地域の防災訓練で主体となって活動しているのはどのような人でしょうか。多くの場合、自治会の方や地域対策を考えている方が中心となると思いますが、その中に子ども達は交じっていますか。
防災訓練では、子ども達は仕事ができない「お客様」として扱われていることが多いのですが、実際の被災地の復旧では、子ども達がかなりの戦力として活躍しています。炊き出し、話の聞き役、衛生管理など、子ども達はありとあらゆる場面で復旧支援の手伝いをしてくれます。大人同士であれば大げんかが始まるようなぴりぴりとした状況を子どもが仲裁するというようなこともしばしば起きたりしています。歩いて会話ができる子であれば、それなりの仕事はできます。ただ、残念ながら子ども達は経験が不足しているため、最初に指示がないと動けないのです。そして、指示を出している大人達はそれを見て子ども達をお客にしてしまう。悪循環です。
防災訓練でも子ども達に積極的に参加してもらい、さまざまな仕事のお手伝いをしてもらう。そうすることで、大人とは違った目線での意見ももらえますし、いざというときに頼れる戦力としても育成ができます。
実際のところ、被災地の復旧が始まると働ける人達はほとんど働きに出てしまい、避難所には高齢者と子ども達が残されてしまいます。子ども達が避難所運営を手伝ってくれることで、大人達にも余裕が生まれてきます。
もちろん、大人の思ったようにならないことは当然ありますが、子ども達も仕事があることで自分たちが活躍しているという満足感を得ることができ、精神的に安定することも期待できます。災害本番だけでなく、普段の防災訓練でも活躍ができるように、地域の子ども達にも打ち合わせに参加してもらい、守ってもらう側から守る側に変わってもらう。そうすると、地域も社会も変わってきます。
最初は大変だと思いますが、子ども達も彼らなりにいろいろと考えていますから、防災訓練を企画される際には、ぜひ地域の子ども達を加えてみることを考えてみてください。