防災・減災・縮災とは?

当研究所のコンセプトにも入っている「防災・減災・縮災」ですが、似て異なるものを表しています。
言葉の語源とその意味するところについて、そしてその先にあるものについて、ちょっとだけ触れてみたいと思います。

1)防災

文字通り「災いを防ぐこと」を目的とするものです。
具体的には、津波対策のための防波堤や川の線形改良、護岸工事、山の斜面が崩れないような対策工事など、ハード的なものを指し、日本では長年この「防災」に取り組んできました。
ところが、近年の災害の大規模化や公共事業の予算の縮小などにより、発生する災害を防ぐことが物理的に難しい状況になってきています。

2)減災

そこで、発生する災害はもう防ぎようがないので、人が受ける被害を減らそうという動きが出てきました。
これが「減災」と言われるもので、文字通り「災いを減らすこと」が目的となっています。
早めの避難や防災用品の充実、支援体制の強化などがここに位置します。

3)縮災

でも、「減災」をしても被害を無くすことはできません。
そのため、被災している期間をいかに短くするか、いかに自分の日常生活を早く取り戻すことができるのかという考え方の元に産まれたのが「縮災」です。

防災は大規模な工事を伴うため行政や大企業で無ければ実施するのは困難ですが、減災や縮災は個人や地域、組織や中小企業でも、努力次第で行うことができます。
それが「タイムライン」や「事業継続化計画(BCP)」と言われるもので、これらを作って訓練を実施することで、災害時にも可能な限り被害を防ぎ、通常業務を早く再開することが可能になります。
この時に気を付けないといけないのは、作成業者に丸投げしないこと。
つい「わからないから」と業者に丸投げしてしまいがちですが、実際に行うのは誰でも無いあなたです。
あなたが行う行動を、あなたをよく知らない他人が勝手に決めたところで、そのとおり行動できるとは限りません。
業者に作ってもらうなら、丸投げにせず自分も協議に加わって、一緒に作り上げていくようにしましょう。
そして、作りっぱなしにせず、定期的に訓練を行って、可能な限り減災・縮災ができるように備えておきましょう。