました。
最後は倒れている人を発見したという設定で、119番通報とマネキンを使った胸部圧迫、そしてAEDの使用方法を試験器を使って実際にやっていました。

AEDがOKを出すか、救急隊員が来るまでは胸部圧迫を続ける
根気と体力が必要

 全部で2時間弱という非常に長く、そして暖房なしという寒い環境ではありましたが、研究員達は普段からもっている知識をしっかりとアップデートしていたようです。そのうちに島根県西部地域でもできるといいなと思いながら、今回の参加が終了しました。ちなみに研究員の感想は「119番通報の練習が一番面白かった」「心臓の圧迫を続けるのが難しかった」「身の回りにあるもので応急処置できそう」といった感じで、普段やらない部分をしっかりとマスターしたようでした。
 最後に、こどもメディカルラリーでお世話いただきましたスタッフの皆様に、改めてお礼申し上げます。

キッチンペーパーでマスクを作ってみた

 新型コロナウイルスやらインフルエンザウイルスやら、花粉やらPMやら。
 ひょっとしたら全世界的にマスクが不足しているのかもしれない。どこにいっても使い捨てタイプのマスクがない。使い捨てどころか、マスクがない。見つけられるのは防塵マスクか防毒マスク、もしくは塗装用のカップタイプのマスク。これは通気性が悪いので長時間の着用は難しい。
 すでに花粉が飛んでいるようで目がしぱしぱする。しばらくはマスクは手に入りそうにない。相方は子ども用に手作り布マスクを作成しているのですが、こちらも資材が滞りがちだとか。
 そういえば、前にどこかでキッチンペーパーを使った使い捨てマスクの作り方があったような気がする、ということで、リンク先の作り方(備える。jpのサイトへリンクしています)に従ってマスクを作成してみました。

下線部のところが破れてしまった。付け心地はよい。

 これは口元に空間ができるタイプで、非常に使いやすくよくできているのですが、私のように取り扱いが雑な人間だと、簡単に破れてしまうことが判明。その上、耳元が輪ゴムでは長時間の着用はつらい。そういうわけで、使い終わったマスクをばらして耳のゴムを転用してみたのですが、なんとなく不細工になってしまって不採用。
 ちょっとやけ気味に、そのまま折って作ってみた。

キッチンペーパーを二つ折りして四隅にステープラでマスクの紐を取り付けただけのマスク。
下のマスクと比べると、一回りくらい大きいが、いちおうできた。

 サイズ的には問題なし。というかでかい。
 鼻周りに隙間ができてしまうので、使い終わったマスクから鼻のところを締める金具を持ってきてステープラで止めてみた。

マスク上部に見えるのがステープラで止めた鼻当ての部分。
市販品ほどしっかりとは止まらない。

 なんとなくそれっぽくなったけれど、どうにもイマイチ。お掃除用の不織布を買ってこようかなぁと思いつつ、とりあえずこのマスクを使ってみます。
 このマスク、欠点はいろいろとあるのですが、口元に隙間がないので唇から水分が持っていかれます。しゃべるとより顕著。
 やはり最初の作り方のとおりプリーツタイプにして外側の周りを強化するか、鼻当てを工夫して口元に隙間を作るか、ちょっと考えています。

新型コロナウイルスとマスク

 ニュースで毎日話題になっている新型コロナウイルスですが、さっそくマスクの買い占めがされているようです。個人間販売サイトでは何倍もの金額で売られていますが、増産もされていますので、高いマスクをわざわざ買う必要もないとは思います。ただ、インフルエンザなどもまだ収束はしていませんし、まだまだ悩ましい日は続きそうです。
 ところで、何か新しい感染症が発生するたびに売り切れるマスク、本当にそこまで感染症対策に効果的なのだろうかと考えてしまいました。
 そこで、マスクについてちょっと考えてみたいと思います。

1.マスクの種類

 マスクにはいくつかの種類がありますが、大きく分けるとサージカルマスクと言われる普通のマスクと医療用マスク、防塵マスクと防毒マスクになると思います。
 他にもいろいろとあるとは思うのですが、メジャーどころであるサージカルマスクと医療用マスク、防塵マスクで考えてみます。
 手に入りやすさと値段で考えると

「医療用マスク>防塵マスク>サージカルマスク」

です。
医療用マスクはそこらへんではなかなか買えませんが、防塵マスクはホームセンターで、サージカルマスクはコンビニなどの普通のお店で買うことができます。

2.マスクの特長

 医療用マスクでよく出てくるN95はアメリカの労働安全衛生研究所が定めている規格です。防塵マスクは厚生労働省の規格に適合したものでいくつかの区分があります。
 この二つはよく比較されるのですが表示上はDSもNも耐油性がないことを示しています。塩化ナトリウム(サイズ:0.3μm)の粉を95%吸入を防ぐことができる規格がDS2であり、N95となります。
 DS2とN95が同等の規格で認証機関と使用目的が異なるだけなので性能としてはどちらを使ってもウイルスを吸入するリスクは低減することが可能です。ただし、非常に呼吸がしずらいです。
 で、市販されているサージカルマスクは対ウイルス用には役に立ちません。これは元々外科手術の時に執刀医等の唾液などを患者につけない、飛ばさないために作られたものなので、外部からの流入を止める能力はありません。
 例えば風邪であれば、予防でマスクをつけてもあまり効果はありませんが、風邪にかかっている人が周囲に菌を撒かないための効果は期待できると言うことです。

3.新型コロナウイルスを防ぐには?

 前述のとおり、サージカルマスクはほぼ役に立ちません。つけないよりはマシ、程度に考えておけばいいと思います。新型コロナウイルスの大きさは0.1μmですから、0.3μmのものを95%防ぐ規格であるN95(DS2)では完全に防ぐことは難しいと思います。また、本当かどうかわかりませんが目の粘膜から感染するというような話もありますので、防護眼鏡も必要かもしれません。
 どのみちマスクだけで防ぐことは不可能ですので、手洗いや不用意に人ごみの中に出ないなど、基本的な感染症対策は怠ってはいけないと思います。
 まだかかっていない人よりもかかっている人がいかにマスクをつけて被害を拡散しないのかが大切なのだと思います。もっとも、買い占められてしまうと必要な人にマスクが渡らず、被害の拡散も防げなくなりはするのですが・・・。

4.マスクがなくて困っている人達がいます

最後に、今年は暖かいせいかすでに一部では花粉やPMなどが飛んでいるようで、花粉症の症状を持つ人たちが悩む日々がやってきました。
いつもの年と違うのは、花粉症対策で重要なマスクが殆ど売られていないこと。マスクがないと、花粉症のひどい人は動けなくなってしまうくらいひどい症状が出ますので、マスクの存在は花粉症持ちには死活問題です。
花粉症がひどくなると、目には防護眼鏡、鼻と口には防護用マスク、花粉がつきにくいつるつる素材の服を着て、できるだけ外にでないことが推奨されます。
・・・これって、ひょっとして感染症対策と同じ格好なのかなと考えてしまいました。

※N95の詳細は職業感染制御研究会ホームページ特設コーナーへ飛びます。 
 DSの規格はモノタロウのホームページへ飛びます。 

身体から熱を逃がさないための方法

 寒い時期に被災すると、熱を作り出すのに苦労します。特に雨が降っている状況下では焚き火もできませんから、どうやって身体を冷やさずにいるかということに重きを置く必要があります。
 身体が冷えてくると低体温症になり、ひどくなると死んでしまいます。ずぶ濡れや熱の逃げてしまうような環境で、普通に会話ができていた人がろれつが回らなくなったり、日付や今までのことが言えなくなったりしたときには、低体温症による記憶障害を疑ってみたほうがいいのですが、まずはそうならないために、次の点に気をつけてください。

1.身体を濡らさない

 着替えがあるなら、速やかに濡れた服を脱ぎ、濡れた身体を拭いてから乾いたものに着替えてください。最初は寒く感じますが、熱を奪う水分がなくなった分は身体への負担が減ります。

2.風を遮蔽する

 風は身体から熱を奪っていきます。暑い中で冷たい風にあたると身体の熱が奪われて気持ちいいと感じますが、あれは寒い時期にも起こります。できるだけ風を通さない場所を選び、あれば防寒着や合羽、なければ大きなビニール袋でも構いませんので、身体に着て直接風が当たらないようにしてください。

3.冷たい場所に直接座らない

 金属や石、堅い木の上などに座るとひやっとするかもしれません。その場合、いくら身体を乾かして風に当たらないようにしても、座っているお尻から熱が逃げていきます。それを防ぐために、お尻の下にはエアークッションや座布団、段ボールや新聞紙といった、間に空気が貯まって保温できるようなものを敷いてください。
 新聞紙は空気の層を作る必要がありますので、できれば一日分をお尻の大きさに合わせてたたみ、その上に座るようにしてください。週刊誌や雑誌でも厚手のものであれば同じ効果が期待できます。

4.身体の熱の逃げる部位を覆う

 身体からは思っている以上に熱が逃げています。2で風を遮蔽しているはずですが、熱を逃がさないために身体の周囲に空気の層を作るようにします。エマージェンシーシートやビニールシートといった風を通さない素材で身体を覆うようにします。頭や顔からも案外と熱が逃げますので、理想は包まって目だけ出ている状態です。

5.熱を作る

 保温に成功しても、身体のエネルギーが不足すると熱を作り出すことができなくなります。そうならないように、チョコレートやようかんといったすぐエネルギーに変わる糖類を摂取して体内から熱を作り出せるようにします。

 ちなみに、1から4までを空間として作ると路上生活者の人が作っている段ボールハウスになります。断熱・保温・居住性の点で非常に有効なものを作っているなと感じており、その構造は避難所内外のシェルターとしても使えると思っていますので、もしも観察する機会があればどのようにして作っているのかを見てみてください。