災害が起きた後、または起きそうな雰囲気があると、その災害に関して語る「専門家」が必ず登場します。
最近であれば、首都直下地震や南海トラフ地震などが、週刊誌のネタがないときなどによく出てきますが、ご存じの通り、この専門家の言うことのうち、「いつ」「どんな規模で」といった部分については、当たらないなと思われる方も多いと思います。
実際のところ、専門家はその災害については何でも知っているかのような気がしますが、一般の方と比べてそんなに違いがあるわけではありません。
起きたことをあとから検証してその時何が起きていたのかを検証することが専門家の仕事で、過去に起こった災害については非常に詳しいのですが、現在進行形の災害を予測したり、これから起きるだろう災害のことを正確に予測できる人はまずいないと考えて下さい。
例えば、進路予測がある程度可能な台風でも、予測精度はずいぶんと高くなっていますが、100%当たるというわけではありません。
気象庁といえば天気の専門家が揃っていて、その上で予測には高性能なスーパーコンピュータまで投入しているのに、外れてしまうこともある。
規模や針路が予測できる台風ですらそんな状況だと考えれば、これから起こる災害を予測すると言うことがどれくらい難しいのかがわかるのではないでしょうか。
また、専門家という肩書きは楽観的な予測はまずしません。専門家が大丈夫といって大丈夫でなかった場合には、マスメディアなどにさんざん叩かれて専門家としての経歴が終わってしまうからです。
「想定される最悪の場合」という言い回しで説明をしている専門家の言葉を聞いたことがある方は多いのではないのでしょうか。
災害を研究している専門家でもそんな感じなのですから、何をしているのかよくわからない肩書きの専門家もどきがとんでもない想定でとんでもない話をするのも仕方の無いことなのかもしれません。
重ねて言いますが、専門家の仕事は起きた災害を検証し、そのとき何が起きていたのかを明らかにすることです。
現場で何が起きていて、どのような手を打てば最適解なのかが分かっている人ではないということを理解した上で、発表されるコメントを確認することをお勧めします。