ボランティアでの怪我対策

 現地に出かける災害ボランティアというと、泥やがれきを片付けるイメージが非常に強いと思います。
 実際にはさまざまなボランティアがあって、中にはボランティアを支えるボランティアというのもあったりしますが、誰にでもできて、人手がたくさん必要であることから「ボランティア=片付け」というイメージが持たれているのではないかと思います。
 ところで、この災害ボランティアは基本的に全て自己完結する必要があります。飲み物、食べ物、おやつなど、自分が必要とするものは全て現地に持参します。道具は被災地にあるボランティアセンターの備蓄基地で借りることができますが、ない場合にはそれも持ち込みです。
 さすがにトイレは行政等によって仮設が設置されることが多いですが、そういったものが無い場合には、トイレも持参する必要がありますので、現地の事前情報はしっかりと入れておきましょう。

現地に設置された簡易トイレ。


 格好ですが、長袖長ズボンは絶対必要です。片付けをすると、どうしても腕やすねなどに泥や石などが当たります。そのとき、擦り傷や切り傷ができてしまうことがあり、そこから破傷風菌などの雑菌が入ってしまうことがあるため、肌を露出させないことが基本になります。
 次に手袋はできるだけ刃物を通さない防刃タイプの丈夫なものにすること。割とお手軽に軍手を使うことが多いですが、軍手は編み目が粗いため釘や木のささくれなどが刺さることがあります。
 軍手が必要な場合には、防刃手袋の上からつけるようにするといいでしょう。
 そして、足回りは長靴やマリンシューズ、スパイク長靴などで踏み抜き防止処置がしてあるものを選びます。踏み抜き防止インソールなどもありますので、普段お使いの長靴にそういったインソールを入れてもよいと思います。
 頭部にも守るためのアイテムを着けます。ヘルメットが理想ですが、帽子でも構いません。大切なのは露出させないことなので、頭部をカバーできるものを頭に被るようにしてください。
 万が一怪我をした場合に備えては、防水タイプのカットバンと傷口を洗うためのきれいな水を用意します。カットバンは大きさの違うものをいくつかセットし、水は500mlペットボトル1本あれば大丈夫だと思います。
 流水で傷口を洗い流し、傷口がきれいになってから防水タイプのカットバンを貼り、傷口を保護します。また、大きい怪我の場合には速やかに救急車を呼んでください。
 最後に、感染してもっとも恐ろしい破傷風菌についてはワクチンがありますので、被災地に災害ボランティアに出かけるときには破傷風ワクチンを事前に打っておくとより安心です。
 破傷風ワクチンの効果は概ね10年程度とされていますが、主治医の先生と相談した上でどのような接種をするのかを決めることをお勧めします。
 せっかく被災地支援に出かけたのに自分が怪我をして現地の医療体制に負荷をかけてしまっては何にもなりません。できる限りの怪我をしない準備をして、現地に赴くようにしてください。