「危ない」の考え方

 どんなことでもそうなのですが、「危ない」と感じる感覚は人によってかなり異なります。
 その結果、同じ出来事を見ても「危ない」と思ったり「それくらいで」と思ったりとさまざまな感想が出てきます。
 この感覚、大きな出来事になればなるほど人によって大きな差違が出てくるものみたいで、特に災害などの話になってくるとびっくりするくらい異なる状態になっています。なぜなら、この感覚はその人の経験や体験が元になっていて日常生活での判断などに無意識に活用しているのですが、災害時にはこの感覚が非常時への対応を妨げてしまうことが多いです。
 災害というのは非日常であり、普段の生活の中での経験や体験は基本的に役に立たないと考えた方がいいです。まして、災害は「テレビの向こうの他人事と」いう感覚がありますから、自分が被災するという感覚がありません。
 結果的に「自分は大丈夫」や「川が氾濫するはずはない」「誰かがなんとかしてくれる」といった根拠のない判断をしてしまい、よく被災者のコメントに出てくる「こんな大災害になるとは思っていなかった」に繋がっていきます。
 「危ない」から「自分で安全を確保する」という普段からの生活習慣を身につけておかない限り、どこで災害が起きても同じ事が繰り返されるでしょう。
 とはいえ、非日常を日常に落とし込んでいくのはなかなか難しいものです。
 対策として作っておきたいのが、「マイタイムライン」という災害発生時にどのような行動をするかを決めておく行動計画表です。
 マイタイムラインを作っておくと、非日常が起きたとき「どうなったらどのようにどうして自分の安全を確保するのか」について考えずに行動をすることができます。
 災害という非日常が起きたとき、すぐに非日常対応に頭を切り換えることは訓練されていないと難しいことですが、非日常で思考停止していても行動だけは取れるように、マイタイムラインをつくっておくことをお勧めします。