防災はトップで決まる

 普通の仕事と違って、防災はマイナスの状態をできるだけ0に近づけるというあまり建設的にみられない仕事になります。
 そのため、多くの組織では「重要ではあるが優先度が低い」という状態に置かれていて、いざ災害になって大慌てすることが非常に多いです。
 特に中小企業や施設などでこの傾向が強いのですが、防災を確実に実施するためには、その組織のトップが防災についての意識付けをしっかりと持って「防災をやる」という意思を明確にし、しっかりとした指示を出す必要があります。
 組織の構成員がいくら防災が必要だと動いていても、トップにその気がなければ他の人がやろうという気になりません。
 逆に言えば、トップがやる気になれば防災は驚くくらい一気に進みます。
 自分の組織で死者やけが人を出さないため、そして事業をしっかりと続けるために、日常の仕事と同じか、あるいはそれ以上の必要性を意識して、組織の構成員の方に意識付けをしてほしいと思います。

防災はネガティブ?

 「防災活動やってます」と言うと、それを聞いた方は大概の場合「それはすごいですね」といって微妙な笑いを浮かべられる場合が多いです。
 その次にはその微妙な笑顔のまま、「必要ですよね」「大切なことですよね」と言われて終了ということが殆どです。
 受ける雰囲気としては「必要だけどやりたくないこと」「大事だとは思うけれど、自分にはできない」「自分には関係ない」という感じでしょうか。
 本当は「防災」=「災いと害を防ぐ」ということなので、そんな大上段に構えるものでは無く、日々の生活の中で怪我をせずに楽しく生活をする、そのために怪我をしないための対策をすることではないかと思っています。
 例えば、「廊下にこぼれていた水を拭く」という作業も防災の一つです。もし廊下にこぼれていた水がそのままで、だれかが足を滑らせて転んでしまえば「災害」が起きてしまうからです。
 横断歩道を渡る前に左右を確認するのは、車が来ていないかを確認する作業です。なぜそれをするのかといえば、自分が車にはねられてしまうと言う災害を防ぐためで、これもまた防災の一つです。
 そう考えると、防災というのは日々の生活の中で自然にやっていることなのではないでしょうか。
 ただ、それに「防災」という名前がつくと、途端に面倒くさいものに変わります。備えていてもそれを使わないかもしれないし、いつ起きるか分からないものに備えるのも面倒くさい。
 そうなると、防災というのは考えたくない、見たくない、知りたくないものになってしまいます。
 実際にやってみると結構面白いことが多いのですが、その面白さを伝えることがうまくいかないのがもどかしい。
 当研究所のキャッチフレーズも「命を守る、命を繋ぐ」ですが、これも多くの人は「防災だからなぁ」とどこか構えてしまうのかなとも思っています。
 始めたばかりで細々と活動をしている当研究所ですが、防災のネガティブイメージをポジティブにできたらいいなと考えながら、日々の活動をしています。