【お知らせ】安全講習会を開催しました

 2023年7月19日、浜田市三隅町の黒沢公民館で、イベント運営及び水難事故防止のための安全講習会を開催しました。
 この講習会は今年の8月11日に4年ぶりに開催されるかっぱランド夏祭りを運営する黒沢まちづくり委員会様から、久しぶりにイベントを開催することから、改めて事故防止のために必要なことを知りたいというご依頼で開催したものです。
 当日は30名近くの方にご参加いただき、30分に渡ってイベント運営と水難事故防止に必要な注意点について説明をさせていただきましたが、どなたも真剣な表情で聞いて下さり、その後に開催されたイベント運営のための各部会でも、講習の内容を反映したお話をしていただいたようです。
 実際にイベントを行う前に会場や川の安全点検や監視体制、人員配置などもされているし、過去に起きたさまざまな出来事とその対応の蓄積もきちんとされているのですが、今回、それを理屈づけたことでいろいろと納得がいったというありがたいお話もいただきました。
 今年は新型コロナウイルス感染症による規制がない夏となり、あちこちで過去に開催されていたイベントが一斉に再開されています。
 ただ、お休みしていた期間があれば、当然さまざまなことが忘れられていたり、できなくなっていたりすることもあると思いますので、こういった講習会で過去にやっていたさまざまな出来事や体験、経験を思い出していただき、本番で事故が起きないような体制はとれるはずです。
 過去からの経験値だけでなく、一般的な注意点をもう一度確認していただき、参加者が楽しめる思い出作りができる場所を作っていただければと思います。
 なお、このかっぱランド夏祭りは8月11日に浜田市三隅町下古和にある黒沢公民館を中心に開催されます。
 家族連れでも楽しめるイベントを、地元のおじちゃんおばちゃんがいろいろと準備してくれていますので、お時間のとれる方はぜひ覗いてみてください。
 また、お手伝いスタッフも募集されていますので、興味のある方は一緒に活動していただければと思います。
 このたびお声がけいただきました黒沢公民館の齋藤館長様はじめ、黒沢まちづくり委員会の皆様に感謝いたします。

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【かっぱランド夏祭り】川遊び・見守りお手伝いの募集‼(ふるさと島根定住財団のウェブサイト「しまっち!」に移動します)

川を見に行く危険と田畑を見に行く危険の違い

 大雨や洪水の時には川や田畑を見に行くと危険なので近づくなと言われています。
 ただ、川を見に行くのが危険な理由と、田畑を見に行くのが危険な理由が違っていることをご存じですか。
 増水した川を見に行くのが危険な理由は、あふれた水に足をとられて水に流されたり、誤って川に落ちたりするからです。
 では、田畑はなぜ危険なのかといえば、誤って水に浸かった田畑に落ちることはありますが、それよりも状況を見て「何とかしなければ」と動いてしまうことによって、川の時よりも高確率で足を滑らせたり、流されたりしてしまうからです。
 水に浸かった田畑は対応のしようがないのですが、それでも何かはできるのではないかとあがこうとした結果、水路にはまっておぼれたり流されたりしてしまうのです。
 川は直接の利害関係がないのでそこまで何かしようとは思わないでしょうが、田畑は自分の生活がかかっていますので見てしまうと何か手を打てないかと焦ってしまいます。
 川を見に行くよりも、田畑を見に行く方がより危険だということがイメージ的にわかっていただけるのではないでしょうか。
 水が出るところへは近づかないことが基本ですが、川よりも田畑を見に行く方がより危険だということを、覚えておいてほしいと思います。

「避難生活&住宅再建ガイドブック」のご案内

ここ最近の大雨では多くの方が住んでいる家屋への被害を受けています。
復旧や復興支援についてはさまざまなウェブサイトでいろいろな紹介がされているので細かい部分はそれぞれご確認いただきたいのですが、避難所生活と自宅の再建についての流れをわかりやすくまとめた「避難生活&住宅再建ガイドブック」がNHKから出されましたので、そのご案内をします。
被災すると、避難所生活と自宅の復旧を行うことも多いのですが、それぞれの注意点がわかりやすくまとめられていて、被災者でなくても参考になると思います。
いざというときには、どこでどのような手続きをすればいいのかや、何を優先すればいいのか、どんなことに気をつければいいのかがなかなかわかりにくいものです。
こういった冊子を利用すれば、とりあえずの優先順位や注意点はまとめられていますので、手落ちなく復旧に進むことができると思いますので、興味のある方は一度ご確認ください。

被災した時これだけは知ってほしい 「避難生活&住宅再建ガイドブック」(NHKのウェブサイトへ移動します)

水に浸かるところ、浸からないところ

 大雨が降るたびに冠水したという話が出ますが、どんな雨であれ、冠水する場所の順番はおおよそ決まっています。
 そして、そこが冠水しているのにさらに雨が降り続けているようなら、その冠水している場所が広がってきますので、どういった対応をしなければいけないのかが予測できると思います。
 水の性質として「高いところから低いところへ流れる」と「水は昔の流れを覚えている」というものがありますから、高手にいる人よりは低地にいる人が、山の上に住んでいる人よりは谷筋や平野部に住んでいる人が、雨には敏感にならないといけないわけです。
 地形を見ると、ある程度水に浸かりそうな場所や危険な場所は予測ができます。
 そして、ここ最近の大雨を考えれば、最初に水に浸かるところ、その次に・・・、といった感じで水の動きも読めると思います。
 それが理解できれば、どのタイミングで避難しなければ逃げられなくなるのか、また、雨が止んでからどれくらいで水が引くのかの予測ができます。
 これがわかると、自分が行動すべきタイミングを決めることができます。
 自分の安全管理がより確実にできるようになるということです。
 大雨はどこに住んでいても体験することは確実ですので、ハザードマップや地形図、古地図、そしてちょっとした雨の様子を見ながら、自分にとって安全を確保するための行動をしっかりと決めておいてください。

雨と避難

 大雨が降っているときに危険だから避難しようと考えるのは非常に大切だと思います。ただ、タイミングを間違えると避難している最中に遭難することになってしまうので、避難をするときには十分注意してください。
 水が溢れだして水没が始まった状態になったら、避難はかなり危険だと考えてください。その場合には、上層階への垂直避難を行います。
 ただ、低地にお住いの場合には家がきれいに水没してしまう可能性もありますので、そういった地域にお住いの場合には、他の人よりも気象情報や気象レーダーなどに注意を払っておく必要があります。
 雨だけなら、家の中にいれば問題なくしのげますが、大雨になって水が出たときに危険になります。
 お住いの地域の事情に応じて、避難が必要な場所の場合には近くでどういったことが起きたら避難を開始するのかのトリガーを、普段から観察して決めておくようにしてください。
 また、夜間の避難は相当危険ですので、夜に大雨の予報が出ている場合には、早めに高台に避難することを考えてください。

被災地に出向くボランティアに必要なこと

 災害が起きると、被災地内だけでは手が足りないので、周辺地域などに災害救援ボランティアを要請することになります。
 コロナ禍でかなり制限されていましたが、被災地にはいろいろなところからボランティアが入って、災害復旧を支援してくれます。
 もしもあなたが被災地へ応援に行くのであれば、単独であれば、まずはボランティアセンターができているかどうかを確認してからにしましょう。
 被災地では、さまざまな輩が復旧支援に見せかけて高額請求や詐欺を働いていることがあり、せっかくボランティアに出かけても、そういった連中と間違われてはいらないトラブルのもととなります。
 ボランティアセンターからの派遣は、センターがあなたの身分を保証していることになりますので、トラブルも起きにくいです。
 災害支援に長けている専門ボランティアでない限りは、勝手に被災地の復旧支援に押しかけることはお勧めしません。
 また、被災地では基本的に自給自足です。
 食事や飲み物だけでなく、場合によってはトイレも自分で用意しておく必要があります。被災地に負担をかけないためにも、全て自給自足で、当然ごみも全部持って帰るということを理解しておいてください。
 他にもいろいろとやっておいたほうがいいことがたくさんありますので、興味のある方は「全社協被災地支援・災害ボランティア情報」をご確認ください。
 余談になりますが、筆者はこれらに加えて破傷風の予防接種は絶対にしておくべきだと考えています。
 被災地での片づけで怪我をしたとき、破傷風菌に感染すると自分の命が危険にさらされます。予防接種で防げる事故ですし、一度注射すれば10年は効果が持ちますから、やっておいて損はないです。
 ともあれ、被災地に災害復旧ボランティアに出かけるときには、身体一つ行けばいいということにはなりませんので、しっかりと準備したうえでお出かけください。

全社協被災地支援・災害ボランティア情報」全社協のウェブサイトへ移動します。

雨が降るまえに点検はしておこう

 大雨になると、ほぼ毎回田畑の様子を見に行って亡くなる方が出ます。
 気になるから見に行くのでしょうが、実際に現地で見てしまうと、何か手を打ちたくなって動いてしまい、結果的に溺れてしまうようです。
 どうせ見に行っても何もできないのであれば、見に行くのは危険だし時間の無駄です。対策をするのであれば、雨が降り出す前に済ませておきましょう。
 大雨によって起きる被害は、毎回大きく変わるものではありませんから、対策も講じることができるはずです。
 雨が降るまでに対策を整え、雨が降りだしたら、後はお天道様にお任せして自分の安全を確保するための行動を考えること。
 これを徹底するようにしてください。
 大雨による大水は、自分で気をつけさえすれば安全を確保することが可能です。
 雨が降る前に対策をしっかりとしておく。雨が降ったら見に行かない。
 くどいようですが、忘れないようにしてくださいね。

大水の災害時の鉄則

 大雨や雨台風など、大水が出るような災害時には早めの避難という鉄則があります。
 お住いの場所が低地や崖の上や下、水の通り道になっている場所などの場合には、雨がひどくなるような予報が出ているときにはより安全な場所に避難を考えましょう。
 雨が降ることは予測できていますし、レーダー解析などから、その雨がどれくらい激しいのかについてはある程度予測がつきます。
 特に夜間に引っかかりそうな場合には、陽のあるうちに安全な場所に避難を完了するようにしておきましょう。
 夜間の移動は、足元が見えませんし、雨の場合には視界もききません。
 危険度はかなり高いと考えてください。
 水の災害ではほとんどの場合予測ができるので、見極めさえできれば命を守ることはそんなに難しくありません。
 普段の排水状況や雨の降り方、そして雨の予報などを確認しながら、どうやって自分の安全を確保するのかを考えておいてくださいね。

災害対策用設備を過信しない

 人の命を守ることを目的に、はるか昔から、日本ではさまざまな災害対策用の施設が整備されてきました。
 ただ、最初は人の命を守るための設備、つまり避難する時間を稼ぐためのものという位置づけから、いつのころからか財産がくっついて、「絶対に災害を起こしてはならない」となり、どのような悪条件のところに住む人であれ、命と財産を守ることを目的に整備が進められています。
 でも、自然災害というのは昔も今も人知を超えるものがよく発生しているのですが、大きな災害が起きるたびに「想定外」という言葉が飛び出すという首を傾げてしまうような会見が飛び出したりしています。
 日本は昔から災害と付き合ってきた歴史があります。そのため、その土地にあったさまざまな災害を軽減し、避難する時間を稼ぐような仕組みがあったり、揺れて壊れても簡単に修繕できるような構造を取り入れたりしていました。
 もちろん進化し続けている土木技術のおかげで、昔よりもはるかに被災はしにくくなっているのですが、それでも50年に一度や100年に一度という表現が大雨や台風で頻繁に登場しているところをみると、そういった設備は災害を起こさないためではなく、災害時に人が避難する時間を稼ぐためのものと考えておいた方がよさそうです。
 もちろんさまざまな考え方があるわけですが、安全だと言っておいて被害に遭うよりも、災害が起きるかもと考えて行動する方が自分の命は確実に守れると思います。
大きな堤防であれ、ダムであれ、法面を押さえる設備であれ、完ぺきという言葉はありません。
 もしもに備えて、きちんと安全な場所を確認し、どのタイミングでどういう経路でどこに避難するのかを決めておくようにしたいですね。

【活動報告】すみれ保育園の避難訓練の支援をしました

 去る6月23日、益田市のすみれ保育園で実施された避難訓練の支援をしました。
 この保育園は地震から津波発生に備えた大規模な避難訓練を毎年やっていて、ここ数年は当研究所もこの避難訓練の支援を行って、善かった点や問題点、改善点などを報告書として保育園に提出しています。
 この報告書は職員会議で共有されていて、毎年しっかりとした改善がされていますので、いざというときの対応はかなり的確に行われると、参加するたびに感じています。
 今年も大地震から津波発生、高台への避難という訓練を実施。総勢50名以上の園児の皆さんが、保育士の先生たちに誘導されて近くの益田東中学校に移動していました。
 保育士の先生たちは避難準備をしながら子供を見て、安全確認をしながら誘導をして、と目まぐるしく動く状況の中を的確に行動していく力量が求められます。
 こういった大規模な訓練を実地でやっていれば、訓練でさまざまな事態に出会いますから、本番でも慌てずに対応ができ、子どもの命も先生方の命もしっかりと守れるのではないかと思っています。
 今回もさまざまな改善点はありましたが、改善点は出て当たり前で、時代や状況、想定によってどんどん改善していくことで、災害に強い、命を守れる保育園になってもらえることを願っています。
 いつも聞かれるのですが、実は訓練で何も問題が出なかった方が問題です。
 訓練で問題が出ないというのは、すでに予定調和で訓練をしているということなので、本番ではほとんど役に立ちません。
 いつもの状況から非常時に切り替え、非常時の対応を行うことが、本当の訓練なのではないかなと思います。
 実は、事前に避難経路の安全確認をする方法についてお問い合わせがあったので、無線機を使う方法を提案し、当研究所の無線機をお貸ししたのですが、お貸しするときに設定を間違えて、保育園さんが避難経路の確認で出動させた先生と避難に備えて待機している本体との連絡が取れなかったという問題を起こしてしまいました。
 でも、このことについても、訓練後にどのようにすれば問題が回避できたのかについての検討事例として、先生方が話し合ってくれ、どんな状況でも安全確保という姿勢はブレないなという強い印象をうけました。
 益田市内にはたくさんの保育園があり、それぞれに創意工夫を凝らした保育を行っています。
 でも、災害に備えて、しっかりと子供たちと一緒に実地で訓練をし、専門家を入れて改善点や修正点を見つけ、より安全確保をしようとしているところはそんなにないのではないかという気がします。
 保育園を選ぶときには、普段の保育はもちろんですが、こういった非常時の体制がどのようになっているのか、そしてきちんと対応するための訓練ができているかも確認しておくといいかもしれません。
今回お声がけいただきましたすみれ保育園の先生方、一緒に訓練をしてくれた園児の皆様に感謝します。