【活動報告】すみれ保育園の避難訓練の支援をしました

 去る6月23日、益田市のすみれ保育園で実施された避難訓練の支援をしました。
 この保育園は地震から津波発生に備えた大規模な避難訓練を毎年やっていて、ここ数年は当研究所もこの避難訓練の支援を行って、善かった点や問題点、改善点などを報告書として保育園に提出しています。
 この報告書は職員会議で共有されていて、毎年しっかりとした改善がされていますので、いざというときの対応はかなり的確に行われると、参加するたびに感じています。
 今年も大地震から津波発生、高台への避難という訓練を実施。総勢50名以上の園児の皆さんが、保育士の先生たちに誘導されて近くの益田東中学校に移動していました。
 保育士の先生たちは避難準備をしながら子供を見て、安全確認をしながら誘導をして、と目まぐるしく動く状況の中を的確に行動していく力量が求められます。
 こういった大規模な訓練を実地でやっていれば、訓練でさまざまな事態に出会いますから、本番でも慌てずに対応ができ、子どもの命も先生方の命もしっかりと守れるのではないかと思っています。
 今回もさまざまな改善点はありましたが、改善点は出て当たり前で、時代や状況、想定によってどんどん改善していくことで、災害に強い、命を守れる保育園になってもらえることを願っています。
 いつも聞かれるのですが、実は訓練で何も問題が出なかった方が問題です。
 訓練で問題が出ないというのは、すでに予定調和で訓練をしているということなので、本番ではほとんど役に立ちません。
 いつもの状況から非常時に切り替え、非常時の対応を行うことが、本当の訓練なのではないかなと思います。
 実は、事前に避難経路の安全確認をする方法についてお問い合わせがあったので、無線機を使う方法を提案し、当研究所の無線機をお貸ししたのですが、お貸しするときに設定を間違えて、保育園さんが避難経路の確認で出動させた先生と避難に備えて待機している本体との連絡が取れなかったという問題を起こしてしまいました。
 でも、このことについても、訓練後にどのようにすれば問題が回避できたのかについての検討事例として、先生方が話し合ってくれ、どんな状況でも安全確保という姿勢はブレないなという強い印象をうけました。
 益田市内にはたくさんの保育園があり、それぞれに創意工夫を凝らした保育を行っています。
 でも、災害に備えて、しっかりと子供たちと一緒に実地で訓練をし、専門家を入れて改善点や修正点を見つけ、より安全確保をしようとしているところはそんなにないのではないかという気がします。
 保育園を選ぶときには、普段の保育はもちろんですが、こういった非常時の体制がどのようになっているのか、そしてきちんと対応するための訓練ができているかも確認しておくといいかもしれません。
今回お声がけいただきましたすみれ保育園の先生方、一緒に訓練をしてくれた園児の皆様に感謝します。

知っていること、できること

 災害対策に限りませんが、どんなことでも知っているということとそれができるということはまったく異なるものです。
 防災に関しても、多くの人は頭ではやらないといけないことは理解していると思うのですが、頭で理解しているだけで、いざというときにはまったくできていないということが非常に多いです。
 災害後によく「想定外だった」や「想像していなかった」「予想していなかった」「まだ大丈夫だと思っていた」といったコメントがほぼ必ず毎回出ているのは、頭で理解していると思っていたことができていなかったということの証明になるのではないでしょうか。
 避難訓練や災害対策のあれこれは、わかっているからしなくても大丈夫という方が結構いらっしゃいますが、知っていることとできるということが違うということを理解しておいてほしいと思います。
 頭でわかっているつもりでも、実際にやってみるとさまざまな齟齬が発生するものです。齟齬が出るからこそ、しっかりとした訓練をするわけですし、訓練後の修正点や反省点を確認したり、対策について見直したりすることをしておかなければいけないのです。
 訓練はうそをつきません。
 知っているだけではできませんし、訓練をやっている分だけは、いざというときにも体がしっかりと動くはずです。
 知っていることとできることは全く違うのだということを理解したうえで、防災活動にしっかりと参加していってほしいと思います。

災害が来る前に備える

 気象予報の精度がずいぶんと上がってきて、災害が起きると予測される精度も上がってきています。
 特に大雨や台風といった、事前に予測できる災害については、割とよく当たっているなという印象を受けます。
 よく当たる、ということは、それに対して備えることもできるということで、大雨や台風で被害が出るような予測が出ているときには、普段とは違う行動、いわゆる災害への備えをしておく必要があります。
 備えておけば、被害は最低限に食い止めることができるわけで、備えないという理由はありません。仮に何事もなかったとしても、本番を想定した練習と考えれば、次回への反省点や修正箇所が発見できていいのではないでしょうか。
 災害で怖いのは夜の間にさまざまな被害が発生することです。
 一番いいのは、絶対に雨の影響のない場所で過ごすことですが、想定で避難所を開設したり、自主避難を促したりすることはまだまだ稀ですので、自分で安全確保を考えて寝る場所を決めましょう。
 例えば、浸水するような箇所に住んでいる人は、できるだけ高い場所で寝るようにしてください。また、がけが崩れ落ちてくるかもしれない場所にお住いなら、がけから一番遠くで一番高いところにある部屋で寝るようにすれば、もしがけ崩れが発生しても巻き込まれて怪我をする確率はかなり下がります。
 これも常時と非常時の切り替えで、災害が想定されるようなときにも、非常時と考えて普段とは異なる、自分の安全を確保するための行動を取るようしましょう。
 災害が想定されるような事態は、数は増えてきているとはいえまだまだ日常には程遠い回数でしかありません。
 万が一に備えて行動することは、決して恥ずかしいことでもダメなことでも時間の無駄でもありませんので、自分の命を守るために、普段と異なるより安全が確保できるような行動を取るようにしてくださいね。

【活動報告】乳幼児救急救命法講習会を開催しました

 2023年6月1日に益田市のすみれ保育園様で乳幼児救急救命法の講習会を開催しました。
 当日は日本赤十字社島根県支部の講師さんの指導のもと、8名の保育士の先生方にご参加いただき、約1時間半に渡ってみっちりと乳児・幼児の一次救命措置について実技をしました。
 当研修会はすみれ保育園様の研修会の一つとして開催されたもので、保育士の先生方は普段の保育園の活動を考えながら、時間いっぱい、一生懸命受講されていました。
 講習会後には、定期的に受講しないとできないねというお話もいただき、やらなければできないということを体感していただけたのではないかと思います。
 日本赤十字社島根県支部様では、こういった乳幼児救急救命法や一般向けの一次救命といった研修会について職域・地域での開催も受けておられるそうなので、10人程度のまとまった参加者が確保できたら、一度相談してみるといいと思います。
 今回講師派遣を快諾してくださった日本赤十字社島根県支部の皆様、そして救急法講習会にご参加いただきました保育士の先生方にお礼申し上げます。

日本赤十字社島根県支部(日本赤十字社島根県支部のウェブサイトへ移動します)

【終了しました】救急救命講習会を開催します

来る5月21日13時から、益田市の益田スイミング様において、日赤島根県支部の方を講師にお招きし、救急救命講習会を開催します。
誰もがいつどこで必要になるかわからない心肺蘇生法やAEDの使い方などを、丁寧にしっかりと教えてもらうことができます。
普段なかなか接することのない救命法について、こういった機会を通して学んでみませんか。
詳しいことはチラシをご覧ください。
興味のある方のご参加をお待ちしております。

当日の様子はこちら

避難訓練

 避難訓練は少なくとも年に1回はやることになっているところが多いと思いますが、あなたは参加していますか。
 自治会や地区の避難訓練ではそうでもないのですが、学校や施設等の避難訓練だと、なぜか偉い人ほど参加しないという光景が見られます。
 例えば施設長や園長、校長や、担任の先生も参加せずに指示を出していることもよく見られる風景です。
 自分が目を光らせて全員を訓練に参加させるという考え方はいいと思うのですが、実際に自分もやらないと、本番では怪我したり、避難し損ねたり、場合によっては死んでしまったりすることも考えられますので、できる限り当事者として訓練に参加してほしいと思います。
 訓練参加者は、言われることではなく行動を見ています。
 偉い人が真剣にやれば、それは訓練参加者にもしっかりと伝わるので、きちんとした中身の濃い訓練になります。
 訓練の講評は、講評担当の人を毎回ランダムで選んでしてもらうか、当研究所のような防災の専門家に依頼すれば済む話なので、偉いからと傍観者にならずにしっかりと訓練に参加してください。
 新年度に入って、これから避難訓練を行うところも多いと思います。
 毎年同じような訓練になるかもしれませんが、その場所にあった知見を取り入れて行う訓練なら、必ず本番で役に立ちますから、訓練を目的にするのではなく、訓練によって得られる成果を目的に取り組んでほしいなと思います。

まずは身の安全を確保する

机の下でダンゴムシ
机の下でダンゴムシはお約束です

 防災の普及啓発をやっていると、災害に対してどんな備えをしたらいいのかと聞かれることがよくあります。
 災害に対してどんな備えをするのか、という問いに対する回答は結構難しくて、人によってさまざまな回答をすると思いますし、恐らくはどの回答も間違っていないと思います。
 筆者なら、まずは自分の身の安全を確保するための方法を身に着けることを推奨します。どんな備えでも、本人が死んでしまったら何の役にも立ちません。まずは自分の安全確保が最優先になるからです。
 安全確保とは、物理的安全、精神的安全、身体的安全になると思っていますが、災害発生時にはまず身体的安全を確保することが優先であり、そのための方法を学ぶことが必要です。
 東日本大震災の時に流行った「津波てんでんこ」は、まずはそれぞれが自分の安全を確保するための言葉です。地震に対する備え、準備、対策、水害や台風、津波に対する情報収集、準備、対策をしっかりと行っていくことが大切になると考えています。
 そして、そのための訓練は怠らないようにしてください。
 訓練はうそをつきません。
 身の安全を確保するための行動は、普段から意識していなければ行うことは難しいですので、物理的な備えを行うのと同時に、想定される被害に対して安全確保をするための訓練も、しっかりと行うようにしてください。

遊びと防災

 防災活動をしていくうえで、結構大変なのが防災に興味を持ってもらうことです。
 そのため、防災活動の普及や推進をしているところはさまざまな仕掛けを作っているわけですが、その中に遊びがあります。
 身体を動かしたり、頭を使ったり、面白がりながら楽しんで体験した結果が、気が付いたら災害時に役に立っているということになるので、有名人の講演会や座学よりも効果的なのではないかと、筆者は思っています。
 先日防災かくれんぼのお手伝いをしましたが、ここでも参加している人たちはとても楽しそうに遊びながら、いざというときの行動についてしっかりと確認していました。
 また、当研究所が子供向けにやっている研修会でも、かなり遊びを取り込んで、できる限り興味を持ってもらえるようなものにしようと試行錯誤しています。
 防災を中心に据えなくても、さまざまなところで体を動かして遊ぶこと、予測をすることというのは非常に大切な体験であり、そういった経験が、いざというときに生き残れるかどうかの差になっていくのではないかと感じています。
 季節もよくなってきました。せっかくなので外におでかけしてしっかりと、身体や頭を使って遊んでみてください。
 子供だけでなく、大人にも大切なことだと思いますよ。

【活動報告】戸田小テラコヤ海風遊舎様のイベントに協力しました

 2023年3月29日に益田市の戸田小学校において、戸田小テラコヤ海風遊舎様のイベント「防災かくれんぼ」が開催され、その中の防災パートの講師をしました。
 防災かくれんぼは日本かくれんぼ協会様が開催される防災とかくれんぼを一緒にしたもので、地震や水害での避難行動をかくれんぼしながら学べるという非常に面白いイベントでした。
 当日は当研究所が戸田小学校のある小野地区全体の被害想定をざっくりと話した後、地震では落下物から頭を守るためにかごや座布団で頭を隠しながらのかくれんぼ、水害では水中の見えない危険なものを探るソナー棒を使い、3人一組をひもで縛ってのかくれんぼを行いました。
 防災学習というとかなり堅苦しいものが多いのですが、今回のイベントのように遊びながら避難行動を身に着けることができれば、いざというときにも思い出して行動してもらえるのかなと思います。
 参加してくれた子からは「かくれんぼで隠れる場所を探すという行動と安全な場所を見つけながら避難する行動が同じだということがわかった」といった感想が出てきて、防災かくれんぼは非常に有効なのではないかと感じました。
 こういった視点で災害対策の行動が学べるというのは面白いなと思いましたので、興味のある方や内容の詳細については日本かくれんぼ協会様にぜひお問い合わせいただければと思います。
 今回お声がけいただきましたことに感謝します。

日本かくれんぼ協会(日本かくれんぼ協会のウェブサイトへ移動します)

【終了しました】「やってみよう防災キャンプ・防災キャンプ春の巻」を開催します

 来る3月25日から26日にかけて、益田市の北仙道公民館で「やってみよう防災キャンプ」と題した小学生向けの防災キャンプを開催します。
 対象は小学校3年生以上。当日は体育館を避難所に見立てて生活空間や食事作り、心肺蘇生や搬送法、防災カードゲーム、炊き出し訓練など、さまざまな体験をしてみます。
 年度末で忙しい方も多いと思いますが、興味のある方のご参加をお待ちしています。
 また、当日はお手伝いいただけるボランティアスタッフも募集しています。
 併せて、よろしくお願いいたします。