災害時にこそ笑いが必要

 被災地にはいろいろなものが足りなくなりますが、特に不足するのがこころの余裕です。暗い情報ばかりが続く中、先の見えない不安や恐怖でこころに余裕がなくなり、刹那的になったり、暴力的になったり、それらが蓄積すると最悪自ら命を絶ってしまう場合もあります。普段は意識しないようにしている人間同士のさまざまな小さなひずみや歪みが一気に噴き出してしまう場合もあります。
 被災地で笑いは不謹慎だという方もたくさんおられますが、筆者自身は、被災したからこそこころの余裕を産み出すための笑いが必要だと思っています。
 笑うことでこころに余裕が生まれると、それが未来への活力となります。
 被災後、すぐに笑うことはできないかもしれませんが、落ち着いてきたとき、くたびれてきたときには笑いの出番です。
 失敗したときやうまくいかないとき、怒ったり絶望したりするのではなく、それを笑いに変えられるように、普段から意識しておくとよいと思います。
 笑えることはこころの余裕です。
 ところで、もし被災地に笑いを届けるボランティアを考えているのであれば、人をけなしたりいじめたりして笑うものではなく、言葉やしぐさで笑えるような優しい笑いこそが必要だと思います。笑った後で、少しだけでも自分と周りの人にやさしくなれるような笑いだと素敵ではないでしょうか。
 苦しいときこそ笑いを使って乗り越える。
 災害時に限らず、普段の生活でも意識できるといいなと思います。