災害が起きると、断水や停電、浄化槽や下水道管の破損などでトイレが使えなくなるケースが結構多いです。
トイレが使えない状態なのに無理やり使うと、トイレの中は大惨事になってしまいますので、できるならトイレがちゃんと使えることが確認できるまでは使用を禁止するようにしてください。
そうなると必要になってくるのが仮設トイレや携帯トイレ。
ただ、個人や自治会、自主防災組織などで準備はしていても、これを組み立てたり使ったりすることはほとんどないのではないでしょうか。
普段使っていないものは、いざというときにも使えませんので、防災訓練のときには実際に使ってみてください。
また、避難所で設営が必要な仮設トイレは、訓練のたびに出して組み立て、使いかたをしっかりと確認しておくことはとても大切です。
トイレは我慢ができません。そのあたりに穴を掘ってすることにしてしまうと、周囲の衛生状態に深刻な問題が発生します。
災害時のトイレ設営は最優先されることの一つなのです。
いざというときに慌てなくて済むように、携帯トイレの準備、そして実際に使ってみること。
仮設トイレは実際に組み立てて、これも使ってみること。
この部分の訓練は手を抜かないようにしたいですね。
カテゴリー: 避難所運営
避難所支援で必要なもの
避難所ではさまざまな物資が欠乏することが多いのですが、これは時期によってどんどん変わっていくもので、情報が出されたときにはすでに充足している場合もかなりあります。
SNSで支援要請を行うときには「いつ時点」という表記を入れるようにするということがだいぶ浸透してきてはいますが、正直なところ「もの」を送るという行為に対しては素直に喜べないなと思うところがあります。
もちろん支援物資を抱えて自力で被災地に持ち込み、そして被災者に直接配布するのであれば、必要なところを探して回れますので、物資の配布という点だけなら、極端に大きな問題にはならないと思います。
ただ、「〇〇が不足」という情報を元にしてその「〇〇」を宅配便などで送りつけるのは止めた方が無難です。
これを行うと、そもそもいつ届くかわからない上に被災地までの物流に極端な負荷をかけることになり、届いた後は被災地での配布で人的・場所的資源を取られてしまいます。正直なところ、届く時期が「未定」や「1週間程度」となっている場合には送らないほうが無難です。
善意から出た行為が現地の負荷になってしまっては何の意味もありませんので、それを考えた支援が必要だと思います。
足りない物資を届けたいなら、自分で買い付けて自分で送る必要はなく、例えばアマゾンの「ほしいものリスト」などを選択して送ることは一つの手です。
また、被災している行政機関や支援団体に現金を寄付するのも手です。
例えばある避難所で水が足りないからと言って、被災地全体に水が足りないとは限りません。別の避難所では水が余っているのかもしれません。
そういった調整をせずに水が避難所に送り付けられる頃には、水の余っていた避難所から水が届けられて充足していて、あとは届いた大量の水が倉庫や保管場所を圧迫するという状態になってしまいます。
こういった事態を防ぐために現地で支援物資の調整を行っているのが被災している自治体や支援団体ですので、そういった人たちに支援金が届くと、かなり効果的にお金を使ってもらえます。
避難所支援というとどうしても物資に目が行きがちなのですが、それを届けるための物流や保管場所がどうなっているのかについてもきちんと確認してほしいと思います。
仮設トイレで気を付けること
大きな避難所になると、トイレ問題を解決するのに仮設トイレが設営されることがありますが、その時に意識しないといけないことの一つに、男性と女性の入り口を分けるというものがあります。
日本の公共施設のトイレでは、多くの場合出入口が男女同じ、またはすぐ近くにあることが多く、人目がない場合には平時でも危険な状況になることがあります。
災害後に仮設トイレが必要な状況というのは、非常にストレスが発生しやすい環境にあると考えて間違いありませんので、性的なトラブルの発生を予防する意味でも、トイレは男女完全に引き離すことが必要です。
そのほかにも、トイレの周囲は常に明るくしておくことや、人目のある場所に作るなどいろいろとあるのですが、事前にしっかりと検討しておかないといざというときにはそこまで意識が向かないものです。
一般的に避難所において、寝床とトイレは、さまざまなトラブルが発生しやすいところですので、トラブル防止のためにも平時にしっかりとレイアウトを検討しておくことをお勧めします。
【終了しました】「やってみよう防災キャンプ・防災キャンプ春の巻」を開催します
来る3月25日から26日にかけて、益田市の北仙道公民館で「やってみよう防災キャンプ」と題した小学生向けの防災キャンプを開催します。
対象は小学校3年生以上。当日は体育館を避難所に見立てて生活空間や食事作り、心肺蘇生や搬送法、防災カードゲーム、炊き出し訓練など、さまざまな体験をしてみます。
年度末で忙しい方も多いと思いますが、興味のある方のご参加をお待ちしています。
また、当日はお手伝いいただけるボランティアスタッフも募集しています。
併せて、よろしくお願いいたします。
避難所での生活臭を押さえる方法
避難所での生活は精神的にくたびれてしまうものです。
生活リズムの違いや他人の視線、そしてさまざまな生活臭。
特に避難所によっては施設内に靴を持ち込むことになるところもあるので、その場合にはさまざまなにおいが入り混じることになりますから、ひょっとすると消臭スプレーも必要なアイテムの一つになるのかもしれません。
とりあえず身近なものでにおいをなんとかしようと考えたとき、10円玉を使うことができることを知っておいてください。
10円玉は銅でできていますが、この銅には臭いのもととなる菌を殺菌・除菌する効果があります。
なぜそうなるのかはわかっていないようですが、例えば靴の中が臭う場合には、10円玉を5~10枚入れておくと、数時間で臭いは確実に消すことができますので、普段の生活の中でも臭いが気になる時には使ってみるといいと思います。
ちなみに、10円玉は人体には無害ですので、人への影響を考えずに殺菌除菌できるところもいいと思います。
ただ、臭いの発生源に湿気がある状態が続くと、カビが生えたりすることもありますので、靴の臭いけしをするときには併せて新聞紙などで靴の中の湿気を取り除くようにしてください。
ともあれ、見知らぬ人同士が一緒に生活するときにはいろいろと臭いが気になるもの。
こういった消臭方法もあるということを知っておいてほしいと思います。
被災後の中高生の居場所をどうするか
大災害になると、障がい者や高齢者、乳幼児は割と早い段階から救援や支援の手が届きます。
そして、それよりは遅れても、小学生まではいろいろなNPO団体などが被災地に入って預かりや学習支援、あそび場作りなど、さまざまな支援をしてくれるのですが、置き去りになっているのが中学生、高校生の処遇です。
大人ではないので仕事に出るわけではなく、かといってどこかに預かってもらうこともなく、学習ができる体制があるわけでもない。
何かしようと思っても、その場所が確保されていないことが非常に多いです。
自治会や自主防災組織などで事前に検討される避難所の設営マニュアルにも、ペットの取り扱いについては記載がされているところも出てきましたが、中高生が学習したり息抜きができるような場所の確保はされていないのが現実です。
目立たず、声を上げるわけでもないのであまり意識されていないと思いますが、中高生も被災者であり、学習支援や心のケアが必要なのではないかと思います。
乳幼児や小学生、高齢者や障がい者と同じような時期に支援体制が作れるのなら非常にいいのですが、とりあえずは避難所の一角に最初からそう言った場所を設定しておくことができれば、その後の支援も随分と変わってくるのではないかと思います。
大人ではないが子供というにはちょっと大きい中高生。
彼らの日中の居場所についても、しっかりと検討しておきたいものです。
【活動報告】高津小学校の防災クラブを開催しました
去る1月18日に益田市立高津小学校で防災クラブを開催しました。
今回は「正解のない答え探し」と題して避難所に届いた収容者よりも少ない食料品の受け入れをするかしないか、するならどうやって分けるのかを考えてもらったり、「避難所は必要? いらない?」という議題で、「いる」と「いらない」にわかれてそれぞれ考えて発表してもらいました。
災害時の対応では、100%の正解はほとんどなく、どちらがよりましかといった判断をすることになります。
命が守られるための説明がきちんとできるなら、どのような選択肢を選んでも決して間違いではないことがわかってもらえると嬉しいなと思います。
参加してくれた子ども達、そして担当の先生、手伝ってくれたスタッフにこころから感謝申し上げます。
なお、今回は写真を撮るのを忘れてしまって写真がありません。文章だけであることをお詫びします。
電源確保を考える
被災した後、生活の質をなるべく落とさないようにしようとすると、どうしても電気が必要になります。
ただ、電源の回復は大規模災害になればなるほど遅くなるものですから、あらかじめ何らかの準備をしておいたほうがいいと思います。
手っ取り早いところでは、蓄電池と太陽光発電パネルの組み合わせを用意しておくこと。
保管できるサイズだと、大した発電量にはなりませんが、それでもスマートフォンの充電やラジオやテレビの電源などに使うことができます。
お日様があれば充電が可能なので、一組準備しておいてもいいかもしれません。
避難所や住宅だと、発電機があると電源はかなり安定します。
エアコンや電子レンジなど大きな出力が必要とされるものは難しいですが、家電がある程度まとめて使えるのは大きいです。
手回し発電機などの人力発電機を準備されている方もいますが、実際に使えるかというとかなり厳しいのではないかと思います。
電気を作る方法を準備しておくことと、自分にとって必要最低限の電化製品にはなにがあるのかということ、そしてそれらの電気使用量をきちんと確認しておいて、いざというときに慌てないようにしたいですね。
ちなみに、太陽光発電システムが最初から組み込まれているおうちには、非常用電源コンセントが用意されている場合があります。
太陽光発電システムの蓄電池からの給電をする場合には、非常用電源コンセントにつながないと使えませんので、取り扱いには気を付けてください。
避難所には何がある?
結論から言えば、ほとんどの避難所には何もないと考えておいたほうが無難です。
避難するタイミングや移動方法、避難先を想定してさまざまな訓練をしていると思いますが、避難した後、つまり避難所内での過ごし方についての想定はどうでしょうか。
非常用持ち出し袋をきちんと準備できているか、その中で優先すべきものがきちんと入っているかは避難所に入ってから後の生活の維持に密接にかかわってきます。
避難所に準備されているものがあればいいのですが、そうでないなら、しっかりと自分の生活が維持できるだけのものは持ち込む必要があるのです。
そこで、あなたが避難することにしている避難所には、避難者のためにどんなものが準備されているか知っていますか。
最初に書きましたが、身体一つで避難所に避難しても、多くの避難所には何もありません。基本的に避難所には物資は集積されていない場合が多いのです。
地域によってはしっかりとした備蓄を備えている場合もありますが、そういったものは極めてレアケース。
飲むもの、食べるもの、寝るものなど、生活を維持するのに必要なものは自分で持ち込まなければ着の身着のままで過ごすことになることに注意してください。
そして、大規模災害になると、発災後に救援物資が届くのは早くても2~3日後。国は7日間分の備蓄を準備するように推奨しているくらいです。
避難先で使用するものは自分で持ち込むこと。そして、早く避難してしまうことが大事です。
避難所の状態にもよりますが、避難レベル3「高齢者等避難開始」の場合、まだ自動車による避難ができる場合が殆どだと思います。
車であれば、自力で運ぶよりも多く荷物が運べ、収納場所にも困りません。
避難所には何もないことが前提で、自分の命をつなぐための資機材について準備しておくようにしてください。
プロがすること、アマチュアでもできること
大災害時にはなかなか救援は来ない、というのが多くの人の認識になってきているのではないかと思います。
それに備えて、個人や企業に始まって、自治会や自主防災組織、消防や警察、自衛隊などのさまざまな組織が訓練やシミュレートなどをしているわけですが、訓練を見ていてちょっと違うんではないかと思うことがあります。
もちろん、さまざまな想定に備えて準備することは大切ですし、できる限り訓練しておくことはとても大切です。
ただ、個人レベルやアマチュア集団がいくら頑張ってもプロには勝てないという分野が厳然と存在しているので、そういった分野では、アマチュアはどうやってうまくプロに引き継ぐかという視点で訓練をしたほうが効率的なのではないかと考えることがあります。
例えば、倒壊家屋からの救助訓練。よくマスメディアで警察や消防が訓練したことが報道されていますが、同じような訓練を個人や自治会、自主防災組織がやることはあまり意味がないと思います。
個人や自治会、自主防災組織が考えるべきはいかに倒壊家屋を出さないかという部分の実践や普及、啓発活動であり、倒壊することが前提というのは本末転倒なのではないでしょうか。
同じように、応急処置もそうです。専門家に届けるまでに命をつなぐために行うのが応急処置であり、そこで専門的な処置まで行う必要性はありませんし、知識だけの素人が手を出すと悪化してしまう場合も多々あります。
アマチュアが持つべきは、発生することが予測される被害をいかに少なくするかという事前の対策の徹底と、発生した被害をそれ以上拡大させずにプロに引き継げるかという部分をどうするかという視点です。
自主防災組織設立の発端となった阪神淡路大震災で、建物倒壊により即死しなかった人たちの多くが地域の人に助けられたということは事実です。
ただ、その当時は消防団がしっかりと機能していたことや地域コミュニティがきちんと確立していたこと、そして例えば家の構造や住人の行動、周りの資機材の存在をある程度地域の人が知っていたことが救助ができた根本部分にあります。
当時できたからといって、高齢化が進み、人の交流が途切れがちな現在で同じことができるとは思えません。
同じことをやろうとするなら、まずやるべきなのは地域コミュニティ、つまり顔のわかる関係を取り戻すこと。そして、地域に住み、地域で仕事をしてくれる若い人を増やすことです。そして、自分たちでできることとできないことの線引きをしっかりと確認しておくことが求められます。
自分たちでできることは日ごろからきちんとこなしておくことで、プロの仕事がしやすいようにしておくことが、災害対策のプロ以外のすべての人、つまりアマチュアがやるべきことなのではないでしょうか。