災害と笑い

 大規模災害が起きると、そのたびに笑うことが不謹慎だという扱いを受けることが多くあります。
 東日本大震災などでは、発生してから当面の間は漫才や落語、コントといった俗に言う「お笑い」は自粛せざるを得ない状況になっていましたが、私自身は、そんなときにこそ笑いのチカラを活用すべきなのではないかと思っています。
 笑うことと言うのは、人間の精神衛生上欠かせないとても重要な行為です。
 笑うことで負の感情がリセットされます。笑うことでヒトらしい気持ちを取り戻せるのだと思います。
 もちろん笑いならなんでもいいというわけではありません。ちょっと前からお笑いでよくある内容になっている「いじり」や他人を馬鹿にして笑いをとるなどを被災地でやると、おそらく笑ってもらうことはできないでしょう。
 精神的にひどい状態だからこそ、素直に笑えて気持ちが浮き上がるような王道の「お笑い」が必要となってくるのではないでしょうか。
 毎年毎年どこかで大きな災害が起きていて、おそらくこの状況はしばらく変わらないのではないかと思っていますが、老若男女問わず笑えるような内容というのは一朝一夜でできるものではありません。普段からヒトをしっかりと観察してそれを笑いに変えるだけの技術と能力が必要なのです。
 被害が起きてすぐに笑うことは難しいかもしれません。でも、頑張る気持ちはいつまでも続くわけではなく、そのうちに緊張の糸が切れてしまうことがあります。
 そんなとき、笑うことで緊張の糸を張り直し、もう少し頑張ろうと思ってもらえるような気持ちにもっていくことは可能なのでは無いでしょうか。
 「被災地に笑いは不謹慎」では無く「被災地にこそ笑いを」と考える世の中になるとよいなと思っています。