非常食を使う羽目になった

 本日は当研究所の川遊びの日でした。
 いつもの川のいつも遊ぶ場所に到着し、一同で思い切り遊んだ後で昼食となりましたが、ここで驚くべき事実が発覚。
 なんと、本日の昼食の主食である食パンを忘れてきてしまったのです。
 クーラーボックスに入っていたのはパンに挟むためのハムや卵サラダ、ポテトサラダ、チーズで、これではとてもお腹がいっぱいにはなりません。
 とはいえ、周囲10km圏内には食料品店は無く、非常用持ち出し袋や非常用備蓄品も持ってきてはいませんので、お腹の足しになるものは殆ど無い状態です。
 急遽非常用にと車に積んでいた、先日買ったフリーズドライのあんこ餅&黒みつきなこ餅の出動となりました。

あんこ餅と黒みつきなこ餅。「IZAMESHI」ブランドの高級品ではある。

 どちらも一袋ずつなのでお餅の数は正味12個。
 今回の参加者は6人でしたので、一人2個は食べられる計算になります。
 さっそく、あんこ餅の方を開けてみました。
中には乾燥餅が6個、あんこの元1袋、戻す用の水(40g)一袋、そして割り箸が入っていました。

 戻すための水が入っていないものが多いので、こんな風にオールインワンになっていると、いざというときに助かりますね。
 餅を戻すため、レトルトパウチの袋を破って中の水を加えます。

 水を注ぎながら餅の説明書を見ると「片側のトレーに添付のあん顆粒に水を小さじ一杯分(約5cc)を注いでよく混ぜてあんこを作ります」と書かれています。

裏には作り方が丁寧に書かれています。ろくに読みもしないで作ったのが間違いの元でした。


「もしかして作り方間違えた?」
 はいえ、もう作り出してますので修正も難しいです。結局、もちはそのまま戻し、戻した水のあまりを使って餡をこねることにしました。

簡単お汁粉の素に餅をまぶすような状態になりました。水が多すぎたのが敗因です。

 できあがったのは「かなり薄いあんこ」。「あんこ餅」というよりも「冷たい、小豆の入ってないぜんざい」を餅にまぶして食べるような感じでしたが、空腹は最大の調理人。皆さんご機嫌で食べることができました。

次は黒みつきなこ餅です。こちらも封を開けるとあんころ餅と同じように、フリーズドライの餅とそれを戻すための水がついています。そして、黒みつときなこの袋。

 こちらは水で普通に餅を戻し、トレーから水を切って黒みつときなこを振りかけます。この場合、黒みつが先なのかきなこが先なのかはかなり深刻な議論がされるところですが、お腹が減っているときには関係ないので適当に作って一同に配り、これまたご機嫌で胃袋に収まってくれました。
 このお餅のおかげか、午後からも元気に川遊びをすることができ、なんとか無事に終了することができました。
 今回は、まさかこのような事態になってしまうとは思っていなかったので「非常用持ち出し袋」を持ってきておらず、また非常用備蓄品として準備してあるアルファ米やその他非常食もまったく使えなかったわけですが、災害もたぶんこんな感じで予測していないときに来るのだろうなと思い、普段から持ち歩くものについてもう一度考え直す必要があるなと深く反省しました。
 あなたはこんな経験、ありませんか?

日常の中のローリングストック

 夏になるといろんな食べ物の傷みが早くなり、弁当の作り方や野菜などの保管に頭を悩ませることにになります。
 防災の中では食材をローリングストックして数日分は保存できるようにしましょうということがよく言われていますが、冷蔵庫や冷凍庫に頼りきりだと、停電の時に食材が全滅してしまうこともありえます。常温で安全に保管できて手をちょっと加えると食べられるものがあれば、それをストックしておくのも手です。今回はわが家でのローリングストックの一部をご紹介します。
 例えば、常温保存が可能なロングライフ牛乳というのがあります。紙パックの内張にアルミが使ってあり牛乳を長期保存できるようになっているのですが、学童保育に出かけているうちの子はこのロングライフ牛乳を持っていくことがあります。
 一般的に、牛乳は夏場に常温保存をすると確実に腐りますが、長期保存が目的のロングライフ牛乳であれば開封しない限りは常温保存ができますので、学童保育の時のお昼ご飯で持参したロングライフ牛乳をそのまま安心して飲むことができるのです。冷やした方がおいしいのは間違いありませんが、常温のロングライフ牛乳もさほど味は悪くないらしく、特に文句も言わずに持って行っています。
 こうすることで、ロングライフ牛乳を定期的に更新することができますし、こどももその味に慣れているためいざというときに違和感なく飲むこともできます。
 他には、糸こんにゃくがあります。売り場では冷蔵保存の場所にありますが、裏面の保存方法を見てみると「直射日光を避け、常温で保存」と書かれていることが多いですので、普通に常温で保存することが可能です。
 これを定期的に使って更新していくと、いざというときの大切な食物繊維として活用することが可能です。
 日々の生活の中で普段使いしているものはどのような保管方法なのか、それを確認してみると非常食をたくさん用意しなくてもなんとかなりそうだという気になってくるから不思議です。
 自分の生活で食べたり飲んだりしているものを上手にやりくりすれば、さほどお金をかけなくてもしっかりとしたローリングストックができるのではないかと思います。

防災はネガティブ?

 「防災活動やってます」と言うと、それを聞いた方は大概の場合「それはすごいですね」といって微妙な笑いを浮かべられる場合が多いです。
 その次にはその微妙な笑顔のまま、「必要ですよね」「大切なことですよね」と言われて終了ということが殆どです。
 受ける雰囲気としては「必要だけどやりたくないこと」「大事だとは思うけれど、自分にはできない」「自分には関係ない」という感じでしょうか。
 本当は「防災」=「災いと害を防ぐ」ということなので、そんな大上段に構えるものでは無く、日々の生活の中で怪我をせずに楽しく生活をする、そのために怪我をしないための対策をすることではないかと思っています。
 例えば、「廊下にこぼれていた水を拭く」という作業も防災の一つです。もし廊下にこぼれていた水がそのままで、だれかが足を滑らせて転んでしまえば「災害」が起きてしまうからです。
 横断歩道を渡る前に左右を確認するのは、車が来ていないかを確認する作業です。なぜそれをするのかといえば、自分が車にはねられてしまうと言う災害を防ぐためで、これもまた防災の一つです。
 そう考えると、防災というのは日々の生活の中で自然にやっていることなのではないでしょうか。
 ただ、それに「防災」という名前がつくと、途端に面倒くさいものに変わります。備えていてもそれを使わないかもしれないし、いつ起きるか分からないものに備えるのも面倒くさい。
 そうなると、防災というのは考えたくない、見たくない、知りたくないものになってしまいます。
 実際にやってみると結構面白いことが多いのですが、その面白さを伝えることがうまくいかないのがもどかしい。
 当研究所のキャッチフレーズも「命を守る、命を繋ぐ」ですが、これも多くの人は「防災だからなぁ」とどこか構えてしまうのかなとも思っています。
 始めたばかりで細々と活動をしている当研究所ですが、防災のネガティブイメージをポジティブにできたらいいなと考えながら、日々の活動をしています。

気になる看板を調べてみた

本来は「益田県土整備事務所」の下に電話連絡先が記載されているが、ここでは割愛した。

 ちょっと前から道路を走っていて気になったのがこの看板。
 土砂崩れマークがついていて、なにやら記号と連絡先が記載されており、連絡先には島根県の道路管理部門の電話番号が記載されています。
 数年前に起きた大規模な土砂崩れの後で、広島県の県管理区間に据えられた危険度を示す看板と同じなのかと思ったのですが、それにしてはサイズも小さいし、向いている方向もまちまちで、ドライバーに注意を促しているようにも見えません。

国道191号線の三段峡分岐の広島側のところにかなり大きく表示されているのがこの看板。
連絡先はやっぱり割愛。

 なんだかよくわからなかったので、道路管理者である県土整備事務所に聞いてみました。
 その回答によると、この看板は利用者に対するものでは無く、管理者が落石の警戒区域を目で分かるようにつけている目印なのだそうです。
 確かに「起点」「終点」とかかれた看板が立っているので、その看板の間が落石の警戒区域なのでしょう。
 広島のように危険度を大々的に知らせるものでは無いが、落石の起きやすい区域ではあるので通行には十分注意してくださいとのことでした。
 答えが分かってみると大したことのない話だったのですが、改めて意識してみると、石の落ちやすい場所というのはたくさんあるんだなとわかります。
 道路を走行するときにこれらの看板を見かけたら、石が落ちてるかもしれないということに気をつけて運転した方がよさそうですね。

活断層を見てみよう・浜田沖他海中断層

 ずいぶんと前に弥栄断層についてご紹介したことがありますが、島根県の作成した「地震・津波被害調査報告書(概要版)」では、海の中にある海中断層についても触れられています。今回はその海の中にあるとされる活断層をいくつかご紹介できればと思います。

波子海水浴場から浜田市の沖合を望む。

 まずは浜田沿岸にある活断層から。ここは過去の地震の記録から地震が起こりうる場所として設定されています。
 さて、この活断層が動いた場合にどうなるのかというと、想定ではマグニチュード7.3、震度6強となっています。 

国府海水浴場から沖合を望む。

 次に浜田沖合断層。この地震は発生するとマグニチュード7.3が推定されています。ここの設定は1872年に起きた浜田地震の震央部で再び起きるものとして想定されています。浜田地震における推定マグニチュードは7.1。最大震度は、気象庁の公開情報では不明となっていますが、震度7程度ではなかったかという資料があります。
 割と最近の地震ですのでさまざまな記録が残っていますが、海岸が隆起して畳ヶ浦の誕生と小規模な津波の発生はあったようです。
 なお、この畳ヶ浦は浜田の観光地の一つで、非常に面白い地形をしていますので一度見学に訪れてはいかがでしょうか?

また、海で起こる津波の到達時間は益田市土田漁港に到達するまでが22分、最高水位が1.22mとなっています。

 この他にかなり大きな断層として島根西方沖合(F57)断層が確認されていて、ここが動くとマグニチュード7.5、震度6弱、津波は益田市土田漁港に到達するまで47分、最高水位が3.48mと予測されています。
 いずれにしても海底活断層が動いた場合にはもれなく津波もついてきますので、震源が海底である場合には速やかに高台に避難することが大切です。

 なお、詳しい情報が知りたい方は、「島根県・地震被害想定調査報告書」のウェブページをリンクしておきますのでご一読ください。

熱中症対策を考える

 全国的に梅雨明けした途端、気温が軒並み30度越えという暑さに見舞われていますが、あなたの体調管理は大丈夫ですか?
 急激な暑さのためか、熱中症で緊急搬送されている人が多いようですので、今回は熱中症対策について考えてみたいと思います。

1.熱中症ってなんだろう?

 熱中症は気温や湿度が高い環境にいることで発生します。
 原因は体内の水分や塩分などのバランスが崩れて体温調節機能が働かなくなり、熱が排出できなくなることによって起きるもので、体温の上昇やめまい、体のだるさ、ひどくなると意識障害や失神、けいれん、吐き気などさまざまな症状が起きます。
 炎天下にいなければならないと思われがちですが、家の中であっても室温や湿度が高い状態が続いていると熱中症になる場合がありますので注意が必要です。

2.対策は?

 とにかく無理をしないこと。寝不足や疲労があると危険です。
 また、室温や湿度がコントロールされていれば、熱中症を発症する確率は殆どありませんので、なるべく28度以下の涼しいところに身を置くようにしましょう。
 そして、意識的に水分と塩分をとることも大切です。このときに気をつけないといけないのは、スポーツドリンクを飲み過ぎないことです。スポーツドリンクは運動で消費したカロリー補充の目的もあって糖分が大量に含まれています。そのため、飲み過ぎると糖分過多によるめまいや吐き気、意識障害が起きることがあります。飲むのであれば、スポーツドリンクでは無く、経口補水液や塩を少し加えた麦茶などをお勧めします。

3.熱中症かなと思ったら

熱中症の分類と対処方法は次のとおりです。

 会話の受け答えがおかしくなったり、けいれんや運動障害、体が熱いなどの異常がある場合には、涼しいところに移動させて冷やしながら、大至急救急車を要請するようにしましょう。
子どもや高齢者などは体温調整機能が未熟だったり反応が落ちてきたりしているので、自覚の無いままに熱中症になっていることがあります。気温や湿度が高い状況の時には特に意識して気をつけるようにしてください。

なお、今回の記事は総務省消防庁の作成したパンフレット「熱中症を予防して元気な夏を!」を参考にしております。わかりやすく書かれていますので、ぜひご覧になり、熱中症にならない対策を行ってください。

【活動報告】着衣水泳体験会を実施しました。

服を着てプールに入るのはやはり勝手が違うらしく、皆さん微妙に緊張した表情でした。

 去る7月28日午前10時から益田スイミング様で着衣水泳体験会を実施することができました。
 当日は久しぶりの良い天気にもかかわらず10名の方にご参加いただきましたことに感謝いたします。
 益田スイミング様の原田コーチと石川コーチにご指導いただき、柔軟体操の後はまずは浮き方から教わりました。

まずは浮く方法から。頭ではわかっていても、なかなか体は動きません。

 息を吸い込み、両腕を大きく拡げて体の力を抜いて浮く、ということだったのですが、試してみた所長はさっそく水没してしまいました。
 体に力が入っており、腰を中心に体が「く」の字に曲がっていたため浮力が足りず沈んでしまった、とのコーチの指摘。
 何度かやっているうちに、なんとか体を浮かせることができました。
 その後は、そのまま安全な場所へ泳いで移動するのですが、これまた力が入って沈没。久しぶりに水に入ったと言うこともあるのですが、やはりかなり勝手が違います。
 泳ぎ達者な参加者の皆様も、着衣だとかなり勝手が違うらしく四苦八苦。

なるべく顔をつけないで周りを見ながら泳ぐことが助かる秘訣です。

 水の中にいるときには服のおかげで浮力はできるのですが、服やズボンの生地がまとわりついて動きにくいのです。そして、水からあがると途端に服がまとわりついて重たくなります。
 着衣のままがいいのか、それともなるべく脱いだ方がいいのか、判断に迷う感じでした。
 その後は水に落ちてしまったときの安全な脱出方法についてレクチャーをしていただきました。
 落ちてしまったら、まずは周囲の確認。そしてなるべく体力を温存できる泳ぎ方で陸地を目指すということで、実際に事故を想定してプールサイドからプールへ落としてもらい、安全な場所まで泳ぐという体験をし、違いを確認すると言うことで靴とズボンを水中で脱いで泳いでみるという体験もしました。

危険は無いとはわかっていても、落ちる瞬間はやっぱりびっくりする。

 着衣水泳をしているときははっきりとわかりませんでしたが、靴とズボンを脱いだだけで格段に泳ぎやすくなり、それまで苦戦していた参加者の皆様もすいすいと泳いでいました。
 そして最後に救助の方法を教えていただきました。
 基本は溺れている人には近づかない。道具を使って救助すること、ということで、ペットボトルを遭難者に投げて浮かんでもらうという方法を教わりました。
 試しにペットボトルに水を少し入れて投げてみるのですが、なかなか上手に飛びません。これも経験が必要だなと感じました。
一番最後に、おまけとして水を一杯に満たした長靴を履いて歩くという体験をしていただきました。

思わぬ重たさによろけてしまう。長靴の重さは、水込みで片方2kg弱。

 今回の着衣水泳体験会では運動靴を履いてやりましたので、期せずして運動靴と長靴で水の中を歩いたらどうなるかを実体験していただくことができました。
 一番最初に履いた人はうまく歩けずによろけてしまいましたが、それを見ていた他の方は上手に歩いてみたり、中には水が入ったまま飛び跳ねる人がいたりと、普通では見られない体験ができました。
 体験された皆様からは「服を着たまま水に落ちたら、泳げると思っていてもけっこう難しい」「なるべく早く服を脱ぐほうが助かる可能性が高い」「泳げないけれど浮くことはできそうだ」「水害の避難の時には長靴より運動靴だね」「益田スイミングで体幹トレーニングしてるから水入り長靴のジャンプも余裕!」などといったご意見をいただき、賑やかに終了させていただくことができました。
 子どもさんは学校で着衣水泳をやる機会が増えていますが、大人の方はあまり体験する機会のない着衣水泳。私自身もそうでしたが、「知っている」ということと「体験している」ということはまったくの別次元の話だなとしみじみと感じました。
 なるべくたくさんの大人たちに体験していただきたいと思いますので、来年またできることを目指して頑張ります。
 今回の体験会の実施にあたって、ご参加いただきました皆様、そして開催に関して全面的にご協力いただきました益田スイミングの皆様に改めてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。また、今回の趣旨に賛同してご寄付いただきました皆様にも感謝いたします。収支報告につきましては、別途個別にご案内いたしますことをご了解ください。

カセットコンロの事故を防ぐ

 梅雨が明けて夏本番です。暑い中に行うBBQなどは非常に楽しいものですが、火の取り扱いには充分に気をつけていただきたいと思います。
 特にカセットコンロでの事故が増えるのもこの時期ですので、今回はカセットコンロの取り扱いについて確認してみたいと思っています。
 カセットコンロについては以前に触れたことがありますが、カセットボンベとコンロが一体となっていて非常に使い勝手の良い道具です。
 ただ、炭火を着火するのに使ったり、大きな鉄板や鍋、魚焼き器を使ったり、風を遮るために周囲を段ボールなどで遮風したりすると、セットされているカセットボンベが以上加熱を起こしてボンベが中のガスの膨張圧力に耐えきれなくなって爆発してしまうことがあります。
 また、カセットコンロでは使うカセットボンベが指定されています。これは指定外のカセットボンベの中には粗製濫造のものも混じっているためで、指定品であれば充分耐えられるはずのコンロの熱に耐えきれずに爆発したり、ガスの接続口からガスが漏れて爆発というケースもあるようです。
 実際のところは指定外のカセットボンベを使うこともあるかもしれませんが、その場合にもし事故が発生すると、カセットコンロとカセットボンベの製造メーカーは一切責任を取ってくれないと言うことは知っておいてください。
 というわけで、カセットコンロの事故が起きる多くの場合は次の3つが考えられます。

1.鉄板や鍋、魚焼き器などから起きる輻射熱によりカセットボンベが過熱して爆発するもの

2.炭火起こしや花火の着火など、本来の用途以外で利用し、カセットボンベが加熱して爆発するもの

3.メーカーの異なるカセットコンロとカセットボンベを利用したことによるもの

 夏場は日差しが強く気温も高くなるため、通常よりもより厳しい条件になると思います。
 ちょっと気をつければ防げるようなことばかりですので、楽しいひとときを過ごすためにも、カセットコンロの取り扱いには充分にご注意ください。

「なぜそうなるのか」の理屈も知っておこう

 とある防災関係の講座で聞いた講師さんのお話です。
 あるところで防災講座を頼まれたその講師さんは、受講者と一緒にツナ缶ローソクを作ってみようと考え、依頼先のスタッフに「ツナ缶を用意してください」とお願いをしました。
 本番当日。ツナ缶ローソクの作り方を実演して見せた講師さん、最後の点火の場面で、ツナ缶ローソクにいつまでも火がつかずに慌てふためく羽目に。
 ツナ缶をよく見たら「水煮缶」と書いてあり、講師さんも受講者も「水煮じゃ火はつかないね」と原因がわかって大笑いしたそうです。
 講師さんは「ノンオイルのツナ缶」があることを知らず、依頼先スタッフは「ツナ缶ならなんでもいいのね」と思って準備した、その勘違いがこんな結果を生んでしまいました。

ツナ缶各種。左が水煮缶。上がノンオイルタイプ。右側が油漬けされているもの。一口にツナ缶と言ってもいろいろある。

 ツナ缶ローソクがなぜ燃えるのかと言えば、中にあるサラダ油が燃えてくれるのであって、ツナそのものが燃えているわけではありません。
 当研究所でも以前ツナ缶ローソクを作ったことがありますが、オイルが燃え切った後のツナ缶はしっとり気味のツナがきれいに残っていて、ロウソク使用後はおいしくツナをいただくことができます。
 オイルが入っていればとりあえず燃えると言うことはわかれば、例えばオイルサーディンなどの油漬けの缶詰であればロウソクがわりに使えそうだということがわかります。
 また、芯と燃える液体があればとりあえずのロウソクができることがイメージできれば、牛脂やバターなどでもロウソクが作れると言うことがイメージできるのではないでしょうか?
 災害時にはあるものでなんとかしないといけません。そのため、なるべく生活の質を落とさないための工夫をする必要があるわけですが、こういったちょっとした知識があるだけで「ツナの水煮缶」で「火がつかない?!」と慌てなくて済むわけです。
 世の中では防災時に使えるさまざまな代用品の提案がなされています。それを鵜呑みにするのではなく、なぜその代用品が使えるのかまで考えれば、他のもので代用できるかもしれません。
 さまざまな防災のテクニックやお話を聞くこともあるかと思いますが、道具の話では「なぜそんな風に使うことができるのか?」まで目を向けて見ていくと、いざというときに役立つと思います。

お中元に非常食?

 先日、益田市内の贈答品のお店に出かけてちょっとびっくりしました。
 お中元で溢れる店内の中の一角に、ずらりとならんだ非常食の数々。
 お中元商品の一つとして、味がよく品質の高い非常食を送ってみませんかという提案のようでした。置かれていたのは一社の製品でしたので、ひょっとしたらメーカーさんからの提案なのかもしれませんが、非常食セットとして作られているわけでは無く、個別の商品をお好みに応じて組み立ててオリジナルのセットを作るシステムです。
 「お店からの提案」として作られていたセットでは、レトルトの非常食に缶詰一つ、そしてお酒とおちょこの組み合わせで、防災を意識しない「お中元」として成立しており、非常食を好きな組み合わせで箱詰めにしたものを大切な方へ送るというのは面白い発想だなと感心してしまいました。
 ここ最近、ずいぶんと非常食の品数も増え、味も普通のレトルトと同等以上に良くなっている非常食。お中元で送られたなら、防災意識のある人にとっては思わずにやりと笑ってしまうでしょうし、防災意識の無い人は、普通に賞味期限の長いレトルト食品として食べていただくことができると思います。
 大半のものは1年程度の賞味期限でしたが、ものによっては3年から5年といったものもあります。

思わず買ってしまった非常食。あんこ餅と黒みつきなこ餅で、賞味期限は3年くらいありそう。
このセットは戻すための水がついているのが秀逸。

 お中元を送る習慣のある方は、いつもの定番商品ももちろん喜ばれると思いますが、たまにはこういったものを送られても、目先が変わって面白いのかなと思いました。