地震対策、何からしよう(前編)

 地震対策で困るのは、地震はいつ起きるのかわからないということです。
 地震以外の災害はなんらかの形で予兆があるのですが、地震だけは突然やってきますので普段の生活の中で備えをしておかないといけません。
 地震対策は、本気でやろうとするとかなり費用も時間もかかりますので、何をどこまでやるのかということを考えながら作業を進める必要があります。
 大きく分けると、お住まいの建物と、その建物の中身を分けて考えることになりますが、今日と明日の二回に分けて対策方法を考えてみたいと思います。

1.建物の耐震強度を上げる

 まずはお住まいの建物の耐震診断をしてもらうところから始めてください。
 もしお住まいの建物が建築から10年以上経っているのであれば、一度確認してもらっておいたほうがいいと思います。その結果、問題なければ安心ですし、倒壊する危険性があるのであれば、耐震補強工事をすることになるでしょう。
 自分が保有する家の場合には、耐震化工事を行うことが一番無難ですが、予算の都合上難しい場合には、居間や寝室など、過ごす時間が長かったり、揺れたときにすぐに動けない状況になっている場所だけでも補強しておくことをお勧めします。
 屋根を軽くしておくこともお勧めです。
 トイレや風呂など柱の多い場所に逃げろという話もあるのですが、これらの場所は閉じ込められやすい場所でもありますので、そこを避難先として考えるのであれば、閉じ込められたときに扉や壁を壊せるような道具を備え付けておいた方がいいと思います。
 次に、借家の場合です。
 アパートやマンションといった高さのある建物の場合、耐震化がされていないと高確率で1階は潰れます。
 耐震化されているのであれば問題ないのですが、そうで無い場合には、居住者に打てる手はそこから引っ越すくらいしかありません。
 いくら家具などを地震対策していても建物そのものが潰れてしまうとどうしようもないので、まずは潰れない建物に引っ越すところから考えてください。
 借家を選ぶときも同じで、耐震化されていること、または平屋建てで屋根が軽いことなどを選ぶ基準にすると、強い地震の時でも建物は崩れにくいです。

2.家具などを固定する

家具が地震で倒れるとこうなる。

 建物が崩れなくても、家の中で家具などの下敷きになってしまうと大けがをしたり死んでしまったりしますから、家具などが倒れてこないようにしておく必要があります。
 一番いいのはなるべく物を置かないことです。ものがなければ、そもそも下敷きにはなりません。
 それから、作り付けの家具であれば転倒する危険性はありませんから、どうしても家具が必要な場合には家を改装して作り付けの家具にしてしまうというのも一つの手でしょう。
 また、重心の低い家具にすれば、家具の転倒で下敷きになる可能性はかなり低くなりますから、最低限のものをなるべく重心の低い家具に納めていくというのが基本と考えてください。
 さて、そうは言っても家具を全部処分して入れ替えるというのも実際には難しいものですし、捨てるのも大変です。今度は背の高い家具でできる耐震化を考えてみましょう。
 まずは配置する方向です。
 その家具が揺れたときにどの方向に向けて倒れるかを考えてみます。その倒れる方向に人がいると潰れてしまうので、人がいない方向に倒れるであろう面を向けましょう。
 例えその家具が固定してあったとしても、引き出しが飛び出したり、観音開きの扉の場合には扉が開いて中身が散乱するといったことが起きますので、倒れる面は人のいる方向に向けないことです。
 次に、可能であればその家具が動かないように固定しておきましょう。
 固定の方法としては、壁や床、天井などにビスで固定、突っ張り棒、転倒防止ジェルやチェーンなどがあります。
 持ち家なのか借家なのかによって使える方法、使えない方法があると思いますが、複数の手段で止めておくと、さまざまな揺れに耐えられるのでお勧めです。
 固定する考え方の基本は「動き出す支点をなくすこと」です。
 動き出す支点がなくなれば簡単には動かなくなるので、どこを止めれば動き出さないかを考えて、効率的に固定を行いましょう。
 また、完全に固定できない場合もあると思いますが、その場合にもあきらめず、仮止めでもいいので固定をします。
 この場合の考え方は、そこから逃げる数秒を稼ぐということです。
 倒れる方向に気をつけて家具が配置されていれば、稼げる数秒で充分に逃げることは可能ですから、向きはしっかりと意識してください。