地震の時のポーズあれこれ

 「地震が起きたらダンゴムシ」というのは結構有名になってきた地震のときの姿勢ではないでしょうか。

机の下でダンゴムシ
ダンゴムシのポーズは体の重要な部分の防護と転倒防止のためにするものです。

 うずくまって両手で頭と首を守るこの格好は、落下物から重要な部分を守り、その上で転倒をしないという意味で非常に理にかなっていると思います。
 また、学校の教室などでは、机の下に潜って両手で机を支える「アライグマのポーズ」というのもありますが、これは使っている机によっては逆に怪我をしてしまったりすることもありますので注意が必要です。
 これらの姿勢を取る練習としてよく「シェイクアウト訓練」というような言い方をしますが、そもそもなぜこのような姿勢を取る必要があるのかを考えたことがありますか?
 第一には頭を護ること。判断し行動するためには正常な判断が下せる状況であることが大切ですから、これは必須です。
 次に、怪我をしないこと。特に地震の際には転倒による怪我がよく起きます。ちょっと大きな地震が起きると、転倒による骨折で救急搬送というニュースが必ずといっていいくらい流れますが、これを防ぐには転倒しないようにすることしかありません。なるべく重心を低くして転がりにくくすることが大事です。
 例えばよく転倒事故の起きる階段では、揺れ始めたらその場でしゃがみ、あれば手すりをしっかりと持つ。これだけで転倒する可能性はずいぶんと低くなります。
 また、地震への対応策として「地震が起きたら外へ逃げろ」というのがありますが、揺れているときにはまず移動できませんし、無理矢理に移動することはかなりの危険を伴う行動です。耐震補強され、転倒防止、落下防止対策がきちんとされているところであれば、自分が転がらないような姿勢を保てさえすれば、怪我をすることはないと思います。
 ところで、先日ちょっと考えさせられることがありました。
 外での避難でもダンゴムシのポーズを取りなさいという内容の本だったのですが、地震が起きると、砂やほこりが宙を舞います。建物の中であれば問題ないと思いますが、校庭や公園などの土の地面が露出している場所だと、揺れてる最中に砂煙が起こります。そんな状態の時にダンゴムシのポーズを取っていたら、目や口に砂やほころが入り込んで体にダメージを受けてしまいます。
 ダンゴムシのポーズは「落下物対策」と「転倒防止」のためのものです。もしも外にいて上や周囲からものが落ちたり飛んできたりしないのであれば「落下物対策」は必要ありません。そうすると「転倒防止」だけに集中すればいいわけですから、仰向けの大の字で寝たり、両足を拡げて腕をつき状態を支えるような格好で転がることを防げれば充分だということになります。
 非常時、場所によってポーズを変えるのは大変だからということで、学校や保育所、幼稚園などの教育施設では一元的に「地震が起きたらダンゴムシ」と教えることは大切だと思いますが、それによって体を痛めてしまっては何にもなりません。なぜその格好をするのかを考える必要があると思います。

メタボパンダのポーズ。大の字に寝転がるのでも大丈夫だと考えていますが、背中を浮かせている方が揺れで受けるダメージは小さい気がします。

 当研究所では、外での転倒防止の格好は「足を大の字に拡げて上体は起こし、両腕は地面を支える」のが一番良いのでは無いかと考えています。これを「メタボパンダのポーズ」と呼んでいるのですが、あなたならどんな名前を付けますか?

災害後は子どもが過ごせる場所を作っておく

子どもの笑顔が復旧の第一歩のような気がします。

 災害が起きて社会的なインフラが動かなくなると、まっさきに困るのが子ども達の扱いです。
 通常は保育園、幼稚園や学校などに行っている子ども達は、それらの施設が被災したり避難所になったりすると日中の行き場が無くなってしまいます。
 そうなると、子ども達の面倒を見るために親がついていなければいけないことになり、そのぶんの人手が不足して復旧が進まないという事態が起こります。
 ちょっと前に「避難所では使っては行けない場所を決めておく」ということを書きましたが、例えば学校などが避難所になった場合には、子ども達が日中過ごすための場所もあらかじめ確保しておく必要があると思います。
 子ども達は退屈すると大騒ぎを始めます。その声や音が、避難で殺気立っている大人の神経を逆なでして大喧嘩になることも、過去にはさまざまな避難所で起きていた問題です。せめて日中だけでも両者を切り離すことで、お互いが安心した時間を過ごせるのでは無いでしょうか。
 また、子ども達だけでは何が起きるかわかりません。手の空いている大人達が子ども達を見守ることで、復旧に当たらなければいけない人たちがそちらの仕事に向かうことができるようになります。
 そういう視点で見ると、保育園や幼稚園、学童保育などの再開というのはかなり優先度の高い復旧対象になるのではないかと思います。
 子ども達が可能な限り早く普段の生活に近い状態に環境を整えていければ、自然と大人達も普段の生活に近い生活リズムを取り戻すことができるようになるのではないかと考えるのですが、あなたはどう考えますか?

【活動報告】保育園の避難訓練に参加しました

 2019年5月30日に益田市のすみれ保育園様が実施されました地震及び津波による避難所までの避難訓練に参加させていただきました。

避難所までの避難訓練では避難経路の中に崩れたり倒れたりするものがないか確認しておくことも必要になってくる。

 今回の訓練では、地震により津波警報が発令されたという想定で保育園から近隣の避難所である益田東中学校まで実際に避難するということで、当研究所はその避難訓練の内容を見させていただき、後日具体的なアドバイスをさせていただく立場での参加です。
 訓練は午前10時に始まり、避難完了が10時25分。地震で動けない時間が3分程度ありましたから、幼児の足で1km弱の道のりを20分強で移動完了したのはかなり素早い避難だったのではないかと思います。
 今回の訓練に当たっては、ガラスでできた階段下の防煙板が落ちて散乱している想定を当日サプライズで作成させてもらい、床に卵パックやペットボトルの蓋を撒いてブルーシートで覆ってみました。

ブルーシートの上側にはガラス製の防煙板がある。もしも床に何かが散らかっていた場合には、お昼寝用の布団を上にかぶせて移動するようにとアドバイスを行った。

 ですが、廊下を覆うブルーシートにこそ躊躇したものの、子ども達は床のでこぼこやガラスを踏むようながしゃがしゃといった音はまったく気にならずに素早く移動をしていました。ちなみに避難訓練完了後に大きい子達に素足で踏んでみてもらいましたが、痛がる子よりも気持ちいいという子の方が多く、子ども達は足裏マッサージが必要な状況なのかと思わず笑ってしまいました。

道幅が狭く、軽自動車とすれ違うのがやっとというような場所もある。避難計画を立てる場合には、このような狭い道路や交差点で車をどうやり過ごすのかが鍵となる。

 今回、快晴で気温が高かったこともありどうなるかとも思いましたが、子ども達は避難所である益田東中学校までは一生懸命歩き、到着後にほっとした顔でそれぞれに持参した飲み物を飲んでいました。避難の際に水分を持って出られるというのは非常に重要な部分ですので、今後も継続してほしいなと思います。

園児と先生達が避難完了したところ。パニックも起きず、統制が取れた状態で避難が完了している。
毎月の避難訓練が子ども達にもきちんと浸透していることがわかる。

 毎回さまざまなことに気づかせていただけるこの避難訓練の見学、後日気づいた点やアドバイスを報告書で提出させていただいていますが、すみれ保育園様ではそのたびに避難訓練の内容をアップデートされ、正直なところ毎回驚かされています。

アドバイスによる変化の一例。避難所に避難する場合に保育園に掲げられる看板。道路からでも見えるように作られている。保護者へ避難先を知らせる表示をするようにアドバイスしたら、これが作られた。大きな紙に書いて窓に見えるように貼ればと思っていたが、こちらの方が時間が短縮できることを教えてもらった。

 この保育園では保育士様向けの研修会もさせていただいているのですが、その際にこちらの説明が足りない部分がいろいろとあることも、こういう訓練に参加させていたくおかげで気づかせていただきました。
 何事も無いのが一番ですが、万が一に備えて訓練をきちんとしておくことはとても大切です。そしてその訓練を第三者の目でチェックし、訓練参加者にフィードバックしていくことが大切なのかなと感じています。
 避難訓練の参加について許可いただきましたすみれ保育園の園長先生、理事長先生始め先生方、そして園児の皆様にお礼申し上げます。

虫対策を考える

 災害が発生した後、どこで過ごすにしても虫に悩まされることが多くなります。
 さまざまな腐ったものから発生するハエやその他の虫、あちこちに貯まった汚水から発生する蚊など、普段はあまり気にしないような虫がたくさん発生します。
 この対策として、虫除けや殺虫剤などを用意しておく必要があります。
 例えば避難所には網戸がないことが多いです。そして、特に夏場では熱がこもってしまうので窓を開けないと熱中症になる危険性があります。
 網戸のない窓からハエや蚊、その他の虫が避難所を飛び回ることによって、衛生環境や不快感が出て、そうでなくても先の見通しがはっきりしせずにいらいらしている避難者達をよりいっそういらいらさせてしまうことになります。
 対策としては、個人としては非常用持ち出し袋には虫除け薬及び虫刺されに効く薬を入れておくことが第一です。
 そして、避難所を準備・運営する側は蚊取り線香等の虫除け・虫取り・殺虫剤を準備しておくことを考えておいた方がいいでしょう。
 また、衛生環境を維持することからも消毒用の消石灰の準備をしておくとよりよいと思います。
 もちろん、避難所での生活において生ゴミなどから虫が発生しないような対策を行っておくことも大切です。
 災害後、なかなかそれまでの衛生環境を取り戻すことは時間がかかります。ですが、資材によってある程度防ぐことが可能な部分でもありますので、事前準備をしっかりとしておきましょう。

あなたが食べられるものを非常食にしよう

 当研究所でも「非常食を食べてみた」でぽちぽちと災害時の非常食について検証をしているところですが、災害が発生した後、自分が何を食べるのかについて考えたことがありますか?
 一昔前であれば「乾パン」、最近なら「アルファ米」や「レトルト米」が上げられるでしょうか。保存食としてある程度の期間保存が利くものが上げられるのではないかと思います。
 準備していないのは論外ですが、準備している人でも「実は食べたことがない」という人も多いように感じます。
 災害時には、最初は気が高ぶっていますからなかなかお腹も空きませんが、かといって何も食べないというわけにもいきません。
 いざ食事をしようとしたときに、持ち出し袋の中に入っていた非常食が食べられなかったとしたら?
 実際にあった例では、入れ歯の避難者の方が非常食として持っていた乾パンが食べられずに難儀をしたというのがあります。
 今の乾パンは、以前のものに比べると随分と食べやすくはなっていますが、堅いことには変わりありません。我が家の小さな研究員達はぼりぼりと食べていましたが、歯の悪い人がこれを食べられるかと考えると「無理」という答えになりました。
 細かくすりつぶして水でも加えれば、それでも食べることが可能になるかもしれませんが、そのままの形では水を吸わないのが乾パンという食べ物なので、年寄り向けであればビスケットの方が向いているねという結論になりました。
 また、温めが必要な食べ物を用意することも多いと思いますが、避難所では火気厳禁が徹底されていますので、火以外でそれを温める手段、例えばヒートパックやカイロなどといった火を使わずに温める道具を準備しておく必要があるでしょう。
 とにかく、一度でいいからそれを食べてみること。食べてみることで、どういう風にしたら自分が食べやすいのかを考えることができます。
 我が家の場合、例えばアルファ米の変わりご飯なら白飯と半分ずつ混ぜれば好みの味になるということがわかっていますからそういう風な準備をしています。
 災害という非常事態であっても、できれば普段の食事に近いものを食べられるような準備をしておいた方が元気が保てます。
 そのためには、普段から「自分が食べられるもの」で「自分の好みに合ったスタイル」を研究しておいたほうがいいでしょう。
 ちなみに、災害時に何も備えがない場合には、政府や自治体などの行政からの支援に頼ることになりますが、この場合、3日目から5日めに配給される乾パン二個などという哀れな食事になる可能性があります。また、アレルギーなどには配慮されない配布方法が殆どですので、アレルギーを持っている人ほど自分の食べられるものを用意しておく必要があるのです。
 ともあれ、気力と体力を維持するためにも、自分がおいしいと思う非常食を準備しておく必要があると思います。

要支援者と域外避難

 災害が発生すると、国の計画では発生後3日以内に必要と思われる物資を被災地に送り込むことになっています。
 この物資は命をつなぐためのものが最優先であるため、主に食料と水が中心となります。
 それから日用品に移行していきますが、全ての人が必要としない物資についてはどうしても遅れてしまう、または届かないという特性があります。
 たとえば、大人用おむつや乳児用ミルク、生理用品、アレルギー対応食などがこれに該当し、必要とする人の数が少なければ少ないほど支援物資として届く優先順位は下がります。
 これは医療現場でも同じで一般的でない病気や資機材のいる病気などへの対応はやはり遅くなってしまいます。
 東日本大震災では酸素吸入や透析が必要な方への手配が問題となりました。
 さまざまな理由で特殊な資機材や物資の支援が必要な人、つまり要支援者が一定数存在することを考えると、災害時には被災地以外の場所へ一度待避してしまったほうが支援が受けやすいのではないかと思います。
 受け入れの問題もありますが、都道府県や市町村といった行政機関や病院でお互いに受け入れ体制を作り輸送手段の確保さえすれば、要支援者への対応を被災地で考える必要がなくなり安全性も増すのではないでしょうか。
 復旧や復興にどれくらいかかるのか、いつ地元へ戻れるのかがわからない不安はありますが、資機材不足、物資不足による命の危険と併せて考える必要があると思います。
 行政機関同士では対口支援(たいこうしえん)と呼ばれる行政職員の相互支援協定が作られて、平成30年の西日本豪雨でも活用されました。
 行政職員を被災地へ送り込む制度ができるのですから、要支援者を被災地外へ搬出する制度もできるのではないか。
 いろいろと問題はあると思いますが、検討しておく重要なことの一つではないかなと考えます。

はちみつの注意点

空港ハチミツと乾パン
乾パンとスティックはちみつ。種類はいろいろあるが、これは好みな組み合わせ。

災害用の非常食として、乾パン&はちみつというのは割と有名なようです。
おなかに貯まるけれどパサパサしている乾パンにしっとりとして栄養素の高いはちみつを塗って食べるのは、非常食としてだけではなく普段のおやつとしても結構おいしいものです。
ただ、はちみつを食べるにあたってはいくつかの注意点がありますので、今回はそれに触れてみたいと思います。

1.乳幼児には与えない

いくら栄養素が高いからと言っても、乳幼児にあげるのは御法度です。
はちみつにはごくまれですがボツリヌス菌が含まれていることがあり、乳幼児に与えると乳児ボツリヌス症を発症することがあります。
これは消化器官が未熟なことにより起きる中毒ですが、死ぬこともありますので1歳未満の乳幼児、1歳以上であっても消化器官の発達が未熟な幼児には与えないようにしてください。
ちなみに、妊娠中や授乳中の母体には影響がありませんので安心してください。

2.アレルギーに気をつける

はちみつは、みつばちが集めてくる花の蜜です。
はちみつの原材料欄を見てもらうと「はちみつ(国産)」などと書かれているものがあると思います。
ここに表示がない場合や「百花」と書かれているものは「いろんな花」という意味ですが、これらの場合には、採取する場所や花によっては「そば」「りんご」などアレルギーを持っている人がいる花から集められたはちみつもあります。
この場合、そのはちみつによってアレルギーが出る可能性があることを知っておいてください。
自分のアレルギーがどの程度のものなのかについては、事前にお医者様に確認をしておいたほうがいいと思われます。

3.食べ過ぎないこと

はちみつは非常に甘くカロリーも高く消化もかなりいいものです。100gあたり300kcalあり、体内に入るとすぐに吸収されてエネルギーに代わります。
必要以上に食べると、エネルギーが中性脂肪になってしまい体内に蓄積されてしまいますので、おいしいからといってひたすら食べ続けることのないようにしたいものです。
また、食べ過ぎると人によってはお腹が緩くなって下痢を起こす場合もあります。災害時に万が一トイレが使えない状況の中で下痢になったら・・・。
考えたくない事態が起きるのを防ぐためにも、食べるのはほどほどにしておきましょう。

繰り返しになりますが、はちみつは栄養素が高く乾パンやクラッカーといった非常食に大変よく合うものです。
その上、賞味期限も長いですから、あれば重宝することは間違いありません。
非常食の一つとして、スティックタイプのはちみつを加えておくと安心ですね。
個人的には、災害食認定を取っている地元の空港はちみつのスティックタイプがおすすめです。なかなかお目にかかることはないのが残念ですが。

災害時に子どもを迎えに行くための準備をしておこう

 災害時には、保育園や幼稚園、小学校などの開設時間内だった場合には、原則として「子どもは迎えに行く」というルールになっているところがほとんどではないでしょうか。
 そのためには、迎えに行く側も迎えに来てもらう側もお互いに準備をしておかなければなりません。
 今回は、双方の立場に立って何をしておいたらいいのか、どのようにしたほうがいいのかを考えてみたいと思います。

1.迎えに行く側の準備

1)迎えに行く人を決めて優先順位をつけておく
 「迎えに行く」と一口に言っても、その災害が発生したときに誰が迎えに行けるのかという問題があります。
 そのため、保護者以外にお願いできる誰かを準備しておく必要があります。祖父母や親戚、近所の人や子どもをよく知っている友人など、いくつかお願いをしておくと、いざというときに頼りにできます。

2)歩いて迎えに行けるかどうか試してみる
 災害時には原則として徒歩による移動となります。そのため、自分がいる場所から子どものいる場所まで歩いて迎えに行けるか、時間はどれくらいかかるのかを確認しておく必要があります。

3)子どもが歩けるかを試してみる
 子どもをどのように移動させるのかについては、子どもの年齢や大きさによってかなり変わってきます。子どもは歩けるのか、歩けないとしたら、どうやって移動させるのかを考えて、試してみる必要があります。

4)子どもの預かり先の対応を確認しておく
たとえば大雨などの場合、道路が冠水するなど、ある時点でお迎えを断念しなければならない場合が出てきます。その場合に、預かり先はどのような対応をとっているのか、とれるのかを確認しておく必要があります。

5)避難先を確認しておく
子どもの預かり先の建物などに何か問題が生じた場合に避難する先を確認しておきます。状況によっては、預かり先ではなく避難先に直接お迎えに行くこともあり得ますので、預かり先だけでなく、避難先までの経路を確認し、歩いてみることが大切です。

2.迎えに来てもらう側の準備

1)誰が迎えに来るのかを確認しておく
「迎えに来る」と言っても、誰にでも引き渡すわけにはいきません。そのため、あらかじめ誰が迎えに来る可能性があるのかについて保護者に確認し、リストを出してもらう必要があります。
できれば3名以上の名前と連絡先を教えてもらっておきましょう。

2)どの時点で避難または籠城するかを決めておく
各種災害において、お迎えを強行した場合に保護者が遭難してしまうような場合が想定されるとき、どの時点で引き渡しを打ち切って避難または籠城するのかについて明示しておきます。
その際に、その時点で引き渡しを待っている子どもおよび保護者の扱いについてもあらかじめ決めておくようにします。

3)避難所への移動手段および避難にかかる時間および避難先の資機材の確認
避難する場合、避難先にどの時点でどうなったら、どのように移動するかを決めます。その上で、移動時間がどれくらいかかるのかを計測しておきます。
また、避難先にはどのような資機材があるのかを確認します。

4)避難または籠城時に利用できる資機材について定期的に確認し、きちんと使えるようにしておく。
 避難所で足りない資機材や籠城時に使う資機材について確認し、いつでも使えるようにしておきます。避難所への輸送手段についても決めておきます。

5)保護者との情報共有
 お迎えに来る保護者と情報共有をしておきます。災害時にお互いの動きを確認しておくことでトラブルを防ぐことができます。
 よくあるケースなのですが「どうなるかわからないから」と情報を内部で留めることのないように注意してください。仮にお知らせしている条件と変わったとしても、伝わっていないことは保護者の不安と疑心を招きます。
また、携帯電話やメール、ホームページなど、災害時の情報提供方法についてもお互いに確認しておいた方がいいでしょう。

 いかがでしょうか? 一言で「災害時にはお迎え」と言っていても、事前準備をしっかりしておかないと無用の混乱が起きることになります。
 災害時には、そうでなくても手が足りなくなります。事前準備をしておくことで、機械的に対応できる部分を増やしておくことで、突発的な出来事への対応がしやすくなるということを忘れないようにしてください。

子どもを退屈させないために

 災害が発生しそうで避難所へ避難すると、多くの人は不安になるものです。
 でも、そこで何をするかといえば、テレビを見るかラジオを聞くか、寝てるか、顔見知り同士で話をするかくらいです。
 そうなると困るのは子ども達。特に元気を持て余している小さな子どもは暇や退屈を我慢できません。
 災害で家や街がどうなるかなどという心配はしませんし、知っている子どもがいれば一緒に走り回って遊び始めるのは普通です。
 ところが、そうすると不安になっている大人達は子ども達がどたばたするのを我慢できませんから「静かにしろ!」と怒鳴りつけ、しばらくするとまた子どもが騒いでまた怒鳴りという悪循環が発生します。
 これを防ぐためには、子ども達を暇にさせない、退屈させないことです。
 そのため、子どもがいるおうちの非常用持出袋の中には、必ず複数の子どもが静かに遊べるその子の好きなおもちゃを入れておくようにしましょう。
 絵を描くことが好きな子なら、自由帳と色鉛筆。読書が好きなら単行本や絵本。編み物や将棋や碁もいいですし、トランプやUNOといったカードゲーム、持ち運びできるボードゲームも楽しいですよね。

さまざまなゲーム類。やり始めると夢中になることが多い。

 よくある携帯ゲーム機やスマホゲームも悪いとはいいませんが、光や音、電源の問題などでトラブルが起きやすいのが難点です。また、遊ぶゲームによっては通信系に負荷をかけてしまうこともありますので注意が必要です。
 どんなおもちゃであれ、肝心なのは子ども達が夢中になって楽しむことができること。
 暇で退屈するから走り回ったり遊びをいろいろと考えつくわけで、夢中になって遊べるものがあれば、子ども達は本気で遊んでくれます。
 では、おもちゃがなければどうするか?
 そんなときには、大人がそこにあるもので、しかも周りに迷惑をかけずに遊ぶ方法をいくつか教えておくと、後は子ども達が勝手に新しい遊びを作り出していきます。また、一緒になって遊ぶのもいいと思います。
 一緒に遊びながらさまざまなルールを教えると、子ども達は驚くくらい素直にそれを守ってくれます。
 さらには、何か仕事をお願いするのもいいでしょう。
 とにかく、子ども達を暇で退屈させないこと。
 避難所がギスギスしないための一つの方法です。

携帯用トイレを考える

 最近はさまざまなところで携帯用トイレを見かけるようになり、百円均一ショップなどでも「男女兼用」な携帯用トイレを見かけるようになりました。
 これだけ見かけるところを見ると、いざというときに備えて準備している人も多いのかなと思いますが、使ったことのある人はどれくらいいるでしょうか?

携帯用トイレ各種。一番左は百円均一ショップのもので小専用。真ん中と右は大にも対応しているが、真ん中のものはバケツなどが必要。右はセットに段ボール製のミニ便器が入っているが、座ると壊れる。

 基本的なことですが、百円均一ショップなどで売られているコンパクトな携帯用トイレは「小用」です。「大きい方」の時には使えないので気をつけておいた方がよいと思います。
 さて、この携帯用トイレは排泄時には投入口の口を開いて中に排泄を行うわけですが、男性はともかく、女性はかなり使いにくいようです。
 一応「兼用」とされていて受け口が広く折り返せば安定するのではありますが、うまく投入口に排泄部分が当たらずに周りに飛び散ってしまったりすることも多いとか。

ペットボトルの飲み口に取り付けて使う尿受け用のジョウゴ。携帯型トイレの受け口に差し込むと安定して小用を足すことが可能

 「小」を受けるためのジョウゴなどを使うなど、ちょっとした工夫が必要な場合もあるようです。
 また、子どもの場合になるともっと大変です。普通にトイレでできる子でも、小さな投入口に注ぐのは勝手が違います。
 子ども達に任せると、中には一滴も入らずに周囲が大洪水ということも起こりますので、場合によってはトイレで用が足せるようになっても「おまる」を準備しておくことも有効ではないかと考えます。

 座るタイプのおまるなら、おしりが収まればある程度大きな子どもでも使うことができる。そして大小どちらでも可能なため、あるなら準備しておいてもよさそう。

  準備したらまずは使ってみること。防災用品の基本ではありますが、簡易トイレもさまざまなものがありますので、使ってみて自分や家族にあったものを用意しておいてくださいね。