被災地で起きる大きな4つの問題

 「トイレ」「ゴミ処理」「犯罪」「遺体処理」は被災地で大きな問題になるものです。
 人が生活する以上、トイレとゴミの問題は避けて通れませんし、治安力の弱まった地域には犯罪者が寄ってきます。
 また、残念にも災害で亡くなった方のご遺体をどこへ保管してどのように処理を行うのか、これがはっきりと決めてあるところは殆どないのではと思います。
 これらを解決するにはどうしたらよいのか、ちょっと考えてみることにします。

1)トイレの問題

 食べることは我慢できても排泄は我慢できません。
 ちょっとその辺でというわけにもいきませんので、トイレは災害後まっさきに発生する問題になります。
 日本トイレ研究所が調べた東日本大震災の状態では「9時間以内に避難者の8割弱がトイレに行きたくなった」という調査結果も出ています。
 では、その時トイレはどうなっていたのでしょうか?
 ごく少数の「くみ取り式」は問題なく使えたそうですが、「浄化槽式」や「下水式」だと配管がずれたり破損したりして使うことができなかったようです。
 無理矢理使って、トイレが汚物の山になったというケースもあまたあったようです。
 下水や浄化槽の修繕は一ヶ月以上はかかるようなので、その間は仮設トイレを使うことになりますが、それが間に合ったのかというと、「仮設トイレは3日以内に34%しか間に合わなかった」「もっとも遅いところでは1ヶ月以上もかかった」とのこと。
 詳しくはリンク先のリーフレットをお読みいただきたいのですが、被災したときのトイレをどのようにするのかというのはかなり大きな問題になると思われます。
 静岡県などではクラウドファウンディングによって移動式の仮設トイレ車を作って稼働させているようですが、排泄した後の排泄物をどのように処理するのかについて、自治体は事前に決めておかないといけないと思います。
また、個人や家族の間でも災害が起きたときにトイレをどのようにするのかについて話し合っておくことも必要ではないでしょうか。

2)ゴミ処理

 災害が起きると、ゴミの問題も発生します。
 生活するのに出るゴミと、被災した家屋や家具、日用品など使えなくなったものが災害ゴミとして出されます。
 生活ゴミは通常通り分別するのはもちろんとして、災害ゴミもできる限り普段通りの分別を行って出すようにしないといけません。
 ごちゃごちゃにして捨ててしまうと引き取ってもらえないだけでなく、混じったゴミから虫が発生したり悪臭や汚水などで衛生環境も悪化します。
 例えば、冷蔵庫がダメになったからと言ってそのまま捨てるのではなく、中身は生ゴミとして別に処理し、冷蔵庫は冷蔵庫として単体で処分に出すようにしましょう。
 大変ではありますが、ゴミを出す最初のところでしっかりと仕分けがされていると、被災自治体だけで処理しきれないゴミを支援する自治体が引き受けてくれることも可能になりますし、そうすればゴミの回収も早くなります。
 また、回収する側も素早く確実に回収が出来る仕掛けを作っておくことが大切です。

3)犯罪

 被災地には支援してくれる応援部隊と同じくらいの速度で空き巣や窃盗団がやってきます。
 警察や地元の治安力が災害によって弱まっているところを狙って被災家屋や施設、避難所等にある金目のものをごっそりと奪っていきます。
 これに対抗するには、地域外の車の流入を防ぐことや警察や自衛隊による巡回強化、地元住民による自警団のパトロールを行う必要があります。
 犯罪者は一見ボランティアのような風体で被災地を巡回することも多いですので、見知らぬ人を見たら必ず声をかけて何をしているのかを確認することや車のナンバーを控えることなどを住民の共通ルールとしてなるべく被害を押さえる努力をしましょう。
 ただ、普段隣に誰が住んでいるのかわからないような状況では犯罪を阻止するのは不可能ですので、普段からの近所付き合いも犯罪対策には有効なのではないかと思います。

4)遺体処理

 被災して、建物の倒壊や火災その他の理由で残念にも亡くなられる方も出るでしょう。
 数人程度ならなんとかなるでしょうが、大規模な災害だと、死者の数は通常処理できる数を簡単に超えてしまいます。
 それらのご遺体をどこへ仮安置するのか、どのように死因を確認し、どのように遺族に引き渡し、どのように埋葬するのかについては事前にルールを決めておかないと、通常の流れでは対応できなくなります。
 せめて遺体安置所になる施設だけでもあらかじめ決めておく必要があるのではないかと思います。

 いずれも普段あまり目を向けたくない部分ですが、災害時にはいろんなものが極端化して噴き出してきます。
 行政や自治会、NPOや各個人に至るまで、それぞれ自分にできることがあると思います。
 自分にできることを意識して準備しておくことで、やってくる災害に対してうまくやっていきたいですね。