自分の行動を記録してみる

 非常用持ち出し袋を準備するときによく聞かれるのが、「何をどれくらい用意すればいいのか?」ということです。
 それに対してで筆者はいつも「あなたは一日に水をどれくらい飲んでますか? トイレ、何回行ってますか?」と聞き返すようにしています。
 非常用持ち出し袋の水や食料、簡易トイレといったアイテムは、どれくらい準備すれば良いのかが人によってかなり変わってきます。
 よくトイレに行く人は簡易トイレの数も増えますし、逆は減ります。また、どれくらいの水分を摂っているかは意識していないとわからない話です。
 そのため、自分にあった非常用持ち出し袋を作るときには、まず自分の一日の行動を記録してみることをお勧めしています。
 記録してみると、案外水分を摂っていたり、思ったよりもトイレに行っている回数が多かったり、意外な発見が出てくると思います。
 そういったご自身の情報を基準にして、非常用持ち出し袋の中身を準備するようにすると、いざというときに必要なものが最低限は揃っている安心した状態が維持できます。
 さまざまなアイテム類を行政などの指示通りに準備すれはとりあえずは安心なのですが、重たいし嵩も大きいです。できるだけコンパクトにするためにも、ご自身の行動記録をまとめてみてはどうでしょうか。

【お知らせ】災害時外国人サポーター養成研修(西部会場)が開催されます

 令和4年6月5日に鹿足郡吉賀町で令和4年度災害時外国人サポーター養成研修が開催されます。
 これは災害時に日本語を充分に理解できない在日外国人の人をサポートする人を養成する講座で、毎年開催されています。
 去年はオンライン開催だったのですが、今年は時期を早めて、会場で実施されるようです。
 ここでは難しい行政用語をいかにわかりやすい日本語に翻訳してお知らせするかということと、実際に派遣されたことを想定しての実践訓練もあります。
 今年は避難所設営訓練もあるようですので、興味のある方は是非ご参加下さい。
 募集方法や締め切り日などの詳しいことは、以下のリンクからご確認下さい。

https://www.sic-info.org/event/post-22193/(しまね国際化センターのウェブサイトへ移動します)

ラジオの話

携帯ラジオ各種

 非常用持ち出し袋の記事を見ると、多くの場合「携帯ラジオ」が品物の項目に入っていますが、あなたの非常用持ち出し袋には入っていますか。
 携帯ラジオは情報を取るには非常に便利なアイテムではあるのですが、筆者は、地域によって必要性の優先度が異なるアイテムなのではないかと思っています。
 というのも、ラジオ本体の感度や電波の条件によって、まったく受信できなくなる場所があるからです。
 そのため、ラジオよりも携帯電話のアプリを使う方が感度の良い受信ができる場合があります。
 ラジオを有効活用しようとするなら、できればお住まいの場所や避難先の電波状況がどうなっているのかをあらかじめ確認しておくとよいと思います。
 ちなみに、手回し発電装置のついたものもありますが、この発電効率は機材によってかなり差があるので、購入前にはよく調べておくことをお勧めします。
 よく「携帯電話も充電できる」といったうたい文句のものもありますが、現在主力となっているスマートフォンは充電に必要とされるアンペア数が高いため、ラジオの手回し発電機で充電できる量はあまり期待しない方がいいと思います。
 また、多機能型のラジオもありますが、多機能だからといって、懐中電灯などの機能をラジオに肩代わりさせると、電池の消耗がかなり激しくなるので注意して下さい。
 ラジオは普段から馴染みがあるなら、災害時にも非常に頼りになる存在です。
 ただ、使い慣れていないとそもそも設定ができませんから、平時にしっかりと使い方をマスターし、いざというときに慌てなくても済むようにしたいですね。

子どもの避難と保護者のお迎え

 学校やスポーツクラブ、学童クラブなどにいた子ども達が災害にあったら、子ども達をどのようにして保護者に引き渡すのかをルール化して保護者と情報共有ができているでしょうか。
 災害で避難した子ども達は、恐らくみんな不安になっていると思います。
 保護者の顔を見るとほっとするのではないかというのは、なんとなくイメージができるのではないでしょうか。
 ただ、知りうる限りの施設では、避難や避難先は内部で共有されていますが、保護者や外部には公表されていないのか、いざというときにどこに避難していて、迎えにいけばいいのかを把握してる保護者はすくないような気がします。
 これは少しだけ困った話で、子どもを引き取る保護者側はこどもがどこにいるのかさっぱりわからずに被災地内を駆け回ることになってしまいます。
 学校もそうなのですが、できる限り保護者も避難訓練に参加してどのような訓練をしているのかをきちんと確認しておいた方がいいと思います。
 そうすれば、どこに避難する可能性があるのかがわかりますので、こどもの居場所も予測しやすくなるはずです。
 被災後は、できるだけ早めに子ども達を保護者に引き渡さなければならない。
 そのことを念頭において、さまざまな会議や文書で保護者には知らせておいて欲しいなと思います。

非常口の鍵

鍵の開け方は書いてあるが、小さいのでいざというときには読めない。

 災害だけでなく火災のときにもとても重要になるのが非常口です。
 普段はスタッフ専用出入口になっているか、もしくはまったく使わない純粋な非常用として作られている非常口の扉には、ほぼ確実に鍵がかけられています。
非常時にはこの鍵を解放して脱出するのですが、実はこの非常口の鍵は解除するのに決まったルールがないため、非常口を使う事態になったときには焦りながら鍵の解除方法と格闘することになります。
 カバーを外してロックを解除するといった単純な作業でも、焦っているときにはなかなかうまくいきませんので、そういった場所にでかけたときには、念のために鍵の解除方法を確認しておいたほうが安心です。
 本当のことをいえば、非常口には鍵はかけないのが一番いいのですが、非常口を使ってさまざまな悪事を働く人が出ることを考えると、そういうわけにもいかないみたいです。
 ちょっとしたことなのですが、そういった細部の確認が一秒を争うときにはとても重要になりますので、非常口の鍵、ちょっとだけ意識しておくことをお勧めします。

簡易トイレと汚物処理

携帯トイレ各種

 災害で通常のトイレが使えなくなったときに登場するのが簡易トイレです。
 時間の経過と共に工事現場で見るような使いやすくてきちんと仕切られた仮設トイレが到着したり、使えなかったトイレが使えるようになったりしますが、それまでは汚物を自分で処理する必要のある簡易トイレを使わなければなりません。
 最近では避難所の備蓄品や非常用持ち出し袋の中のアイテムとして常備されていることも増えてきましたが、いざというときにそれらの道具を正しく使うことができますか。
 こういった簡易トイレは使用一回ごとに凝固剤で固めた汚物の入った袋の口を縛って可燃ゴミとしてゴミ置き場に出しておかないといけないのですが、残念ながら汚物をそのままにしてしまう人が多いようです。
 張り紙などで意識させるようにしていても、普段の慣習というのはどうしても出てしまうので、次に使う人との間で大きなトラブルになってしまいます。
 普段の避難訓練や避難所設営訓練時に実際に使ってみないと身につかないような気がするのですが、トイレの問題は「汚い」とか「くさい」といった感覚が先に立ってしまって設置まではしても実際に使用するところまではいかないようです。
 ただ、使うときには本当に困ってしまう部分なので、とりあえずは使用から汚物袋の処分までを入れた訓練はしておいたほうがいいと思います。
 ところで、簡易トイレは汚物袋と凝固剤を一セットにして一回ごとに使用するのですが、あなたは自分が普段トイレに行く回数とその時の大小について大ざっぱでいいので把握していますか。

座るところは段ボールでもバケツでも作れるが、処理袋は用意していないと作れない。特に凝固剤がないと汚物が可燃物で処理できないので要注意!


 大小で使う簡易トイレが異なることがありますので、回数を把握したうえで非常用持ち出し袋に備える簡易トイレの数を確保して下さい。
 災害備蓄として避難所においてあるトイレの汚物袋と凝固剤の数は、例えば2000セットあると聞くと多いと感じますか、それとも少ないと感じますか。
 その避難所に避難する人が100人いるとします。そうすると、一人が簡易トイレを使用できる回数は20回。一日に5回トイレに行くとすると、4日分しかありません。
 もし避難者が1000人だとすると、たった2回分です。
 自分の備蓄を準備しておかないと、簡易トイレさえ使えなくなるということを知っておいてください。
 各人が自分の簡易トイレを持っているほど、トイレ事情には余裕が出てきます。
 食べたり飲んだりは我慢できても、出すのは我慢にも限界がすぐ来ますので、簡易トイレの準備と取り扱い方の熟知、そしてゴミ処理についての計画を作っておくことをお勧めします。

【活動報告】よつばキッズスクール様の避難訓練を見学させていただきました

益田市あけぼの西町にある民間学童施設よつばキッズスクール様の避難訓練を4月21日に見学させていただきました。
今回は火災想定で火災発生から避難の手順や消火について、実際に動いて確認をされていました。
外が雨天だったため、実際に予定している避難場所までの移動はしませんでしたが、初めてとは思えないくらい参加した先生方や子ども達の動きが機敏で非常に安心しました。
当研究所は今回は訓練内容を見させていただき、少しだけ火災からの避難についてのお話をさせていただきました。
また、施設的に気になったところをお話ししたところ、すぐに改善されたそうで非常にうれしかったです。
このよつばキッズスクール様では、毎月避難訓練を行うそうで、万が一に備えて定期的に訓練をするということは非常に大切だなと思っています。
今後もお手伝いできることがあれば当研究所も積極的に関わっていきたいと思っています。
今回避難訓練のお手伝いを快く許可いただきましたよつばキッズスクールの岩田先生を初めとする皆様方に厚くお礼申し上げます。

その資機材は使えるか?

 非常用備蓄品として、集会所や公民館といった避難所になり得る施設にはさまざまな資機材が準備されていることも多いです。
 仮設トイレや段ボールベッド、仕切りやテントといったアイテムは、備え付けているだけではあまり意味がありません。実際に使ってみて、使い方を覚えておかなければ、便利なものであっても役には立たないのではないでしょうか。
 以前に避難所で、本来はパーテーションとして使われるはずの段ボールが避難者の敷物代わりになっていたという笑い話のような光景を見たことがありますが、これもその段ボールがなんなのかが運営者側にわからなかったため、敷物代わりに使われてしまったようです。
 もっとも、寒い時期にはパーテーションよりも床からの寒気を遮断するための道具として使った方がよいという見方がありますので、一概に悪いとも言えません。
 余談になってしまいましたが、備え付けてある資機材は、避難者や運営者が存在を知らなければないのと同じですし、使い方を知らなければやっぱりないのと同じです。
 また、資機材を使うために必要なものが欠落している場合があります。
 とある避難所予定の施設では、停電に備えてステンレス製のかまどが用意されていましたが、肝心の薪と鍋は備え付けてありませんでした。
 近所から持ってくる想定なのかもしれませんが、使うための資機材は一通り揃えておいた方が、いざというときに困らないのではないかと考えます。
 こんな例はたくさんありますが、せっかく準備する資機材ですので、避難者や運営者もそれがどんな道具でどうやって使うのかについて、できれば実際に使ってみて使い方を知っておいて欲しいと思います。

施設の避難計画はできていますか?

平成29年6月19日の『水防法』等の改正により、浸水想定区域などに所在する要配慮者利用施設の所有者または管理者に対し、避難確保計画の作成及び避難訓練の実施が義務となりました。
要配慮者と聞くと老人や障害者が思いつきますが、乳幼児もここに含まれるため、老人ホームや障害者福祉施設だけではなく、幼稚園や保育園、こども園も避難確保計画の策定と避難訓練の実施が義務化されています。
4月18日付けの読売新聞1面には、浸水想定区域にある幼稚園や保育園、こども園の2割が避難確保計画未策定となっているという記事がありました。
その理由は「施設側の人員不足や義務化されているという意識が薄い」と記事には書いてありましたが、行政側も人員不足やコロナ禍で立ち入り検査ができず指導が難しいようです。
正直なところ、未策定の数字が思ったよりも少ないなと感じました。
実際のところ、避難確保計画では避難の発動条件が施設管理者の判断に一任されているものも多く、誰が見ても避難と判断できる避難条件が決定されていないものは策定しているとはいえないと思っています。
また、避難開始から避難完了までは定めていても、避難先でどのように過ごすのかや、どのようになったら避難を解除するのかについても、明確に決めているところは少ないと思っています。
避難確保計画はピンからキリまでありますが、災害対策に関心のある人が作っているかどうか、そして管理者や所有者がどれくらい真剣に災害対策を考えているのかによって出来上がりの質が相当違っています。
現在は計画があればいいということで、かなり適当に作っているところも多いと思いますが、大規模災害が起きるたびに要配慮者利用施設で死者やけが人がでる現状を考えると、もっと真剣に取り組むことと、防災に通じた人と一緒に考えるなどして、生きた避難確保計画を策定し、生きた避難訓練をし、本番ではだれも死なないようにしてほしいなと思います。
 

お散歩と防災

 災害対策の研修会の中で最近よく行われているものに「防災マップづくり」があります。
 対象は小学生だったり地域の人だったり、フィールドワークの大学生だったりしますが、行うことはどれも一緒で、その地域の危険な場所、安全な場所、役に立つものを洗い出して一枚の地図に落としていくという作業です。
 ただ、普段見ているようでもいざやってみると非常に時間がかかるもので、その地域の住民の方が自分の地域の点検をするのに一日以上かかることはざらにあります。
 普段意識していないものは存在していないものと一緒なので、見慣れた場所でも視点を変えると見知らぬ場所になるということなのかなと思います。
 ところで、いざ災害が起きると最後にものをいうのは基礎体力。普段からしっかりと動いている火とは、そうでない人に比べるとやっぱりタフです。
 普段から歩く習慣を持っておくといいのですが、これまた意識していないとなかなか難しいものですから、あまり運動をしない人はせめてちょっとした時間に家の周りの散歩くらいしてみてはいかがでしょうか。
 その散歩の際に、先ほどの「危険な場所」「安全な場所」「役に立つもの」を探したり確認したりということを一緒にやると、あなた自身も健康になって、いざというときにも自分の安全を確保した避難や対策をすることができます。
 あまり関連性のない気のするお散歩と防災ですが、意識付けすることであなたの身を守るのに結構大切だと思いますので、できるようならやってみてください。