時間雨量50mm

 大雨に関する防災研修会を開催したときに参加者にお見せする映像の中に時間雨量50mmの降り方というのがあります。
 見た目はたいしたことがないように見えるのですが、雨中にいるとかなりひどい降りで大声を出さないと会話ができないくらいの雨音がしています。
 研修会に参加された方は「ほぅ」といった感じで見てくださるのですが、当研究所に限らず、さまざまなところで開催している大雨の防災研修会や講演会では、この時間雨量50mmが一つのキーワードになっています。
 というのも、実は時間雨量50mmというのが一つの基準のようになっているからです。
 大雨による氾濫では、川から人の生活空間に水が流れ込んでくる河川氾濫と、河川などへの排水ができなくなることによって側溝などから水があふれて発生する内水氾濫があります。
 特に時間雨量50mmを超えると側溝などの排水能力を超えてしまうことが多く、内水氾濫が起きやすくなります。
 そのため、時間雨量50mmが一つの目安になっているのです。
 気象庁のデータによると、時間雨量50mmを超える降雨は増加しているそうなので、低地や土砂災害特別警戒区域、土砂災害警戒区域にお住まいの方は雨の降り方には注意をしておいたほうがよさそうです。

全国アメダス1時間降水量50mm以上の年間発生回数(気象庁のウェブサイトへ移動します)

内水氾濫に気をつけよう

内水氾濫で池になった田

 先日の大雨でも、いくつかの場所で内水氾濫が起きていました。
 大雨が降って排水ができなくなり、排水路から溢れた水によって冠水してしまう状態になるのを「内水氾濫」といいますが、最近これが増えてきている気がします。
 河川の水位が上がると排水のための樋門を閉鎖し、河川から水が逆流しないように対策をして、代わりに排水ポンプを使って河川に水を排水していきますが、ポンプの排水量よりも流入量の方が増えて水が溢れ、土地が冠水してしまうことが起きています。
 堤防が切れたりすることにより発生する河川氾濫は外水氾濫と呼ばれて区別されているのですが、住んでいる人から見れば水没している状態に変わりはありません。
 ハザードマップや国土地理院の地図を使うと水の集まりやすい低地はわかりますので、そういった場所に住んでいる人は早めの避難が必要です。
 また、水の通り道は多くの場合決まっていますから、その周囲の人達も早めの避難をしたほうが無難です。
 内水氾濫が起きる条件はあまり変わりませんから、雨量や予想降水量を考えて、道路や家が冠水する前に高いところへ避難しておきましょう。
 また、人間は緊急時でも無意識に普段の行動を取ろうとするものです。
 冠水時に避けるべき道路のアンダーパスや低地を車で走行しようとして動けなくなることも多発していますから、普段から低地を意識してなるべく避ける経路を作っておきたいですね。