通学路を確認しておこう

 新年度に入り、そろそろぴかぴかの一年生が入学する時期になりました。
 小学生から高校生に至るまで、徒歩あるいは自転車、一部はバスや汽車で登下校をすることになるのですが、入学する前に、登下校路を確認しておくことをお勧めします。
 学校が指定している通学路は結構前に決められていてその後「問題が起きていない」ことを理由に変更されていないことが殆どです。
 実際に歩いてみることで、通学路の危険な場所や安全な場所、いざというときに逃げ込めるところなどが確認できます。
 登下校する子どもだけで無く、親も一緒に歩いて確認しておくことで、もし何かあったときにある程度場所を絞り込むことが可能にもなります。
 その時に、以下の点に注意してみてください。

1.瓦やエアコンの室外機、看板などが落ちてこないか、ブロック塀や自動販売機が倒れるような場所は無いかを確認します。

落ちたり倒れたりするものは無いか、どうすれば安全を確保できるかを考えます。

2.人の死角になる場所は無いかを確認します。

人目につかない裏道や物陰がないかをチェックし、どこに気をつけるかを確認します。

3.交差点で待つ位置や道路のどこを歩くべきかを確認しておきます。

どのように車や自転車に気をつけたらいいかを確認しておきましょう。

5.いざというときに逃げ込むことのできるお店やおうちを確認します。

こういうステッカーが貼ってあるところは、それなりに頼りになるはず。

6.公衆電話の位置を確認します。

公衆電話の位置の確認にあわせて、公衆電話の使い方もきちんと教えておく必要があります。

 以上の点を注意してみておくことで、子どもにもある程度の注意を促すことができます。
 できれば、天気が変わっている時に複数回確認しておくと、防犯・防災にかなり役立ちます。
 新しい年度が無事に進められるように、あらかじめ準備しておくといいですね。

責任は誰が取る?

 災害対策を考えるとき、地域での「自主防災組織」の整備が脚光を浴びていますが、ちょっと考えさせられることがあります。
 それは、そもそもの自主防災組織の位置づけのことです。
 自主防災組織が立ち上げられた地域では、災害が発生しそうなときにはこの自主防災組織が組織のある地区の住民に避難を呼びかけることになっているところが非常に多いと感じます。
 新聞などで災害特集を見ると、自主防災組織が住民に避難を呼びかけるためにどうしたらよいかという記事が非常に多い気がしますが、私自身はこの考えはちょっとおかしいのではないかと思っています。
 そもそも、自分の命は誰が守らないといけないのでしょうか?
 今行われている災害への対応をどうするかという議論では、避難の実行役が自主防災組織や消防団が担わされるような方向付けになっていないかと気になります。
 本来は、「自分の命は自分で守ること」が大前提となるはずです。
 避難が難しい人や支援が必要な人に対して支援を行うというのが、自主防災組織の位置づけだったのではないでしょうか?
 通常時の避難訓練や、避難所の開設や運営などが本来の自主防災組織の仕事だと思います。
 住民に避難を呼びかけることや避難させることが設置の目的ではないはずです。
 自分が避難するためにどれくらいの時間がかかり、避難するためにはどのようなものを準備しておかないといけないのか。
 そしてどのタイミングで自分が避難を開始しないといけないのかということは、本来自分自身で考えて決めて、準備しておかないといけないことのはずです。
 ですが実際には、自主防災組織に判断を丸投げし、自分は自主防災組織に声をかけられるまでは知らん顔という人があまりにも多いような気がします。
 自主防災組織は決してその人のためにだけ作られた組織ではありません。
「自分の命は自分で守る」
 そのために自分が避難の判断をする情報の集め方や避難の仕方、そして避難所での自分の役割などを周囲の人と共有し、お互いに助け合って災害を乗り切るために作られているのが自主防災組織なのではないでしょうか。
 最近のさまざまな報道や行政の動きを見ていると、どうも何か勘違いしているような気がして、この先うまく行かなくなるのではないかと、余計な心配をしてしまいます。
 繰り返しになりますが、自分の命に対する責任は自分自身が取らなければいけません。
 「大丈夫だろう」ではなく「危ないかもしれない」という考え方で災害が起きるかもしれない時の行動を決める癖を付けておきましょう。
 何か起きたとき、悪いのは自治会でも行政でも自主防災組織でもなく「自分自身」なのだということを肝に銘じて、災害への備えをしたいものだと思います。

雨の日に散歩してみよう

 天気がめまぐるしく動く季節ですが、自分が住んだり仕事をしたりしている場所の周りの様子は知っていますか?
 晴れの日や曇りの日にはよくお散歩したりすると思いますが、濡れない、寒くない格好をした上で、雨の日にも散歩してみてください。
 晴れの日と雨の日では、見慣れた景色であっても随分と異なる感じがするものです。
 特に激しい雨が降ったときには、知っている場所なのかと思うような感じになることもあります。
 低地の水のたまり方や排水の流れ方を知っているだけでも、いざというときに役に立ちます。
 また、避難時に用意してある雨具を実際に使ってみることも大切です。
 防災士や他の人が勧めた製品だからといって、それがあなたにもあっているとは限らないからです。
 傘やカッパやポンチョ、長靴や運動靴やウォーターシューズなど、何度か使ってみることで自分の好みもわかるようになります。
また、散歩先を避難先にしておくと、雨の時にはどんな風に見えるのかイメージがしやすくなります。

 危険の無い範囲で天気の悪いときの周りの様子も確認しておいてくださいね。

災害時にこれでは困る

 緊急時に避難をするにあたっては、避難先がきちんと決められていて使えるようになっていることが大切です。
 でも、出されている情報が矛盾している場合にはどうすればいいのでしょう?
 今回はそんな困った状態を一つ指摘してみたいと思います。

 しっかりした画像データを出したかったので、今回はかなり重めです。申し訳ありませんが根拠をはっきりさせたかったので、こんなことになりました。

 この写真は益田地区振興センターの前に掲示されている避難所の位置図です。
 気づかれた方がいらっしゃるかもしれませんが、赤線で強調している避難場所はすでに存在しないところです。

 ここに記載されている益田高等技術校も泉光寺も別な場所に移転していて、この地図どおりには避難できない状態です。

平成30年度益田市防災計画の中に避難所一覧から該当部分抜粋。

上記は平成30年度益田市防災計画の中の「避難所」の一覧です。
ここには益田小学校が「避難所」として書かれています。赤線部を見て欲しいのですが、片方では水害でも避難可、もう片方は避難不可となっています。

 益田小学校の前には「災害避難場所」の表示がされています。看板奥左手の建物が、恐らく避難所として使われることになる体育館です。

 しかしその体育館入り口には「避難先は益田地区振興センター」と記載された貼り紙が貼ってあります。
 そして、問い合わせ先として益田市役所の危機管理課の電話番号が書かれています。
 ちなみに、益田市防災計画の中の避難所の収容人員は益田小学校400人、益田地区振興センターは50人です。収容予定50人の施設にどうやってあと400人も入れるのかは正直「謎」です。

益田市役所が作成したハザードマップから該当部分を抜粋。

 でもって、益田市が提供しているハザードマップでは避難所として「益田小学校」も「益田地区振興センター」も表示されています。

 いったい何を信じたらいいのやら。
 地元の人さえ分かっていればいいということなのかもしれませんが、避難してくる人は地元の人ばかりとは限りません。
 何らかの問題が起こったのだろうと推測はしますが、平成30年度益田市防災計画は平成31年3月25日付けで公開されているので、それ以前から益田小学校に貼られている張り紙(少なくとも10月には貼ってあったのを確認しています)と矛盾する内容になっています。提供する情報はきちんと最新のものにし、矛盾が無い状態にしておかなければいけないと考えます。
 もっとも、あまり災害は起きないということで、ひょっとしたら益田市は本気度が低いのかもしれませんが・・・。

2019.11.07追記 少し前に益田市役所の方に確認したところ、防災計画は年度末にその年度の防災計画として作成しているそうで、おかしな点は気がついた年度末の益田市防災計画で修正するそうです。その都度直す方がいいのではないかと思うのですが年度中途での修正はされないそうなので、これらの資料を参考にされる方は充分に気をつけてください。

簡易型感震ブレーカーを付けてみる

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 地震後、電力会社さんは被災したエリアの電源供給を止めることになっています。
 そして一軒ずつ確認して電気を復旧するのですが、通電火災を起こさないように、発災時には電気のメインブレーカーを切っておくことが必要とされています。
 可能であるならば、感震ブレーカーは電気工事屋さんに上記のような感震機能を持ったブレーカーに交換してもらうのが一番いいと思いますが、家が古かったり、借家だったり、面倒くさかったりするとなかなかそうもいかないのが現状です。
我が家も古い借家で、感震ブレーカーに交換することはできませんでした。
そこで、簡易型の感震ブレーカーを取り付けてみることにしました。

手に入る感震ブレーカーでは一番構造が単純なもの。

 今回取り付けたのはこちらの感震ブレーカー。
 構造は単純で、メインブレーカーに重りに繋がる紐をくっつけて、地震で揺れたら重りが台座から落ち、その勢いでブレーカーを落とすというもの。

材料もシンプルです。

この輪を取り付けることで重りが落ちにくくなる。

 引き金となる玉は結構重いです。台座は、震度によって大きさが変わります。一番大きいと震度6強、真ん中が震度6弱、一番小さいのが震度5強で玉が落ちるような構造になっているそうです。

 まずは台座をまっすぐに貼り付けます。台座には水平計がついているので、真ん中に空気の○が来るように調整します。
この台座と、紐を誘導する環のついた誘導装置は両面テープでの貼り付けなので、一度貼り付けたら強度が安定するように一日放置します。

 次の日、ブレーカースイッチに引っかけるカバーに重りを結びつけ、台座に重りを乗せたら出来上がり。至って簡単です。
 さすがにメインブレーカーを試験で切ると問題が発生するので、まだ試験はしていませんが、うまく作動するといいなぁと思います。

 この商品は以下のお店で調達しました。

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L字金具+ビスでの家具固定

家具を固定しようという提案をすると多くの方はL字金具+ビスというイメージになるようで「どうせ抜けるから無駄」とか「やっても役に立たない」と言われることが多々あります。
前提条件として、固定方法はできれば二つ以上の異なる方法を使うということをご理解いただいた上で、これらを使ってどのように固定するとうまくいくのかについて考えてみたいと思います。
1.まずは家具の素材を確認しよう
固定したい家具がどのような素材で作られているのかによって固定方法も変わります。まずは固定したい家具の背面を見てみましょう。
背面になる部分の外側がどのような材料なのかを確認します。
ここから見える部分が一枚板や集成材なら大丈夫ですが、パーティクルボードのような端材を圧着接着しているようなものならこの時点でL字金具+ビスの固定は無理です。揺れると簡単に抜けてしまいます。

固定に使う木の堅さによってビス留めできるかどうかが決まる

2.壁の構造材を確認する
次に固定したい壁がどんな構造物でできているのかを確認します。とはいっても、木造モルタル構造の一軒家の場合だと、殆どの場合壁紙の下は石膏ボードかベニヤだと思います。
家具をしっかりと固定するためには、この壁を構成する構造材の下にいる間柱や横胴縁にビスを打ち込む必要があります。
そのためには壁の厚さ+αの長さをもつビスと、下地を調べられるセンサー類を準備しましょう。また、電気の配線なども通っていますので、電源の位置関係も気にするようにします。

縦方向が間柱、横方向が横胴縁。壁の中はこの部分以外スカスカなのに注意。

3.L字金具の向きに注意する
L字金具を取り付ける際には、壁側のL字のビスを家具で隠すような取り付けを行います。強度を確保するため、できれば家具の両端と真ん中を止めるようにします。

L字金具の取付例。黒い金具の取付方法のほうが強度があるとされる。

 私自身は家具の床部分の手前側に必ず新聞紙をたたんだものを挟むようにしています。
 家具の重心を中央部よりも気持ちだけ壁側にすることで、他の固定方法がより活きるのではないかと考えているからです。
 家具の固定方法はさまざまです。
 今回はよく言われるL字金具+ビスでの固定方法をご説明しましたが、これで固定できない家具は案外と多いものです。
 他の固定方法については、また後日考えてみることにします。

ペットとの避難

 最近はペットが家族の一員としてなくてはならない存在になっています。
 ですが、ペットを家族の一員として考えるからこそ、そう思わない人たちとの間にさまざまなトラブルも起きるようになってきています。

 環境省の指針では「ペットは同行避難」となっていますが、そうするためには地域・飼い主・ペットがそれぞれにしておかないといけないことがあります。
 ペットをどのようにしたらよいのか、ここではそれを考えてみます。

1.事前準備として

1)避難所の受け入れ体制を確認する

最初にやっておかないといけないことは、もしも自分が避難することになったときに避難する先でペットの収容が可能かどうかを確認しておくことです。
地域によって取り扱いはさまざまですが、基本的にペットと人は一緒に収容しないことになっている場合が多いはずです。
そのとき、他にペット可の避難所があるのか、ない場合には避難先でどのようにしたらペットの受け入れが可能になるのかについて避難所の運営を行う自治会や自主防災組織にきちんと確認しておきましょう。
どうしても受け入れが不可能な場合には、どうやったら一緒に避難を行うことができるかについて検討をする必要があります。

2)予防接種や迷子札の装備をきちんとしておく

避難先が収容可能な場合でも、病気を他のペットにうつしたりもらったりしては困ります。そのため、決められている予防接種はきちんと摂取しておくことが大切です。
そして、万が一行方不明になったときに備えて、首輪などにペットの名前、飼い主の名前と住所がわかるものを備え付けておきます。可能であればマイクロチップを埋め込んでおけば、迷子になっても見つかる確率はぐんと大きくなります。

3)ケージにちゃんと入れるようにしておく

大型犬、中型犬など物理的に入れられるものがない場合を除き、基本的にはケージの中に収めて避難をすることになります。暴れないように、騒がないように、ケージにしっかりと慣れさせておく必要があります。

ケージは慣れると入っていい子にしてくれている場合が多いです。ペットに「ケージ=楽しいこと」という意識付けが必要になると思います。

4)非常用の餌とトイレを準備しておく

災害時の支援物資は人が優先になります。ペットには、基本的に人の食事を与えることが難しいと思いますので、自分のペットの食事やトイレについてゴミ袋もあわせて1週間から2週間程度準備しておく必要があります。

普段食べているご飯の方がストレスが無くてよいみたいです。

2.発災時

1)まずは自分の身の安全を確保する

 発災時にはまず自分の身を守ることを考えます。そのうえで、ペットの安全を考えてやりましょう。
 ペットを我が子と同じように考えている人は、地震が起きたときに慌てるペットを助けようとして倒れてきたり落ちてきたりしたものに当たって怪我をするというようなことが起きます。
 もしあなたが怪我をしてしまうと、残されたペットの面倒は誰が見てくれるのでしょうか。
 ペットは基本的に自分で我が身を守りますから、まずは自分の身を守ること。そして状況が落ち着いてからペットの安全を確認してください。

2)避難する場合には基本的には一緒に連れて行く

 家で飼われているペットは野に放つわけにいきません。飼い主が避難するときには、一緒につれて避難することが基本です。そのさい、事前に確認しておいた手順に沿って避難を行ってください。

3)避難所ではケージに必ず入れておく

避難所では野放しにすると他のペットとけんかが始まったり、人によってはアレルギーが出ることもあります。そのため、何か事情がある場合を除いてはケージに入れておくことになります。ただ、ケージに入れっぱなしになるとペットもストレスが貯まってきますので、適当なところでガス抜きしてやる必要があります。

ペットとの避難については、地域や理解度によってかなりの温度差があるのが実情です。
できればペット仲間やかかりつけの獣医さんも交えて、どのようにしたら自分もペットも安全に避難ができるのかについて検討しておく必要があると思います。

詳しくは環境省のホームページを確認して、いざというときにペットを置き去りにしなくて済むようにしてくださいね。

災害時避難計画はチェックシートを活用しよう

 「我が家の防災計画」を作るときに、何かフォーマットがあると便利ですよね。
 でも、いざインターネットや書籍でチェックシート確認しようとしても、かかれている内容が膨大な分量を用意するものだったり、汎用的すぎて用意するものが多すぎたり、逆に足りなかったりすることも多いものです。
 そこで、中国新聞さんが作成した「我が家の防災チェックシート」を使ってみませんか?
 避難するときに絶対に必要なものが「非常持ち出し品」としてリストアップされていますので、それを揃えた上で家族に必要なものを追加し、避難所や避難方法、連絡手段についてまとめておくととりあえずの災害時避難計画ができあがります。
 これに避難判断の時期を付け加えると、とても使えるわかりやすいチェックシートになると思いますので、ぜひ一度中国新聞さんのサイトを見て確認してくださいね。
 また、平成30年7月に起きた西日本豪雨とその後についても連載記事で丁寧に追いかけています。こちらの記事もぜひご一読ください。

中国新聞アルファ:西日本豪雨・防災情報 

<避難の参考書 自分で備える編>我が家の防災チェックシート 

災害時伝言ダイヤルを使ってみよう

 災害時に気になるのは家族の安否を知るための方法の一つにNTTが提供する「171」があります。
 これは災害時にNTTが災害時伝言ダイヤルを設置してそこへお互いの安否を吹き込み、通信回線の混雑を解消すると同時にお互いの安否を確認することを目的に作られました。
 大きな災害が発生すると、数時間以内にこの伝言ダイヤルが設置され、そこへ伝言を残すことができるようになっています。
 使い方はさほど難しくなく、被災地外でやりとりできるため電話も繋がりやすくなっているそうですので、この活用ができるように考えてください。
 ポイントは、関係者が「この電話番号を使う」ということをあらかじめ決めておくこと。
 一口に電話番号と言っても、個人が複数回線を持っている時代です。あらかじめ利用する番号を決めておかないとここでも行き違いが発生してしまうことになります。

NTT西日本作成の「災害時伝言ダイヤルの使い方」を一部改変しています。

 また、伝言ダイヤルは全体で最大300万件までの登録しかできないそうなので、同じ人が乱立させてしまうと大規模災害ではあっという間に伝言ダイヤル自体がパンクしてしまうことになります。
 毎月1日、15日には訓練用に災害時伝言ダイヤルが使えるようになっていますので、ぜひこれを使って連絡を取り合う練習をしてみてくださいね。
 また、スマートフォンやパソコンが使える環境なら、「web171」や各大手携帯電話会社が提供している「災害伝言板」への投稿も検討してみてください。
 こちらも鍵となる番号を決めておく必要は同じですが、どれかに登録しておけば、探す側はj-anpiというサイトから一括で登録情報を調べることができます。

 j-anpiは伝言板以外にもNHKの安否情報や各企業から提供される社員の安否情報なども反映されるようになっていますので、探す側にとっては伝言ダイヤルよりも早いかもしれません。j-anpiは普段から開設されているサイトなので、一度どんなものか確認してみてください。
 もっとも、心配する側は一声でも声が聞きたいものです。上手に使い分けをして、生存していることを心配している人に手早く伝えられるようにしておきたいものですね。

家具の固定を考える

 家具の固定のお話をさせてもらうと、「どうせ外れるんだから固定する意味がない」ということを言われる人がいます。
「L字金具では役に立たない」というご意見もいただきます。
 私自身は、それらの意見は正しいし間違ってもいると思っています。
 家具の固定は、震度が強くなればなるほど振動が大きくなって家具にかかる力が大きくなる。そのため固定具が外れやすくなるということが確かにあります。
 下地がベニヤ板の家だと、そこに打ち込んであるビスが振動や重さで抜けてしまうことも想定されます。
 ただ、しっかりと固定されていれば倒れるまでの時間を稼ぐことが可能です。
 活断層型の場合には長くても1分以内。海溝型でも数分程度の揺れで収まりますので、いかにかっちりと家具を固定しておくかがポイントになります。
 例えば、L字金具だけで固定したタンスは振動でビスが抜けてひっくり返るかもしれませんが、L字金具+転倒防止具を使うと倒れる確率は格段に下がります。
 大切なことは「いかに倒れるまでの時間を稼ぐことができるか」という視点を持つことです。
 最初の振動で下敷きになった場合、その後の激しい揺れで命を絶たれるかもしれません。でも、最後の振動で下敷きになったのなら、脱出することや他人の救助で助かる確率は格段に上がります。
 完全に固定してどんな振動でも動かない、倒れないのは理想です。ただ、その理想をかなえようとするとかなり大変なことは事実です。
 でも、その場所から逃げ出すだけの時間が稼げる固定なら、さほど難しくはありません。
 要は安全地帯に逃げ込むまでの時間が稼げればよいのです。
 最近はL字金具だけではなく、吸着タイプやテープ、シールタイプなどさまざまな固定具が登場しています。
 壁や床に傷をつけずに固定できるような道具も出ていますから、借家であっても諦めなくてすみそうです。
 自分の家にあった、その家具にあった固定具を考えて、できれば複数の手段で家具を固定することで、倒れるまでの時間を稼ぎましょう。