作っておきたいタイムライン

当研究所のマイタイムライン研修会の風景

 台風や大雨のようなある程度予測できるはずの災害で「逃げ遅れた」ということを割とよく聞きます。
 逃げるタイミングを失ってしまったということなのですが、地震のように突然起きるわけではない災害なのに、どうして逃げるタイミングを失ってしまうのか。
 答えは簡単で、逃げる判断をする時期をきちんと決めていなかったからです。
 逃げるかどうかの判断ができないのですから、逃げられるわけはないし、また逃げるタイミングを失ってしまうのも当然です。
 最近よく耳にする「マイタイムライン」ですが、これは災害時の自分の行動計画を作るもので、いざというときにはこれに従って行動すると、少なくとも逃げ遅れることは格段に減ってくると思います。
 悩むのは行動計画を作成するときで、本番では作成しておいた行動計画に従って何も考えずに行動するようにします。
 そうすることで、その時に判断に迷うという一番時間の無駄な使い方をしなくて済むことになるのです。
 実際にマイタイムラインを作ってみると、避難が必要な人、そうでない人でかなり判断することやそのタイミングが異なってきます。
 文字どおり「自分の」災害時行動計画を作るのだということが、研修会などで作成してみるとわかると思います。
 また、タイムラインに何を書こうかと悩んでしまうことも出てくると思いますので、誰がどんなことを書いているのかを調べてみるのも参考になると思います。
 マイタイムラインはあなたの逃げ遅れや準備不足をできる限り無くすために作成するものです。
 自分の命を守る、そして生き続けることができるような計画をしっかりと考えてみてくださいね。

【活動報告】研修会「災害とお金の話」を開催しました。

 去る2月18日、益田市市民学習センターにおいてワンコイン研修会「災害とお金の話」を開催しました。
 当日は2名の参加者の方が、災害時に発生する生活再建のお金についての行政からの支援の条件や、災害時に適用できるような保険の見方などについて一緒に学習しました。
 災害が多発しているためか、災害後に行政や保険からだされる各種支援金や見舞金、保険金は条件がいろいろと変わってきています。
 この研修会は毎回情報がアップデートされてきているので、自分の備えについて考えておきたい方や、どのような条件でどのような支援金が手続きできるのかについて知りたい方は、次回ぜひご参加ください。
 今回参加していただきました方に、厚くお礼申し上げます。

72時間と備蓄のこと

 災害時の各家庭の備蓄について、最低3日間準備しろという話は聞いたことがあると思います。
 南海トラフ巨大地震などの話が注目されてからは7日間に延ばされていますが、この最低3日間というのにはきちんとした意味があります。
 3日間とは72時間。現在トルコ・シリア国境付近で起きた大きな地震でも取り上げられていますが、人命の救命率が極端に低下するのがこの72時間なのだそうで、発災から72時間は行政の全ての機能は人命救助に振り向けられます。
 国際緊急援助隊が被害甚大とわかってすぐに出発したのは、とにかく早く現地入りして一人でも多くの人を救助するためで、生き残った人に必要となるテントや各種資機材はそのあと準備が整い次第送られることになっています。
 つまり、どこの国であれ、怪我無く生き残れた人はとりあえず置いておいて、怪我をした人たちや生き埋めになった人たちを救助することに全力が注がれることになるのです。
 怪我無く生き残れた人たちへの対応は、けが人の処置が終わって、恐らく生存者はもう期待できないという状況になって初めて本格化します。
 ですので、人命救助に行政の機能が注がれている間は怪我無く生き残れた人は自力でなんとかするしかありません。
 そういった理由から、最低3日間自助でなんとかできるだけのものを準備しておく必要があるのです。
 とはいえ、実際に大災害が起きると3日ではどうにもならない場合も出てくるでしょう。そのため、現在内閣府防災では7日間程度の備蓄をするように国民に呼びかけているのです。
 たすかった人たちの命を守ることも重要ですが、そのまま放置すれば失われる命をなんとか助けなければなりません。
 あなたが準備している非常用持ち出し袋や備蓄品で、最低3日間の生活維持ができますか。また、もしものときにはどういった行動をとりますか。
 トルコ・シリア国境での地震の状況は毎日マスコミ報道がされていますので、もしこのような事態が自分の周りで起きたら自分がどうするのかをしっかりと考えておきたいですね。

どんな備えがいるのかを知っておこう

その場所を知ることで適切な備えをすることもできる。写真は防災マップ作りの一コマ。

日本に住んでいる限り、災害が起きると大小はありますが、自分の生活に影響を受ける人がほとんどだと思います。
例えば、低地にお住いであれば大雨や洪水に備えておかないといけませんし、山の周囲にお住いであればがけ崩れや地すべりに気を付けておく必要があります。
また、直接なんの影響もない場所に住んでいる人でも、災害によるライフラインや道路などの寸断による影響は必ず出てきます。
どのような災害でどのような影響が出るのかは、過去の例や予測、推測するしかない部分もありますが、影響を受ける災害を認識することが災害に備えることの第一歩になるとおもいます。
ハザードマップや過去の伝承などを参考に、あなたがいる場所にはどのような災害が起きる危険性があって、どのような備えが必要なのかを確認し、そのうえで災害対策を進めるようにしてください。

【終了しました】研修会「災害とお金の話」を開催します

 来る2月18日(土)13:00から益田市民学習センター104会議室で研修会「災害とお金の話」を開催します。
 被災後の生活再建でどうしても必要になってくるのがお金ですが、あなたはどのような備えをしていますか。
 また、被災後にどのような流れでどのような手続きをするとどんなお金を受け取ることができるのかについてご存じですか。
 今回は被災後の生活再建で必要になる「お金」について考えていきたいと思います。
後半では、災害に関する保険についても、保険代理店に勤務している当研究所理事から、保険の見方や掛け方、万が一の手続きなどについてもお話していただきます。
 災害に備えることは皆さんやっていらっしゃると思いますが、災害後の生活再建についても意識しておくことで、もしものときの復旧復興が非常に早くなります。
 資料の準備の都合がありますので、事前にお申し込みをお願いしています。
 興味のある方のご参加をお待ちしています。

【活動報告】「マイタイムラインを作ろう!」を開催しました

 去る1月21日に益田市民学習センターにおいて研修会「マイタイムラインを作ろう」を開催しました。
 前週の「ハザードマップの読み方を知ろう」とセットになった研修会で、ハザードマップの情報を元にして災害前後の自分の行動計画を可視化しておき、いざというときに慌てないようにするためのマイタイムラインを作成するという研修会でした。
 マイタイムラインというと避難行動計画と思われる方も多いのですが、実際には災害時における自分の行動計画であって、避難しない場合でも作っておいたほうが安心できるものです。
 地震と風水害、台風などいくつかのパターンを作っておくと万全なのですが、今回は準備から被災後までの流れがわかる風水害でやってみました。
参加者の皆様は首をひねりながら自分の行動計画を作っていましたが、この中で問題になったのがペットの扱いでした。
 同行避難しても別な避難してもよいのですが、いざというときのペットの取り扱いは家庭内でもめる元ですので、事前にどうするのかを良く詰めておくようにしたいという話をし、ペットの受け入れについてはほとんど整備されていない現状についても説明をしました。
 実はペットの避難に関することを行っている特定非営利活動法人動物避難所協会様の普及啓発窓口ということで当研究所も登録しているのですが、今回はそこから送っていただいたNPO法人ペット防災サポート協会様が作成した「たすかるノートwithペット」という小冊子を送っていただいていましたので、そちらも配布してよりしっかりとペットの取り扱いについて決めていただくようにお願いしておきました。
 また、行動計画も自分がそういう事態になったことがないので予測がつかないという意見もあり、実際の被災経験者が作ったマイタイムラインについても今後いろいろとご紹介できればいいなと思いました。
 お忙しいところお越しいただきました参加者の皆様に心から感謝いたします。

【活動報告】高津小学校の防災クラブを開催しました

去る1月18日に益田市立高津小学校で防災クラブを開催しました。
今回は「正解のない答え探し」と題して避難所に届いた収容者よりも少ない食料品の受け入れをするかしないか、するならどうやって分けるのかを考えてもらったり、「避難所は必要? いらない?」という議題で、「いる」と「いらない」にわかれてそれぞれ考えて発表してもらいました。
災害時の対応では、100%の正解はほとんどなく、どちらがよりましかといった判断をすることになります。
命が守られるための説明がきちんとできるなら、どのような選択肢を選んでも決して間違いではないことがわかってもらえると嬉しいなと思います。
参加してくれた子ども達、そして担当の先生、手伝ってくれたスタッフにこころから感謝申し上げます。
なお、今回は写真を撮るのを忘れてしまって写真がありません。文章だけであることをお詫びします。

【活動報告】研修会「ハザードマップの読み方を知ろう」を開催しました

 去る1月14日、益田市の市民学習センターにおいて研修会「ハザードマップの読み方を知ろう」を開催しました。
 当日は2名の方にご参加いただき、益田市のハザードマップを使って実際にそのマークのあるところではどのような出来事が起きるのかについて、映像を交えながら一つずつ確認し、なぜこんな風に書かれているのかなどについて雑談を交えながら研修しました。
 ハザードマップを読むことは災害対策の基本になる部分ですが、表示されている中身が理解できていないと単なるデータの書かれた冊子にしかすぎません。情報が読み取れると、備えなければいけない災害やいざというときの避難経路、そして普段行き来する場所の危険性まで理解できるようになりますから、興味のある方はハザードマップを読む前に最初の凡例をしっかりと読み込んでみてください。
 これから先も機会があればまたやってみたいと思っていますので、もし興味がある方がおられたら、またのご参加をお待ちしています。
 今回ご参加いただきました皆様に厚くお礼申し上げます。

【終了しました】ワークショップ「マイタイムラインを作ろう」を開催します

 来る1月21日10時から益田市民学習センター103会議室で、ワークショップ「マイタイムラインを作ろう」を開催します。
 マイタイムラインは、日本語に直すと「私の行動計画」になり、災害時における自分の行動計画をあらかじめ決めておくことで、いざというときに何も考えずに行動できるように準備しておくものです。
 マイタイムラインは、よく「私の避難計画」と言われることがありますが、対象は避難だけではありません。
 品物の備蓄や確認、ライフラインが寸断された場合の対策などもこのマイタイムラインで決めておく必要がありますので、ほとんどすべての人が作っておいたほうがいいものです。
 今回は、ハザードマップを確認したうえで、対応しないといけない災害や行動について一つずつ確認をし、自分自身に必要とされる行動計画を実際に作ってみます。
 準備の都合上、事前に申し込みをお願いしますので、興味のある方や実際に作ってみたい人、そしてどのように作るのかを知りたい方のお申し込みをお待ちしております。

地域の中の復旧支援ボランティア

家から災害ごみを出すのもボランティアなら、集積所から処分場に移動させるボランティアもある。

 災害が発生すると全国各地から復旧支援を手伝ってくれるボランティアがやってきます。ここ数年はコロナ禍で募集する地域が限定されている状態ですが、それでも被害のなかったところから被害のあったところへの人的支援は行われていて、このまま移動制限が解除されていけば、また災害復旧支援ボランティアがあちこちから集まってきてくれるのではないかと思っています。
 でも、できるだけその地域でできる部分はその地域で補うことが望ましいので、せめて地域の中の被災者の支援は地域でできるようにしておきたいものです。
 高齢や体調不良でボランティアはできないという方もいらっしゃいますが、ボランティアは力仕事だけではありません。
 例えばお困りごと調査とか、買い出しや引っ越しの手伝い、役所の手続きの手伝いなども立派なボランティアです。こういった仕事は人の生活や信用にかかわる部分なので、そういった部分を行政や社会福祉協議会といった組織に押し付けがちなのですが、そういったところはより深刻な問題を抱えている人が優先されるため、それまで普通の生活ができていた人の支援はどうしても後回しになります。
 結果、被災者の中には手続きや方法、説明の仕方がわからず復旧がまったく進まないうえに、どうかすると悪徳業者に引っかかってしまう人が出てきたりします。
 そういった人をできる範囲でお手伝いすることは立派なボランティアだと思います。
 また、体の不調などで自分が動きにくい場合には、例えば軽トラックがあればそれを貸し出すというのも一つのボランティアです。
 被災後の片づけでは、どうしても軽トラックが必要にあることがあるのですが、軽トラックがなかなか回ってこないのが現状です。
 そこで、被災しなかった軽トラックを、地域に貸し出すことで、被災した人も気持ちが折れる前に片付けに取り掛かれます。
 カーシェアリング協会などが被災地向けの車の貸し出し事業をしてはいますが、車の台数は十分ではなく、配備される場所も限られるため、まだまだ地域の力が必要な部分ではないかと感じます。
 温かいご飯を炊きだすのも立派なボランティアです。大鍋は無理でも、地域のご近所に配るくらいの知るものなら作れるかもしれません。ちょっとした温かいものでも、基本的に冷たいものしか提供されない被災地の食事では涙の出るほどうれしいものなのです。
 できない理由を探すのは簡単なのですが、何かできることはないか探してみると、支援が必要なことはごろごろと転がっています。
 自分のできる範囲で構わないので、少しだけでも、どんな形でも被災者のお手伝いをすることは立派なボランティアであることを知っておいてほしいと思います。