【お知らせ】2021災害時外国人サポーター養成研修(西部)が開催されます。

 公益財団法人島根国際センターが主催する災害時外国人サポーター養成研修の西部開催が決定しました。
 内容は災害時の外国人支援で、災害で生じるさまざまなお困りごとを日本語のわかりにくい人達からどうやって聞き取るか、またどう伝えていくかについて実演を交えながら体験できます。
 また、サポーター養成研修とはなっていますが、サポーターになることを強制されるわけではありませんので、どのような問題が起きてどのように伝えるといいのかについて知りたい方も参加してみてはいかがでしょうか。
 開催場所や日程など、詳しくは島根国際化センターのウェブサイトをご確認下さい。

2021災害時外国人サポーター養成研修(西部会場)参加者募集(しまね国際センターのウェブサイトへ移動します)

20220120追記 新型コロナウイルス感染症の急増に伴い、本研修はweb研修に変更されました。詳細はリンク先をご確認下さい。

まずは地震に備えよう

台車で地震体験。横揺れだけでもいい体験になる。

 災害対策の中で「地震」とそれ以外にわけられるのには理由があります。
 それは「地震」はいきなりやってくること。
 他の災害ではことの大小はありますが、それなりに前兆がありますので、準備をする時間があります。
 でも、地震は突然本番がやってきて、やってきたときにはすでに結果が決まっているのです。そのため、地震対策は他の災害とは区別してさまざまな備えを行うようになっています。
 例えば、建物の耐震化。地震が来たときに慌てて耐震工事をしようと思っても耐震化は絶対にできません。事前に備えて対策していなければ、本番では家が壊れないことを祈るくらいしかできることがないのです。
 もちろん耐震化したからと言って絶対に大丈夫とは言い切れません。熊本地震のように大きな揺れが二回来たら、二回目で崩れることもあるでしょう。ただ、いきなり来た本震でその下敷きになって死んでしまうことだけは防ぐことができるのです。
 地震はいつ来るか分かりません。家にいないときかもしれませんし、お風呂やトイレ、寝ているときかもしれません。
 そのために必要な備えは、人によって異なります。
 わき水や畑に野菜がある地方と、水道やお店に頼らないといけない地方では自ずから備えるべきアイテムが異なります。
 また、周辺人口や避難所数によっても災害後の行動が変化してくると思います。
 いざというときに備えるのは必須ですが、何から準備したらいいかわからないときには、まず地震対策から準備することをお勧めします。
 今回は耐震化のことに触れましたが、耐震化できなくても家具の転倒防止や配置の変更でもずいぶんと状況がかわりますよ。


 あなたの命を守るために、あなた自身が行動する必要があることを忘れないでくださいね。

避難所の開設・運営方法を確認しておこう

 島根県では、避難所を開設するのは市町村が基本になっているようですが、災害時には職員でないと対応できない事が加速度的に増えていくので、災害時にあってはできる限り地域にお任せしたいところだと思います。
 本当は平時から避難所運営委員会を立ち上げて誰がどのような権限をもって何をするのかをしっかりと決めておきたいところですが、地域コミュニティがしっかりしているところばかりではありませんので、それを決めるところに至るまでが大変なようです。
 ただ、避難所の設営や運営について具体的にどのようなことをするのかについては、ぼんやりとしたイメージしかないのではないでしょうか。
 勘違いしがちですが、避難者はお客様ではありませんので、避難所の運営や維持について自分たちで出来ることは当然自分たちでやらなければなりません。
 避難所の開設手順や運営については、さまざまな地方自治体がマニュアルと設定していますが、今回はいろいろと見た範囲で筆者がわかりやすいと感じた千葉市の避難所開設・運営の映像をご紹介したいと思います。
 避難所の開設基準やトイレの状態、備蓄品の状態などはさまざまな自治体ごとに異なりますので全てがその通りになるわけではありませんが、必要な手順はきちんと触れられていて一通りの流れが理解できると思いますので、よかったら参考にしてください。

「避難所は住民の力で ~目で見る避難所開設・運営の流れ~」(youtubeのchibachityPRに移動します)

地区防災計画ってなんだ?

 最近防災界隈で騒がれているのが、いかにして地区の防災計画を作ってもらうかということです。
 国の防災計画と、都道府県や市町村が作る地域防災計画はあるのですが、これだけでは日本に住む全ての人が安全に避難をすることができるわけではありません。
 そこで、地区防災計画を当事者である住民に作ってもらおうというのがこの話のスタートなのですが、どうもここで規定されている地区を誤解している人がいるようなのでちょっと確認しておきたいと思います。
 ここに出てくる地区とは、例えば自主防災組織や自治会といったものではありません。もっと小さな単位、例えば集合住宅や、場合によっては各個人ごとに作る防災計画もこの「地区」に該当します。
 避難する判断や生き延びるための判断、避難先や受援方法などは、あまりに大きな単位だと条件が違いすぎて全く機能しません。
 より現実的に動かすためには、もっともっと小さい単位で同じような条件の人達を集めてその場所の防災計画を作ることが必要だと考えられているので、ここで出てくる「地区」というのは「地域よりも小さい単位」といったイメージで思ってもらえればいいと思います。
 そして、自分や近所の人がどのように行動するのかを定義することが、この地区防災計画の肝となるのです。
 その場所の災害事情はその場所に住んでいる人にしかわからないということがあります。そのため、その地域に住んでいる人達に自分が助かるための計画を作ってもらい、それを地域防災会議を経て地域防災計画に織り込んでいく。
 そのようなイメージで作るのが本筋です。
 行政機関によっては、自主防災組織や自治会などの単位で作らせようとしている動きもありますが、それでは結局地域防災計画の焼き直しになってしまい、行政が決めたルールの責任を地域に押しつけることにしかなっていません。
 基本はあくまでも小さな集団です。当研究所のある地域では自治会の組、つまり同じような地域条件で生活している5~10世帯を基本単位として作るくらい。
 お隣同士でも条件が異なるのであれば一緒にせず、それぞれに防災計画を作ることになります。
 正直なところ、個人の防災計画とどう違うんだという疑問はありますが、隣近所で話をしてみんなで行動することで逃げ残りや危険な目に遭う人を無くすことができるようにという意図もあるようです。
 お正月、ご家族や親戚が集まるこの機会に、あなたの防災計画についても見てもらって、助言をもらってみてはいかがでしょうか。
 そして、お正月が終わったら、ご近所の方と防災計画について話し合って、より安全に災害を乗り切れるようにしておくといいと思います。

みんなでつくる地区防災計画(内閣府のウェブサイトへ移動します)

みんなでつくる地区防災計画(日本防災士会のウェブサイトへ移動します)

地域を知ることから始めよう

 NPO法人には定款という活動する範囲を定めたものが存在し、その定款の範囲でさまざまなアクションを起こしています。
 当研究所の定款の中には、防災関係のものに混じって「自然体験活動」と「有害生物対策」という二つが加えてあって、恐らく他の防災活動をしている団体様にはない特徴だと思っています。
 災害対策はお住まいの地域、お住まいの場所、そしてお住まいの方によってやり方が変わってきます。同じ地域で隣り合うおうちであっても、備えなければいけない対策は異なっているのです。
 このことを理解してもらった上で対策のお話をしないと、聞いている側には内容がイメージできません。イメージできないから備えが進まないし、何かが起きたときには「こんなはずでは・・・」という方を産むことになってしまうのです。
 当研究所の自然体験活動は、地域を知るために必要だと考えて定款に加えてあり、山登りや雪遊び、川遊びなどを行っています。住んでいる地域の地質、山、森、川、海、気象条件、そして過去に起きた災害や最新のデータに基づく危険な場所まで、一緒に地域で遊びながらどのようなものかを体験し、そこから災害対策を考えているのです。
 海に面していなくても津波は来るかもしれませんし、山の中でも低い場所は大雨では浸水したりもしますが、それは地域を知らなければ体験的に理解できないことだと思っています。
 災害対策は、まずはその地域を自分の目で見て理解することがスタートです。できれば地域の人みんなでその地域で身体を使って見て回ることで、初めて災害対策の目線あわせができるのではないでしょうか。
 「そこに住んでいるから、その地域のことはわかっている」という常識はとりあえず疑ってみてください。地域で遊ぶ時間がないようなら、せめて地図を持って散歩してみて下さい。
 そうすることによって、あなたが命を守るために必要な条件が見えてきます。
 もしあなたが災害対策を本気で考えようとしているのであれば、まずは住んでいる地域を知ることから始めて下さい。
 それから、通学先や勤め先、普段よく行くところなど、手を広げていくと、いざというときにあなたが自分の命を守る前提条件を揃えることができるはずです。

大雪に備える

 今年の冬はホワイトクリスマスになるかもしれないという予測が出ていますが、その後の天気はかなり激しいものになりそうだとも予測されています。
 大雪になると、あらゆる交通が麻痺するのは予想されていると思いますので、急がない用事であれば、お出かけはしないほうが無難です。参考までに、島根県作成の動画を添えておきます。

 ところで、家にいる場合でも、停電が起きる可能性がありますが、あなたのおうちの暖房器具はどのようなエネルギー源を使っているでしょうか。
 もしも電気のみである場合には、停電に備えて冷えないための準備をしておいたほうがよいと思います。
 それなりの蓄電池を準備しておけば、電気座布団や電気毛布であれば蓄電池を使って熱を作ることができます。
 コンロがIHしかないのであれば、カセットガスコンロを準備しておくと、いざというときに湯たんぽが作れますし、調理もできて暖かいものが安心して食べられます。
 普段使いするものに少しプラスすることで、生活の質を必要以上に落とさなくて済みますので、寒さをしのぐための対策について、大雪になる前に備えておいてくださいね。

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大地震の予測と占い

 大地震が来る可能性の予測や「大地震が〇月〇日に起きます」といった占いなどが出される度に「来るぞ」といった風潮になるのが不思議で仕方ありません。
 大地震の予測は、あくまでも起きる可能性があるということで、地震の起きる確率を〇〇%と出してはいますが、0%でなければ起きるかもしれないと思えばいいだけの話で、例えば30年以内に70%の確率で大地震が起きるといっても、30%は起きないかもしれないのですから、そんなに神経質になる必要はありません。
 ただ、起きるとわかっているのですから、耐震補強や逃げる準備などは当然やっておかなければいけないはずなのですが、騒いでいる人達は案外と備えていないのではないでしょうか。
 「また外れた」といって喜んでいる人もいますが、まずはご自身の備えを確立して、その上で怖がったり喜んだり楽しんだりしていただければと思います。
 日本列島に住んでいる以上、地震はどこにいても必ず遭遇します。規模の大きなものに出会う可能性も高いと思います。
 ここまでさまざまに「起きる!」と言われているのですから、起きた後の「想定外」はあり得ません。
 自分自身が生き残り、生き続けることができるための備えを、きちんとしておくようにしてください。

避難時にはお湯も持って行く

 災害で避難をしなくてはいけなくなったときに、避難グッズとしてあったほうがいいなと思っているものの一つに「お湯」があります。
 一時的に避難を行う避難場所は、単なる場所の提供なので自分に必要なものは自分で持って行く必要があるのですが、避難場所で暖かいものを食べたり飲んだりするのはかなり困難です。
 場所の提供なので、居所だけで火気厳禁という場所が非常に多く、火を使うことが許されているとしても、大勢の避難者の前で火を使っているとなんらかのトラブルに巻き込まれる可能性が高くなります。
 そこで、避難するときにもし余裕があるのなら、保温できるタイプの水筒にお湯を入れて持って行くようにしてください。
 不安や緊張は暖かいものを摂取することでかなり緩和されます。お茶やコーヒーを作ったり、インスタントラーメンを食べるときにも役に立ちます。
 また、寒いときにはペットボトルに注ぐことで簡易な湯たんぽを作ることもできますし、使わなくても水に戻るだけなので使い勝手がよいです。
 避難時の飲料としてお水を持って行くことは多いと思いますが、もし余裕があればそれに追加してお湯を持って行くと、いろいろと役に立ちますよ。

応急処置ができますか

あっぱくんを使った心臓マッサージの訓練。
保育園年長組でも、技術があれば大人の心臓マッサージをすることは可能。

 年末になって、いろいろなところで事故やけがをしている場面に遭遇することがあると思いますが、あなたは応急処置をすることができますか。
 例えば、ひどい出血をしている人や心臓が停止している人に処置ができるだけで、その人の生存確率は格段に上昇します。
 救急車や医師が到着するまで命を繋ぐことができれば、あとは専門家がなんとかしてくれます。
 救急車や医師は、死ぬか生きるかの瀬戸際の人を救命することはできるかもしれませんが、死んでしまった人をよみがえらせることはできません。
 つまり、その場にいる誰かが専門家が到着するまでの命を繋ぐ必要があるのです。
 怪我の手当は無理でも、心臓マッサージなら誰でもできます。たとえやる人が子どもであったとしても、やり方を知っていれば心臓マッサージをすることはできるのです。
 どんなことでも構いません。あなたが誰かを助けるために、何か一つでもいいので応急処置の技術を身につけておいてください。
 それが土壇場で誰かの命を救うことになります。

災害時に助けてもらえる人になるには?

 災害時に助けのいる人達については、各地区の作る地区防災計画の中の個別避難計画により対応を決めることになっています。
 とはいえ、地区防災計画が作られていないところが圧倒的に多いですし、個別避難計画についても同様で、作らないといけないのはわかっていても、対象者が多くてなかなか先に進まないというのが実際のところなのかなと思っています。
 でも、何もしないままでは災害時に助けてもらうことはできませんから、なにか助けてもらうための手立てを考えておく必要があります。
 今回は災害時に助けてもらうためにはどうすればいいかを考えてみたいと思います。

1.存在をアピールしておく

 同じ町内に長いこと住んでいても、意外と知らない顔がたくさんあるものです。
 そして災害時に知らない人は絶対に思い出してもらえませんから、まずはあなたの存在をアピールしておくことが大切です。
 そのためには、天気の良い日だけでいいので近所を散歩し、出会った人には必ずあいさつをして何か一言添えること。
 話の時間の長さよりも、話をした回数で人を覚えるという方は多いのではないでしょうか。
 ちょっとした会話をすることで、相手があなたに興味を持ってくれ、近所に住んでいることを認識してもらえば、第一段階は完了です。

2.助けて欲しい内容を整理しておく

 一口に「助けてほしい」と言っても、それだけでは助ける側は何をしたらいいのかがわかりません。
 1から10まで全部やらされると思うと、誰でも面倒くさいと感じるのでは無いでしょうか。
 そのため大切なのは「自分で出来ることとできないことを整理しておくこと」です。
 例えば、外は歩けないけれど家の中の移動はできるというのであれば、いざというときには玄関まで出ているから避難をさせてほしいと具体化すると、助ける側は何をすれば良いのかわかるので手伝いがしやすくなります。
 また、あなたが出来ることによっては、助けてもらいたいあなたが誰かを助けることができることがあるかもしれません。
 繰り返しますが、できることとできないことを整理してできない部分を具体化し、それを助けてもらうように伝えるようにしましょう。

3.助けて欲しい人に声をかけておく

 無理にご近所でなくてもいいかもしれませんが、いざというときに備えて、自分が助けて欲しい人にあらかじめ助けて欲しいとお願いしておきましょう。
 一人では無く複数の人に頼んでおくと、助けてもらえる公算が高くなります。

4.助けてあげたいと思う人になる

 これが一番重要で、一番難しいところなのですが、周りの人が気になって助けてあげたくなる人になっておくと、何か起きたときに真っ先に気にしてもらえます。
 毎日のほんのちょっとしたことで好感度を上げておくと、いざというときに助けてもらえます。

 他にもいろいろとあるとは思うのですが、共助で考えると、どうしても地域の他の人との良好な人間関係を作っておく必要があります。
 さまざまなしがらみがあっていろいろと難しい部分はあると思いますが、少しだけで良いので周りが助けたいと思うような人になれるといいですね。