触覚・味覚に注意する

 乳幼児のことで、災害時にどのようなものを避難用のアイテムとして用意しておけばよいのかというご質問をいただくことがあります。
 そのときにご説明することの一つに、できるだけ「普段使っているものを使い続ける」というものがあります。
 乳幼児は触覚や味覚が敏感です。
 そのため、できるだけ普段食べたり飲んだりしているものを摂取できるようにすること、そして食べたり飲んだりする道具も普段とできるだけ違わないものを準備することが重要になります。
 例えば、母乳ではなくミルクを飲んでいる子どもさんは、できるだけ普段と同じミルク、普段と同じ哺乳瓶で飲ませるようにすると、不安の中でもある程度落ち着いてくれます。
 母乳であれば、無理にミルクに変えずに出なくても母乳を与えてください。一時的に止まることはあっても、焦らなければ必ずまた出ます。
 幼児であれば直接口にする箸やスプーン、フォークなどはいつもと同じものを使いましょう。それだけのことですが、不安な中でも食事をしてくれることが多いです。
 離乳食期の子どもさんの場合には、できるだけ普段と同じものを食べてもらうようにします。普段お手製のものを食べなれている子は、もし作れる環境にあるのならば作ってあげてください。難しければ、市販品を与えることになりますが、市販品はメーカーによって同じ品名でもかなり味が異なります。
 お手製のものを食べるだけでなく、たまに市販品を混ぜて食べさせることで、その子の志向がわかりますので、そのメーカーのものを準備しておくとお子さんも食べやすいと思います。
 乳幼児では、もっとも不安になってしまうのが普段と異なる食事ですから、できる限り普段と同じ食事を取れるように意識して準備をしておくようにしてください。
 自分の子どもが騒がない、泣かないだけでも親のストレスは随分と減ります。
 ちなみに、同じことは大人にも言えます。
 アルファ化米やフリーズドライ味噌汁など、平時にたまに試しておいて、自分の好みの味を見つけて準備しておくと、少なくとも食でのストレスは相当減ります。
 食べなれたもの、飲みなれたもの、使い慣れた道具は、それだけで人に安心を与えてくれます。そのあたりを意識して準備しておくようにしておいてくださいね。