備えよ、常に

 新型コロナウイルス対策で現在お休みしていますが、当研究所が防災のさまざまな講座をするときに、「災害で死ぬと思っているかどうか」を伺うことがあります。
 不思議なのですが、災害で被災したり死ぬ人が出たりすることは想定していても自分が死ぬことは想定されていないようで、参加している方は一様にきょとんとされ、お話を進めていくと半分くらいの方が「ああ、そうか」という表情になっていくのが毎回の流れになっています。
 どのような災害であっても「死ぬ可能性」というのは絶対に0にはなりませんが、災害対策というのは「死ぬ確率をできる限り0に近づける」ためにできうる限りの手を打っておくことです。
 この「死ぬ」というのは物理的な死だけでなく、経済的な死や人や地域との関わりが死んだり、心が死ぬことも含めています。一口に「死」と言ってもいろいろな切り口が存在するもので、いろいろと考えておく必要があることです。
 困ったことに、当事者になって初めて「こんなはずではなかった」と困惑したり文句を言ったりする人がいます。そしてそういった人は決して少数ではありません。
 リスクマネジメントでは、最悪の事態に備えてさまざまな準備をします。被災した影響を限りなく0に近づけるための努力をしておくことでいざ災害のときにも慌てずに対処ができます。
 「怖いから」「準備が無理だから」「考えたくないから」といった理由で、今までは災害は起きないことにしてきました。現在の新型コロナウイルスについても、自分たちが被災することは想定していなかったために現在の大騒動が起きています。
 そして、残念ながら現在大騒ぎしていても、収束して数年もすれば過去の出来事の一つとなって備えを忘れていくのではないかと思います。

「備えよ、常に」

 いざとなって後悔しないように、どうすれば自分の死ぬ確率をより低くできるのかを考えながら、今自分にできることをしていけばいいのではないかと思っています。