夕べは日向灘で大きな地震がありました。
午前1時過ぎという時間でしたので、多くの人は寝ていたのでは無いかと思いますが、お怪我などはなかったでしょうか。
地震のときにすぐ動けない3つとして、1.寝てるとき、2.トイレ中、3.入浴中があります。
いずれも気がついたからといってすぐに動きを取ることは難しいと思いますので、とりあえずは怪我をしないようにしておく必要があります。
上からものが落ちてきたり、ものが飛んできたりしないように、家具やものの配置には気をつけて下さい。
もし布団の中の場合には、お布団や枕を頭から被って怪我をしないようにしてください。
お風呂とトイレの場合には、閉じ込められたりすることを防ぐために出入り口を解放しておく必要があります。
見られると情けない姿にはなりますが、閉じ込められるよりはマシ。出入り口の開放をしたら、怪我をしないような姿勢を取って下さい。
ちょっとしたことなのですが、これらを知っておくだけでも動きが変わってきます。
「今、そこで地震が起きたらどうしよう」を、ちょっとだけ考えて、自分の行動を決めておきたいですね。
カテゴリー: 地震対策
とりあえず書き出してみよう
災害時にどのような行動を取るのかについては逃げ地図やマイタイムライン、目黒巻きや地区防災計画に至るまでさまざまなアイテムが用意されています。
ただ、割と多くの人が災害時の行動については頭の中にはあっても目で見えるようにはしていないみたいです。
災害時を含む非常事態というのは、トラブルが加速度的に増えていきますので、早め早めに対応しないと行動ができなくなってしまいます。
早めの行動というのは、考えていたことを目で見えるように書き出しておくことで、考えなくてもそれを見るだけで行動に移せることです。
非常事態や緊急事態に備える必要のあるところには、ほぼ100%非常事対応マニュアルというのが用意されていて、考えられるさまざまな出来事と対応策、対応する順番が整理されていますが、これは非常時にはどんなにしっかりとした人でも100%の能力は発揮できないこと、そして考えられなかった異常事態が起きたときにそちらに対応するための能力を集中させるために存在しています。
例えば、マイタイムラインを作成すると、備える必要のある災害、取るべき行動、そして最終的な対応まで一目でみることのできる一枚紙ができます。
この紙を、玄関や冷蔵庫、トイレなどに貼っておくと、無意識に中身を見て覚えることができ、その結果、そこに書かれた事態になったときに考えなくても行動を取ることができるようになり、結果的に身を守ることができるのです。
平時にあれこれと考えて対応策を決めるのであれば、それは必ず書き出して目で見えるようにしておきましょう。
そうすることで、少なくとも災害時の行動に迷うことはなくなると思います。
避難時の履き物を考える
水害などでは、避難するときに長靴を履くのかどうかが割と議論になったりすることがあります。
防災をやっている人の間では「水の害では長靴禁止」が基本になっているような気がしますが、これは中に水が入ると歩けなくなってしまうからで、周囲が水没を始めた後の避難が前提になっています。
つまり、早めの避難であれば別に長靴でも問題ない、というか、足が濡れない分だけ長靴がいいのではないかと考えることもあります。
いつの時点で行動を開始するかによって、使える履き物も変わってきますから、一概に運動靴ばかり押すのもどうかなという気もします。
もちろん、汎用性が高いのは運動靴ですし、水の中を歩くときに水の抵抗が少ないのも確かなので、運動靴を勧めることは正しいのですが、履き物を考えるよりもさっさと避難しろ、というのが筆者の本音ではあります。
いろいろな話があるのは確かなのですが、早めに避難するのであれば一番履き慣れた靴がもっとも安全というのが筆者の見解です。
普段履き慣れない履き物を非常時だからと履くと、足が慣れていないので帰って危険になることもあるのではないかと考えますので、履き慣れた靴が水没したときに備えて、もう一足、非常用持ち出し袋に履き物を準備しておくと安心ではないでしょうか。
1足しか選べないのであれば、運動靴一択かなとは思っていますが、履き物で悩むよりも早めの避難。
そっちの方が大切なのではないかと思っています。
ウォーターサーバー
防災教室などで備蓄の話をしていると、割とよくウォーターサーバーの話が出てきます。
宅配されたお水入りのタンクを給水器に取り付けて水やお湯を出せるようになっているそうで、これがあれば非常用水の備蓄が不要だと言われることもあります。
確かに安全な飲料水が一定のペースで確実に届けられ、常に備蓄のある状態でローリングストックされていることは望ましいと思います。
ただ、そのときに一つ気をつけていただきたいのが水の取り出し方です。ウォーターサーバーに取り付けてコックをひねれば出るようになっているはずですが、サーバーが何らかの事情で壊れてしまったとき、水を取り出せるかどうかを確認して下さい。
ものによってはサーバーに取り付けないと水が出せなくなっているものがあるようですので、その場合にサーバが壊れてしまうとせっかくの水が役に立ちません。
それから、水タンクが上部に乗る構造上、ウォーターサーバーは非常に揺れに弱いですから、災害時に役立てようと思うと、サーバーが転ばないようにしっかりと固定しておく必要があります。
また、サーバーの構造が停電でも使えるかどうかを確認しておく必要があります。
大きな災害になると、電気は間違いなく止まります.電気が止まったら供給がとまるタイプのウォーターサーバーだと、やっぱり宝の持ち腐れになってしまいます。
誤解しないでいただきたいのは、ウォーターサーバーが駄目だといっているわけではありません。
災害時に確実に安全な水が何リットルも確保されているのは、それだけで一つの安心材料ですから、その水をどのように取り出すことができるのかを知っておいて欲しいと言うことだけです。
せっかくある資源なのですから、お使いのウォーターサーバーの特徴をしっかりと確認していただき、災害時にも水には困らなくて済む状態にしておきたいですね。
備蓄はわけてしまっておく
災害に備えてさまざまなものを備蓄しろと言われていますが、あなたのおうちではどれくらいの分量が備えられていますか。
人によって1食分から2週間分まで、さまざまな量が準備されていると思いますが、それらの備蓄はどこにしまっていますか。
忘れないように一カ所にしまっている方が多いのでは無いかと思いますが、一カ所にまとめておくと、管理は楽なのですがいざというときにそこが駄目になってしまうと、備蓄が全部使えなくなってしまいます。
できれば備蓄は数カ所に分けてしまっておくようにしてください。
そうすれば、一カ所が駄目になっても他の場所が大丈夫なことが多いです。
例えば、2階建てのおうちなら1階と2階にそれぞれ同じ量をしまっておく。別に車庫や倉庫をお持ちであれば、そちらにも備蓄をしておく。
そうすることで、いざ何かあっても備蓄が全滅という事態だけは避けることができます。
政府の推奨している備蓄量は1週間分(7日分)なので、そんな量を非常用持ち出し袋に入れて避難することはまず無理です。
災害の状況が落ち着いたら家に取りに帰ることを前提にして、数カ所に分散してしまうこと。
非常用持ち出し袋は1日程度の備蓄。そしてできれば防災ポーチを作ってもらい、そちらに1食分の備えをしておくといいと思います。
余談ですが、非常食は長持ちしますが箱などのままの保管だとネズミなどに囓られてしまうことがあります。面倒でも、コンテナなどに詰めて保管することをお勧めします。
まずは地震に備えよう
災害対策の中で「地震」とそれ以外にわけられるのには理由があります。
それは「地震」はいきなりやってくること。
他の災害ではことの大小はありますが、それなりに前兆がありますので、準備をする時間があります。
でも、地震は突然本番がやってきて、やってきたときにはすでに結果が決まっているのです。そのため、地震対策は他の災害とは区別してさまざまな備えを行うようになっています。
例えば、建物の耐震化。地震が来たときに慌てて耐震工事をしようと思っても耐震化は絶対にできません。事前に備えて対策していなければ、本番では家が壊れないことを祈るくらいしかできることがないのです。
もちろん耐震化したからと言って絶対に大丈夫とは言い切れません。熊本地震のように大きな揺れが二回来たら、二回目で崩れることもあるでしょう。ただ、いきなり来た本震でその下敷きになって死んでしまうことだけは防ぐことができるのです。
地震はいつ来るか分かりません。家にいないときかもしれませんし、お風呂やトイレ、寝ているときかもしれません。
そのために必要な備えは、人によって異なります。
わき水や畑に野菜がある地方と、水道やお店に頼らないといけない地方では自ずから備えるべきアイテムが異なります。
また、周辺人口や避難所数によっても災害後の行動が変化してくると思います。
いざというときに備えるのは必須ですが、何から準備したらいいかわからないときには、まず地震対策から準備することをお勧めします。
今回は耐震化のことに触れましたが、耐震化できなくても家具の転倒防止や配置の変更でもずいぶんと状況がかわりますよ。
あなたの命を守るために、あなた自身が行動する必要があることを忘れないでくださいね。
地区防災計画ってなんだ?
最近防災界隈で騒がれているのが、いかにして地区の防災計画を作ってもらうかということです。
国の防災計画と、都道府県や市町村が作る地域防災計画はあるのですが、これだけでは日本に住む全ての人が安全に避難をすることができるわけではありません。
そこで、地区防災計画を当事者である住民に作ってもらおうというのがこの話のスタートなのですが、どうもここで規定されている地区を誤解している人がいるようなのでちょっと確認しておきたいと思います。
ここに出てくる地区とは、例えば自主防災組織や自治会といったものではありません。もっと小さな単位、例えば集合住宅や、場合によっては各個人ごとに作る防災計画もこの「地区」に該当します。
避難する判断や生き延びるための判断、避難先や受援方法などは、あまりに大きな単位だと条件が違いすぎて全く機能しません。
より現実的に動かすためには、もっともっと小さい単位で同じような条件の人達を集めてその場所の防災計画を作ることが必要だと考えられているので、ここで出てくる「地区」というのは「地域よりも小さい単位」といったイメージで思ってもらえればいいと思います。
そして、自分や近所の人がどのように行動するのかを定義することが、この地区防災計画の肝となるのです。
その場所の災害事情はその場所に住んでいる人にしかわからないということがあります。そのため、その地域に住んでいる人達に自分が助かるための計画を作ってもらい、それを地域防災会議を経て地域防災計画に織り込んでいく。
そのようなイメージで作るのが本筋です。
行政機関によっては、自主防災組織や自治会などの単位で作らせようとしている動きもありますが、それでは結局地域防災計画の焼き直しになってしまい、行政が決めたルールの責任を地域に押しつけることにしかなっていません。
基本はあくまでも小さな集団です。当研究所のある地域では自治会の組、つまり同じような地域条件で生活している5~10世帯を基本単位として作るくらい。
お隣同士でも条件が異なるのであれば一緒にせず、それぞれに防災計画を作ることになります。
正直なところ、個人の防災計画とどう違うんだという疑問はありますが、隣近所で話をしてみんなで行動することで逃げ残りや危険な目に遭う人を無くすことができるようにという意図もあるようです。
お正月、ご家族や親戚が集まるこの機会に、あなたの防災計画についても見てもらって、助言をもらってみてはいかがでしょうか。
そして、お正月が終わったら、ご近所の方と防災計画について話し合って、より安全に災害を乗り切れるようにしておくといいと思います。
みんなでつくる地区防災計画(内閣府のウェブサイトへ移動します)
みんなでつくる地区防災計画(日本防災士会のウェブサイトへ移動します)
あなたの防災力はどれくらい?
お休みに入った方も多いと思いますが、今夜から元旦にかけてはまた荒れる天気になるような予報が出ています。
帰省される方、旅行される方、出張される方は充分にお気をつけて、事故のないようにお過ごし下さい。
ところで、お休みに入ってもしもお時間があるようでしたら、あなたの防災力を試す防災模試をやってみませんか。
以前は期間限定で行われていたヤフー防災模試がいつでも受けられるようになりました。せっかくのお休みで時間があるのでしたら、この機会に防災知識を確認してみるのはいかがでしょうか。
お金も場所も取りませんし、内容も非常に参考になるものです。
お休みの間に防災知識を身につけて、新しい年も安全に過ごしたいものですね。
もし興味がおありでしたら、以下のリンク先から防災模試を受けてみて下さい。
ヤフー防災模試(ヤフージャパンのウェブサイトへ移動します)
地域を知ることから始めよう
NPO法人には定款という活動する範囲を定めたものが存在し、その定款の範囲でさまざまなアクションを起こしています。
当研究所の定款の中には、防災関係のものに混じって「自然体験活動」と「有害生物対策」という二つが加えてあって、恐らく他の防災活動をしている団体様にはない特徴だと思っています。
災害対策はお住まいの地域、お住まいの場所、そしてお住まいの方によってやり方が変わってきます。同じ地域で隣り合うおうちであっても、備えなければいけない対策は異なっているのです。
このことを理解してもらった上で対策のお話をしないと、聞いている側には内容がイメージできません。イメージできないから備えが進まないし、何かが起きたときには「こんなはずでは・・・」という方を産むことになってしまうのです。
当研究所の自然体験活動は、地域を知るために必要だと考えて定款に加えてあり、山登りや雪遊び、川遊びなどを行っています。住んでいる地域の地質、山、森、川、海、気象条件、そして過去に起きた災害や最新のデータに基づく危険な場所まで、一緒に地域で遊びながらどのようなものかを体験し、そこから災害対策を考えているのです。
海に面していなくても津波は来るかもしれませんし、山の中でも低い場所は大雨では浸水したりもしますが、それは地域を知らなければ体験的に理解できないことだと思っています。
災害対策は、まずはその地域を自分の目で見て理解することがスタートです。できれば地域の人みんなでその地域で身体を使って見て回ることで、初めて災害対策の目線あわせができるのではないでしょうか。
「そこに住んでいるから、その地域のことはわかっている」という常識はとりあえず疑ってみてください。地域で遊ぶ時間がないようなら、せめて地図を持って散歩してみて下さい。
そうすることによって、あなたが命を守るために必要な条件が見えてきます。
もしあなたが災害対策を本気で考えようとしているのであれば、まずは住んでいる地域を知ることから始めて下さい。
それから、通学先や勤め先、普段よく行くところなど、手を広げていくと、いざというときにあなたが自分の命を守る前提条件を揃えることができるはずです。
大地震の予測と占い
大地震が来る可能性の予測や「大地震が〇月〇日に起きます」といった占いなどが出される度に「来るぞ」といった風潮になるのが不思議で仕方ありません。
大地震の予測は、あくまでも起きる可能性があるということで、地震の起きる確率を〇〇%と出してはいますが、0%でなければ起きるかもしれないと思えばいいだけの話で、例えば30年以内に70%の確率で大地震が起きるといっても、30%は起きないかもしれないのですから、そんなに神経質になる必要はありません。
ただ、起きるとわかっているのですから、耐震補強や逃げる準備などは当然やっておかなければいけないはずなのですが、騒いでいる人達は案外と備えていないのではないでしょうか。
「また外れた」といって喜んでいる人もいますが、まずはご自身の備えを確立して、その上で怖がったり喜んだり楽しんだりしていただければと思います。
日本列島に住んでいる以上、地震はどこにいても必ず遭遇します。規模の大きなものに出会う可能性も高いと思います。
ここまでさまざまに「起きる!」と言われているのですから、起きた後の「想定外」はあり得ません。
自分自身が生き残り、生き続けることができるための備えを、きちんとしておくようにしてください。