医療トリアージの悩み

 先日、医療トリアージについてちょっと触れてみましたが、益田日赤に用事で出かけると「高津川だより」という益田日赤の広報誌が置いてありました。

 特集は「平成30年度院内災害対応訓練」ということで、手に取ってみてみました。

 平成30年12月16日に津和野町を中心とする震度6の活断層連動型地震を想定しているということなので弥栄断層が動いた場合のことだと思われますが、院内災害対策本部の立ち上げ、情報伝達訓練、トリアージの実施、負傷者搬送などを訓練されたようです。

 詳しくはリンク先の広報誌をご覧いただければと思いますが、写真から判断すると1階ロビーが応急救護所で玄関前にトリアージエリアが作られた感じですので、大規模災害発災時には通常の診療は全て中止し、完全な災害対応体制に入ることがわかります。
 発災時に診療を受けに来ている人たちをどうするのかなということが少し気になりました。
 この訓練の感想として、トリアージを行う人手が足りないというのが書かれています。今後、人手が足りない場合の訓練も行っていきたいと書かれていますが、トリアージを行う人手をどう確保するのかが問題となりそうです。

 ところで、大規模災害で行われる医療トリアージには、実は法的な根拠がないのだそうです。
 つまり、大規模災害時でも通常の医療行為と同じ扱いとなるため、医療行為を巡ってはさまざまな問題が起きそうです。
 例えば、トリアージは患者の状態を判断する作業ですが、これが医療行為と認定される可能性があり、医師法に抵触する可能性がありそうです。
 そういえば、東日本大震災で行われた石巻赤十字病院のトリアージを巡って現在裁判になっています
 この裁判の結果がどうなるのかが気になるところですが、少なくとも、大規模災害時における医療行為と責任の所在については法制化しておかないと、いざというときに医療関係者が手を出さなくなることも起き得ます。
 この問題に限らないのですが、非常時には通常時の理論が通用しないことをきちんと法的に整理しておく必要があると感じます。