災害とプロパンガス

 オール電化のおうちで無ければ、大抵の場合どこかでガスを使っているのではないでしょうか。
 家庭で使うガスには都市ガスとプロパンガスがあるのですが、石西地域ではプロパンガスしか該当が無いので今回はプロパンガスについて触れてみたいと思います。

プロパンガスのボンベはチェーンで固定していないと災害時に凶器になる。
左上に見える四角いのがマイコンメータ

■プロパンガスの性質

①空気よりも重い
プロパンガスは空気よりも重いので、漏れたら低いところにたまる性質があります。そのためガス警報器は低い位置に取り付ける必要があります。
ちなみに都市ガスは逆に空気より軽いためガス警報器は高い位置に取り付けています。
②臭いがついている
プロパンガスそのものは無臭ですが、漏れたときにわかるようにガス特有の臭い(いわゆるガス臭)がつけてあるそうです。ちなみに、タンクの残量が少なくなったときにもこのガス臭いにおいがすることがあります。
③燃焼には大量の酸素が必要
プロパンガスは燃焼するのに大量の酸素を必要とします。そのため、しっかり換気がされていない環境で使用すると不完全燃焼となって一酸化炭素が発生することがあります。
一酸化炭素は無臭で、異常に気づいたときにはすでに一酸化炭素中毒により体が動かなくなっていることがありますのでご注意ください。
④ボンベ(容器)に入っている
プロパンガスは圧力をかけて液化した状態でガスボンベに詰められています。そのため、ボンベをゆすると液体の動くような音がします。
ただ、危険ですので家にあるガスボンベはゆすらないようにしてください。

■災害時にはどうなるのか

 最近のプロパンガスのメータは電子化(マイコンメータ)されており、ガス漏れや震度5以上の揺れを感知したときにはガスを自動的に遮断する保安機能が搭載されています。
 そのため、以前は「地震だ、火を消せ」と言われていましたが、現在では「まずは身を守る」に変わっています。
 もし地震に遭遇したら、まずは身を守り、揺れが収まってから、点火スイッチ(器具栓といいます)がオフであることを確認し、ガス栓を閉め、容器についている容器バルブも閉めてから避難します。容器バルブに表示されているはずですが、バルブは右側に回すと閉まります。
 水害や土砂災害など他の災害の時にも、容器バルブは可能な限り閉めて避難するようにしてください。
 これが閉まっていないと、建物が被害を受けてバルブに繋がったホースが外れてしまったときにそこからガスが噴き出し、ボンベが火炎放射器になったり、水の上だと魚雷のように動き回ったりしてかなり危険な状態になります。

■復旧のさせ方

 まずは器具栓が完全にオフになっていることを確認します。そして、使っていないガス栓が閉まっていることを確認し、使うガス栓を開放します。
 それから容器バルブを左に回して開放し、マイコンメータの復帰ボタンを押します。
 すると、マイコンメータの赤ランプと液晶が点滅しますが、これはマイコンメータがガス漏れのチェックをしている状態ですので、およそ1分から3分くらい様子を見ます。
 異常がなければ赤ランプと液晶の点滅が消えますので、そうなったらとりあえずは安全に使うことができます。もしもこのときに復帰しない場合には、どこかに異常が起きていますのでその状態ではガスは使えません。
ガス取扱業者さんに来てもらって速やかに点検してもらいましょう。

■災害に使えるプロパンガス

 プロパンガスは要するにでっかいカセットコンロなので、最悪ボンベとコンロがあれば使うことが可能です。
 ボンベの容器バルブをきちんと閉めていれば、仮にボンベが流されても中のガスは無事であることが多いですので、ガスコンロとの組み合わせで比較的早い段階から火を確保することが可能になります。自治会などで防災用品を用意されるときには、屋外用の大火力なガスコンロを準備しておくと、いざというときの選択肢が広がると思います。
 また、プロパンガスは建物一軒ごとに設置されているため、その家屋のガス供給系統が無事ならすぐにでも利用を再開することができますし、仮に家が被災して使えなかったとしても、ボンベは移動させることができるため、安全な場所へ移動して使えるという非常に災害に強いという特長を持っています。
 交換の手間がかかりその分単価も高いとされるプロパンガスですが、上手に活用できれば非常に頼もしい存在であることは間違いありません。
 ガス漏れには十分に気をつけて、安全に使っていきたいですね。