発災時の行動と連絡手段について考える

災害発生時、何が起きたらどうするかの確認ができていますか?
そして、どのような連絡手段が確保されていますか?
身近なところから、防災を考えていきます。

おつとめの方であれば、災害が起きたとき、出社する必要がありますか?
あるいは、出社する手段がありますか?
学生さんだと、学校がどんなとき、どう判断するか知っていますか?
子どもさんが居る家庭では、保育園や学校はどう対応するか知っていますか?
預けているとき被災した場合には、どこへ迎えに行けば知っていますか?
これがはっきりとわかっているだけで、無駄な通信や無駄な移動を防ぐことができます。
また、人間は習慣性の生き物ですので、非常時にどうするかを決めていないと、「平時と同じ行動をする」か「動かない」かのどちらかになります。
無用な混乱を避けるためにも、あらかじめどうするのかを決めておくことが大事です。

1.会社や組織の場合


会社や組織が何があっても出社を義務づけているのであれば、その出社する方法まで決めておかないといけませんし、そうでないなら、基本的には出社はさせないと決めておくことが大切です。
公共交通機関は、被害の出るような災害時には全て止まります。
その状態で出社を要求すると、自分で移動する手段を確保しなくてはなりませんので、自家用車やバイク、自転車や徒歩、タクシーの利用者で道路が大渋滞となり、
緊急車両が移動できずに二次災害が多発することになります。
企業のBCPとしては、災害時に社員をどうするのかということをきちんと整理し、社員に伝え、それを徹底しておく必要があります。
社員の側から見ると指示が無い以上、後で「あいつは来なかった」と言われるのも嫌なのでなんとか出社しようとしますから、経営者は自社の仕事が、災害時に大渋滞を起こし、
二次災害を誘発してまでやらなくてはいけない仕事なのかどうかをよく考えておきましょう。
決めたくないというのなら、その代わりに社員にいつまでに判断し、どのように連絡するのかを伝えておくことが必要です。
輻輳すると電話は使えませんので、その場合はどのように連絡を取るのかを、きちんと決めておいてください。
また、業務時間内に被災したら、どのように社員の安全を確保しますか? 社員の安全確保は経営者の大切な業務の一つです。
帰宅させるのか、社内に留めるのか、外回りしている社員や学校等に子どもを預けている社員の扱いはどうするのか?
普段から意識して、さまざまなケースを想定して準備することが必要です。
もしもトラブルが発生したとしたら、それは社員では無く、経営者に問題があることを肝に銘じておきましょう。

2.学校・デイサービスなどの場合


学校やデイサービスでは、被災したときにどのように対応をするのかしっかり決めているところと、全く決めていないところの両極端になっているのが現状です。
決めているところは、ホームページやSNSなどの伝達手段も明示していますから、対象者はそれを確認すれば事足ります。
決めていないところはどうする気のでしょう?
大阪北部地震では、対応を決めていない学校の教諭が、休校を決めた市長に対して「勝手に決めるな」と噛みつくコメントをしていたようですが、教育委員会や行政府との通信手段や
災害対応への判断基準を明確にしていなかった自分の落ち度を、きちんと考え、再発防止対策を考える必要があると思います。
学校や幼稚園、保育園、デイサービスといった施設は、休校や休園の判断基準をあらかじめ明確にし、周知し、徹底することが求められています。
職員と保護者、そして出入りの業者に対しても、きちんと伝えておくことで余計な手間をかけなくても済みます。
とはいえ、判断に迷うこともあるので、できればホームページやSNSといった通話以外の手段で連絡が取れればよりよいでしょう。
電話やメールという手段は、特定の交換機や場所を通らないといけないため、非常時には通信量が激増してしまって、思うように繋がりません。
普段から連絡手段の一つとして、ホームページやSNSを確保しておいた方がよいでしょう。

3.家族や友人間の場合


その場にいない人がどう行動するのか、どうやって連絡するのかの手段は確保されていますか?
災害が発生すると、被災区域外から安否を確認する電話が被災地に殺到し、輻輳状態になります。
そのため、通信事業者が通信制限をかけ、自社のシステムがパンクしないように通信量をコントロールします。
大きな災害が発生すると、各通信事業者は輻輳を防ぐため、災害時伝言ダイヤルを開設します。
そして一般的に「被災地→被災地外」の方が繋がりやすいので、被災者がこの災害時伝言ダイヤルに安否を吹き込み、被災地外の人はその伝言ダイヤルを確認することで、緊急の通信量を
維持することができます。
また、SNSは比較的繋がりやすいので、そちらを使って安否確認を発信してもいいでしょう。
大切なのは、不急不要なことで通信インフラに負担をかけないことです。
被災地では、救助や救援を求める人が電話を使います。
区域外から連絡をして輻輳状態にしてしまうと、被災地内の通信が思うようにできなくなってしまうのです。
また、被災した家族や友人にすぐに支援物資を届けようとすることは絶対に止めてください。
少なくとも、状況が落ち着いてからにしないと、二次災害に巻き込まれる可能性があります。
被災地にすむ人は混乱を避けるためにも、被災地外で心配している人達に対してなんらかの情報を発信して安否を明らかにしてください。
また、あらかじめ避難先を決めておいたり、避難先の書き置きを家などに残しておくことで、他の人が後を追いかけることもできます。
大事なことは自分の安全確保の次に、自分の安否を知らせることなのです。

いかがですか?
被災地で発生する渋滞や通信回線の輻輳、さまざまな混乱は、あらかじめどうするのかが決まっていないことから発生することが非常に多いです。
発災時の行動を決めておくことと、通信手段の確保。
今日からでも遅くはないので、きちんと考えて整理し、みんなで共有しておきましょう。