地震の時の防御姿勢

机の下でダンゴムシ
机の下でダンゴムシはお約束です

 あちこちで地震が起きていますが、あなたがお住いのところは大丈夫ですか。
 さて、地震が起きた時に最も怖いのが怪我をすることです。
 転倒したり、落下物の下敷きになったりして怪我をしないように、例えば小学校では「机の下に入る」や「ダンゴムシのポーズ」などを教え、姿勢を低くして頭を守る行動を教えています。
 迅速に動けない方でも、姿勢を低くすることはできる人が多いと思いますので、できる範囲で姿勢を低くすること、そしてそれも無理なら周りの丈夫なものにしがみつくなどして、揺れで体がひっくり返らないようにしておきましょう。
 ところで、こういった防御姿勢ができていても、頭上から防御力以上の落下物が落ちてくると怪我をしますので、防御姿勢をとる前には周囲の安全確認をしっかりとしておきましょう。
 例えば、瓦やブロック塀、自販機のある周りにいたら、そこからは離れることや、駅やデパートなど吊り天井のところでは、できるだけ柱や壁などしっかりした部分に近づくなど、落下物から身を守る場所を選ぶようにします。
 また、職場や家などでは、そもそも落下物ができるだけ発生しないように、棚は低めにすることや、高いところに重たいものを置かないなどの対処をすることが大切です。
 周囲の安全確認と自分の防御姿勢をとることを一瞬で判断して行動するのは難しいですから、なんでもないときから周囲の安全確認をするくせをつけておくといいですね。
 ともあれ、地震の揺れで怪我をしないように、事前の対策をしっかりととるようにしてください。

シェイクアウトのススメ

 地震はいつくるかわからないものですが、地震対策はいろいろとすることができます。その中で、簡単であなたの命を守ることができることの一つにシェイクアウト訓練があります。
 シェイクアウトの発祥はアメリカだそうですが、地震が起きた時の行動をたった3つに集約しています。
 「まず低く、頭を守り、動かない」なのですが、これができるだけで怪我から身を守る重要な行動がしっかりとできています。
 「まず低く」は、地震の揺れで自分の体が転倒することを防ぐために、できるかぎり低い姿勢をとることです。
 人間の頭は、普段はあまり意識しないと思いますが、非常に重たいものです。
 重心が高いと、揺れた時の揺れ幅が大きくなって転倒する危険が高まりますから、しゃがむ、座る、寝るなどして、できるだけ低い姿勢をとることが重要です。
 次の「頭を守り」ですが、意識がはっきりしている限り、地震によって発生するさまざまな危険から身を守る行動をとることが可能です。
 でも、もし落下物などで頭を打ってしまったら、意識不明、または混濁することになってしまい、その後に起きるかもしれないさまざまな危険から身を守ることが困難になります。
 最後の「動かない」は、安全な場所や姿勢を確保したら、状況が落ち着くまではその場でじっとしていることです。
 危険な場所であればそうも言っていられませんが、やたらと慌てて動くよりはじっとしているほうが安全なことが多いです。
 特に、日本の場合には建物や地下街であれば、よほどの地震でない限りは屋外よりも安全だとされていますので、動かないほうが得策な場合が多いと思います。
 これをまとめたものが「シェイクアウト」と呼ばれるもので、一人でも簡単に訓練ができます。
 地震が起きたと想定して、まずは姿勢を低くし、頭を守る姿勢をとってじっとしていること。
 たったこれだけですから簡単にできますし、非常に効果も高いと思いますので、ちょっとした時間にでも折に触れてやってみることをお勧めします。

頭をどうやって守るのか

頭の防護具の定番であるヘルメットと防災ずきん。
愛知県名古屋市の港防災センターにて撮影。

 地震や大雨、洪水などで避難するとき、頭上からものが落ちてくることがありますので、頭の保護は重要な問題となります。
 なぜ頭を保護しないといけないかということはご存じだとは思いますが、念のために確認しておくと、頭に衝撃を受けると怪我や昏倒、最悪は死んでしまいます。
 手や足を怪我していても、頭がはっきりしていて判断力が残っていれば、災害で死ぬ可能性は低くなりますが、手や足が無事でも頭がやられてしまうと逃げることさえできなくなります。
 では、どうやって頭を守ればいいのか。
 定番ではありますが、ヘルメットや防災ずきんが考えられますし、普通の帽子でもある程度の破片なら防ぐことができます。とある訓練では本を頭の上に載せて避難していた人がいましたが、頭を守るという点から考えると、これもありだと思います。
 一つ気をつけた方がいいことは、できるだけ頭に衝撃が伝わらないようにしておくということです。ヘルメットや防災ずきんはそのへんも考えて作られていますが、帽子などをかぶるときにはもしあれば、帽子の中にタオルやハンカチを入れて頭に直接衝撃を受けないようにしておく方が安全です。
 同じ理由で、本を頭に載せるときには頭からは離して載せるようにしないといけません。買い物中では買い物かごをかぶるというような例が出されていますが、この場合も両手をかぶった買い物かごの開口部に添えて、買い物かごの底が頭に直接のしかからないようにしておくのがこつです。
 移動中に落下してくる破片から首筋を守るために、首回りにもタオルなどをつけるようにするとよいでしょう。
 防災ずきんやヘルメットは初めからいろいろと考えられて作られており、特にヘルメットは安全だと言えますが、避難時に水に飲まれてしまったときにはヘルメットに流水の水圧がかかり、あごひもがあなたの首を絞める凶器になってしまうことがありますのでご注意ください。
 筆者自身は、頭を露出させなければいいと思っています。ですから、防災ずきんやヘルメット、帽子、もしなければタオルやハンカチ、厚手の雑誌などを頭に載せて避難すれば安全は確保しやすいのかなと思っています。
 何かの折りに、自分の頭を保護するとしたらと考えて、周りの道具達をどのように使えるのか、考えてみると面白いと思います。