BCPってなんだろう?

災害対策においてよく出てくるのがこのBCPというものです。
大企業から中小零細、個人商店に至るまでこれを作成して欲しいという話が、政府から一時期かなりの勢いで発信されていたので、あなたも名前だけはどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか?
BCPとは「BusinessContinuePlan」の略で、日本語では「事業継続化計画」という言い方が多いようですが、名前から見ると商売をしている人や組織が作っておけばいいような印象を受けるかもしれません。
でも、このBCPはお仕事をしている方のみならず、全ての人が作っておくとよいものです。
今回はこのBCPについて触れてみたいと思います。

1.そもそもBCPって何?

「BCP」=「事業継続化計画」とは一体何か?
これは「災害が発生したとき、何が問題になるのか、どう対応したらいいのか、何から処理していくのか、何に誰が対応するのか」ということをあらかじめ決めておく作業のことです。
要するに、「被災してから復旧完了までの手順を決めておく」ということです。
この手順を決めて関係する全ての人が知っておくと、もし社長に何かあっても知っている人が手順通りに段取りをして事業が止まらないように復旧することができるというもので、途中の過程では自分の財産の洗い出しも行うことになります。
災害が発生すると、一度にいろいろなことへ対応しないといけなくなります。
あらかじめ対応を決めておくことで、やらないといけない手順を自動で動かすことが出来、想定していなかった事態への対応に専念できるようになります。
また、これが出来ると誰に何を頼んでおかないといけないのかも分かるため、さまざまな支援を受けやすくなります。
たまたま経営関係なので「Business」となっていますが、地域だと「Community」=CCP、医療現場なら「Medical」=MCP、学校なら「エデュケーション」や「スクール」となり「ECP」や「SCP」と略されます。
個人なら、さしずめ「人生=Life」となり、「人生継続化計画」=LCPと呼ぶのかなと思いますが、ここでは代表的な「BCP」と書くことにします。
ここの表示は、あなたが必要なものに読み替えてください。

2.BCPはどうやって作る?

BCPは次の順番に決めていきます。

1)自分は「いつ」「何を」「いつまでに」提供するのが仕事なのか、を確認します。
2)(1)で確認した仕事をやり続けるためには「何が無くなると困るのか?」を確認します。
3)(2)で確認した「無くなると困るもの」を「いつまでに、どうやって、どの順番で、誰が、どこで確保して使えるようにするか」を決めます。
4)(3)で決めたことを、やる人や確保する先にお知らせして協力をお願いします。その際、相手には「そこで確保が困難な場合に他に確保できそうな先」も確認しておきます。
5)(4)で決まったことを踏まえて、計画書を文章化します。
6)文章化したものがその通りにできるかどうか実際にやってみます。
7)問題が発生しそうなら、(3)に戻ってもう一度考えてみます。

(1)では「仕事」になっていますが、あなたが個人や家族で作成するのであれば、(1)は「自分の命を守ること」になります。
また(2)では「どうなると死んでしまうのか」を考えてください。
(3)の「無くなると困るもの」は「(2)で考えた死んでしまう条件を防ぐためには?」と読み替えます。

3.出来たらどうしよう?

できたら、とにかく一度その継続化計画を試してみましょう。
実際に動いてみると、思った以上にいろいろな問題が出てくるはずです。
問題が出たら、「それはどうやったら解決できるのか?」を考えて、計画書に組み込んでいきます。
発生する災害は一つでは無いので、さまざまな災害や複合的におきる災害も想定して考えてみます。
場合によっては「もうどうしようもない」ということが出てくるかもしれませんが、語尾に「?」をつけておくと、そのうちによい解決策が浮かぶかもしれません。
また、あなた一人で考えるのでは無く、複数の人に作った計画を見てもらって、さまざまな角度から考えてみることが大切です。
ここまでくるとおわかりだと思いますが、BCPは作って終わりではありませんし、あなただけで完結するものでもありません。
出来上がったものを定期的に見直し続けること、関係先にどうしたら動いてもらえるかを確認し続けることが大切なのです。

4.全ての継続化計画が繋がる世の中に

個人や組織、企業、地域、行政がそれぞれに継続化計画を作ってそれを繋げていくと、驚くほど地域復興が早く進みます。
いちいち場当たり的な判断をしていては、いつまでも何も決まらずに時間だけが過ぎていきます。
素早く復旧、復興し、受ける影響を最小限に留めるためにも、事業継続化計画を作っておきましょう。