家具を固定しておこう

 新型コロナウイルスばかりが毎日話に出てきますが、東海・東南海地震や首都直下型地震など、今後30年以内に起きるとされている大規模な地震が発生しなくなったわけではありません。
 新型コロナウイルスの話が出る前には地震ネタばかりが世間を賑わせていましたが、新型コロナウイルスが流行して以来、ぱたっと止まってしまいました。現在の報道のあり方についてこれでいいのかしらと思うこともあります。
 ともあれ、いくつかの都府県では緊急事態宣言がされたようですが、さまざまな理由で家にいないといけない状態なのであれば、重要度は高いけれど普段の生活には直接支障のない家具の固定作業をしてみてはどうでしょうか。

L字金具による固定。方法はいろいろある。

 寝室については倒れたり落ちたりするものは置かないにこしたことはありませんが、さまざまな理由でなんらかの家具を置かないといけないこともあるでしょう。
 対策としては、家具をしっかりと固定しておくことです。地震の時にそれらの家具が倒れてきてしまっては、そこからの脱出に貴重な時間を取られてしまうことになります。阪神淡路大震災では、多くの家が倒壊しましたが、倒れた家具の下敷きになり、その上家の下敷きになってしまって救助が間に合わなかったというケースがたくさんありました。
 家の倒壊は耐震補強しか手がありませんが、家具の下敷きになるのは部屋から家具を追い出したり、しっかりと固定することで防ぐことが可能です。また、さまざまな部屋にある家具をしっかりと固定しておくことで、地震の際に自分の安全を確保することができます。

突っ張り棒と固定具を併用した固定方法。複数の方法で固定する方が効果が高い。


 家から出られず、テレビ見ても気が滅入るだけですから、普段できないけれどやっておいたことがいいことのひとつ、家具の固定をしておいてくださいね。
 なお、固定が難しい場合には背の低い家具や収納ボックスに変えるという方法もあります。自分の生活スタイルにあわせていろいろと検討してみてください。

七輪でいろいろ焼いて食べてみた

 爆発的感染の一歩手前と言い続けられてはや一月。すでに飽きが来た感じの新型コロナウイルス騒動ですが、基本的には家にいろという指示は今も変わっていません。感染拡大を防ぐためには、とにかく人と接触しないように努力する必要があるからです。
 ただ、元気者の我が家の3人の研究員達も行き場がなかなかなくてストレスを貯めているようだったので、かねてから気になっていた七輪を買ってきて庭でいろいろ焼いて食べてみることにしました。
 最初の店では売り切れていたのですが、次の店で最後の1つを発見し買ってきました。一つ1,500円程度。高いのか安いのかはよくわかりません。
使う炭は竹炭を用意しました。昔においとり用に押し入れに入れていたやつの使い回しです。

 種火をつける段ボール紙の上に竹炭をのせて、点火。竹炭が思ったよりも堅いようで火をつけるのに少し手こずりましたが、無事着火。

 網をのせ、さっそく厚揚げを焼いてみます。10分くらいでいい感じに焦げ目がつきました。半分ずつ食べたのですが、お替わりの大合唱。味はいいようです。

 次は焼きおにぎりと総菜のメンチカツ。メンチカツからは揚げたときの油が出てきて、いい感じにカリカリになってくれました。

 調子に乗って野菜の天ぷらも載せてみたのですが、こちらはちょっと黒焦げ気味になりました。火力は強くないのですが、あまり相性はよくないようです。
 焼きおにぎりが焼き上がるのを待てなかった研究員達はおにぎりをさっさと食べてしまい、すでにお腹いっぱい。焼き初めから30分。焼きおにぎりがいい感じにできあがりました。しょうゆをちょっとたらして食べてみましたが、ご機嫌で食べることができました。まだ火力があったので、食後のお茶を沸かそうとやかんを載せてみました。でも、さすがに沸騰する前に燃料切れを起こして終了となりました。
 着火前の写真を見るとわかりますが、使った炭の量は100g程度で継ぎ足しはしていません。それでも一食をまかなえるくらいの火力は確保できましたから、個人的にはバーベキューコンロよりも効率がいいなと感じました。

 今回買ったのは土製の古くからの七輪でしたので丁寧に使っていたのですが、気がついたらひびが入ってしまいました。取扱説明書にはよくあることとして書かれており、ひどくなったら新しい七輪を使うようにと書いてありました。このひびが広がるかどうかは取り扱いと言うよりも運に近いのかなと感じています。
 燃焼スペースの関係で、使える燃料にはちょっと制限がありますが、少しの燃料でしっかりと調理できる七輪。値段も安いですから、一度使ってみたら面白いと思います。

情報を伝える方法

 情報を伝える方法はいろいろとありますが、大きく分けると「文字」「音声・音」「写真や動画」「五感」にわけられると思います。
 この中で一番冷静に内容を伝えることができるのは、おそらく「文字」になるでしょう。感情やリアルタイムさを感じるのは「音声・音」ですし、一目で状況を伝えられるのは「写真や動画」、そして自分の安全判断の基準としては「五感」が上げられると思います。
 日々の情報はこれらの内容を組み合わせてあなたに伝えられ、そしてそれを元にあなたの行動が決められていくわけですが、伝えたい内容と伝える手段が間違っていると、あなたが何を伝えたいのかが相手に理解されないことが起きてしまいます。
 災害発生時、避難行動をしないといけないときに自撮りをしても見た人があなたが伝えたいことを理解できるとは思えませんし、避難先でどのような状況にいるのかは、文字情報よりも写真の方が知りたい情報を見ることができて便利です。元気かどうかを確認するのなら声を聞かせるのが一番でしょうし、自分の安全確保は五感の情報を付け加えてやるとイメージがしやすくなります。
 学校や施設など、人を預かっている場所で被災した場合には、第一報は文字情報、落ち着いてから写真や動画、音声情報という風にすると受け取る側の混乱を防ぐことができます。
 災害時にラジオを使うのは、それがあなたの行動を止めずに情報を得られる道具だからですが、冷静に状況を判断するためでもあります。被災した映像や写真を見てしまうとその映像や写真に意識を取られてしまって自分の取るべき安全対策ができなくなってしまいます。また、あまりにひどい状況だと将来への希望や望みを最初から失ってしまうことにもなりかねません。
 情報は複数の経路で伝えることが基本ですが、状況に応じて適した提供方法を採るようにしたいものです。また、どのような情報であれば受け取る側が判断しやすいのかについても、支援者や保護者とお互いに確認し合って、いざというときに備えるようにしてくださいね。

おうちで仮想避難所体験してみませんか

ベランダにテントを張ってみたら、それだけで子ども達の遊び場となってくれる。
安全なときだから、一緒に練習しておきたい。

 世の中は新型コロナウイルス騒動で外出自粛となっています。とはいえ、家の中ばかりで代わり映えのしない環境にいると息が詰まりそうになるのも確かです。
 そこで、おうちで避難所ごっこをしてみませんか。ドーム型テントなどの自立式テントであれば部屋の中でも建てることが可能ですので、お部屋の中にテントを張って、仮想のおうち避難所を運営してみてはいかがでしょうか。
 例えば、初級編は「おうちの中でテントを張ってそこで寝てみる」、中級編は「非常用持ち出し袋で生活をしてみる」、上級者編は「その部屋の中にあるものだけで生活してみる」といった具合で、家族で条件を決めて実際に試してみるのです。
 家の中にテントがあるという非日常感と、安心して避難所体験ができるという面白さ、そして何よりも災害対策の経験を積むことができるということが上げられます。
家にいなくてはいけないというのですから、家の中でできることで楽しむのが正解です。
 おうち避難所ができない場合でも、普段できない部屋の模様替えや耐震補強、防災地図や避難経路の作成といった、必要だけれど普段はできない災害対策の準備はいろいろとあります。
 それらをしっかりと行って、いざというときに備えてみてはどうでしょうか。

施設利用者の緊急連絡先を確認しておこう

 4月に入りました。教育機関やスポーツクラブ、介護施設などさまざまな施設の利用者がいろいろと入れ替わる時期でもありますが、利用者の緊急連絡先についてきちんと確認が取れていますか。
 通常、申込書などの緊急連絡先を記入する場合には、電話番号を一つという場合が殆どなのですが、災害対策で考えるのであれば二つ以上、できれば第3順位までの緊急連絡先を確認しておいた方が確実です。また、緊急連絡先は電話連絡先だけでなく、メールなど連絡手段も複数確保しておくことが必要です。
 一般的にはメールやSNSということになるのだと思いますが、これらの手段を利用者から全て記入した上で提出してもらっておきましょう。気をつけないといけないのは、緊急連絡先なのですから常に連絡がつかないものは駄目だということです。例えば仕事中は携帯電話を離しているということであれば、その携帯番号は緊急連絡先にはなり得ませんので、そのことを意識して記入してもらうようにしましょう。
 また、緊急連絡先を教えてもらうのにあわせて、施設から緊急連絡先にかけるであろう電話番号もお知らせするようにしてください。緊急時にはどの番号から電話するかわかりません。もしも代表番号しか書いていなかったら、他の番号から電話をかけた場合にはくん急連絡先になっている人が不審電話と思って電話に出てくれないことも想定されます。
 ところで、災害発生後の施設の状況を知らせるのはメーリングリストやSNSが最適です。全員に知っておいて欲しいことをそれらで流すようにしておくと、電話対応に忙殺される可能性は低くなります。
 施設は利用者の安全を確保する義務が存在します。ただ、災害発生後、永続的に利用者を預かり続けることが難しいことも確かですから、相互に混乱しないような連絡体制作りをきちんと行っておきましょう。

救急箱の中身、使いこなせますか

救急セット

 救急箱。非常用持ち出し袋や備蓄品を準備するときに必ず登場するアイテムです。ただ、救急箱の中身をどのように作り、それをどう使うのかをマスターしている方はどれくらいいるでしょうか。
 個人で持てる一般的な救急用品というのは、大きく分けると外傷用と内服用とにわかれます。
 外傷用は絆創膏やガーゼ、包帯、三角巾といったもの、内服用は胃薬、風邪薬、整腸剤などといったもので、これをバランスよく収めているのが家庭用の救急箱です。家庭用配置薬などは内服用に偏っているような気もしますが、普段ならそれでさほど困ることはありません。
 さて、では災害対策用にはどのような救急箱を作っておいたらいいのでしょうか。ものすごくおおざっぱに書けば、非常用持ち出し袋は主に外傷用、備蓄品は内服用を準備しておけばいいと思います。持病のある方は、それに対する薬をどちらの救急箱にも入れておいたほうがいいでしょう。
 ただ、ここで問題となるのが持っている救急箱の中身を使いこなせるかということです。例えば、止血や包帯の巻き方をきちんと覚えていない状態でそれらが非常用持ち出し袋の救急箱に入っていてもあまり役にたちません。
 言い換えれば、救急箱の中身は自分が使いかたをわかっているものでなければいけないということです。
 せっかく準備する救急箱なのですから、それを使いこなせるようになっておくと、いざというときに自分も人も助けることができます。
 せめて一年に一度は救急箱の中身を使う練習をしてみてください。そのときに使用期限も確認し、期限切れが起きないように気をつけるようにしてください。

避難所は複数確認しておこう

国土地理院の地図における避難所と対応している災害の種類のマーク。

 災害時に避難する避難所。ひとくくりに避難所と言いますが、災害によっては避難先として使えない場合もありますので、その避難所がどんな災害に対応しているのかを確認しておきましょう。
 もしも対応していない災害があったら、その災害に対応している近くの避難所を確認しておく必要があります。避難所は、基本的には各地区で避難する場所が割り当てられていますが、割り当てられた避難所の災害特性は考えられていないので、大抵のハザードマップには注釈として「適応している近くの避難所に避難すること」という記事が書かれていると思います。
 その避難所がどのような災害に対応しているのかを確認するためには災害対応一覧表を確認しますが、ハザードマップに避難所一覧がついていれば、必ずその避難所が対応している災害の記事があるはずです。また、一番新しいタイプの避難所の看板であれば、それを見ると対応している災害が一目でわかるようになっています。

一番新しいタイプの避難所を示す看板(吉賀町・吉賀高校体育館にある表示)。
これを見るとどの災害なら避難できるのかが一目で確認でき、旅行者なども安心できる。

 先ほど少し触れたのですが、避難所は各地区で避難すべき場所が指定はされています。ですが、施設の収容人員には限りがありますので、遅れていくと入れないという場合も出てきます。その場合避難所の場所をあらかじめ調べていれば次の避難先を慌てて探さなくてもすぐに移動が開始できます。
 避難所が想定外の事態で被災することもありますし、できれば複数の避難所を調べておいて、そこへの行き方や自分の脚でどれくらい時間がかかるのかなどを調べておいた方がいいと思います。

災害対策の基本は「自助」

 災害が起きたときに、「行政が動くから大丈夫」とか「自治会や消防団が助けてくれる」といったことを言われる方がいらっしゃいまずが、それは非常に危険なことです。
 度重なる行政改革のおかげで、国、都道府県、市町村といった行政機関は通常でも人手が不足している状況になっています。災害が発生したら、とてもではありませんが対応などできる状況ではありません。
 過去の災害では、被災して行政機関の中枢が消滅したところがありましたし、職員全てが避難所支援に出向いてしまって支援物資や応援部隊を動かすための人手がいなくなっていたり、被災現場が多すぎて確認の手が回らなくなったりと、行政機関がその機能を発揮できない状況に陥っていることが非常に増えてきています。
 自治会はすでに機能不全を起こしていますし、消防団も年々団員が減少して動きが取りづらくなっています。頼りになるはずのご近所さんも高齢化や無人化で相互支援が難しい状態になっています。
 結局のところ、自分のことは自分でやるしかないという結論になってきます。「自分の命は自分で守る」という大原則を守り、それができない部分を誰かに助けてもらうようにすれば自分も周りも助かる確率が上がります。
 できるところは自分でやることが、災害対策では非常に重要になっていきます。
 衣食住をできる範囲できちんと確保しておくこと。避難すべき災害と非難するタイミングを決めておくこと。そして自力が無理なら助けてくれる人をお願いしておくこと。
 自助はそんなに難しいことではありません。できるところから取り組んでみませんか。

非常用持ち出し袋は家族一人に一つずつ準備する

 非常用持ち出し袋を作るというお話をすると、なぜか一家族で一つ準備すればいいと思う方が多いようです。
 実際のところ、一家族に一つだと、いざというときにはどうにもならないことが殆どです。少々大きなリュックサックを準備しても、家族全部の生活を養うものを持つことは非常に難しいと思います。例えば、家族4人の生活に必要とされる水は、一人一日3リットルとして全部で一日12リットル。もし3日分持って避難となると、これが36リットル、つまり36キログラムの重量を一人が背負うことになります。これは極端にしても、非常事態の対応としても、自分の命を守るためのものが特定に人に集中している事態は避けるべきだと思います。
 非常用持ち出し袋は、家族一人に一つ必要です。リュックサックを背負うことが難しい人は仕方がありませんが、リュックサックを背負える人であるなら、子どもでも年寄りでも関係ありません。自分が持てる範囲の自分の荷物をきちんと持ってもらうことが必要です。
 例えば、3歳のこどもに一日分の水や食料、生活用品まで入ったリュックサックを背負えといわれても難しいでしょうが、例えば300mlのペットボトルのお水1本と簡単な非常用食料、着替えくらいであればきちんと背負えるのではないでしょうか。自分で背負える範囲の生活物資を持つことで、万が一はぐれたとしても背負っている物資で命を繋ぐことはできます。また、少しの荷物でもわけることができれば、その分他の荷物を持つことができるので、生活環境の低下を少しでも防ぐことができます。
 家族みんなで自分が避難所で生活するとしたらどんなものがいるのかを話しながら用意していけば、きっと満足のいく非常用持ち出し袋をそれぞれが作ることができると思います。
 非常時には、自分のことは自分ですることが基本中の基本です。小さい子でも責任を持たせて準備させ、いざというときに持ち出すように話をしておくことで、仮に大人がいないときでも自分のものを持って避難することができれば、命が助かる確率はかなり高くなると思います。
 3月末、生活環境が変わるついでに、それぞれが非常用持ち出し袋を準備する機会にもしていけるといいですね。

緊急防災放送装置を点検しておこう

 津和野町と吉賀町で各家庭に配布されている緊急防災放送装置にはないのかもしれませんが、益田市の緊急防災放送装置は定期的に電池を交換する必要があります。個人的にはなぜ充電池式ではないんだろうかと思いますが、ともかく電池を交換していないと停電時に防災無線を受信することができず、「肝心な時に役に立たない」ということになりますので、きちんと交換をしておくことをお勧めします。
 確認するポイントは緑のランプです。このランプが点滅していたり消えている場合には電池を速やかに交換しておきましょう。


 詳しい電池交換のタイミングや方法については、益田市役所のウェブサイトをご確認ください。
 寿命は概ね一年だそうですから、非常用持ち出し袋や備蓄品の点検をするついでに電池交換してしまうようにするといいかもしれませんね。