災害時に備えて事業継続化計画(BCP)を作る理由はいろいろとありますが、その大きな目的の一つに「発生する問題を可能な限り早く解決する」ことがあります。
問題というのは、発生したのに無視し続けると、多くの場合は問題が問題を生んでしまって収拾がつかなくなります。
特に災害などの緊急時においては、一つの問題放置が後々大問題になることもありますから、できる限り一つの問題のときに対応して処置しておかなければなりません。
災害時に発生する問題は多岐に及ぶので、どんなにBCPを作っても100%問題は起きないと言い切ることは無理ですが、過去のさまざまな災害から、災害が発生したときに自分たちが対応すべき問題は何かと言うことはある程度予測が可能です。
予測した問題には予め解決方法が考えられているわけですから、それに従って手順を踏めば、基本的には対応者が誰であれ解決できるはずです。
BCPの手順書は、そういった目線で作成する必要がありますので、「わかりやすく」「明確に」を考えて作成してください。
そして、BCPがあれば、その場の指揮官は突発的に起きる事態に対応を専念させることができます。その結果、さまざまな問題が小さいうちに終息できて、復旧や復興が予定通り、または予定以上に早く完了できることになり、そのために作成するものです。 BCPを作っておくことは、今ある戦力でどれだけのことができるのか、そして何を優先して対応するのかを明確化することと、問題対応の手順を予め定めておくことです。
現状を維持する方法ではなく、何から優先して対応すべきなのかを常に頭に置きながら作成するようにしてください。
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企業や施設におけるBCPで考えておくべきこと
大きな災害が続くと、企業や施設などの防災対策に注目がされるようになります。
その中でも、BCPと呼ばれる事業継続化計画についてはある程度までは簡単にお金をかけずにできることからそれぞれの企業や施設で準備されてきているようです。
ただBCPを作成するときによく忘れられているものの一つに「利用者にいかに不便を感じさせないか?」というものがあります。
企業や施設において、利用者がいなくなることは致命的な問題を生じさせますから、利用者の確保は通常時、被災時を問わず大切な問題となっています。
利用者を確保し、利用し続けてもらうために作成するのがBCPの重要な役割の一つであることは間違いありません。
そして、自分のところの復旧を急いで利用を再開してもらうことは重要ですが、利用者が可能な限り早く利用再開ができる手段も講じておく必要があるのです。
利用者目線で見れば、あくまでも利用が再開できることが重要なのであって、利用先がどこなのかということはそこまで大きな問題にはなりません。もし利用先にこだわっている人であれば、説明できれば再開まできちんと待ってくれています。
自分のところの復旧が遅れそう、もしくは再開の目処が立たないときに利用者をどのようにするのか。つまり利用者の扱いを決めておくかどうかでその後の流れが変わってきます。
企業や施設が利用者よりも先に自分のところの状況を説明し、代替手段を提供できれば、利用者が自分のところが再開したときには戻ってきてくれる可能性が高くなります。でも、利用者自身が新たな利用先を見つけて動いた場合、自分のところが再開しても利用者が帰ってきてくれないでしょう。
利用者は放置されたという負のイメージに加えて、新しいところを見つけるという自分がかけた手間が正しいと感じるからです。
もし自分のところが利用先を紹介し、再開時にはまた案内すると言っておけば、利用者も納得しますし紹介した利用先もそれなりに配慮してくれるはずなので、誰も不幸にならない選択肢が選べます。
つまり、BCPの中には自分のところの復旧、復興用件だけで無く利用者に対してどのように情報提供し、どのように利用再開してもらうのかという視点も必要になると言うことです。
災害対策に関して言えば、ライバル企業やライバル施設であってもお互いに協力できる体制作りをしておかなければいけません。
自分のところを守るためにライバルと協調するというのは不思議な気がするかもしれませんが、大切なのは利用者の利益を確保することです。
そこのところに注意してBCPを作成しておきたいですね。