「安全は全てに優先する」というのが建設現場などで掲示されていることを見たことはありませんか。「セーフティーファースト」の日本語訳だそうですが、「安全第一」という方がわかりやすいかもしれません。
ただ、この安全に順位があるとしたら、あなたはどう考えますか。
災害対策では、この安全の定義がよく変わります。
発災直後では、安全とは「身体の安全」に他なりません。何を置いてもまずは逃げて自分の命を守ることが最優先される安全です。
発災後は、自分がこの先どうなっていくのかという不安を解消することが優先される安全になってきます。
そして、発災後しばらくすると、今度は収入や仕事、衣食住といった生活の安全が優先されています。
それぞれ全て安全には必要なものなのですが、時期と状況によって優先されるべき安全の順位が異なってくるということで、防災支援活動では時間の経過によって変わるこれらの優先順位にどう答えていくのかが大切になります。
被災後にすべてが元通りになることはありません。ですが、被災者の居心地のよい安全を確保するためにさまざまな支援を行っていく必要があるのです。
コロナ禍で起きた災害では、災害復旧を支援する人達はかなり限られた状態になりました。その結果、復旧が遅々として進まない状況の場所もあるようです。
そんな中でも、被災者の安全を確保するために、現地の支援者達は様々な知恵や工夫を凝らして活動をしています。
あなたに考えておいて欲しいのは、もしも自分が被災者になったとき、さまざまな安全をどうやって確保するのかということです。自分が対応策を準備しておけば、安全が安心に変わって激しく不安にならなくても済むからです。
そのために作るのがBCP(事業継続化計画。ご家庭の場合だとFCP(家族継続計画)ともいいます)で、実はこれが一番の災害対策といえるかもしれません。
安全の優先順位は変わっていきます。それに合わせた自分が生きるための継続化計画を、きちんと作っておきたいですね。