■災害ゴミについて考える

昭和58年島根県西部水害の後の一コマ。道路に家庭ゴミが野積みされている。こうなると車両は一切通れない。

 普段は燃えるゴミ燃えないゴミ、資源ゴミなどとさまざまに分類して整然と回収されているゴミですが、災害が起きるとそうもいかなくなってきます。
 被災した家屋からのゴミの搬出量は一気に増えますし、分別も困難な状態になります。回収も道路状況によりできたりできなかったりしますし、処理場や処分場の能力も追いつきません。
 ではどのように出せばいいのか。基本的には各自治体の清掃関係部署の指導に従うことになるのですが、これが千差万別で非常に戸惑うことが多いです。
 ある自治体では、各家に片付けに入るボランティアに災害ゴミを入れるための袋を配布したそうです。回収がどうなるかわからないため「災害ゴミ」と書いた専用の袋に詰めてもらうようにしたところ、搬出時にあちこちにゴミの野積みの山ができるのを防ぐことができ、環境が衛生的に保たれたそうです。
 また、家具などの大型ゴミは一気に処分場に持ち込むのではなく、地域での集積所を作ってそこへ搬入してもらい、処分場の処理状況を見ながら搬出するような手順にした自治体もあるとか。個人の搬入に任せると処理場とそこへ至る道路がパンクしてしまいますから、場所が確保できるのであればこれはかなり有効な手だろうなと思います。
 できる限りの仕分けをしておくことも大切だと考えたある自治体では冷蔵庫、テレビ、エアコンといった普段から分別回収になっている家電は他の家電とわけて集積するようにしたそうで、それにより後の仕分けが楽になったという話でした。
 あと、災害ゴミについては、普段と異なって汚染されていたり爆発する危険のあるような危険ゴミと、それ以外のゴミとの仕分けも必要になります。何が危険なゴミで何がそうではないのか、この部分は試行錯誤が発生する部分だと思います。ゴミは必ず出ますし、その分量や処理速度などは、実際に災害が起きてみないとわからない部分がたくさんあることは事実です。
 とはいえ、実際に発生してから対応を考えるのでは遅すぎますので、過去の状況を確認しながらゴミをどのように回収していくのかについてあらかじめ防災計画の中に組み込んでおく必要はあるでしょう。また、ボランティアや被災者、地元自治会にもゴミをどうやって回収するのか、仕分けと方法についてきちんとお願いしていかなくてはなりません。場合によっては広域での救援も必要になってきますし、早く手を打てば、先日の写真のようにゴミにしなくてもすむものもあるかもしれません。何もないときにこそ検討をしておくことが大切なのではないでしょうか。