災害対策、まず何から手をつけよう

災害対策の基本は、「普段から意識して準備しておく」ということです。
災害というのは、それがなんであれ非常事態ですので、普段やっていないことをやるのはできないものです。
避難することや避難先で使うもの、被災後に行うさまざまな段取りなど、何も無いときにこそ、準備して備えておく必要があります。
でも、ここで問題になるのが、「一体何を準備しておけばいいんだろう?」ということです。
大多数の人が、ここで思考停止し、準備や考えることを止めてしまうのが実際のところでしょう。
具体的に何をしたら良いか。
今回はそんなお話です。

1.まずは備えるべき災害を確認する
まずは環境の確認です。
自分がいる場所でさまざまな災害が起きたとき、備えるべきものと、とりあえずそのままで大丈夫なものを洗い出しておきます。
川や池、堤のそばや下流域に住んでいれば、雨や水に備えた方がいいでしょうし、古い家屋であれば、地震対策が必要です。
崖や急な斜面にいるのなら、地すべりや土石流に備えないといけないかもしれませんし、海沿いなら、津波対策を考えておいた方が良いでしょう。
それぞれが置かれた環境で、何に備えないといけないのかを、まずは考える必要があるのです。
そのためには、ハザードマップや防災マップといった災害想定シミュレーションによって導き出された地図、そして地域に伝わる伝承や遺構から発生した災害を確認します。
そのうえで、自分の家や職場、よく使う道等の危険性を判定します。
よく地震が例に出されますが、これは日本ならどこで起きても不思議ではないことと、どこに居ても基本的な対策は同じというところから、「災害=地震」とされることが多いのです。

2.備えるべき災害に対して必要な対策をする
次に、備えなければいけない災害に対して何が必要なのかを考えていきます。
例えば、住んでいる家や職場のある建物。
ひょっとしたら耐震補強をする必要があるかもしれません。
まずは工務店さんや建築士さんに耐震診断をしてもらってください。
その上で、家に耐震補強が必要だとなったら、耐震補強を行います。
理想は建物全てを補強することですが、お金のかかることですので、難しい場合には、自分が普段居るであろう場所や地震があってもすぐに動きが取れない場所を補強してもらうようにします。
具体的には、寝室、風呂、トイレ、そして玄関です。
そして、揺れたら補強してある場所に逃げ込むことを考えればいいのです。
逃げ込むのに、その通り道で倒れてきそうな家具や落ちてきそうな照明器具などのものがあったら、それぞれ固定して倒れないように、落ちないようにしておきます。
避難するための通り道に危険なものが散乱しないように、足下や通り道、補強部分にはものを置かないようにしないといけません。
水害の場合はどうでしょうか?
水の流れや量を考えて、土のうを積めば大丈夫そうなら、予め準備しておく必要があります。
また、越水したら水没しそうな場所であれば、船やはしごの準備がいるかもしれません。
崖や急な斜面のある場所であれば、崩れそうな場所に対策工事をする必要があるかもしれませんし、それができないなら、どのタイミングでどこへ逃げるのかを決めておく必要もあるでしょう。
そんな風に、段取りと行動、資材の必要性を考えていきます。

3.自分の命を繋ぐための物資を準備する。
どの災害であれ、被災すると物流が止まってしまうので、それが回復するまでは自分の持っている資機材で命を繋ぐ必要があります。
いわゆる防災用品の準備です。
例えば、最近はさまざまな形で防災用品がセットになって売られています。
「防災士が推奨」とか、「実際に被災した人の意見で作られた」などと書かれたセットを見ると、「これなら」と思って、買ってしまうものです。
でも、それらの用品を実際に使ったことがあるでしょうか?
買って安心するのではなく、実際に取り出して使ってみることで、そのセットがそのままでいいものなのか、それともいらないものがあったり、不足してるものがあるのかどうかがわかります。
販売されている防災セットは、さまざまな災害の中で、大勢の人が後になって「あったらよかった」ものをパックにしていますので、どうしても自分用にはなり得ません。
一から自分が納得するもので揃えていくのが一番いいと思いますが、手間暇掛けられない人は、防災セット+αの発想で準備しましょう。
基準となるのは「あったらいいな」ではなく「無いと困る」です。
「衣・食・住」と言われますが、「住」は避難所または自宅他、雨露凌げる場所があると考えて、「衣」と「食」の用意をしておきます。
少なくとも、3日分の着替えと食料は準備しておきましょう。
ちなみに、政府は3~7日間は自分で生活できるための準備をしておくように推奨しています。

4.家族や周囲の人と良い関係を作っておく
災害が発生すると、さまざまなものが先鋭化されて現れてきます。
普段はさほど意識していない生活スタイルが、より極端な形で噴き出してくるのです。
普段から、何かあるとお酒を飲んでまぎらわせる人は酒が手放せなくなりますし、夫婦間や家族間の暴力で自分のストレスを解消していた人は、それが顕著になります。
ご近所と何かとトラブルを起こしている人は、災害時には誰からも助けてもらえませんし、相手にもしてもらえません。
自分が助けて欲しければ、普段から助けてもらえるようなつきあい方をしておくことも、防災では大切なことです。

いかがでしょうか?
大ざっぱではありますが、何をしないといけないかが見えてくると「そんな程度でいいのか」と安心するのではないでしょうか。
見えないものは怖いものです。
でも、姿が見えれば、そんなに怖がらなくてもなんとかなりそうだと思えませんか?
それぞれの細かなお話は、これからまた綴っていきたいと思います。