モノではなく機能で考える

 災害対策ではよく物資をどのように準備するかということが考えられています。
 ただ、さまざまな物資を準備していても何らかの事情で用意したものが使えず、最悪身一つということも考えられます。そのときに起きるいろいろなことへの対策は、モノに注目するとあれもこれもないということになってげんなりしてしまいますので、機能に着目して考えるようにしましょう。
 例えば、防寒着としてダウンジャケットやスキーウェアがあれば最適ですが、それがないときには防寒という機能に注目します。寒さを防ぐためには熱を奪う風を通さないことと、体から発生する熱を逃がさないことが求められるわけですから、血管の面積が広い身体部分に風を当てないよう、大きなビニール袋に頭と腕が出るように穴を開けて着ます。これだけでも体感温度はずいぶんと変わりますが、身体から発生する熱を逃がさないよう、身体とビニール袋の間に空気の層を作れるよう、新聞紙や段ボールを巻き付ければ、簡単ですが効果的な防寒着ができあがります。
 昨日考えてみたトイレもそうで、一番いいのはトイレがそのまま使えることですが、トイレが使えないことにより発生する問題、そして解決したことにより発生する問題を考えていけば、そこまで絶望的な事態は起きづらいのではないかと考えます。この場合には、例えば発生する水分の吸収、においの吸収、汚物を見えないように処理する方法、何より排泄時に人に見られない手立てがなんとかなれば、トイレがなくても安心して排泄ができるわけです。
 繰り返しますが、困った出来事と、何に困っているのか、どんな条件が整えば困った出来事が解決できるのかを考えていけば、手持ちの資材や手に入る資材でかなりなんとかなってくると思います。また、防災グッズを準備するときには、機能を手に入れるためには相当な苦労が必要となりそうなものから優先して準備しておけば、非常用持ち出し袋や非常用備蓄品を使うときにでも助かるものですから、災害対策で物資を備えるときにも参考にしてみてくださいね。