被災後の段取りあれこれ

 ここのところ災害が続いていますが、被災した後、片付けを始める前にいくつかやっておいた方がいいことがあります。
 以前「被災物件の調査と証明あれこれ」で行政の調査については少し触れたことがありますが、被災後の片付けと段取りについて思いつくことを書いてみたいと思います。

1.被災したものの写真をしっかりと撮影しておこう

 被災した後、罹災証明書の申請や各種災害保険の請求などには写真が必要です。
 大規模災害になると、行政や保険会社が確認にくるのが被災してからかなり期間が空いてしまうこともあるため、その間片付けができない事態に陥ります。
 その際、写真が撮影されていると、その写真を使って罹災証明書や保険手続きを進めることができる場合があります。
 予め自治体や保険会社に確認して写真OKの了解をもらえば万全ですが、とにかく写真を撮っておきましょう。
 被災したものは4面と斜め、上部など、角度を変えて撮影し、被災したものの被災した様子がわかるようにします。
 建物や車両などは内部の写真や被災部分の写真も取っておくといいと思います。
 あと、建物の場合には簡単な見取り図と被災部分がわかるようなものを作っておくと、後々いろいろと役立つと思います。

2.業者による修理が必要かどうか確認しよう

 破損している場所やものによっては、専門の業者の方に修理をお願いしないとどうにもならない場合があります。
 まずは自力で修繕できるかどうかざっくりと被災したものを確認し、業者さんによる修理が必要だと判断したら、修繕の必要な場所と内容をリストアップして、すぐに業者さんへ依頼をかけましょう。
 被災してすぐなら業者さんもある程度余裕がありますから、自分のところができなくても、場合によっては他の業者を紹介してくれることがあるかもしれません。
 また、修理箇所と修理内容をリストアップしておくことで業者さんは修理部材や必要な期間が見積もれるので、手早くやってもらえることも多いです。
 全て業者さんに確認してもらおうとすると、時間が取れないために後回しにされることも多いのでご注意ください。
 そして、片付けが終わってから依頼すると、今度はいつ来てくれるかわからないくらい待たされますし、被災地外から入ってきたおかしな業者に異常に高価な金額で適当な修理ををされてしまうことも発生します。
 専門家が必要な作業は、早めに手配するようにしておきましょう。

3.ゴミ捨て場の確認をしておこう

 被災した後の片付けは、まず被災して壊れたものを家から搬出するところから始まります。
 その際、大型ゴミを処分する場所が確認できないと家の前や周囲に放置することになってしまい、衛生的にも景観的にもよくない状況になります。
 大型ゴミの処分場所・回収場所は変更されることが多々ありますので、処分する前に自治体に搬入先を確認するようにしましょう。
 また、自治体によっては処分場所・回収場所がいっぱいになって個別回収に変更するケース、回収を一度中止するケースなどもあります。
 前の日に確認したとおりにいかない場合もありますので十分注意してください。

4.人の手当を考えよう

 被災した後の片付けでは、自分一人ではどうにもならないような大型ゴミの搬出やいろいろな場所の掃除、片付けなど多岐にわたる後片付けが待っています。
 そのため、どのようにして片付けを始めるのかを考えておかないと途中で力尽きてしまいます。
 近所の人と一緒にみんなでお互いの家を片付けるのか、ボランティアを要請するのか、親戚縁者を総動員するのかなど、人によってやり方はいろいろだと思いますが、間違っても一人でやろうとは思わないでください。
 間違いなく途中で挫折します。

5.水が使えるかどうか確認しよう

 掃除につきものなのは水です。特に水害で被災した場合には家具や建物に貯まった汚泥を流すのに必須のものです。
 飲料に適さなくても構いませんが、それなりにきれいな水を確保するようにしましょう。
 水が使えない場合には、どんな方法ならきれいにできるかを資材を見ながら考えてみてください。

 注意しておきたいのは、全てにおいて作業をするのは自分だということです。
 自分一人では挫折すると書いていることと矛盾すると思われるかもしれませんが、周りはあくまでもお手伝い。
 全体の流れや段取りは自分で組むしかありません。
 誰かに頼ろうとすると、「災害関係の保険手続きは自分でするようにしよう」で触れたようにどこかからやってきた変な業者があなたの保険金をごっそり奪っていったりすることもあり得ます。
 あくまでも主体は自分。周囲はそのお手伝いということを忘れないでください。
 そして、どうしてもわからないことがあればご近所や社会福祉協議会、行政の窓口で確認してみてください。
 被災したことは終わったことですから、その事実は変えることができません。
 でも、被災からそれまでの生活に復帰するまでの時間を短くすることは可能だと考えます。
 早め早めに段取りをつけて、日常生活を取り戻せるようにしたいですね。