防災グッズ、何を用意しよう?

防災というと、さまざまな道具が必要だと言われますが、本当のところ、何を用意したらいいのでしょうか?
私は、普段の生活に必要なものを基本に、プラスアルファで準備すればいいのではないかと思っています。
今回はそんな考え方を基本に、防災用品の準備を考えていきます。

1.防災用品の考え方

子供用防災セットの一例。これだけではかなりものが不足している。

防災用品といっても、そもそも何を準備したらよいのかさっぱりわからないという方も多いと思いますが、あなたはどうですか?
インターネットでちょっと検索してみると、実にさまざまなところから防災グッズがセットになったものが販売されています。
災害に備えて準備するものがセットになっていて、「防災士が監修」とか「災害経験者が推奨」などと書かれていると、「これなら」と思って買ってしまうものですが、そうやって買ったものって、買った後は安心してしまって一度も開かずにタンスの肥やしになってしまっていませんか?
これは「非常用」として普段の生活から切り離してしまっていることが原因で、こうなるといざ災害が起きたとき、せっかく準備した防災用品は期限切れや破損、またはどこにしまったかわからないという事態になってしまいます。
防災用品というのは日常生活の延長線にあるものなので、普段使うものを用意しておけばいいのです。
まずは自分や家族の生活を考えて、何をどれくらい、いつ使っているのかを洗い出すところから始めましょう。
例えば、赤ちゃんのいるおうちでは、ほ乳瓶や消毒セット、粉末ミルクとそれを溶かすための水に湯沸かしセット、紙おむつ等は必要になるでしょう。
逆に高齢の方のいるおうちでは、老眼鏡や入れ歯、補聴器、大人用おむつなどが必要になるかもしれません。
目が悪ければコンタクトレンズや眼鏡が必須な人もいるでしょうし、ひょっとしたらプロテインがないと困るという人もいるかもしれません。
自分の生活を軸にして用品を考えていくと、無いと困るものが見えてきます。
それらを防災セットの中に入れ、手持ちのものを使い切ったら防災セットから新しいのを取り出し、防災セットには買ってきたものを入れておく。
このサイクルを確立することで、数日間は確実に生活できる防災セットを簡単に作ることができます。
現在の政府の計画では、3日から1週間くらいで各種資材が届くようになることになっていますので、最悪のことを考えて1週間程度を前提に備えをしておくとよいでしょう。
ただ、1週間分を持って避難というのは現実的ではありませんので、1日から3日分はリュックサックに詰めて「非常持出用防災セット」にしておき、残りは分散して収納しておくと生き残る可能性が高くなります。
また、お薬手帳は必ず持って避難しましょう。

2.必ず準備しておくもの

どんな防災セットにも必ず準備しておかないといけないものがあります。
防災セットの基本的な考え方として「飢えないこと」「身体を冷やさないこと」「不安におちないこと」「衛生的な環境を維持すること」があげられます。
これを解決するためには、最低限「水」と「食料」「携帯トイレ」「防寒用品」「灯り」「携帯ラジオ」「歯磨きセット」が必要となります。
その上で、歩きやすい靴、頭部を保護する帽子、新聞紙、ゴミ袋やビニール袋、ウエットティッシュ、ヘッドライト、カイロ、カセットコンロと鍋などお湯を沸かせる道具、敷物やブルーシート、それら1日~3日分の道具を入れて歩くためのリュックサックを用意しましょう。

3.防災でしか使わなさそうなものはどうしよう?

ヘルメット。あると安心。でも場所をとる。

防災用品のうち、人によっては防災の時しか使わないだろうというものがあります。
例えば、防災用品を入れるリュックサック。
登山やキャンプ、ピクニックが趣味でも無い限りは、防災用品が全部収まるようなサイズのものはたぶん必要ないでしょう。
避難するときには両手は空けるというのが鉄則ではありますが、防災用品を厳選することで普段使いしているカバンに収めることができるかもしれません。
いろいろと試してみて、自分で納得のいくリュックサックに非常持出用防災セットを入れるようにしましょう。
防災ずきんやヘルメットはどうでしょうか。
頭部を守るものとして防災用品の中でもかなり有名なものですが、ヘルメットはともかく、普通の生活で防災ずきんを使うことはまずないでしょう。
あればそれに越したことはありませんが、綿やアラミド繊維などで作られた丈夫な帽子の中にショックを和らげるタオルを入れてかぶるだけでも、それなりに安全は確保できます。
この場合は、首元を守るためにその部分にもタオルを垂らすようにします。また、化繊でできた帽子は火がつくと燃えてしまうのでお勧めしません。
かぶるものがなければ、タオルでもないよりはまし。頭部を何かで保護するという考え方を持ってください。
ホイッスルも防災セットを買うと大抵の場合はついてきます。
このホイッスル、建物や山が崩れて巻き込まれ生き埋めになったとき、救助隊に自分の位置を知らせるために使うとされているものです。
ということは、これはリュックサックに入れておくのではなく、普段から身につけていつでも使えるようにしておかないと駄目だということがわかります。
いつも首からかけ、いつでも使えるようにしてあれば、防災だけで無く怪しい人が近づいてきたら吹いて撃退するという防犯対策にも使うことが可能です。
最後はローソク。お仏壇があって普段から使い慣れていれば別ですが、そうでなければどのように使うのかのイメージが沸かないのではないでしょうか?
よくあるのは、ローソクはあっても火を点ける道具がないということ。ローソクと一緒に必ずマッチを保管しておくことです。
ライターは知らない間に壊れている可能性もあるので、壊れる心配のないマッチ、できれば防水タイプのものをローソクや乾燥剤と一緒にジップロックなどの密封できる袋に入れて置きます。たまに意識して点けて使うようにすると、被災時にも使おうという気になります。ただし、ガス爆発には十分に気を付けてください。

なんとなくイメージができたでしょうか?
防災セットにはいろいろなものが入っていますが、ぱっとみて何に使うのかよく解らないものがあるとしたら、それは災害時にもあなたでは使えないものです。
あなたが使うものをあなたが選んでセットする。防災用品は手近なところで揃えていけばいいのです。
また、普段登山やキャンプをする人であれば、新たに備えないといけない道具は殆どないと思います。
まずは用意して使ってみる。そして、あなたにあった道具を揃えていけば使える防災セットができると思います。
また、それぞれの道具の細かいお話は、またこれからやっていければいいなと考えています。
どうぞご安全にお過ごしください。