災害が起きると、断水や停電、浄化槽や下水道管の破損などでトイレが使えなくなるケースが結構多いです。
トイレが使えない状態なのに無理やり使うと、トイレの中は大惨事になってしまいますので、できるならトイレがちゃんと使えることが確認できるまでは使用を禁止するようにしてください。
そうなると必要になってくるのが仮設トイレや携帯トイレ。
ただ、個人や自治会、自主防災組織などで準備はしていても、これを組み立てたり使ったりすることはほとんどないのではないでしょうか。
普段使っていないものは、いざというときにも使えませんので、防災訓練のときには実際に使ってみてください。
また、避難所で設営が必要な仮設トイレは、訓練のたびに出して組み立て、使いかたをしっかりと確認しておくことはとても大切です。
トイレは我慢ができません。そのあたりに穴を掘ってすることにしてしまうと、周囲の衛生状態に深刻な問題が発生します。
災害時のトイレ設営は最優先されることの一つなのです。
いざというときに慌てなくて済むように、携帯トイレの準備、そして実際に使ってみること。
仮設トイレは実際に組み立てて、これも使ってみること。
この部分の訓練は手を抜かないようにしたいですね。
タグ: トイレは我慢できない
仮設トイレと簡易トイレと携帯トイレ
イメージがごっちゃになっているかもしれませんが、仮設トイレは現場事務所に置かれているような、独立したトイレのことです。
くみ取りもでき、移動もできて災害後の避難所では結構よく見るトイレです。
仮設トイレは、便器はあるが排泄物の処理をその都度行わないといけないトイレです。汚物を流したり貯めたりするのではなく、一回ごとに汚物袋をセットして、用を足したら凝固剤を入れ、汚物袋の口を縛って処分し、新しいものに取り替えるものです。
普段使っているトイレが使用禁止になってから仮設トイレが届くまで、さまざまな形で利用されます。
そして携帯トイレは、便器はなく、消臭袋と凝固剤が一体になっていて簡単に持ち運びのできるもの。
ざっくりとしたイメージになりますが、仮設トイレは行政などが手配するちゃんとしたトイレなのに対して、簡易トイレや携帯トイレは行政だけでなく、個人や自治会などでも準備しておく必要のあるものと考えてもらえばいいと思います。
で、目隠しテントと簡易トイレを展示しておくと、よくいただく質問に「簡易トイレを持って避難するのは難しい」というものがあります。
確かに、少しでも荷物を減らしたいときに簡易とはいえ便座まで持って避難しろというのはかなり難しい話です。
ただ、ここで書いておきたいのは、避難のときに便器までは準備しなくてもよいというものです。
あなたがトイレを使う頻度を考えてもらえればわかると思いますが、頻繁に使うのは小さい方で、大きい方は下痢でもしていないかぎり1日に数回程度ではないでしょうか。そうすると、数の多い小さい方に備えておけばいいということになります。
小さい方はそこまでの場所をとりませんから、便座がなくても排泄は可能です。汚物袋と凝固剤さえあれば、とりあえずの排泄はできるわけです。
そして、簡易トイレは、大きい方でも小さい方でも、一回ごとに汚物袋を取り替えなければいけません。すると、小用まで避難所の備蓄品で対応しようとすると少々汚物袋を準備していてもあっという間に備蓄が底をついてしまいます。
そのため、携帯トイレを準備して、少しでも簡易トイレに負担をかけないようにしておく必要があるのです。
簡易トイレは大きい方用、携帯トイレは小さい方用と考えてもらえば良いと思います。
実際、携帯トイレとして売られている商品は殆どが小専用となっていて、大に対応しているものはごく少数です。そして、小専用は軽くてコンパクト。
女性は慣れないと使えないと思いますが、簡易トイレほどの設備がいらないので、非常用持ち出し袋にある程度入れても邪魔になりません。
避難する人が各自で小用を1日分持参すれば、それだけでも備蓄の消費量にはかなりの好影響を与えますし、避難中にもよおしても我慢せずに使うこともでき、精神的に落ち着けると思います。
もちろん、大小兼用の携帯トイレもありますので、それを持っていればより安心なのは間違いありません。
非常用持ち出し袋を作るときには、とりあえず1日分の小用携帯トイレを意識して準備しておくことをお勧めします。
避難所設営基本の「き」その1・まず何をするか
避難所の設営についてご質問をいただくことがあります。
その時に最初に確認する内容、なんだかわかりますか。
それは「施設の水源とトイレ」です。
災害が発生して避難所を設営するとき、一番盲点になる部分であり、そして一番最初に問題が発生し、場合によっては最後まで問題になるもの。
それがトイレ問題です。
極端なことを書けば、くみ取り式で水を使わないストレート式、いわゆるボットン便所ならば通常使用で問題ありませんし、タンクレスの便器を使った下水道方式の2階以上のトイレであれば、問答無用で使用禁止を言い渡します。
わかりやすく書くと、排泄物の処理に水が必要なのかどうか、そして一回に必要な水の量はどれくらいで、どの程度、どうすれば確保できるのかが問題になるということです。
どんな人でもトイレは我慢できませんし、避難してきた被災者はトイレが使えなくなるということはまず考えていませんので、断水するとあっという間にトイレが汚物まみれの不衛生な場所になってしまいます。
それを防ぐためには、災害時にトイレを使うことが可能なのかどうか、使えるとするとどうやったら使うことが可能になるのか、また、使えないのであればどのような手段を使ってトイレを作るのかということを事前に準備しておく必要があるのです。
ざっくりとしたイメージですが、水洗トイレの場合、通常8~18リットルの水が一回の利用で必要となります。
安全を考えると、10リットル以上の水が常時確保できないのであれば、水洗トイレは使うべきではありません。
中途半端な水量だと、使用したトイレットペーパーが詰まって汚水があふれ出してしまうからです。水に溶けやすく作られているトイレットペーパーではありますが、それも水量が充分にある場合のこと。そうでなければ、溶け残ったものが固まってしまって汚水管を詰まらせてしまう原因になります。
もしも水洗式のトイレであれば、タンク式でなんらかの方法でタンクを常に満水にできる条件が整っているのであれば、1階部分のトイレは使用可としてよいと思います。
地震に限っては、2階以上は使用不可。これは汚水管が破損して漏水していた場合には階下が汚物まみれになってしまうからです。汚水管の点検が終わるまでは、2階以上のトイレは使わないようにしてください。
最近は節水型と言うことでタンクレスの水洗トイレも増えていますが、タンクレスの場合には便器に直接水を入れるとうまく流れないものもあるようですので、あらかじめ便器メーカーにバケツで水を流した場合にきちんと排水ができるかどうかを確認しておいてください。
ではトイレが使えない場合にはどうするかですが、トイレを閉鎖して、別に簡易トイレを設営するしかありません。
これは、使ってはいけないトイレの中に簡易トイレを設置すると、通常通りの使い方をしてしまった場合に汚物が溢れて仮設トイレごと駄目になってしまうことが起こり得るためです。
簡易トイレキットを複数準備し、設営場所を確保し、取り扱いにも習熟しておくことをお勧めします。
飲食は我慢できても、人間の生理として、排泄は絶対に止めることができません。
衛生環境を少しでも維持するため、まず避難所のトイレ問題からしっかりと検討し、備えておくことをお勧めします。