熱中症対策で摂る飲み物あれこれ

 熱中症対策と言うことで、毎年夏はさまざまな飲み物が飲むべきとか飲まない方がいいとか言われ、同じ飲み物でも評価が分かれることがあります。
 もうそろそろ夏も終わると思いたいのですが、今回は熱中症対策で誰がどんな飲み物を飲むべきなのかと言うことについて考えてみたいと思います。

1.スポーツドリンク

 ポカリスエットやアクエリアスと言ったスポーツドリンクは、熱中症対策としてまずあげられる飲み物ですが飲むべきという人と飲むなと言う人がいる飲み物でもあります。
 浸透圧が調整されているため体に吸収されやすく、水分だけで無く他に体に必要な塩分や糖分といったものも入っているので熱中症対策としては一番手近で一番飲みやすい飲み物です。
 問題になっているのは、その糖分です。元々スポーツドリンクですので、運動している人に必要とされる糖分がしっかりと入っています。そのため、体を動かさない人が多量に飲むと、糖分の過剰摂取が起こってしまうのです。
 糖分の過剰摂取が起きると吐き気や腹痛、意識がもうろうとしたりするペットボトル症候群になるのですが、これを熱中症の症状と勘違いしてさらにスポーツドリンクをがぶ飲みし、救急搬送されてしまったケースもあるようですので、炎天下で大汗を流して仕事をする方や走り回っている人には向いていますが、屋内の冷房の効いたところで飲む場合には、あまり向いているとは言えません。

2.経口補水液

 割と最近登場したスポーツドリンクよりも糖分を押さえ、ナトリウム分などの電解質が強化された飲み物です。
 元々下痢や嘔吐、発熱と言った病気に伴う脱水症状に対して使われているため医師の指導の下で使用するようになっている製品もありますが、そうでないものもあってちょっとややこしいです。
 医療用のものがあるくらいなので、正しく使えば非常に効果的。ポイントはちょっとずつ定期的に飲むことです。
 最も、経口補水液を口にしたときにこれがおいしく感じる状態であれば、軽度の自覚の無い脱水症状を起こしていることが考えられますので多めに飲むことをお勧めします。
 スポーツドリンクとは逆に、炎天下で激しい活動をしている人には糖分が不足しているので向きませんが、屋内の冷房の効いたところでの水分補給には非常に向いた飲み物です。
 市販品も多いですが、「水・1リットル、砂糖・40g、塩・3gを合わせてかき混ぜる」と経口補水液を手作りすることもできます。

3.麦茶

 夏場の飲み物の代表格というとこの麦茶です。割と最近までは「麦湯」と呼ばれていて夏場の滋養によいと飲まれていました。麦茶の原料は大麦で、体温を下げる働きがあることが知られています。
 塩分以外のミネラル分が豊富ですが、塩分と糖分が不足しており、今はどうかわかりませんが、30年前の運動部などではこの麦茶に塩をひとつまみ加えたものが定番アイテムとなっており、糖分を補うためにはレモンや梅干しのハチミツ漬けがよく出てきていました。
 安価で飲み過ぎても体調を崩さずに済むという点では安心して飲むことができ、誰でも安心して利用することが可能です。

4.水

水分のみ補充することができます。安心して飲むことができますが、飲み過ぎると下痢したりします。塩分やミネラル分、糖分といったものを何らかの形で補う必要がありそうですが、塩分飴などが摂取できれば、水で充分という考え方もできます。

5.ビール、コーヒー、紅茶、日本茶

 これらの飲み物は脱水症状を助長します。ビールはアルコール、コーヒー等はカフェインに利水作用がありますので、いくら飲んでも脱水症状がひどくなるだけです。よく「最初の一杯をおいしくするために汗をかいて水分は摂らない」という飲んべえの猛者がいらっしゃいますが、下手するとビールにありつく前に倒れますし、ビールを飲んでも体の脱水症状を助長するだけですのでお勧めはしません。

6.清涼飲料水

 さまざまなものが発売されていますが、いずれも糖分過多です。飲み過ぎるとペットボトル症候群になる確率が高いですし、乾きが満たされることもありませんので、熱中症対策としてはお勧めできません。ただ、水気のものがとりにくいときに自分が好きな味のものを飲むことで脱水症状を遅らせることはできるかもしれません。

7.甘酒

塩分を始めとするミネラルや糖分を効率よく摂取することができ、飲む点滴という方もいます。ただし水分の補給にはなりませんので、別途何か水分の取れる飲み物が必要です。

以上、いろいろと書きましたがそれぞれの飲み物の得手不得手があると思います。
一種類に固執するのではなく、いろいろな飲み物を組み合わせて上手に脱水症状を回避するようにしたいものです。
そして、調べられる範囲では調べていますが、ここに書いたのはあくまでも私見ですので、書いてある内容は鵜呑みにせず、裏付けを確認した上で自己責任で摂取してくださるようにお願いいたします。

熱中症対策を考える

 全国的に梅雨明けした途端、気温が軒並み30度越えという暑さに見舞われていますが、あなたの体調管理は大丈夫ですか?
 急激な暑さのためか、熱中症で緊急搬送されている人が多いようですので、今回は熱中症対策について考えてみたいと思います。

1.熱中症ってなんだろう?

 熱中症は気温や湿度が高い環境にいることで発生します。
 原因は体内の水分や塩分などのバランスが崩れて体温調節機能が働かなくなり、熱が排出できなくなることによって起きるもので、体温の上昇やめまい、体のだるさ、ひどくなると意識障害や失神、けいれん、吐き気などさまざまな症状が起きます。
 炎天下にいなければならないと思われがちですが、家の中であっても室温や湿度が高い状態が続いていると熱中症になる場合がありますので注意が必要です。

2.対策は?

 とにかく無理をしないこと。寝不足や疲労があると危険です。
 また、室温や湿度がコントロールされていれば、熱中症を発症する確率は殆どありませんので、なるべく28度以下の涼しいところに身を置くようにしましょう。
 そして、意識的に水分と塩分をとることも大切です。このときに気をつけないといけないのは、スポーツドリンクを飲み過ぎないことです。スポーツドリンクは運動で消費したカロリー補充の目的もあって糖分が大量に含まれています。そのため、飲み過ぎると糖分過多によるめまいや吐き気、意識障害が起きることがあります。飲むのであれば、スポーツドリンクでは無く、経口補水液や塩を少し加えた麦茶などをお勧めします。

3.熱中症かなと思ったら

熱中症の分類と対処方法は次のとおりです。

 会話の受け答えがおかしくなったり、けいれんや運動障害、体が熱いなどの異常がある場合には、涼しいところに移動させて冷やしながら、大至急救急車を要請するようにしましょう。
子どもや高齢者などは体温調整機能が未熟だったり反応が落ちてきたりしているので、自覚の無いままに熱中症になっていることがあります。気温や湿度が高い状況の時には特に意識して気をつけるようにしてください。

なお、今回の記事は総務省消防庁の作成したパンフレット「熱中症を予防して元気な夏を!」を参考にしております。わかりやすく書かれていますので、ぜひご覧になり、熱中症にならない対策を行ってください。

避難後の温度対策

 避難した先に冷暖房があればいいのですが、体育館のような場所だと大抵の場合は冷暖房の装置がありません。
 また、災害のときに何らかの形でエネルギーが途絶えてしまえば、機械のスイッチを入れることができませんから避難所は外の環境と同じような状態になります。
 そうすると暑かったり寒かったりして体調を崩してしまう人が出てくるのですが、なかなか対策がうまく見つからないものです。
 実はこの温度管理に重要なのが「風」。
 寒いときには風を遮断し、熱いときには風を通す。それだけで環境の快適さがずいぶんと変わります。
 寒いときには風を遮断して体の周りに空気の層を作り出すこと。それだけで充分に暖かく過ごすことができます。よく防災グッズに入っている銀色のエマージェンシーシートは、なるべく体に巻き付けて体の周りにある空気を逃がさないようにするためのもので、エマージェンシーシートを身につけたからといっても体の周りに動かない空気の層ができなければただ寒いだけでちっとも暖かくはなりません。体を温めるための熱は体温であり、エマージェンシーシートが暖かくなるわけではないことに注意が必要なのです。
 また、夏場の暑いときには建物の中を風が抜けるようにします。窓を開け放ち、風の通り道を確保することで、居住環境がずいぶんと変わります。
 この場合は、例えば外の温度の方が低ければ建物内部から外に向けて扇風機を回すと内部の熱を追い出すことができますし、逆に中の方が涼しいのであれば、建物内部で扇風機を回すようにするとそれなりに快適な空間を確保できます。
 避難所で体調を崩す理由の一つが、この温度管理にありますので、なるべく快適な環境を作り出せるように、「風」を意識して準備をしておきたいものですね。

地震の時のポーズあれこれ

 「地震が起きたらダンゴムシ」というのは結構有名になってきた地震のときの姿勢ではないでしょうか。

机の下でダンゴムシ
ダンゴムシのポーズは体の重要な部分の防護と転倒防止のためにするものです。

 うずくまって両手で頭と首を守るこの格好は、落下物から重要な部分を守り、その上で転倒をしないという意味で非常に理にかなっていると思います。
 また、学校の教室などでは、机の下に潜って両手で机を支える「アライグマのポーズ」というのもありますが、これは使っている机によっては逆に怪我をしてしまったりすることもありますので注意が必要です。
 これらの姿勢を取る練習としてよく「シェイクアウト訓練」というような言い方をしますが、そもそもなぜこのような姿勢を取る必要があるのかを考えたことがありますか?
 第一には頭を護ること。判断し行動するためには正常な判断が下せる状況であることが大切ですから、これは必須です。
 次に、怪我をしないこと。特に地震の際には転倒による怪我がよく起きます。ちょっと大きな地震が起きると、転倒による骨折で救急搬送というニュースが必ずといっていいくらい流れますが、これを防ぐには転倒しないようにすることしかありません。なるべく重心を低くして転がりにくくすることが大事です。
 例えばよく転倒事故の起きる階段では、揺れ始めたらその場でしゃがみ、あれば手すりをしっかりと持つ。これだけで転倒する可能性はずいぶんと低くなります。
 また、地震への対応策として「地震が起きたら外へ逃げろ」というのがありますが、揺れているときにはまず移動できませんし、無理矢理に移動することはかなりの危険を伴う行動です。耐震補強され、転倒防止、落下防止対策がきちんとされているところであれば、自分が転がらないような姿勢を保てさえすれば、怪我をすることはないと思います。
 ところで、先日ちょっと考えさせられることがありました。
 外での避難でもダンゴムシのポーズを取りなさいという内容の本だったのですが、地震が起きると、砂やほこりが宙を舞います。建物の中であれば問題ないと思いますが、校庭や公園などの土の地面が露出している場所だと、揺れてる最中に砂煙が起こります。そんな状態の時にダンゴムシのポーズを取っていたら、目や口に砂やほころが入り込んで体にダメージを受けてしまいます。
 ダンゴムシのポーズは「落下物対策」と「転倒防止」のためのものです。もしも外にいて上や周囲からものが落ちたり飛んできたりしないのであれば「落下物対策」は必要ありません。そうすると「転倒防止」だけに集中すればいいわけですから、仰向けの大の字で寝たり、両足を拡げて腕をつき状態を支えるような格好で転がることを防げれば充分だということになります。
 非常時、場所によってポーズを変えるのは大変だからということで、学校や保育所、幼稚園などの教育施設では一元的に「地震が起きたらダンゴムシ」と教えることは大切だと思いますが、それによって体を痛めてしまっては何にもなりません。なぜその格好をするのかを考える必要があると思います。

メタボパンダのポーズ。大の字に寝転がるのでも大丈夫だと考えていますが、背中を浮かせている方が揺れで受けるダメージは小さい気がします。

 当研究所では、外での転倒防止の格好は「足を大の字に拡げて上体は起こし、両腕は地面を支える」のが一番良いのでは無いかと考えています。これを「メタボパンダのポーズ」と呼んでいるのですが、あなたならどんな名前を付けますか?

災害後は子どもが過ごせる場所を作っておく

子どもの笑顔が復旧の第一歩のような気がします。

 災害が起きて社会的なインフラが動かなくなると、まっさきに困るのが子ども達の扱いです。
 通常は保育園、幼稚園や学校などに行っている子ども達は、それらの施設が被災したり避難所になったりすると日中の行き場が無くなってしまいます。
 そうなると、子ども達の面倒を見るために親がついていなければいけないことになり、そのぶんの人手が不足して復旧が進まないという事態が起こります。
 ちょっと前に「避難所では使っては行けない場所を決めておく」ということを書きましたが、例えば学校などが避難所になった場合には、子ども達が日中過ごすための場所もあらかじめ確保しておく必要があると思います。
 子ども達は退屈すると大騒ぎを始めます。その声や音が、避難で殺気立っている大人の神経を逆なでして大喧嘩になることも、過去にはさまざまな避難所で起きていた問題です。せめて日中だけでも両者を切り離すことで、お互いが安心した時間を過ごせるのでは無いでしょうか。
 また、子ども達だけでは何が起きるかわかりません。手の空いている大人達が子ども達を見守ることで、復旧に当たらなければいけない人たちがそちらの仕事に向かうことができるようになります。
 そういう視点で見ると、保育園や幼稚園、学童保育などの再開というのはかなり優先度の高い復旧対象になるのではないかと思います。
 子ども達が可能な限り早く普段の生活に近い状態に環境を整えていければ、自然と大人達も普段の生活に近い生活リズムを取り戻すことができるようになるのではないかと考えるのですが、あなたはどう考えますか?

保育園の避難訓練に参加しました

 2019年5月30日に益田市のすみれ保育園様が実施されました地震及び津波による避難所までの避難訓練に参加させていただきました。

避難所までの避難訓練では避難経路の中に崩れたり倒れたりするものがないか確認しておくことも必要になってくる。

 今回の訓練では、地震により津波警報が発令されたという想定で保育園から近隣の避難所である益田東中学校まで実際に避難するということで、当研究所はその避難訓練の内容を見させていただき、後日具体的なアドバイスをさせていただく立場での参加です。
 訓練は午前10時に始まり、避難完了が10時25分。地震で動けない時間が3分程度ありましたから、幼児の足で1km弱の道のりを20分強で移動完了したのはかなり素早い避難だったのではないかと思います。
 今回の訓練に当たっては、ガラスでできた階段下の防煙板が落ちて散乱している想定を当日サプライズで作成させてもらい、床に卵パックやペットボトルの蓋を撒いてブルーシートで覆ってみました。

ブルーシートの上側にはガラス製の防煙板がある。もしも床に何かが散らかっていた場合には、お昼寝用の布団を上にかぶせて移動するようにとアドバイスを行った。

 ですが、廊下を覆うブルーシートにこそ躊躇したものの、子ども達は床のでこぼこやガラスを踏むようながしゃがしゃといった音はまったく気にならずに素早く移動をしていました。ちなみに避難訓練完了後に大きい子達に素足で踏んでみてもらいましたが、痛がる子よりも気持ちいいという子の方が多く、子ども達は足裏マッサージが必要な状況なのかと思わず笑ってしまいました。

道幅が狭く、軽自動車とすれ違うのがやっとというような場所もある。避難計画を立てる場合には、このような狭い道路や交差点で車をどうやり過ごすのかが鍵となる。

 今回、快晴で気温が高かったこともありどうなるかとも思いましたが、子ども達は避難所である益田東中学校までは一生懸命歩き、到着後にほっとした顔でそれぞれに持参した飲み物を飲んでいました。避難の際に水分を持って出られるというのは非常に重要な部分ですので、今後も継続してほしいなと思います。

園児と先生達が避難完了したところ。パニックも起きず、統制が取れた状態で避難が完了している。
毎月の避難訓練が子ども達にもきちんと浸透していることがわかる。

 毎回さまざまなことに気づかせていただけるこの避難訓練の見学、後日気づいた点やアドバイスを報告書で提出させていただいていますが、すみれ保育園様ではそのたびに避難訓練の内容をアップデートされ、正直なところ毎回驚かされています。

アドバイスによる変化の一例。避難所に避難する場合に保育園に掲げられる看板。道路からでも見えるように作られている。保護者へ避難先を知らせる表示をするようにアドバイスしたら、これが作られた。大きな紙に書いて窓に見えるように貼ればと思っていたが、こちらの方が時間が短縮できることを教えてもらった。

 この保育園では保育士様向けの研修会もさせていただいているのですが、その際にこちらの説明が足りない部分がいろいろとあることも、こういう訓練に参加させていたくおかげで気づかせていただきました。
 何事も無いのが一番ですが、万が一に備えて訓練をきちんとしておくことはとても大切です。そしてその訓練を第三者の目でチェックし、訓練参加者にフィードバックしていくことが大切なのかなと感じています。
 避難訓練の参加について許可いただきましたすみれ保育園の園長先生、理事長先生始め先生方、そして園児の皆様にお礼申し上げます。

虫対策を考える

 災害が発生した後、どこで過ごすにしても虫に悩まされることが多くなります。
 さまざまな腐ったものから発生するハエやその他の虫、あちこちに貯まった汚水から発生する蚊など、普段はあまり気にしないような虫がたくさん発生します。
 この対策として、虫除けや殺虫剤などを用意しておく必要があります。
 例えば避難所には網戸がないことが多いです。そして、特に夏場では熱がこもってしまうので窓を開けないと熱中症になる危険性があります。
 網戸のない窓からハエや蚊、その他の虫が避難所を飛び回ることによって、衛生環境や不快感が出て、そうでなくても先の見通しがはっきりしせずにいらいらしている避難者達をよりいっそういらいらさせてしまうことになります。
 対策としては、個人としては非常用持ち出し袋には虫除け薬及び虫刺されに効く薬を入れておくことが第一です。
 そして、避難所を準備・運営する側は蚊取り線香等の虫除け・虫取り・殺虫剤を準備しておくことを考えておいた方がいいでしょう。
 また、衛生環境を維持することからも消毒用の消石灰の準備をしておくとよりよいと思います。
 もちろん、避難所での生活において生ゴミなどから虫が発生しないような対策を行っておくことも大切です。
 災害後、なかなかそれまでの衛生環境を取り戻すことは時間がかかります。ですが、資材によってある程度防ぐことが可能な部分でもありますので、事前準備をしっかりとしておきましょう。

あなたが食べられるものを非常食にしよう

 当研究所でも「非常食を食べてみた」でぽちぽちと災害時の非常食について検証をしているところですが、災害が発生した後、自分が何を食べるのかについて考えたことがありますか?
 一昔前であれば「乾パン」、最近なら「アルファ米」や「レトルト米」が上げられるでしょうか。保存食としてある程度の期間保存が利くものが上げられるのではないかと思います。
 準備していないのは論外ですが、準備している人でも「実は食べたことがない」という人も多いように感じます。
 災害時には、最初は気が高ぶっていますからなかなかお腹も空きませんが、かといって何も食べないというわけにもいきません。
 いざ食事をしようとしたときに、持ち出し袋の中に入っていた非常食が食べられなかったとしたら?
 実際にあった例では、入れ歯の避難者の方が非常食として持っていた乾パンが食べられずに難儀をしたというのがあります。
 今の乾パンは、以前のものに比べると随分と食べやすくはなっていますが、堅いことには変わりありません。我が家の小さな研究員達はぼりぼりと食べていましたが、歯の悪い人がこれを食べられるかと考えると「無理」という答えになりました。
 細かくすりつぶして水でも加えれば、それでも食べることが可能になるかもしれませんが、そのままの形では水を吸わないのが乾パンという食べ物なので、年寄り向けであればビスケットの方が向いているねという結論になりました。
 また、温めが必要な食べ物を用意することも多いと思いますが、避難所では火気厳禁が徹底されていますので、火以外でそれを温める手段、例えばヒートパックやカイロなどといった火を使わずに温める道具を準備しておく必要があるでしょう。
 とにかく、一度でいいからそれを食べてみること。食べてみることで、どういう風にしたら自分が食べやすいのかを考えることができます。
 我が家の場合、例えばアルファ米の変わりご飯なら白飯と半分ずつ混ぜれば好みの味になるということがわかっていますからそういう風な準備をしています。
 災害という非常事態であっても、できれば普段の食事に近いものを食べられるような準備をしておいた方が元気が保てます。
 そのためには、普段から「自分が食べられるもの」で「自分の好みに合ったスタイル」を研究しておいたほうがいいでしょう。
 ちなみに、災害時に何も備えがない場合には、政府や自治体などの行政からの支援に頼ることになりますが、この場合、3日目から5日めに配給される乾パン二個などという哀れな食事になる可能性があります。また、アレルギーなどには配慮されない配布方法が殆どですので、アレルギーを持っている人ほど自分の食べられるものを用意しておく必要があるのです。
 ともあれ、気力と体力を維持するためにも、自分がおいしいと思う非常食を準備しておく必要があると思います。

要支援者と域外避難

 災害が発生すると、国の計画では発生後3日以内に必要と思われる物資を被災地に送り込むことになっています。
 この物資は命をつなぐためのものが最優先であるため、主に食料と水が中心となります。
 それから日用品に移行していきますが、全ての人が必要としない物資についてはどうしても遅れてしまう、または届かないという特性があります。
 たとえば、大人用おむつや乳児用ミルク、生理用品、アレルギー対応食などがこれに該当し、必要とする人の数が少なければ少ないほど支援物資として届く優先順位は下がります。
 これは医療現場でも同じで一般的でない病気や資機材のいる病気などへの対応はやはり遅くなってしまいます。
 東日本大震災では酸素吸入や透析が必要な方への手配が問題となりました。
 さまざまな理由で特殊な資機材や物資の支援が必要な人、つまり要支援者が一定数存在することを考えると、災害時には被災地以外の場所へ一度待避してしまったほうが支援が受けやすいのではないかと思います。
 受け入れの問題もありますが、都道府県や市町村といった行政機関や病院でお互いに受け入れ体制を作り輸送手段の確保さえすれば、要支援者への対応を被災地で考える必要がなくなり安全性も増すのではないでしょうか。
 復旧や復興にどれくらいかかるのか、いつ地元へ戻れるのかがわからない不安はありますが、資機材不足、物資不足による命の危険と併せて考える必要があると思います。
 行政機関同士では対口支援(たいこうしえん)と呼ばれる行政職員の相互支援協定が作られて、平成30年の西日本豪雨でも活用されました。
 行政職員を被災地へ送り込む制度ができるのですから、要支援者を被災地外へ搬出する制度もできるのではないか。
 いろいろと問題はあると思いますが、検討しておく重要なことの一つではないかなと考えます。

はちみつの注意点

空港ハチミツと乾パン
乾パンとスティックはちみつ。種類はいろいろあるが、これは好みな組み合わせ。

災害用の非常食として、乾パン&はちみつというのは割と有名なようです。
おなかに貯まるけれどパサパサしている乾パンにしっとりとして栄養素の高いはちみつを塗って食べるのは、非常食としてだけではなく普段のおやつとしても結構おいしいものです。
ただ、はちみつを食べるにあたってはいくつかの注意点がありますので、今回はそれに触れてみたいと思います。

1.乳幼児には与えない

いくら栄養素が高いからと言っても、乳幼児にあげるのは御法度です。
はちみつにはごくまれですがボツリヌス菌が含まれていることがあり、乳幼児に与えると乳児ボツリヌス症を発症することがあります。
これは消化器官が未熟なことにより起きる中毒ですが、死ぬこともありますので1歳未満の乳幼児、1歳以上であっても消化器官の発達が未熟な幼児には与えないようにしてください。
ちなみに、妊娠中や授乳中の母体には影響がありませんので安心してください。

2.アレルギーに気をつける

はちみつは、みつばちが集めてくる花の蜜です。
はちみつの原材料欄を見てもらうと「はちみつ(国産)」などと書かれているものがあると思います。
ここに表示がない場合や「百花」と書かれているものは「いろんな花」という意味ですが、これらの場合には、採取する場所や花によっては「そば」「りんご」などアレルギーを持っている人がいる花から集められたはちみつもあります。
この場合、そのはちみつによってアレルギーが出る可能性があることを知っておいてください。
自分のアレルギーがどの程度のものなのかについては、事前にお医者様に確認をしておいたほうがいいと思われます。

3.食べ過ぎないこと

はちみつは非常に甘くカロリーも高く消化もかなりいいものです。100gあたり300kcalあり、体内に入るとすぐに吸収されてエネルギーに代わります。
必要以上に食べると、エネルギーが中性脂肪になってしまい体内に蓄積されてしまいますので、おいしいからといってひたすら食べ続けることのないようにしたいものです。
また、食べ過ぎると人によってはお腹が緩くなって下痢を起こす場合もあります。災害時に万が一トイレが使えない状況の中で下痢になったら・・・。
考えたくない事態が起きるのを防ぐためにも、食べるのはほどほどにしておきましょう。

繰り返しになりますが、はちみつは栄養素が高く乾パンやクラッカーといった非常食に大変よく合うものです。
その上、賞味期限も長いですから、あれば重宝することは間違いありません。
非常食の一つとして、スティックタイプのはちみつを加えておくと安心ですね。
個人的には、災害食認定を取っている地元の空港はちみつのスティックタイプがおすすめです。なかなかお目にかかることはないのが残念ですが。