災害が起きて避難所が設置されると、それからは避難所運営という仕事ができます。
ただ、この避難所の運営については誰が行うのかが結構曖昧な状態で置き去りにされていて、避難所になった施設の職員や教員、行政の職員、自治会関係者、どうかすると「自分以外の誰か」という方までいらっしゃいます。
避難所は、本来はその避難所に避難する対象となっている地元の自治会や自主防災組織が運営をすべきなのですが、残念ながら開設時に準備した人がそのまま運営に巻き込まれてしまうというのが実際のようです。
ただ、施設の職員や学校の教職員、行政職員は本来は災害時、災害後にやらなければならない業務が山積していて、避難所の運営にかかわっている場合ではありません。
例えば、熊本地震ではある市町村で職員が全て避難所運営に出払ってしまったために応急復旧や被災地支援、支援受け入れといった本来行政がやらなければならない業務が全て停止し、現地に応援で派遣された他所の行政職員によってその市町村の災害対応業務が行われることになり、さまざまなことが遅れに遅れる結果となりました。
また、ある学校ではその地に転勤してきたばかりの教員が避難所運営に巻き込まれてしまい、何も分からないまま右往左往する羽目になりました。
その地元をよく知っている人が運営の主体となり、施設職員や教員、行政職員はそれぞれの立場から運営を支援するという状態を作れていれば、それぞれが自分の得意な部分で復旧や支援に取り組むことができるようになります。
また、地域を知っているからこそ避難所の機能である「避難者の受け入れ」と「被災地区の物資や情報支援」という業務を効率よく行うことができます。
「自分たちは素人だから」とか「税金払ってるんだから行政がやればいい」というスタンスだと、いつまでも復旧が前に進まず、結果的に自分が苦しむ羽目になっていきます。
避難所をきちんと運営するためには、避難所の訓練だけでなく、いろいろな組織や行政との連絡や段取りをつけ、それを的確に避難者や住民に伝える必要があります。
防災訓練をするのであれば、そこまで踏み込んだ訓練を行って、いざというときにきちんと機能する避難所運営をしていきたいものですね。