缶詰の寿命

吉賀の里の缶パン。

 缶詰と言えば、長期保存食の代表選手です。
 現在の日本では賞味期限が記載されていますが、かつては製造年月の表示で、内部の発酵で缶が膨らむまでは食べることができるというのが常識でした。
 賞味期限は「その品物がおいしく食べられる期限」のことですが、缶詰に限っては賞味期限を過ぎているものの方がよりおいしくなっていることもよくあります。
 オイルサーディンなどでは、わざわざ賞味期限切れの缶を探して買う方もいるのだとか。
 絶対大丈夫とは言い切れませんが、缶詰に限って言えば、「賞味期限切れ=食べられない」ではないということを覚えておいてくださいね。
 ちなみに、食べられなくなった缶詰の見分け方の代表的なものを少しだけ説明しておくと、

・缶が錆びている場合は中まで錆びている可能性があるので食べない方がいいです。
・缶の上下が膨らんできている場合には内部の発酵が進んでいる証明になりますので食べられません。
・缶を開けたときに異臭がした場合には食べない方が無難です。

 といった感じです。
 余談ですが、最近はパンのように液体に浸かっていない状態で缶詰になっているものもあります。そういったものも賞味期限が切れても食べることは可能ですが、賞味期限内よりは味が落ちるということも知っておいてくださいね。

非常用持ち出し袋に手袋を

 市販品の非常用持ち出し袋には、軍手またはビニール手袋がついていることが多いのですが、災害時の避難や災害後の後片付けに使おうとすると、どちらもやや心許ない装備です。
 特に最初からセットされている軍手は玉石混淆で、耐火性のある純綿手袋もあれば火気厳禁の合繊軍手もあり、同じ軍手でもまったく異なる性質のものが入っていたりして困ることになります。
 そこで、市販品の作業用手袋を一つ追加してみてはどうでしょうか。
 災害後に必要とされ、かつ不足するものの中に作業用の手袋があります。
 さまざまな作業時にしっかりとした手袋が一枚有るのとないのでは、作業効率がかなり変わります。
 作業用手袋には皮、合皮、ゴム手袋などありますが、個人的には耐熱や耐火、耐切創性の機能を持っているものをお勧めします。
 普通に買っても一つ1,000円あればお釣りがくると思いますので、軍手やビニール手袋に追加して、作業用手袋を準備しておいてくださいね。

【お知らせ】ますだすまいる通信で紹介されました

 益田市市民活動支援センター様が作成する市民活動団体情報誌の「ますだすまいる通信」の2021年2月号で当団体をご紹介いただきました。
 特定非営利活動法人の認可に伴ってご紹介いただいたもので、トップページで掲載いただき驚くやらうれしいやら。
 掲載していただいたことに感謝するとともに、まだまだこれからだと気を引き締めて活動を続けていきたいと思います。
 益田市人口拡大課様、益田市市民活動支援センター様、ありがとうございました。

【活動報告】高津小学校防災クラブを開催しました

 去る2月17日、今年度最後となる高津小学校の防災クラブを開催しました。
 最後となる今回は、「避難所はいる? いらない?」について子ども達を「いる派」「いらない派」にわけて意見交換を行い、「なぜ避難所はいるのか?」「なぜ避難所はいらないのか?」について考えを深めてもらいました。
 こちらの想像以上に子ども達はまじめに検討をしてくれ、さまざまな面白い意見を出してもらうことができました。
 最後にスポンサーから提供いただいた、吉賀の里さんが作った缶パンを一つずつ配布し、おうちでも避難や家族の合流について話をしてもらうようにお願いをし、今年度の活動を無事終了することができました。
 今回参加してくれた子ども達が災害に出会ったとき、やった内容の何か一つでも思い出してもらえたらいいなと思います。
 参加してくれた子ども達、そしてさまざまな無理難題を引き受けてくださった担当の先生に精一杯の感謝をしております。
 本当にありがとうございました。

ペットの避難の大前提

キャリーケースに入ったうちの猫。

 飼っているペットを連れた同行避難をするとき、小型犬や猫はケージやキャリーケースに入っていい子にしてくれているかどうかはとても大切なことです。
 普段から入り慣れているペットであれば問題ないのですが、そうでないペットはいざというときに大抵抗される可能性があります。
 また、入った後も鳴いたり暴れたりしてじっとしていないことも考えられ、そうなると避難所から追い出されてしまう可能性も出てきます。
 仮にペット同伴の避難所であっても、大騒ぎするペットが一匹いると全体が荒れてしまいますので歓迎はされません。
 そうならないためにも、ペットがケージやキャリーケースにおとなしく入ってくれるように普段から馴らしておく必要があります。
 避難所では、状況によっては数日から数週間、そのケージやキャリーケースがペットの家になることもありますので、きちんと入ってくれるように、また暴れないように普段からしつけておきましょう。
 また、それが苦手なペットもいると思いますので、そういったペットの場合には、避難所以外に避難できるような状況を作っておく必要があります。
 同行避難や同伴避難が認められていても、傍若無人にしてよいというわけではありませんから、他の避難者が困らないためにもしっかりとしたしつけをしておきたいですね。

あなたの安全は誰が確保するのか

 あなたの安全はあなたが確保しなくては誰も助けてはくれません。
 そのために災害対策の知識を身につけ、さまざまな訓練も行っているわけですが、ここで一つ質問です。

質問
「あなたが所属している組織のBCP(事業継続化計画)では、発災時にあなたの安全は誰が確保することになっていますか?」

 実は、ここがはっきりしていないBCPはBCPと呼ぶには不完全です。
 BCP、業務継続化計画を策定する際に重要な要素の一つが人的資源の被害対策で、人が全く介在しない組織というものは存在しないので、そこに関わる人の被害対策はきちんと明記しておかなければなりません。
 ですが、なぜか多くのBCPはここが非常に曖昧になっています。
 また、定義していても業務中に限定されていることが殆どで、通勤・登校時まで決めているところはあまりありません。 
 さらに言えば、出社・登校時に出るべき場合、出ない場合の判断にまで言及しているところがどれくらいあるでしょうか。
 その部分がはっきりしていないため、発災後に通勤・登校時に被災した人がどう行動すべきなのかが判断できず、通常と同じ行動をとろうとしてしまって混乱が発生します。
 いきなりやってくる地震だけでなく、台風や大雨・洪水といった場合に公共交通機関が止まっても出社・登校しようとする人がたくさんいることは、防災の視点から見るとちょっと異常です。
 ではなぜ通常の行動をとろうとするのかを考えてみます。
 一言で言えば、「出社・登校しないことにより被る不利益が出社・登校することにより被る不利益を上回るから」。
 出社・登校しないことにより被る不利益は無断欠勤や欠席という目に見える形で自分に直接降りかかってきます。
 でも、出社・登校することにより被る不利益は社会全体に対する影響であって、自分への不利益は表面上感じません。
 そこで出社・登校するという行動に出てしまうのです。
 そして、出社・登校することによって生じた不利益は出社や登校を命じる人にはまったく悪影響がないということで、社会的な視点を持たない組織は平気で出社や登校を促し、出てこない人にはペナルティーをかけてしまうのです。
 ではどうするのか。
 あなたの安全はあなたが確保するのは大前提なので、その行動を会社や学校が認めればよいのです。
 同じ出勤・登校下の被災でも、いる状況や環境によって発生している内容はさまざまです。
 それを全部BCPで想定して決めるのはものすごい量になってナンセンスですし、出勤・登校する人もそんな内容は覚えられないし、第一見ません。
 BCPの人的資源に対する組織の被害対策は「通勤・登校時の被災時の安全確保については各個人が責任を持つ。組織はそれを最善の行動として認める」の一文を記載すれば済みます。
 そうすることによって、社会的な混乱を防ぐことができ、面倒くさいBCPも簡単になり、出勤・登校する人も安心して自分の安全確保をとることができるようになります。
 公共インフラを守る組織は非常時には出社して公共インフラを復旧・維持しなければならないのでやむを得ないとして。社会的に何の意味もないのに無理矢理出社・登校させようとする組織はあなたには興味がないと言っているのと同じですから、所属することに対して、ちょっと考えた方がいいかもしれませんね。

緊急連絡先は紙でも持っておこう

災害時の発信で唯一通信規制のかからないのが公衆電話。これにも慣れておいた方がいい。

 最近では全て携帯電話やスマートフォンの中に電話番号が入っていて、自分で番号を選んでかけるということをしている人は殆どいないのではなくでしょうか。
 ただ、災害時には携帯電話やスマートフォンを亡くしたり、その電源が切れてしまうことがあるかもしれません。
 大規模災害の後には避難所に臨時の電話が配置されることがあるのですが、その時に安否の連絡をしようと思っても相手の電話番号がわからなければ電話のかけようがありません。
 そこで、緊急連絡先は携帯電話やスマートフォンの電話帳とは別に、紙でもわかるようにしておきましょう。
 非常用持ち出し袋に関係連絡先だけを書いたものを入れておくだけで、避難後の連絡もつけやすくなります。
 平時の個人情報の管理に不安があるのであれば、連絡先を書いた紙を折りたたんでラミネート加工しておけば、普段は目に触れず、必要な時にはそれを開ければ連絡先がわかるようになります。
 デジタルだけに頼らず、アナログでも準備しておくことで、いざというときに役に立つことも多いですから、念のため準備しておいてくださいね。

非常用持ち出し袋に求められること

 非常用持ち出し袋を作るときには、十人いれば十通りのこだわりが出てくると思うのですが、どんな非常用持ち出し袋を作るにしても一つだけ気をつけておいてほしいことがあります。
 それは、「その非常用持ち出し袋、持って走れますか?」ということ。
 非常用持ち出し袋についてはさまざまなところで書かれていますし、ここでも何度も紹介しているところですが、せっかく作っても持って移動ができなければ意味がありません。
 非常用持ち出し袋を作るときによく言われているのは男性15kg、女性10kgくらいまでとされていますが、これを実際に持ってみるとかなり重たいです。非常用持ち出し袋に詰めるときの詰め方を上手にしないと、普通に詰めたのでは背負っても歩けないかもしれません。
 そこで、非常用持ち出し袋を作るときにはその非常用持ち出し袋を持って避難しなくてはならなくなったとき、それを持って走ることができるかどうかを考えてみて下さい。重たくて走れないというのであれば、自分が背負って走れるくらいまで重量を軽くしておくことです。
 その結果、中に詰めることができなくなるものも出てくると思いますが、ある部分は割り切って考えることも重要です。
 また、小さいお子様がいる場合には非常用持ち出し袋を背負うことができないかもしれません。
 そんなときには、大きなベストを用意して、その中にさまざまなグッズを詰めておくことで、非常用持ち出し袋の代わりにすることもできると思います。
 中身をあれこれと悩む前に、まずは自分が背負って走れる重量を確認するところから始めて下さい。

暖める場所冷やす場所

人間の体温は一定の温度に保つための恒温性が働いています。
ただ、周辺環境が悪くなったりすると、寒いときには低体温症、暑いときには熱中症になって体温の調整がきかない場合も出てきます。
寒いときには暖かいところへ、暑いときには涼しいところへ移動することは大切なことですし、寒ければ服の中に空気を閉じ込める、暑い場合には風をあてることで寒暖の調整をすることもできます。
ただ、それでも寒かったり暑かったりすることがあると思いますが、そんなときには体の中の大きな血管の熱を調整することで体温を調整してみてください。
大きな血管が比較的肌に近い場所にあるところは、のどの両側、肩甲骨の間、脇の下、太ももの付け根です。
ここを暖めたり冷やしたりすることで、体温の調整を行うことが可能です。
体を冷やす場合には手のひらを冷やすことも効果的。ただ、手のひらの場合にはあまり冷たいものではうまくいかないので、氷よりは水の方がいいと思います。
体の機能を上手に使って、低体温症や熱中症を予防していきたいですね。

お部屋の安全対策を考える

 ここ最近、毎日日本のどこかで地震が続いていて、昨夜は福島のほうで大きな地震がありました。被災された方にはお見舞い申し上げます。
 大きな地震を体験していても、時間がたつと忘れていくのが人間の常ですが、これだけあちこちで地震が続いていると、いつあなたのお住いのところに大きな地震が襲ってきても不思議ではありません。
 週刊誌では首都直下型地震や東海東南海トラフ地震を取り上げてない月はないくらい煽っているわけですが、あなたのおうちの地震対策は大丈夫ですか。
 特に、普段寝ている部屋については、いつ地震に襲われてもケガをしないように対策を講じておく必要があります。

 棚やタンス、本棚の固定や万一倒れてきた場合に就寝スペースにのしかかってこない方向にしておくことなど、やっておいたほうが良いことはたくさんありますが、その中でも照明については優先的に意識をしておいてください。
 照明器具にはさまざまな形のものがありますが、揺れに対する安全性を考えると天井直付けのLED照明が一番安全です。

 天井直付けのLED照明は非常に軽量で飛散するものもありませんので、他のものにくらべるとかなり安全です。

よくある和風ペンダントの照明。傘がガラスのものもあって、結構重たい。

 ペンダントタイプの照明だと地震の際に一緒に揺れて天井などに当たり、場合によっては落下する危険性があります。蛍光灯タイプもLEDタイプも重たいものが多いので、当たってケガをする危険性がありますので、ペンダントタイプを使うのであれば、ピアノ線などで傘と天井をしっかりと固定しておくようにしてください。
 また、天付けであっても白熱球や蛍光灯の場合には割れたり折れたりしてガラスの破片が飛び散る可能性がありますので、飛散防止対策されたものを使うか、あるいはカバーなどの対策をとって落下物でけがをしないように対策しておきましょう。

直管型蛍光灯には飛散防止膜付きのものもある。

 地震の時には、部屋の中心が安全だとされていますが、部屋の真ん中の天井には、多くの場合照明が置かれていますので、お部屋の地震対策をするときには忘れずに押さえておきたいですね。