【終了しました】みんぱくゼミナール「大規模災害の経験を伝える」が開催されます

国立民族学博物館のみんぱくゼミナールで1月15日に「大規模災害の経験を伝える~遺構・記念碑・語り部・博物館の役割」が開催されます。
当研究所でも「災害遺構を探して」を掲載していますが、災害遺構は災害やそれにかかわる教訓を伝えるものです。
今回はその役割や課題について具体的な講演がされるそうです。
このゼミはオンラインでも参加することが可能で、締め切りは1月12日17時までとなっています。
詳細につきましては、リンク先をご確認下さい。

みんぱくゼミナール「大規模災害の経験を伝える~遺構・記念碑・語り部・博物館の役割~」(国立民族学博物館のウェブサイトへ移動します)

避難時の履き物を考える

靴にもいろいろありますが・・・。

 水害などでは、避難するときに長靴を履くのかどうかが割と議論になったりすることがあります。
 防災をやっている人の間では「水の害では長靴禁止」が基本になっているような気がしますが、これは中に水が入ると歩けなくなってしまうからで、周囲が水没を始めた後の避難が前提になっています。
 つまり、早めの避難であれば別に長靴でも問題ない、というか、足が濡れない分だけ長靴がいいのではないかと考えることもあります。
 いつの時点で行動を開始するかによって、使える履き物も変わってきますから、一概に運動靴ばかり押すのもどうかなという気もします。
 もちろん、汎用性が高いのは運動靴ですし、水の中を歩くときに水の抵抗が少ないのも確かなので、運動靴を勧めることは正しいのですが、履き物を考えるよりもさっさと避難しろ、というのが筆者の本音ではあります。
 いろいろな話があるのは確かなのですが、早めに避難するのであれば一番履き慣れた靴がもっとも安全というのが筆者の見解です。
 普段履き慣れない履き物を非常時だからと履くと、足が慣れていないので帰って危険になることもあるのではないかと考えますので、履き慣れた靴が水没したときに備えて、もう一足、非常用持ち出し袋に履き物を準備しておくと安心ではないでしょうか。
 1足しか選べないのであれば、運動靴一択かなとは思っていますが、履き物で悩むよりも早めの避難。
 そっちの方が大切なのではないかと思っています。

ウォーターサーバー

 防災教室などで備蓄の話をしていると、割とよくウォーターサーバーの話が出てきます。
 宅配されたお水入りのタンクを給水器に取り付けて水やお湯を出せるようになっているそうで、これがあれば非常用水の備蓄が不要だと言われることもあります。
 確かに安全な飲料水が一定のペースで確実に届けられ、常に備蓄のある状態でローリングストックされていることは望ましいと思います。
 ただ、そのときに一つ気をつけていただきたいのが水の取り出し方です。ウォーターサーバーに取り付けてコックをひねれば出るようになっているはずですが、サーバーが何らかの事情で壊れてしまったとき、水を取り出せるかどうかを確認して下さい。
 ものによってはサーバーに取り付けないと水が出せなくなっているものがあるようですので、その場合にサーバが壊れてしまうとせっかくの水が役に立ちません。
 それから、水タンクが上部に乗る構造上、ウォーターサーバーは非常に揺れに弱いですから、災害時に役立てようと思うと、サーバーが転ばないようにしっかりと固定しておく必要があります。
 また、サーバーの構造が停電でも使えるかどうかを確認しておく必要があります。
 大きな災害になると、電気は間違いなく止まります.電気が止まったら供給がとまるタイプのウォーターサーバーだと、やっぱり宝の持ち腐れになってしまいます。
 誤解しないでいただきたいのは、ウォーターサーバーが駄目だといっているわけではありません。
 災害時に確実に安全な水が何リットルも確保されているのは、それだけで一つの安心材料ですから、その水をどのように取り出すことができるのかを知っておいて欲しいと言うことだけです。
 せっかくある資源なのですから、お使いのウォーターサーバーの特徴をしっかりと確認していただき、災害時にも水には困らなくて済む状態にしておきたいですね。

【お知らせ】令和3年度島根県防災安全講演会がWEB開催されます。

 島根県と一般財団法人地域社会ライフプラン協会が毎年開催している防災安全講演会ですが、今年もウェブによる開催になったようです。
 今回のお題は「防災福祉と災害ボランティア」。講師は跡見学園女子大の鍵屋教授と災害支援・防災コーディネーターの宮崎賢哉氏で、最近話題の避難行動要支援者に対する個別避難計画のことと、最近の災害ボランティアについての講演となっています。
 聴講は2月1日から2月15日までですが、事前に受講申し込みが必要となっていますので、手続きなど、詳しいことは島根県防災部防災危機管理課のウェブサイトをご確認下さい。

令和3年度島懸念防災安全講演会(島根県のウェブサイトへ移動します)

備蓄はわけてしまっておく

レトルト食品やインスタント食品も立派な備蓄食です。

 災害に備えてさまざまなものを備蓄しろと言われていますが、あなたのおうちではどれくらいの分量が備えられていますか。
 人によって1食分から2週間分まで、さまざまな量が準備されていると思いますが、それらの備蓄はどこにしまっていますか。
 忘れないように一カ所にしまっている方が多いのでは無いかと思いますが、一カ所にまとめておくと、管理は楽なのですがいざというときにそこが駄目になってしまうと、備蓄が全部使えなくなってしまいます。
 できれば備蓄は数カ所に分けてしまっておくようにしてください。
 そうすれば、一カ所が駄目になっても他の場所が大丈夫なことが多いです。
 例えば、2階建てのおうちなら1階と2階にそれぞれ同じ量をしまっておく。別に車庫や倉庫をお持ちであれば、そちらにも備蓄をしておく。
そうすることで、いざ何かあっても備蓄が全滅という事態だけは避けることができます。
 政府の推奨している備蓄量は1週間分(7日分)なので、そんな量を非常用持ち出し袋に入れて避難することはまず無理です。
 災害の状況が落ち着いたら家に取りに帰ることを前提にして、数カ所に分散してしまうこと。
 非常用持ち出し袋は1日程度の備蓄。そしてできれば防災ポーチを作ってもらい、そちらに1食分の備えをしておくといいと思います。
 余談ですが、非常食は長持ちしますが箱などのままの保管だとネズミなどに囓られてしまうことがあります。面倒でも、コンテナなどに詰めて保管することをお勧めします。

【お知らせ】2021災害時外国人サポーター養成研修(西部)が開催されます。

 公益財団法人島根国際センターが主催する災害時外国人サポーター養成研修の西部開催が決定しました。
 内容は災害時の外国人支援で、災害で生じるさまざまなお困りごとを日本語のわかりにくい人達からどうやって聞き取るか、またどう伝えていくかについて実演を交えながら体験できます。
 また、サポーター養成研修とはなっていますが、サポーターになることを強制されるわけではありませんので、どのような問題が起きてどのように伝えるといいのかについて知りたい方も参加してみてはいかがでしょうか。
 開催場所や日程など、詳しくは島根国際化センターのウェブサイトをご確認下さい。

2021災害時外国人サポーター養成研修(西部会場)参加者募集(しまね国際センターのウェブサイトへ移動します)

20220120追記 新型コロナウイルス感染症の急増に伴い、本研修はweb研修に変更されました。詳細はリンク先をご確認下さい。

冬の雪遊び

 年末年始にかけて地元の山間部でも雪が積もりましたので、状況偵察を兼ねて広島県の深入山に出かけてみました。
 コロナ禍が落ち着いてきたせいか去年よりも雪遊びをしている人達は少なかったですが、いくつかの家族がそり遊びを楽しんでいました。
 雪山というと寒くて危険というイメージがありますが、装備と段取りさえ間違わなければしっかりと遊ぶことができます。
 普段と違った景色が見られて面白いものですが、行き慣れている里山でも装備が整っていない状態では危険なので、今日はどこでもできる冬の雪遊びを少し紹介してみたいと思います。

1.足跡観察

雪の上には、さまざまな野生動物の足跡が残されています。
都会地の公園や路地裏でも、雪が積もっていると何かの生き物の足跡を見つけることができるものです。
足跡を探し、それがどのような生き物なのかを当てっこするのはとても面白いですよ。
うまくいけば、足跡の主に出会うことができるかもしれません。
足跡探しに夢中になると迷ってしまうこともあるので気をつけなくてはいけませんが、一度はやってみてもいいと思います。

2.ヤドリギ観察

 野鳥の多い地域では木にヤドリギがついていることがありますが、普段は葉で見ることが出来ません。
 でも、冬場は葉が落ちていますので、木についているヤドリギをはっきりと見ることができます。
 運が良ければ、ヤドリギの実も落ちているかもしれません。
 この実はとても甘いのですが、非常に粘っこいので、種を口から出すときに糸を引いたりすることがあります。
 このねばねばで木にへばりついてヤドリギになるのだなということがわかるくらいねばねばしてますので、一度は食べてみてもいいと思います。
 食べるときには、あくまでも自己責任でお願いします。

3.そり遊び

 意外に思われるかもしれませんが、そりは少しの雪でも滑って遊ぶことができます。
 地面が露出しているところではさすがに無理ですが、全体が白くなっていればその上で滑って遊ぶことは可能です。
 滑りやすい傾斜地を見つけることと、滑り降りた後に安全が確保されていること。
 この二点に気をつけて遊んでみると、とても面白いです。
 ちなみに、全体が白くなる程度の雪で大人が滑ろうとしても、大人の重さで雪がつぶれて滑ることができません。
 どこまでなら誰が滑ることができるのか、その境を探すのも面白いと思います。

4.雪だるまづくり

 雪だるまは雪が少量でも多くてもそれなりに作ることができます。
 積もっている雪でどこまで大きなものを作ることができるのかをやってみるのも面白いのではないでしょうか。
 雪だるまを競争で作ると雪の取り合いになることがあるので、複数の雪だるまを作るときには、雪を集める場所をそれぞれ決めておくといいかもしれません。

 少人数でも遊べるような雪遊びを少しだけご紹介してみましたが、イメージが沸くでしょうか。当研究所の冬の自然体験企画もこれらを組み合わせてやっていたりしますので、活動報告や写真を見られたときにこんなことしたのかなと思いながらみていただけるとうれしいです。
 最後に、冬の雪遊びでは濡れると身体を冷やして風邪を引いてしまいますので、遊ぶときには防水・防風のしっかりした、例えばスキーウェアなどを着て、足下を長靴など水の入らない履き物で遊ぶことをお勧めします。
 街の中と自然の中では遊ぶ格好が少し異なるので、そこだけ気をつけて楽しんでいただけると幸いです。

まずは地震に備えよう

台車で地震体験。横揺れだけでもいい体験になる。

 災害対策の中で「地震」とそれ以外にわけられるのには理由があります。
 それは「地震」はいきなりやってくること。
 他の災害ではことの大小はありますが、それなりに前兆がありますので、準備をする時間があります。
 でも、地震は突然本番がやってきて、やってきたときにはすでに結果が決まっているのです。そのため、地震対策は他の災害とは区別してさまざまな備えを行うようになっています。
 例えば、建物の耐震化。地震が来たときに慌てて耐震工事をしようと思っても耐震化は絶対にできません。事前に備えて対策していなければ、本番では家が壊れないことを祈るくらいしかできることがないのです。
 もちろん耐震化したからと言って絶対に大丈夫とは言い切れません。熊本地震のように大きな揺れが二回来たら、二回目で崩れることもあるでしょう。ただ、いきなり来た本震でその下敷きになって死んでしまうことだけは防ぐことができるのです。
 地震はいつ来るか分かりません。家にいないときかもしれませんし、お風呂やトイレ、寝ているときかもしれません。
 そのために必要な備えは、人によって異なります。
 わき水や畑に野菜がある地方と、水道やお店に頼らないといけない地方では自ずから備えるべきアイテムが異なります。
 また、周辺人口や避難所数によっても災害後の行動が変化してくると思います。
 いざというときに備えるのは必須ですが、何から準備したらいいかわからないときには、まず地震対策から準備することをお勧めします。
 今回は耐震化のことに触れましたが、耐震化できなくても家具の転倒防止や配置の変更でもずいぶんと状況がかわりますよ。


 あなたの命を守るために、あなた自身が行動する必要があることを忘れないでくださいね。

避難所の開設・運営方法を確認しておこう

 島根県では、避難所を開設するのは市町村が基本になっているようですが、災害時には職員でないと対応できない事が加速度的に増えていくので、災害時にあってはできる限り地域にお任せしたいところだと思います。
 本当は平時から避難所運営委員会を立ち上げて誰がどのような権限をもって何をするのかをしっかりと決めておきたいところですが、地域コミュニティがしっかりしているところばかりではありませんので、それを決めるところに至るまでが大変なようです。
 ただ、避難所の設営や運営について具体的にどのようなことをするのかについては、ぼんやりとしたイメージしかないのではないでしょうか。
 勘違いしがちですが、避難者はお客様ではありませんので、避難所の運営や維持について自分たちで出来ることは当然自分たちでやらなければなりません。
 避難所の開設手順や運営については、さまざまな地方自治体がマニュアルと設定していますが、今回はいろいろと見た範囲で筆者がわかりやすいと感じた千葉市の避難所開設・運営の映像をご紹介したいと思います。
 避難所の開設基準やトイレの状態、備蓄品の状態などはさまざまな自治体ごとに異なりますので全てがその通りになるわけではありませんが、必要な手順はきちんと触れられていて一通りの流れが理解できると思いますので、よかったら参考にしてください。

「避難所は住民の力で ~目で見る避難所開設・運営の流れ~」(youtubeのchibachityPRに移動します)

地区防災計画ってなんだ?

 最近防災界隈で騒がれているのが、いかにして地区の防災計画を作ってもらうかということです。
 国の防災計画と、都道府県や市町村が作る地域防災計画はあるのですが、これだけでは日本に住む全ての人が安全に避難をすることができるわけではありません。
 そこで、地区防災計画を当事者である住民に作ってもらおうというのがこの話のスタートなのですが、どうもここで規定されている地区を誤解している人がいるようなのでちょっと確認しておきたいと思います。
 ここに出てくる地区とは、例えば自主防災組織や自治会といったものではありません。もっと小さな単位、例えば集合住宅や、場合によっては各個人ごとに作る防災計画もこの「地区」に該当します。
 避難する判断や生き延びるための判断、避難先や受援方法などは、あまりに大きな単位だと条件が違いすぎて全く機能しません。
 より現実的に動かすためには、もっともっと小さい単位で同じような条件の人達を集めてその場所の防災計画を作ることが必要だと考えられているので、ここで出てくる「地区」というのは「地域よりも小さい単位」といったイメージで思ってもらえればいいと思います。
 そして、自分や近所の人がどのように行動するのかを定義することが、この地区防災計画の肝となるのです。
 その場所の災害事情はその場所に住んでいる人にしかわからないということがあります。そのため、その地域に住んでいる人達に自分が助かるための計画を作ってもらい、それを地域防災会議を経て地域防災計画に織り込んでいく。
 そのようなイメージで作るのが本筋です。
 行政機関によっては、自主防災組織や自治会などの単位で作らせようとしている動きもありますが、それでは結局地域防災計画の焼き直しになってしまい、行政が決めたルールの責任を地域に押しつけることにしかなっていません。
 基本はあくまでも小さな集団です。当研究所のある地域では自治会の組、つまり同じような地域条件で生活している5~10世帯を基本単位として作るくらい。
 お隣同士でも条件が異なるのであれば一緒にせず、それぞれに防災計画を作ることになります。
 正直なところ、個人の防災計画とどう違うんだという疑問はありますが、隣近所で話をしてみんなで行動することで逃げ残りや危険な目に遭う人を無くすことができるようにという意図もあるようです。
 お正月、ご家族や親戚が集まるこの機会に、あなたの防災計画についても見てもらって、助言をもらってみてはいかがでしょうか。
 そして、お正月が終わったら、ご近所の方と防災計画について話し合って、より安全に災害を乗り切れるようにしておくといいと思います。

みんなでつくる地区防災計画(内閣府のウェブサイトへ移動します)

みんなでつくる地区防災計画(日本防災士会のウェブサイトへ移動します)