なぜ備蓄が必要なのか

 世の中グローバル化が進んでいるなと思います。
 例えば、スーパーに出かけて野菜を見ても、地元産のもの以外に全国や世界中からさまざまなものが集まっているのが分かります。
 そのおかげで、地元では時季外れになっている野菜も普通に買えて、一年中いろいろな料理を楽しむことが可能になっています。
 ところで、このいつでも「野菜が買える状態」は物流が支えています。
 夜昼日本中を走り回っているトラックや鉄道、船舶輸送のおかげで、私たちは意識せずにいろいろなものを楽しむことができるわけです。
 これらを支えているのが、道路や鉄路、港湾施設になるわけですが、災害が起きてそれらが被災すると物流は一気に停滞します。
 去年の夏、西日本豪雨で岡山から広島東部にかけて被災して道路と鉄道が寸断されました。
 その結果、山陰側の道路は流入するトラックで一時大混乱に陥り、鉄道も山陰側を迂回したことから1日以上多く時間がかかることになってしまいました。
 今話題になっている南海トラフ地震が発生したら、日本の物流の大動脈である太平洋沿岸はほぼ全て被災地域となります。
 道路や鉄道は全て止まり、災害支援のものが最優先されるため被災地以外ではまともな物流はできなくなります。
 海外から入ってくる野菜類はほぼ太平洋岸の港から陸揚げされますので、港湾施設が被害を受ければ当然これらも入ってこなくなります。
 また、本来私たちのところに供給されるはずの消耗品類は生産工場が被災して作れなくなったり、数多くの被災者を救済するためそちらに優先して供給されるために購入制限などが発生することになるでしょう。
 物資の供給には相当な混乱が起こるとみて間違いありません。
 南海トラフ地震では、恐らく石西地域では直接の大きな被害はでないと思われますが、物資の欠乏という間接的な被害が出る可能性は極めて高く、そのためにある程度の備蓄が必要になるのです。
 政府は3~1週間の備蓄を推奨していますが、出来ればそれ以上のものを。普段使っているものは+1で準備しておき、常に予備があるようにしておくこと。
 それだけで心の余裕が生まれます。
 「うちはコンビニが備蓄倉庫だから」というお話を聞いたことがありますが、コンビニの豊富な物資は流通がなければあっという間にすっからかんになってしまいます。
 特に東京等の人口が多い場所にあるコンビニでは、東日本大震災後、短時間でほぼ全ての物資が無くなってしまったという事実もあります。
 物流が支えているからこそ、コンビニは成立するのです。
 「いつでもなんでも買える」のは当たり前ではない。
 そのことを忘れないようにしたいものです。