要支援者ほど早く避難しろという意味

 風水害の警戒レベル3は「避難準備・高齢者等避難開始」ということになっています。レベル4には「避難勧告」と「避難指示(緊急)」が同居していて訳がわからなくなっているということでどうやら修正がされるという話も聞いていますが、ともあれレベル3が発令されると「高齢者等」は準備ができ次第安全な場所、例えば避難所等に避難を開始することになります。
 この「高齢者等」には、高齢者だけで無く妊婦や乳幼児を含む家族、障がいを持っている人、その他避難する準備がかかる人達、いわゆる要支援者のことで、手間のかかる人は早く準備して早く避難しろというのがこのレベル3の趣旨です。
 ではなぜ普通の人よりも早く避難した方がいいとされているのでしょうか。
 何かあったときにすぐ避難できないから避難するというのは大きな理由ですが、それ以上に「早く避難して自分のスペースを確実に確保しておけ」という意味があります。
 過去に起きた様々な災害では、声の大きく元気な人ほど避難所で生活しやすい良い場所を占拠し、支援品や補給品を優先して受け取るという傾向が一貫してみられます。
 そうすると、本来は支援が必要な人達は避難所の片隅または避難所から追い出されてしまって、車や倒壊した家屋などで生活することを余儀なくされてしまうのが現状です。
 支援の必要な人が先に避難所に入って条件の良い場所を使っている場合には、いくら元気な人でも押しのけてその場所を奪い取ることはなかなか難しそうなのですが、実際には後から来た人の方がいろいろな意味で本人の状況が悪くなっているので、それを盾にして先住者を追い出すということが発生したりしています。
 大きな街ほどそういった傾向が見られるので、本当のことを考えると支援がいる人は支援がいる人専用の避難所を作ってしまった方がいいと思うのですが、いろいろと理屈をつけてそこまではしないというのが現在の行政の限界でもあります。
 そうすると、普段の生活に何らかの支援がいる人、支援があった方がいい人は早めに避難して避難所を占拠するくらいの行動力を見せないと自分たちが路頭に迷うことになってしまいます。
 実のところ、他人様に迷惑はかけられないと避難を渋る人達が大勢いるのですが、収容先のない要支援者が路頭に迷うことの方がよっぽど迷惑ですから、ひどくなりそうな気配を感じたらさっさと非常用持ち出し袋を持って避難所に避難し、良い場所を占拠してしまいましょう。
 避難所運営スタッフからスペースとして使って良い場所を確認しておけば、あとは安心して事態が収まるのを待てば良いのです。
 普通の人と同じように行動していると、要支援者はかならずひどい目に遭います。
 普通の人よりも早く動くことで、自分の安全を早く確保することができますから、準備ができたらそのまま避難するようにしましょう。
 なお、特殊な医療用設備が必要な要支援者のかたもいらっしゃいますが、そう言った人は避難所では無く、できれば被災しないであろう地域まであらかじめ避難しておく方が無難です。
 そういった事態に備えて、かかりつけのお医者様といざというときに支援してもらえる医者を決めて準備してもらうようにしておきたいですね。
 繰り返しになりますが、状況を見て早めに避難し、自分の居場所を確実に確保することが、要支援者が生き残る道です。
 他の人の動向など気にすること無く、自分が決めた避難計画に従って避難してくださいね。

低体温症を救うには

 大雨や台風の中を安全な場所へ避難しようとすると、多くの場合全身がずぶ濡れになってしまいます。
 雨風にさらされたこともありますし、道路や田畑を流れる濁流の中を移動することで、たとえ夏であっても身体は冷え切ってしまっていると思います。
 雨などの水に当たらない場所で身体の水分をしっかりと拭き取り、乾いた服に着替えれば大抵元気になっていくのですが、長時間に渡ってずぶ濡れの状態でいると、身体の熱が服についた水分の蒸発で持っていかれて体温が下がっていきます。
 身体を触ると冷たい状態が続くようであれば、低体温症を疑って対応をするようにしてください。特に高齢者や乳幼児では周囲の注意が必要です。
 がたがたと震えているようであれば、身体を動かすことで熱を作り出そうとしています。温かい飲み物を飲ませ、携帯カイロや湯たんぽを血管の集中している脇の下や鼠径部などに置いて加温してください。
 震えが止まっても意識がはっきりしない状態であれば、毛布などにくるんで周囲を暖めて安静を保ちます。
 また、低体温症が悪化すると心肺停止を招くことがあります。その場合には救急車の手配を行い、心臓マッサージをして命を繋ぐようにしてください。
 いずれにしても、可能な限り暖がとれる状態にしておく必要があります。
 よくすぐエネルギーに変わる非常食としてチョコレートがあげられていますが、低体温症の人にはチョコレートの油を溶かす熱量がないことと、分解に水分が必要とされるため脱水症状を引き起こしやすくなります。
 もし与えるのであればココアなど温かな甘い飲み物を飲ませるようにしてください。
 最後に、たばこは末梢の血管を収縮させる働きで低体温症が悪化します。アルコールも同様で皮膚の血管を広げる働きが熱を奪う効果を起こしてしまいます。
 安心すると嗜好品が欲しくなるものですが、嗜好品はしっかりと元気になってから適量を楽しむようにしてください。
 低体温症は意識していれば悪化を防ぐことのできる病気です。避難をする際にはできるだけ身体は濡らさない。もし濡れたら安全な場所ですぐに拭き取り・着替えを行うよう心がけてくださいね。

避難情報の再確認

 避難情報は現在は「レベル」で表示されるようになっています。
 数字が大きくなるほど危険が差し迫っていることがわかるようになっていて、過去の災害で「避難勧告」や「高齢者避難開始」といった言い回しがよくわからないという意見を反映したものですが、結果としてレベルだけでは緊急性が高いのか低いのか一般の方には理解されず、現在はレベルと発表情報の併用で情報が発信されています。
 ただ、この言い回しもちょっと難解な感じがするのでもっと簡単ないい方ができないのかなと考えてみました。
 一番問題になるのは、レベル3の「避難準備・高齢者避難開始」情報で、この情報、発表されて次のレベルに上がるまでには非常に間隔が空いています。
 内容は「このままの状態だと逃げる必要がある場合もありますので逃げる準備してね」という意味なのですが、この次の「レベル4 避難勧告・避難指示(緊急)」になるともう一部地域では災害が起きている状態なので、起きるか起きないかの境界線がレベル3ということになります。
 実際のところ、レベル3が出るとレベル4も出る場合が多いので、レベル3がでたら「逃げる準備して安全な場所へ移動開始」と考えると余裕のある避難ができると思います。
 このあたりはそれぞれの判断になりますのでこうしろとは言えない部分ですが、早めに逃げてしまえば少なくとも自分の命は確実に守れると言うことだけは確かです。
 避難所の開設は各市町村の防災担当課によって判断が異なるために一概に言えませんが、もしあなたが安全だとされている避難所に避難するときには、市町村の防災担当課に連絡しておくと避難所の入り口が開けてもらえることが多いようです。
 できれば緊急連絡先にお住まいの市町村役場の防災担当課の電話番号を書き加えておいてください。
 ちなみに、レベル4になると災害対応でてんてこまいになりますので、電話はまず通じません。同じ現象は消防でも警察でも起きますので、逃げ遅れたら行政機関に連絡して助けてもらうという発想は捨てた方がいいです。
 早めに行動を開始して、空振りでも怒らない。100回逃げて何も無くてもいいんです。逃げるのはあくまでもあなたの命を守るため。面倒くさいとか、今まで起きなかったからといった感覚的な逃げない理由を探さないでください。
 そういえば避難する場所についてですが、現在は新型コロナウイルスのことがあって大規模な避難所でも収容人員を押さえる方針が採られています。
 避難所はあくまでも行き場のない人に利用してもらい、つてや経済力のある人は知り合いのいる高台のおうちやホテルなどの宿泊施設を使うようにして3密を避けるようにしてください。
 また、自然災害は一度に一つしか起きないという保証はありません。
 一度に複数の災害が起きるかもしれないと考えて、それでも安全な場所を確認し、早めに避難行動を開始するようにしてください。

水平避難と垂直避難

 九州の方では大雨に見舞われて大きな災害が起きました。被災された方にはこころからお見舞い申し上げます。ただ、現在梅雨前線がまだまだ暴れそうな予報も出ているので引き続き注意が必要です。被災地を含めて、どうぞ警戒を続けていただきたいと思います。
 そこで今回は改めて水平避難と垂直避難について確認をしておきたいと思っています。本来は、水に浸からないような場所に住まいを求めるのが一番なのですが、普段の生活を考えるとそうも言っていられません。
 そのため、気象情報には敏感になっておくことが必要です。

1.水平避難

被害が起きる前にあらかじめ高台など安全が確保できる場所へ避難しておく。

 水平避難は屋外避難を行う場合の基本的な避難です。
 できうる限り安全な場所へ移動が安全にできる間に避難して、災害が起きている間はそこで身を守ること。
 例えば大雨とそれによる水害であれば、大雨警報が出た段階で水害が起きても水に浸からない、そして山が崩れたりしない安全な場所に避難してしまえば、仮に家が水没してもあなたの命を守ることができます。
 極端な話、被害が起きない地域、例えば海外などに移動して災害をやり過ごすという方法もあるのです。
 一番安全な方法ですが、移動中に被災してしまう場合もあるので、確実に安全が確保されている状態、最悪でも災害発生前には移動を完了しておく必要があります。

2.垂直避難

垂直避難は事前準備はあまりいらないが、逃げられるのは自宅の屋根の上までと言う高さ制限がある。
それを超えると流されていくことになるのであくまでも緊急避難として考える。

 垂直避難は屋内避難の場合が殆どになると思います。
 何らかの事情で水平避難ができない状態の人や、タイミングを逃して逃げ遅れた人などが、迫り来る水から逃げるため、水に襲われないであろう上層階に避難することを言います。
 この場合、避難できるのは自宅の屋根の上までになるので、それ以上水に浸かると流されてしまいます。そのため、垂直避難をすることがあらかじめわかっているのであれば、より高い位置に避難できるような準備を整えておいた方がよさそうです。

 少し前までの水害では、せいぜい数メートル浸かるといった感じでしたが、ここ最近は地球温暖化の影響があるのか、短い時間で極端な雨が降る場合が非常に増えています。
 地元のお年寄り達がよく言う「過去にはここは浸からなかった」は通用しない状況になっているのです。
 幸い、最近は気象情報がかなり充実してきています。気象庁発表を待たなくても、雨雲レーダーやアメダス、河川水位情報など、自分で判断できる情報がいろいろと公開されています。
 それらの情報を使って、ことが起きる前に安全な場所へ避難を完了しておくようにしてください。
 また、もし行政の指定する避難所や避難場所に移動するのであれば、その避難所が安全であるかどうか、そして避難所と避難場所の違いについても理解しておいてください。
 最後に、あなたの命を守るのはあなたしかいないことを忘れないでくださいね。

「災害時に便利なアプリとWEBサイト」を紹介するリーフレットのご紹介

リーフレットで紹介されているアプリの一つ「Safety tips」の日本語版の画面。
天気や避難所案内だけで無く、災害とは何かを学べる「事前学習」や
簡単なコミュニケーションができるコミュニケーションボードもついていて便利。


 他の国から来て地域に住んでいる人が、地域活動に参加されることも増えてきました。日本に住む以上さまざまな災害と無縁ではいられないのですが、顔見知りになったとはいっても、お互いの意思疎通というのは、以前ご紹介した「voicetTra」などの翻訳ソフトを使っても、なかなか難しいところもあります
 とはいえ、災害時などの緊急事態には、どのような情報をどこで見たらいいのかくらいはきちんと伝えておきたいですよね。
 このたび内閣府防災が災害時に情報を集めることのできるスマートフォンアプリとWEBサイトを紹介するリーフレットを作成しました。
 内容は、本当にアプリとWEBサイトの紹介なのですが、その国の方が使っている言語があれば、このリーフレットを渡して説明していくと理解がしやすくなるのではないかと思います。
 また、災害に対する備えが勉強できたり、コミュニケーションボードが搭載されているアプリもあって、いざというときに途方に暮れなくてもすむかなと思えるくらいのないようにはなっています。
 どこの人であれ、災害なんかで死んでいい人はいません。情報がうまく伝わらなくて逃げ遅れてしまったと言うことが起きないように、地元の集まりのときなどに、こういったリーフレットを配って、地域の安全につなげていただければと考えます。

災害時に便利なアプリとWEBサイト(多言語)」(内閣府防災情報のページに移動します)

災害時の危険ってどんなこと?

 防災関係でよく言われる言葉に「災害が発生しそうなときに危険だと思ったらすぐに避難してください」というのがあります。
 命を失いかねない状況になることだと考えると、「避難=命を守る」ということになりますので、命の守り方をしっかりと理解していないといけません。
 では、災害で起きる命を失いかねない状況を考えてみましょう。
 まずは大雨。大雨になると水路や地面が水を裁ききれなくなって越水や水没、土石流、地すべり、土砂崩れなどの土砂災害が発生し、それに巻き込まれることによって命の危険が生じます。
 対策はというと、海抜高度の低いところや川の周囲、又は川の跡、土砂災害の起きそうな場所には住まないことが一番です。とはいえ、実際のところはそこまで考えて住んでないと思いますから、危険なときにだけそれらの危険のない、海抜高度が高くて土砂災害の起きない場所に逃げておけば危険を避けて命を守ることができます。
 台風も同様で、これに風対策が追加になります。家の周りのものが飛ばないように、他からものが飛んできても被害が出ないように、例えば植木鉢やバケツなどは屋内にしまっておく、屋根の修理は早めにしておく、窓には飛散防止フィルムを貼っておくなどの準備をした上で、水の被害が起きそうなら、やはり水に対して安全な場所に逃げておくことで命を守ることができます。
 風が強いと停電になることが多いので、ランタンや懐中電灯といった照明具やカセットガスといった調理器具の準備も必要になるかもしれません。
 最後は地震。いきなり来るとは言え、大きな揺れだけでは心臓の悪い方以外で危険を感じる方はいないと思います。
 問題になるのは揺れによって発生するさまざまな被害です。例えば、家屋の倒壊、土砂災害、高いビルだと長周期振動も問題になりそうです。
 対策としたら、家屋の耐震調査をし、必要があれば耐震補強すること。家具が人のいる場所に倒れないようにしておくこと、なによりも危険な場所には住まないことです。

 「三十六計逃げるに如かず」という言葉もありますが、危なければ危なくないところへ逃げれば良いだけで、その情報の一つとして自治体のハザードマップが存在します。
 ハザードマップを過信してはいけませんが、一つの目安になるものであることは間違いありません。
 自治体が配っているハザードマップにしっかりと目を通して、避難所以外でも危険がなさそうな場所も探しておいてください。

 また、ものの特性を理解しておくこと。例えば、水は高いところから低いところへ必ず流れていきますので、水の通り道を避けて高いところへ移動すれば安全は確保できます。粘土質な土地なら、土石流や地すべりが起きやすいかもしれませんので、早めに逃げておく方がいいかなという予測ができます。

 災害なんかで死なないために、自分の身を守るための行動基準を作ることはとても大切なことです。いろいろなことを検討しながら安全に逃げられるやり方を見つけてくださいね。

自分のいる場所の周囲を歩いてみよう

 おうちや職場の周りにどんな道やものがあって、どこを通るとどこへ出て、どんなお店があるのか、あなたはご存じですか。
 家や職場などの生活空間になると、普段使ったり必要だったりする場所以外は行かないし知らないものです。
 でも、災害が発生するとそれらの情報を持っているか持っていないかでそのあとの動きがずいぶんと変わってきます。
 大通りしか知らない人は大通りしか歩けませんし、裏道や回り道を知っている人は歩く場所の選択肢が広がります。
 また、移動や避難をすることになったとき、自分の知った場所以外はイメージができませんからなかなか歩くことにはなりません。
普段から散歩をされる方は、いろいろとコースを変えてみてください。普段歩かない人は、まずは家や職場の周りを歩いてみてください。意外と知らない風景が目の前に広がってこんなところがあるんだと驚くことがあると思います。
 家や職場、そしてその間の通勤通学路だけでなく、いろいろな道を通って、周りにどんなものがあるのかをしっかりチェックしておいてくださいね。

雨の降り方と気象情報の表現方法

 テレビやラジオの気象情報などで「強い雨がふるでしょう」や「激しい雨にご注意ください」といった雨の強さの表現をお聞きになることも多いのではないでしょうか。
 実はこの言い回し、気象予報士さんが勝手に言っているわけではなく、予報用語としてこういう予報のときにはこう言いましょうというルールが決められていて、同じ雨量であれば同じ表現が使われるようになっています。
 気象庁のホームページには雨の強さと降り方についてまとめた表があるのですが、そのまま借用するわけにいかないので当研究所で作成したものを貼っておきます。
 1時間雨量と予報用語はそのままですので確認しておいてください。

 ところで、ここに書かれた1時間雨量。言葉としてはわかるのですがうまくイメージができるでしょうか。
 参考までに、日本気象協会が作成した画像をリンクしておきますので、興味のある方は確認してみてください。

動画でみる「〇〇ミリの雨ってどんな雨?」(tenki.jpのウェブサイトへ)

 以前のようにひたすらシトシトした雨が降るうっとうしい梅雨ではなく、晴れるときはからっと晴れて、降るときにはドカッと降るような妙な梅雨になっていますが、気象情報には気をつけて、行動が必要な時には早めに開始するようにしてくださいね。

子どもの通っている場所の避難計画を知っていますか

 地震やら大雨やら、毎年さまざまな災害が続いているわけですが、あなたの子どもさんが通っている学校や保育園、習い事教室と言った場所や施設の避難計画はご存じですか。
 それぞれが、発災時には子ども達の命を守るための対応を取ってくれると思いますが、そういう場所や施設は、最終的には保護者に引き渡すことが前提の計画となっていると思います。
 では、保護者はどんな状態の時にどこへ迎えに行けばこどもと無事に合流することができるのでしょうか。
 避難計画で発災後に子どものいた場所や施設に迎えに行くという計画の場合には、その場所や施設があらゆる災害から安全であるという前提がないといけません。
 まずはその場所や施設にいる人たちの安全を確保することが優先されますから、場合によっては他の場所に避難することもあり得ると思います。
 その時の避難先がどこか知っていますか。
 多くの施設はそういうときの避難先を決めていて保護者にその情報を開示していると思いますが、保護者の側はさまざまな通知に紛れて覚えていないのではないでしょうか。また、習い事などの場合には、どこへ逃げるのかについて保護者が教えてもらっていない場合もあると思います。
 そして、その場所や施設がどのような設備や資材を持っていて子ども達がどこまでなら安全に過ごすことができるのかについてもきちんと確認していますか。
 避難訓練は人の集まる施設では必ず義務づけられていますが、保護者はいつ訓練をやっているのか知っていますか。そして、その風景を見学をしたことがありますか。
 保護者が自分の安全を確保するためには、子どもの安全が確保されていることに自信が持てることが大切です。
 子どもの通っているさまざまな場所や施設の避難計画について、一度確認してみてくださいね。

雨の中の避難に関する一考察

避難の時の格好の一つ。

梅雨に入り雨が降ると、心配するのは大雨です。
雨が降っているなかでの避難で気をつけるとしたらどんなことかについて、少し考えてみたいと思います。

1.雨具

 雨の中を避難するとしたら、まず最初に必要なのは雨具です。
 傘、合羽がその代表になると思いますが、避難するくらいの雨が降っているのであれば、道路がいつ冠水してもおかしくありません。また、流れてくる水で足を取られるかもしれませんので、早めの避難以外では傘は使わずに両手を空けておいた方が安全です。
 まだしっかりと歩けない乳幼児をつれて避難するときは、できるだけ乳幼児が濡れないようにポンチョの中で抱っこやおんぶをする、クーファンの上から雨よけをかぶせるなど、ちょっとした工夫が必要となります。
 また、非常用持ち出し袋は避難時には両手を空けるという原則がありますので、基本的にはリュックサックだと思いますから、着込む合羽によってリュックサックも雨対策をしておかないといけません。
 完全防水のリュックなら大丈夫ですが、そうでない場合には、ザックカバーをかけるか、あるいは雨具をポンチョタイプにしてリュックの上にかぶせるかということになるでしょう。
 撥水程度の防水では、豪雨だと雨が縫い目などからザックの中に浸透しますので注意が必要です。
 あと、頭から垂れてくる水が目に入るとうっとうしいので、つば付きの帽子も準備しておきましょう。

2.足下

 雨の中の移動では、基本的に長靴を使う人が多いと思いますが、道路が冠水しそうな状況での避難では長靴の中に水が入って歩けなくなる可能性がありますので、できれば止めた方が無難です。
 マリンシューズが一番いいのですが靴底の厚いものは少ないので、運動靴を履いて避難するようにしてください。
 非常用持ち出し袋には換えの靴下や換えの靴を準備しておいて、避難先に到着したら冷える前に履き替えるようにします。

3.濡れ対策

 大雨の中の避難になると、合羽を着ていてもどうしても濡れてしまいます。
 そのままだと風邪を引いてしまうので、非常用持ち出し袋には必ず吸水性のいいタオルと着替えを入れておいてください。
 濡れると身体が冷えますから、羽織れるものも準備しておいた方が安心です。
 寒さに弱い方は、非常用持ち出し袋の中に使い捨てカイロを準備しておいてもいいかもしれません。
 また、着替えやタオル、使い捨てカイロなどは濡れないように密封できるビニール袋にいれておくことをお勧めします。

4.暖を取る

 避難先でなにがしかの暖かなものが飲食できればいいのですが、そうでない場合も多いと思います。
 そのため、非常用持ち出し袋には携帯コンロや発熱剤など、お湯を沸かせる道具と飲料用の水、それにほうじ茶を準備しておきます。
 避難先でお湯を沸かし、ほうじ茶を飲むことで身体がしっかりと温まります。

 暑い時期でも、雨でずぶ濡れになると身体は芯から冷えてしまいます。
 特に乳幼児や高齢者、身体の弱い方などは冷えは大敵ですので、濡れるのは仕方が無いとして、安全な場所へ移動したら、可能な限り早く水気を拭き取って暖がとれるようにしてください。
 着替えた後、お茶を飲んでも寒いようなら、湯たんぽや使い捨てカイロを身につけ、エマージェンシーブランケットや毛布にくるまって身体から熱が逃げるのを可能な限り防ぐようにしてください。
 何もないに超したことはありませんが、念のためにお手元の非常用持ち出し袋の中身が水に濡れない水害対応になっているかどうかを確認してみてくださいね。