防水リュックの功罪

防水リュック。メリットも大きいがデメリットもあるので注意。

 水害時の避難では、防水リュックは使わないほうが安全かもしれません。
 このように書くと「?」となる方も多いと思います。水が出るような状況だから、中のものを濡らさないために防水リュックが必要なのではないか。
 そう考えるのは無理のないことなのですが、 水のある状況での避難では、防水リュックをそのまま背負うと、背中に浮袋が付いた状態になっていると思って行動してください。
 浮袋は空気が入って水の中で浮く仕組みになっています。
 防水リュックは、その構造上、外から水が中に入らない代わり、中の空気も外に出ることはありません。つまり、浮袋と同じです。
 それを背中に背負って、もしも流されたり転んだりしたらどうなるでしょうか。
 背中に浮袋があるわけですから、背中が水面になって浮きます。つまり、顔は水の中。流されるときにリュックを外すのはかなり大変です。
 防水リュックを抱っこしていればよいのですが、そうすると動きが鈍くなりますので標準での抱っこはお勧めできません。
 そういう理由から、中のものは濡れないのですが、あなたの安全を考えるとお勧めできないのです。
 もしも防水をするのであれば、リュック本体ではなく、中に詰めるものをチェック付きビニール袋などに入れて個別に防水処理をし、しっかりと空気を抜いておくことで、万が一水に流されてもある程度の自由は効きます。
 もちろん防水リュックが悪いわけではありません。中のものが絶対に濡れない防水リュックは非常に便利ですし、中のものを気にしなくてもいいのは本当に助かります。また、防水リュックは防塵リュックでもあるため、地震などの避難では、中に砂が入らずに非常に重宝します。そして、防水リュックはそのままで大きな水袋になりますので、断水状態のときにもかなり助かるのは確かです。
 もし、水害のときに防水リュックを使うのであれば、水があふれる前に避難完了をしておくことが重要になります。
 妙な言い方になりますが、防水リュックを使うのは災害前、そして水の災害が起きたなら、防水リュックはとりあえず使わない。
 そう覚えていてほしいと思います。