3月16日の夜に宮城県や福島県を襲った震度6強の地震ですが、被害に遭われた方にはこころからお見舞い申し上げます。
今回のように大きな地震では、揺れが収まったらいったん建物の外に出ることが安全確保に必要だとされています。
そのため、人の集まる施設や宿では避難経路図が作られていて、その経路図に示された経路は安全に避難ができるように他の場所よりも注意を払って管理がされています。
では、あなたのおうちでは、地震後の屋外避難をするとき、どの経路を使って外に出れば安全を確保できるかを理解していますか。
小さかろうが狭かろうが、避難経路がきちんと確保されているかどうかの確認は家族みんなでやっておくことをお勧めします。
ものが多いおうちでは、どこもかしこもすっきりと片付けることは難しいと思います。でも、避難経路に指定した場所だけを意識して片付けるのであれば、そこまで難しくは無いと思います。
また、避難経路を考えることで思わぬおうちの問題に出会うこともありますから、こういった点検は定期的にやって、避難経路にものが置かれていないかなどをしっかりと確認しておいてください。
余談になりますが、耐震補強や耐震建築物と呼ばれている建物は、震度6強から震度7に耐える構造になっていますが、それは1回被害にあっただけの場合です。
2回目以降は倒壊しないという保障がありませんので、耐震補強や耐震建築物であっても、いったんは建物の外に逃げて様子をみたほうが良さそうですよ。
カテゴリー: BCP
【終了しました】【お知らせ】サヒメルで「あなたのとなりのエイリアン展」が開催されます。
当研究所では有害生物対策をメニューの一つにあげていますが、では、有害生物というのはどのようなものかご存じですか。
読んで字のごとく、有害生物は人に不利益を与えて害をなす生物の総称なのですが、この有害生物の中には外来種が含まれています。
日本の生態系を破壊することから、これら外来種は積極的に駆除しなくてはいけないことになっており、アライグマやヌートリアなどは基本的にその場で処分が義務づけられています。
また、河川敷などでよく見るオオキンケイギクやアメリカセンダングサなどっもこの外来種のカテゴリーに含まれる生物です。
ただ、ぱっと見てもそれが日本の在来種なのかそれとも外来種なのかは判別がかなり難しいと思います。
そこで、3月19日から三瓶自然館サヒメルで開催される企画展「あなたのとなりのエイリアン」をぜひ見学して下さい。
この展示ではさまざまな外来種が紹介されていて、みるだけでも相当知識を得ることができ、山歩きなどをする人にとってはかなり参考になると思います。
5月29日まで開催しているそうなので、外来生物をしっかりと覚えていただき、見つけたら適切な処分を行えるようにしておきたいですね。
「あなたのとなりのエイリアン」展(三瓶自然館のウェブサイトへ移動します)
避難所と避難場所
避難所と避難場所。一文字違いですが、内容はずいぶんと異なる性格を持っています。ただ、この二つ、普通の住民だけで無く、災害担当をしている行政職員でもごっちゃになっているケースがあり、ややこしい問題が大規模災害の後で毎回起きています。
では、この二つはどう違うのか。
避難場所は災害が発生しそうな状況から災害が収まるまで、自分の安全を確保するための場所です。場所と書かれているとおり、必ずしも施設の中というわけでは無く、公園や大きな駐車場、校庭といった場所もよく指定されています。
そして、避難所は、災害によって何らかの事情により生活を送るべき場所が失われてしまった人が新しい住居が見つかるまでの仮の生活空間として準備されるものです。
そのため、避難所は施設が指定されています。
ただ、避難所で生活するにはかなりの気力と体力が必要だということに、いい加減に気づいて欲しいと思います。
というのも、日本の避難所には基本的にプライバシーは無視されています。他人の視線を遮るような布や生活空間を仕切る段ボールがあったとしても、自分がほっとできる空間を作れているわけではありません。
最近の新型コロナウイルス感染症のおかげでようやく避難所内に家族で過ごせるようなテントが配備されるようになってきましたが、基本的には24時間自分の行動が誰かの目にさらされているということになります。
知らない人の目があるのに毎晩ぐっすりと眠れる人はそういないと思います。結果として、睡眠不足による活動量低下が起きてしまいます。
それから、食事の問題。
気力や体力を維持するためには温かな食事は必須なのですが、実際のところはおむすびや菓子パン、油ものたっぷりの配給弁当という冷たい食事のローテーションが行われていて、仮に避難所に台所があったとしても、食中毒を恐れて避難者に調理は一切させないというのが現実です。
せめてキッチンかーなり炊き出し班なりが毎食作ってくれれば良いのですが、資金、場所、資材、そしてさまざまな平時の法規がその手の活動を妨害しています。
「避難者に贅沢をさせると避難所から出て行かない」ということを言われる偉い人がいますが、避難者は誰も避難したくて避難しているわけではありません。
仕事がなくなったり、住む場所が再建できなかったりといった、事情を抱えて行き場のない人達が最後まで残るだけなのです。
自分だけの安心できる空間と睡眠、そして暖かでおいしい食事。これが的確に供給されれば、今のような避難所地獄は消えていくのではないかと思っています。
そうでなくても年をとると環境の変化に弱くなるのですから、気力や体力がきちんと維持されるような対策を平時にしっかりと行っておきたいですね。
災害とパニック
火災や緊急事態を題材にした映画やドラマでは、ほぼ100%パニックが起きる描写がされていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
試しに、大きな地震の場面、または大規模な火災に遭遇した人達を撮影した映像を探して見てみて下さい。
そこに映っているのは、パニックになって我先に逃げ出す人では無く、お互いに顔を見合わせたり状況を確認するために周囲を見回したりする人が殆どだと思います。言い方を変えると、ほぼ100%パニックは起きていないことがわかります。
個別には、出入り口に人が殺到したりすることはありますが、概ね落ち着いた雰囲気で避難を行っているものが殆どで、どちらかというと、その場で地震の感想やお互いの 安否確認が始まったりして、すぐに安全確保をしないことが問題になりそうです。
もちろん地震が起きると怖くて泣いてしまう人はいると思います。
ただ、それも全体から見るとごく少数。多くは冷静に状況を見ているか、もしくは茫然自失、あるいはちょっとした興奮状態になっています。
施設管理者や避難誘導担当は、パニックになるかもと情報を規制してしまうことが多いみたいですが、実際には正しい情報を伝えても案外と冷静な判断をしてくれるものです。
逆に正しい情報が与えられない方が混乱を生み出すことになると思います。
怖いのはパニックでは無くて情報不足による判断の停止ですので、パニックを本当に防ごうと考えているのであれば、積極的に正しい情報を提供することをお勧めします。
ちなみに、正しい情報というのは「現在は状況がわからない」というのも含みます。
今、施設管理者や避難誘導担当者が把握している情報はさまざまだと思いますが、憶測では無く現在把握できている範囲の情報をきちんと整理できるような、そういった訓練をしておくといいと思います
広域避難の受入先を準備する
大規模災害により被災地域での生活が困難になると、生活に支援のいる人達は被災地外へ広域避難をすることになります。
ただ、田舎から大都市へ避難する場合には都市にある様々な施設で人を受け入れることが可能なのですが、その逆が起きた場合、田舎では都会の被災者を受け入れる能力がありません。
食料にしても、住居にしても、その他の物資にしても、そもそも流通線が細いので被災者を受け入れても共倒れになってしまうのがオチです。
まったく影響のない地域まで分散避難できればいいのかもしれませんが、輸送手段を考えるとかなり厳しい気がします。
広域避難の想定は、現在は主に原子力発電所が被災して放射性物質が漏れ出した場合のものとなっていて、多くても数万人程度の避難計画ですが、訓練の結果、これでもかなり問題が起きることがわかっています。
広域避難するなら、とにかく早く避難して落ち着き先を確保することが大切です。
例えば、どこかの田舎と交流してみるとか、知り合いを作っておくとか、もし自分が広域避難することになったとき、受け皿となってもらえるような場所の準備をしておくようにすると、いざというときに安心できます。
【活動報告】第2回外遊びごはんの会を開催しました
コロナ禍で知らない子ども達との遊び方や身体を動かした外遊びの楽しみ方、ご飯づくりや人との一緒に食べるご飯の楽しさを思い出してもらおうと企画したこのイベントも第2回目になりました。
前日に生じたとある事情から参加できなくなった子ども達のキャンセルが相次ぎましたが、総勢12名で無事に開催にこぎ着けることができました。
当日は、ご挨拶の後でビニール袋を使ったご飯を炊き、それからブルーシートと木がらを使った秘密基地づくりとレトルト野菜とサバ缶で作ったサバカレーに別れて活動を行いました。
子ども達は合間を見て野球のようなものをしたり、おにごっこをしたり、出来上がった秘密基地で寝転がったりと思い思いに時間を過ごしてくれていました。
カレーに添えるサラダとして、お菓子のじゃがりこを使ったサラダを各自で作ってお昼ご飯に食べましたが、意外においしかったという感想をたくさんいただきました。
昼からも野球のようなものや鬼ごっこなどをして過ごし、中には木がらと紐、それに養生テープを組み合わせて弓矢を作る人まで現れて、ちょっとしたアイデアでいろいろなことができるんだと感心しました。
少し肌寒い中ではありましたが、今回も無事に終了することができました。
参加できなくなった子ども達、事情で参加できなくなった子ども達、保護者の皆様、スタッフの皆様に厚くお礼申し上げます。
次回は3月13日、今回の外遊びごはんの会の最後になりますが、怪我がなく無事に終わることができることを願っています。
災害時に胸を張って助けてもらうには
災害が起きたとき、さまざまな理由から自分一人では自分の命を守ることができない人がいます。
そういった人達を災害死から守るため、災害時要支援者個別対応計画を策定する努力義務が災害対策基本法に明記されました。
法律に書かれていなかったとしても、可能な限り人の命は守られないといけませんが、災害時に助けてもらうのは抵抗があるという人もいると思います。
でも、災害時に自分一人で何とかしようとして結局命が失われると、さまざまな場所にそれが影響してきます。
助ける側はただ助かって欲しいと思って手をさしのべるので、助けてもらう人が卑屈になる必要はまったくないのですが、かといってふんぞり返ってもよくありません。
安心して助けてもらう、安心して助けることができる、そういった関係を作らないといけないのです。
では、どうすれば災害時に自分が胸を張って助けてもらうことができるのか。
まずは助けてもらう人は自分の命を何が何でも守るという意識を持つことです。
助けてくれる人はなんとかして助けようとしますが,助けてもらう側が助けることに抵抗すると、それだけで貴重な時間が失われてしまいます。
「死ぬ」という行為はその人の権利だとは思うのですが、原因が災害なのは駄目です。災害では死んではいけません。何が何でも助かって生き抜いて下さい。
次に、助けてもらう人が自分にできることを自分でやることです。自分にできない部分を助けてもらうのです。
例えば、歩けない人でも家の中で移動して玄関口までは出られるかもしれません。それなら、助ける人に玄関まで迎えに来てもらえばいいので、お互いに時間を無駄にしなくて済みます。
助ける人は何を助けて欲しいのかがわかりません。だから、助けてもらう側が助けて欲しいことをきちんと伝えないと、一から十まで助ける人がすることになります。
もしも自分で何もできないことがわかっていれば、助ける人を増やすとか、来てもらう優先度を上げてもらうとか、やりようはいろいろとありますので、できることとできないこと、やってほしいことをきちんと助けてくれる人に伝えておきましょう。
助ける人に段取りがあることはみんなわかっていると思いますが、助けられる側こそ事前の段取りをしっかりとしておく必要があるのです。
生活ゴミをどうするか
防災訓練などで炊き出しを受けたことがある方は、使用後の使い捨て容器の山を見たことがあるのではないでしょうか。
普段の生活の中での一コマなので別に構わないとは思うのですが、防災訓練という看板をつけての訓練の光景だと、少しだけ違和感を感じることがあります。
災害時にはさまざまなゴミが大量に発生します。そして、そのゴミの処分先も被災していることが多く、ゴミ処理は結構大きな問題になってきます。
特に生活ゴミは、人が生活する以上は必ず発生するものですし、できることはせいぜい発生するゴミを減らすか、大きさを小さくするかという方法しかありません。
食事に関するゴミは、食中毒対策として使い捨て容器を使うことが一般的なので、短い期間でも大量に発生します。
分別し、重ねたり圧縮したりすればしばらくはなんとかなりますが、各自が勝手に捨てていては、あっという間にゴミ屋敷状態になります。
現在のコロナ禍ではあまり炊き出し訓練はされないと思いますが、本当は食べた後のゴミをどう処理するかまでを訓練項目に加えておかないといけないのではないでしょうか。
さまざまな防災テクニックでゴミの嵩を減らす方法は宣伝されていますが、実際にやってみないとイメージがわかないと思います。
実際に一回のゴミの量を確認し、ゴミをどのように区分してどこへどのように保管し、どうやって処分するのか。
大規模災害の現場を見ると、そういった衛生環境の維持についてもしっかりと取り決めておいた方がいいのではないかと思っています。
窓ガラスとカーテン
窓ガラスからの光などを遮るために、カーテンやブラインドなどが設置されているおうちは多いのではないでしょうか。
地震や台風などで窓ガラスが割れたとき、破片が室内に飛び散らないように、できるだけ窓の室内側にはカーテンやブラインドなどをしめておいたほうが安心です。
採光が気になるようなら、レースカーテンやブラインドの波根の角度の調整などをとり、ガラス単体で居住空間に面することがないようにしておいてください。
もちろん、窓に飛散防止フィルムも貼ることも重要です。
断熱フィルムや遮光フィルムでは、ガラスの飛散防止に充分な効果は得られませんので、貼るときには注意が必要です。
予算が無かったり、採光がどうしても欲しいという方は、大きめのビニールハウス用シートなどを窓ガラスの室内側に天井から一枚垂らしておくとよいとも思います。
地震や台風などで起きる怪我のうち、ガラスによる怪我というのは割とよく発生するようです。
怪我をすると動きが取れなくなることもありますので、窓ガラスの飛散防止対策については気をつけておいて欲しいです。
凍らせたペットボトルを準備する
飲み終わったペットボトルに水道水を入れて冷凍庫で凍らせておくといろいろと便利です。
保冷剤に比べると経費がかかりません。使用済みのペットボトルと水道水なので、割といくらでも手に入る材料です。
そして、溶けたらそのまま飲料水に使うことができます。
特に夏場などだと、クーラーボックスに入れておいて全体を冷やし、それが終わったら冷たい水として飲む。
そうすると帰りは荷物が軽くなってご機嫌です。
我が家では夏場は数を増やして用意しておき、涼しくなってきたら本数を減らしていますが、増減が簡単なので非常に助かっています。
また、停電時に冷蔵庫の上部に入れておくと、しばらくの間冷気を維持してくれます。冷凍食品などを使うことはよくありますが、凍らせたペットボトルは、溶けた後も飲料水や生活用水にそのまま転用できるのが便利です。
他にも発熱時にタオルを巻いて大きな血管を冷やしたり、暑い日の停電では、蓄電式の扇風機と組み合わせることで簡易冷風扇が作れたり、およそ冷やすことが必要なものには使うことができます。
500mlのものを一本作っておくといざというときに重宝しますので、冷凍庫に余裕があるときにはやってみると便利だと思います。