ハザードマップが読めますか

 市町村などが作っているハザードマップですが、完成したり改訂があると、多くの場合は各家庭に配られているようです。
 ただ、その中身の説明がないために、次の資源回収日には大量に出されているケースもあるとか。
 本来なら災害から身を守るために作られたはずのハザードマップがただの資源になってしまっているのは、ようするに見方がわからないからです。
 見方さえわかれば結構役に立つのですが、配られているハザードマップに書かれている解説を読んでも、よくわからないという方が多いのではないでしょうか。
 研修会などで説明すると「ああそういう意味なのか」と言ってもらえることも多いのですが、わからないから資源にされているのです。
 また、中途半端に細かいサイズになっているため、かなり使いにくいものも多いです。見やすいだろうと思って冊子にしていても、実際には非常に使いにくくわかりにくくなってしまっている残念なケースもよくあります。
 見方さえわかれば、あとは更新されても改訂されても大きく表示方法が変更されることもないですから、見方をしっかりと周知してほしいと思います。
 見方と用語。
 これがきちんと理解できるような機会の提供が少ないような気がするので、結果として理解が進まないという状態が続いている気がします。
 せっかく大金をかけて作ったハザードマップです。
 しっかりとハザードマップが役立つような、そういった心配りがいるのかなと感じています。

【活動報告】高津小学校の防災クラブを開催しました

「階段で地震が起きたらどうするか?」を本人たちで考えて身を守るポーズをしてもらった。考えて動いてみることがとても大切。

 2022年11月30日に益田市立高津小学校で11月の防災クラブを開催しました。
 この防災クラブは学校のクラブ活動の一つとして取り入れてもらっているものですが、今回は校内に設けられたチェックポイントに準備された問題を解いたり、演習をしたりしてもらう「校内オリエンテーリング」を開催しました。
 去年のチェックポイントは問題だけだったのですが、こちらの想定よりも相当早く帰ってきてしまって時間が余ってしまったという経験から、今回は消火器の使い方や胸骨圧迫を交代で2分行うこと、そして階段で地震に遭遇した時の防御法について実際に動いてみてもらいました。
 結果としてはかなり楽しんでもらえたようですが、このオリエンテーリングは当日の準備が大変なので、いかに当日の手間を減らすかがこれからの課題となりそうです。
 今回参加してくれた子どもたち、快く支援してくれた先生方、そして毎回手伝ってくれるスタッフの皆様に感謝します。

逃げるべきか留まるべきか

当研究所のある益田市市街地のハザードマップ。あなたのおうちは避難が必要ですか?

 避難という言葉を調べてみると、「災難を避けてその場から立ち退くこと」といった意味になるそうです。
 防災対策でよく使われるこの避難という言葉ですが、その中身を見ると「垂直避難」「水平避難」「その場で待機」という大きく3つに分けられています。
 「水平避難」は言葉の意味のとおり、災害が発生するであろう場所から災害が起きない場所への水平移動のことを指します。
 「その場で待機」は、そもそも避難の必要がない場合に使われるもので、自宅待機ともいわれます。
 そして、「垂直避難」は、「その場にいるが、なるべく高いところへ移動する」ということで使われています。


 確かにその場から移動はしているのですが、危険地帯から移動しているわけではないので、避難に該当するかどうかは正直疑問ですが、それでも例えば1階にいたら間違いなく溺れてしまうような場所の場合には、2階以上の場所へ逃げるのは一つの考え方なのかなと思います。
 ただ、垂直避難には限界があります。都会の何十階建ての建物ならともかく、田舎の一戸建てだとせいぜいあっても3階くらいまで。そんな場所で垂直避難することは、果たして正しいのだろうかとも考えてしまいます。
 自分が垂直避難でもなんとかなりそうかどうかは、お住いの場所のハザードマップを確認して判断するしかありません。ハザードマップを100%信用することは危険ですが、それでも一つの判断基準にはなります。
 さまざまな条件でそこから遠方へ逃げられない人や、逃げ損ねた場合には、上層階に逃げることで命をつなげるかもしれません。
 基本は水平避難ですが、もしも垂直避難になった場合に備えて、どのような条件だと危険なのかについて確認しておくことをお勧めします。

【活動報告】おたがいさま益田様で防災研修を行いました

 去る10月17日、益田市高津町の生協益田支所様にて、おたがいさま益田様の防災研修会の講師をさせていただきました。
 テーマは災害から命を守るにはということで、ハザードマップと防災と聞いて思いつくアイテムを一つご持参いただき、それについて参加者同士で話をしてもらいました。
 また、実際の音声を聞きながらの避難訓練や、非常時に使われる警報音を聞いていただいたりと、盛りだくさんの内容でやらせていただきました。
 ただ、研修よりも展示物のほうが興味をもっていただけたようで、展示していた簡易トイレやエマージェンシーシート、非常用のアイテムの入ったボトルなどをについてあれこれとご質問をいただきました。
 次回があれば、今度はそういったアイテム類の見方や使い方、準備などについてやってみるのも面白そうだなと思いました。
 今回お声がけいただきましたおたがいさま益田様、そしてご参加いただきました皆様にこころから感謝いたします。
 諸般の事情で写真がありませんので、記事にて報告させていただきます。

【活動報告】ワークショップ「防災マップを作ろう!」を開催しました。

横断歩道の見通しが悪いと、渡ったあとで危険認定。

 去る10月15日に益田市の高津上市地区で小学生による地域安全点検として防災マップ作りを行いました。
 参加者が全部で5名と少し寂しかったですが、そのぶんしっかりと地域の安全点検をして回ることができました。
 普段通学路として使っている道も、安全点検してみるとかなり危険だということに気づいたようで、どうすればいざというときの安全が確保できるかについて参加者でいろいろと話をしていました。

地域のお年寄りとちょっと立ち話。しっかりやってと激励される。

 また、防災や防犯といった普段あまり気にしていないものの見方がわかると、普段の生活でもかなり見方が変わってくるというご意見もいただきました。
 今回はこれで終了しましたが、今後各地で防災マップを作る機会が増えるといいなと思っています。
 子どもたちと一緒に地域の安全点検をしてみませんか?
 興味のある方で講師やお手伝いが必要であれば、ぜひお声がけください。
 できる限りのお手伝いをしたいと思っています。
 今回参加してくれた子供たち、そしてお手伝いいただきました皆様に心から感謝いたします。

事業継続化計画を行動に落とし込む

BCPは避難だけでなく、事業を再開するための準備や流れも記載されている、はず?

 さまざまな企業や団体で、現在一通りできたといわれているのが事業継続化計画、いわゆるBCPと呼ばれるものです。
 ただ、このBCP、綿密に作りすぎていて一つ状況が変わるとまったく対応できないようなものから、全て管理者に判断を丸投げしている計画と呼べないようなものまでさまざまで、いざというときに本当に大丈夫かなと思うことがよくあります。
 「うちはきちんとした計画を作ってるから」というところのBCPを見せてもらうこともたまにありますが、一度作った計画を見直しも確認も訓練もせずにそのまま棚に飾ってあるようなものが多いです。さらには、困ったことにそのBCPを職員や従業員の方が存在すら知らないということも非常に多くあります。
 本来、BCPは各種訓練を行う毎に進化を続けていくものです。そして、その内容が訓練の基本となるため、職員や従業員が存在を知らないということは、そもそもあってはならないことなのですが、BCPと訓練が切り離されているとこういったことが起こります。
 もっとも、BCPが訓練にきちんと取り入れられているところは筆者の知る限りでもあまり多くはありません。
 多くは火災や災害からの避難訓練くらいで、安否確認や復旧訓練まではやっていないと思います。火災や災害からの避難訓練だと、何をすればいいのかわかっていますし、確認や講評は近くの消防署にお願いできるので、大した手間が必要なく、手直しもしなくていいのでお手軽なのだと思います。
 でも、せっかくBCPを作っているのであれば、それを基本にした訓練計画をぜひ一度作ってみてください。訓練時にはBCP担当だけでなく、BCPを読み込んだ人何人かが訓練をみてどう思ったかを講評すれば、次の訓練でそれがきちんと反映できます。
それを続けていれば、実際に必要なものやできるできないがよくわかりますし、事業を継続するためにはどうすればいいかを考え直すきっかけにもなります。
 いざというときに廃業しなくてもすむようにきちんと整備し、使えるものを策定しておいてください。

一番長くいる場所の安全を確保する

家具を固定していないとこうなる。

 どんな人もそれぞれに自分が一番長く過ごす場所というのがあると思います。
 長くいるということは、そこで過ごす時間が当然長いわけで、そこで被災する可能性が高いと考えていいと思います。
 そのため、まず最初に長くいる場所の安全を確保するようにしてください。
 例えば、自分がその場所で普段いる姿勢より背の高い家具を置かないとかその姿勢よりも高い場所に重量物を置かない、背の高い家具や重量物を置くならしっかりと固定することが要求されます。
 多くの人は寝室で寝ている間が一番長くその場所で過ごすことになると思いますので、寝る場所にはものをなるべくおかないのが基本と考えてください。
 そして、できればドアはスライド式または外開きにして扉の外側にはものを置かないこと。
 窓は飛散防止フィルムを貼り、厚手で長めのカーテンまたはブラインドをかけておく。照明は天井に直付けするか、あるいは壁の間接照明とする。
 これだけでかなりの安全度が確保できます。
 難しいようにも見えますが、やってみると割と簡単にできます。
 もう少しすると大掃除を始めるご家庭も多いと思いますので、そのときお掃除と一緒にお部屋の安全確保もしてみてください。

どこに避難しているのかを知る

避難先や避難経路を知るには、防災マップを作ってみるのも一つの方法。

 あなたは津波などで避難が必要な状況になったとき、自分がどこへ避難すればいいのかを知っていますか。
 また、ご家族がどこへ避難するのかを知っていますか。
 学校や施設などにいるとき、そこからどこへ避難しているのかについては、案外と知られていないことが多いですので、どこに避難するのかをしっかりと確認しておきましょう。
 できれば避難経路もあわせて確認しておくといいと思います。
 どのような判断でどこへどんな経路で避難しているのかを知っていると、いざというときにもある程度どこにいるのかが予測がつきます。
 そして、探しに行ったり迎えに行ったりするときにも迷わなくて済みます。
 また、自分の子供が遊んでいるときに避難すべき状況が起きた時にはどこへ避難すれば安全なのかを、子供と一緒に現地で確認しておくと安心です。
 誰がどこにいてどうなっているのかがわからないことは、人の心に不安を招きます。
 その結果、その不安を解消するために助けに出かけて遭難するというケースは過去の災害でもたくさん起きています。
 いざというときに誰はどこに避難しているのかを事前に知っていることで、そういった不安を排除することができますから、お互いにどのような行動をするのかについて、しっかりと話をしておくようにしてください。

【終了しました】小学生向けワークショップ「防災マップを作ろう!」を開催します

10月15日の13時30分から高津柿本神社駐車場を集合場所にワークショップ「防災マップを作ろう!」を開催します。

地域の安全点検をしながら防災マップを作っていきます。最初に点検のポイントを説明した後、実際に地域を回って点検し、最後にどうやったらこの地域で安全に過ごすことができるのかを考えてみます。

対象は小学生ですが、それ以外の方のご参加も歓迎します。

小学生以下のお子様が参加される場合には、保護者の方も一緒にご参加ください。

興味のあるかたのご応募をお待ちしています。

被災家屋のお片付けで気を付けること

昭和58年島根県西部水害の後の復旧の様子

 災害で被災した家屋をお片付けするのは生活再建の第1歩になります。
 ただ、お片付けをする前にしっかりとした準備をしていないとお片付けが原因の感染症などにかかってしまうことがありますので、気を付けてください。
 まずはできる限り肌を露出しないこと。
 長袖、長ズボン、長靴にゴム手袋、帽子かヘルメットを頭にかぶって、マスクとゴーグルをつけることが原則です。
 特にマスクとゴーグルはのどや鼻、目の粘膜を守るために必須です。
 また、手袋や長靴は防刃性能のあるものが適切です。破片や釘などで刺し傷や切り傷ができると、そこから菌が入って炎症を起こします。
 特に破傷風にかかると最悪の場合死んでしまいますので、できる限り怪我をしないような対策をしておきましょう。

災害復旧支援ボランティアが被災した場所のお片付けの格好の一例(政府広報オンラインから)

 また、洪水や水害などで被災した場合には、しっかりとした換気も必要です。
 放っておくとカビが発生し、そのカビで呼吸障害を起こすこともありますので、窓や扉は全て開け、できれば扇風機や送風機などで床下や壁といった場所をできるかぎり乾燥させましょう。
 最後に、全体にしっかりと消毒をしておくこと。
 床下や建物につかう消毒はいろいろと違いますので、確認したうえて適切な消毒薬を使うようにしてください。
 お片付けのときの換気と消毒をサボると、せっかく片付いた後でさまざまな問題が発生します。
 家とあなたの生活を守りたいのであれば、お片付けのときに徹底的にされることをお勧めします。

家屋が浸水したら感染症に注意 水害後の清掃で気を付ける3つのポイント(ウェザーニュースのウェブサイトに移動します)